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第一章〜ユニオンレグヌス〜
13話✡︎巫女のいたずら✡︎
しおりを挟む「見ましたね。
それが私の不死でいた、理由です。」
ガーラはそう言うと、ゆっくり立ち上がる。
「エレナ様何を見たのですか?何かされたのですか?」
そうカナが言いながら小太刀に手をかけながら歩み寄る。
「いや、エレナ様は自分から見たから、何かされた訳ではないよ、ガーラが何かを企んでる訳でもない……
エレナ様が見たのは多分本当のことかな」
カイナが魂の流れを見てそう言った。
「貴方にそう言われるのはなぜかしっくり来ませんね」
ガーラが苦笑いしながら言う。
「さて、長い話はする必要は無くなりましたが、詳しい事を知りたければエルドの王立図書館で記憶の棚を調べてみて下さい。」
ガーラがそう言う。
「記憶の棚……記憶の棚には何も書物は無いはず。
それだけじゃなく、あの棚がある天地の間には今じゃ巫女でも入るのは制限されてる」
エレナがそう言いながらハッとする。
天地の間が制限されたのは二百年前……エルド宮の王族が天地の間に興味があるとは思えない、だとしたらサランの高官外交上での話?だとしたら、二百年前から巨人族の魔法を探してる者が居る?そうエレナは考える。
「あまり悩む必要はありません。
あの棚は邪な者に答えはしない、ただ知恵は試される私も一度調べましたが、答えは言えません、それを他から知った者を記憶の棚は拒みますから、ただ言えることは……」
ガーラは少し考えあえてドルイドの教えの一つを言う。
「奇跡を信じるのではなく、目の前にある真実を見つめよ」
それを聞いてユリナが言う。
「それ……似てることをお母さん前に言ってなかった?」
「えぇ……魔導師なら誰でも知ってる教え、そのままで簡単なことなんですが、簡単すぎて、多くの魔導師がその真意を探ろうとしない教えですね。」
「お母さんは理解してるの?」
「えぇ、でもユリナこれは私から教えることは出来ません。
自分で解決しなさい、ガーラさん記憶の棚はその教えを活かせる場所なんですか?」
「あぁ、無論その教えの単純な謎を深く理解しなければ、危険では済まないな」
そう言うとガーラは祭壇の間を後にしようとする。
「お待ちなさい、ガーラさんまた闇を利用して生きながらえるのですか?」
エレナがガーラを引き止め問いかける。
「それが私の使命であり、約束でもある……
闇を利用してでも私は伝えなければならない、そしてアイツが愛したこの世界を守らなければならない」
エレナはそれを聞いてこの場に懐かしい何かが居る事を悟り、気配を追ってカナに目をやると、カナがしまったアルベルト卿の羊皮紙がエレナには輝いて見えた。
エレナは瞬時に理解して、羊皮紙に心で聞いた。
(あなたが断ったあれ、ガーラさんに送っていい?)
すると羊皮紙が応えた。
(あぁ、そうしてくれ、まさかあのガーラが闇に頼る程辛い約束になってしまったとは……済まないことをした。
エレナ、済まないが手伝ってやってくれ)
その会話はその羊皮紙を持つカナにも聞こえて来て悲しみが溢れ出すが、
(カナ強くなったね、悲しむ事はない私はお前達を守れたんだ、騎士として最高の死を与えてくれた感謝している。
カナもユリナも私とエレナの自慢の娘だ、過ちや失敗は罪ではない罪に入らない。
罪とは繰り返すことだ、だからあの事を悔いるなら繰り返さないことだ。
カナなら出来る大丈夫だよ)
アルベルト卿はカナにも答えた。
その話をガーラは聞いていないが感じていた、だがあえて何も語らなかった。
エレナは胸を撫で下ろしほっとしながら、祭壇に魔力を込めると、石の祭壇の中から青い宝石のネックレスが出てきた。
それを手に取り、振り向きユリナに言う。
「ユリナ、ウィンダム借りていい?」
そう言いながら右目をウィンクした。
これはエレナとユリナの間のイタズラするときの合図でユリナは左目をウィンクして答えた。
「ウィンダムお母さんの所に行って。お母さん誰にイタズラするの?」
そうユリナが聞くと……
「うーんバレバレだと思うけど、笑ってくれると嬉しいな、エヴァとウィンディア」
「へ?まさかアレをやるの?神様に?」
「この位のお願いしないと許してくれないかな?ってことだからユリナなら出来るって!
巫女姿でアレしよ、私のリヴァイアサンを貸すからさっきと同じように、祝福を解放して、あとは私の意識で願いと祈りを言うから私に任せて」
そうエレナが言うと、リヴァイアサンがユリナの肩に乗った時。
「二人とも何をしようと言うんだ、守護竜の交換は余程意思疎通が出来てないと、命を落としかね……まさか」
ガーラが注意をしようとした時二人は既に始めていた。
エレナの髪は美しい空色からエメラルドグリーンにユリナの髪は空色に変化していた。
身につけてる物が違い見分けがつくが、その姿は同じ服であったら見分けがつかない程に似過ぎている。
ユリナはエレナに意識を合わせて身動きもシンクロさせ、寸分違わぬ動きを合わせる。
二人同時に同じ言葉を祈り魔力を最大限に高める。
祈りは神々の言葉で祈りの内容は、ガーラにしか解らない。
その時ウィンダムとリヴァイアサンは幼竜から子竜に姿を変え、あの幼い姿から二人と同じくらいの大きさの竜になり、二匹とも心配していた。
(大丈夫か?これイタズラで済むのか?)
