転生したら悪役令嬢の〇〇〇だった⁈

気付いたらそこにいた。

身体に感じた痛みで電車にぶつかられた！

そう思った瞬間、世界は暗転して。

気付いた時には可愛らしい赤ちゃんの背後霊になっていた。

実際は顔を覗き込んでいたから厳密には背後霊とは違うのかも知れない。

でもこの赤ちゃんの側からは一切離れられない。
だから背後霊なのだと思われる。
多分、きっとそう。

そしてこの私が何故か取り憑いてしまった赤ちゃん。
顔の作りがとんでも無く可愛い！
将来的に絶対！確実的に美人さんに育つ事間違い無し！ってくらい超絶可愛い！

髪の毛が軽くウェーブが掛かる金髪で、ふわふわなの！
目の色が薄っすらと青紫色…？で、きょとんとしている顔がもうもう可愛いとしか言い様がないくらいに愛らしいの！

だからうっかりこの子をずっと愛でてたい！守りたい！なんて思ったのが良かったのか、悪かったのか。
わからないけれど、離れられないからまぁ良いか。なんて思ってた。

明らかに日本人では無いし、赤ちゃんが居るこの部屋の調度品からも察