と凛々しい顔の内心ヒヤヒヤしていた。
そのリヴァイアサンとウィンダムを見つめる、呆れた瞳が二つ。ガーラの肩に幼竜が姿を現していた大地の守護竜、地竜アンサラである。
(ちみたち……バカ?アホ?どっち?そんな事させたらタイヘンなことになるって解らないの?)
アンサラはリヴァイアサンとウィンダムだけに話しかける。
(お前だけズルイぞ!)
リヴァイアサンが、同じようにアンサラだけに叫ぶ。
(ぼくの主人はそんな無茶しないもーん)
アンサラは得意げに言うが、ウィンダムは速攻で言う。
(闇を利用するのを止められなかった、お前に言われたくないよーだ)
口喧嘩を始める……エレナとユリナには聞こえていた、祈りを続けながらエレナがユリナに心で言う。
(思った通り喧嘩始めたね、さてどうなるかな?)
そう囁いた。
その祈りはあっさり天界に届いていて、その時ゆっくりと水の衣を纏い天界の川辺で、お茶を楽しんでいる水の髪をした美しい女神エヴァに届いた。
エヴァは祈りを聞いて、思わずお茶を吹き出し、天界の川に顔を突っ込んで地上を伺い、エレナとユリナの姿を見て慌てて走りだす。
「お姉様大変です!お姉様大変です‼︎」
水の女神なのに風の様に走り抜けていく……
その頃風の女神ウィンディアは大地の女神ガイアと木の実を取り終え、母である創造神アインの館に向かっている所に祈りが届き、エッ?って顔をした。
二日前?祝福を解いたユリナから巫女として、祈りが完璧に届いた訳だから、驚くのも当然ですぐに籠を置いて、風の輪を作り地上を覗きこんだ。
(こんなことお母様に知られたら……)
そこに、エヴァが疾風の様に現れる。
「おねーさまー!」
そう叫びながらエヴァがやって来た。
ガイアは何が起きてるのか解らなかったが、近くの岩を石鏡に変え、地上を覗き込みる。
「へー二人とも優秀な巫女ね、うちのガーラとは大違い」
そう事情を知らず言う。
「エレナがユリナにユリナがエレナに大変大変です!」
エヴァはそう叫びながらウィンディアに泣きついた。
ガイアは?疑問に思いもう一度覗き込み、現状を理解した。
ガーラが闇でなく使徒として居合わせ、アンサラはリヴァイアサンとウィンダムと口喧嘩している。
「何故こんなことに……
これって私も巻き込まれてる?よね……」
そう言いながら、二人の女神の方に振り向くとウィンディアとエヴァが殺気を帯びた目でガイアを見ている。
末っ子のエヴァが叫ぶ様に言う。
「ガイアお姉様!祈りの内容知ってますか⁈」
怒った顔で言いよる
「ガイア……ガーラがあの闇を頼った訳……訳が訳だから、お母様と話し合って許したのですよね?お父様は理解してるんですか⁈」
ガイアの姉ウィンディアが言いより、板挟みになるガイア。
その間も美しい二人の祈りは天界に届き続ける。
「とにかく今は祈りを辞めさせる方が、先決かと、お母様に知れたら大変ですから……」
ガイアはそう言い二人の女神も、辞めさせようと、神々として優しく伝えようとした時……
「その必要はありません」
と言う声を聞き、三人の女神は大量の汗を流しながら同じ事を全く同じ言葉で思う。
(私達って女神なのに神罰受けるのぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎⁈‼︎⁈‼︎)
心で涙を流した、こちらも姉妹である……
一番気の弱いエヴァは泣きじゃくりながら、アインに抱きつき叫ぶ様に謝る。
「ごめんなさい、ごめんなさいお母様許して下さい!」
そうあやまり続ける。
ガイアもウィンディアも、揃ってアインに詫びるがアインは穏やかに言う。
「貴女達が詫びることでは無いですよ。
エヴァ、大きな水鏡を出してご覧なさい」
そうアインが言うと、エヴァはシクシク泣きながら大きな水鏡を出して、四人の女神が覗き込むと、少しまえエレナがとユリナがウィンクしている。
「これはこの二人のイタズラに過ぎません。確かに祝福を交換するなんて、罪としか見れませんが、罪とは思えないほど美しく思いませんか?
この世界を作ってから今まで、こんな親子見たことがありません。
それにしても二人とも本当に良く似てますね。
きっとこんな事が出来るのはあの二人くらいで今後は現れないでしょうね。
守護竜まで手玉に取って、良いものを見せて頂きました。
さっみんなお茶にしましょう」
そうアインが言うとウィンディアが聞く。
「では願いを聞き入れて良いのですか?」
そう聞いた。
「私の名で聞き入れる啓示をもう送りました。
貴女達のおかげで天界で大慌てした女神が三人も居るので、今後は女神に相談してから、そのみわざを披露しなさいって付け加えて」
そうアインが微笑みながら言う。
他の女神もほっとし、天界では神々のお茶会とアインからの軽い説教が笑いを交えながら始まった。
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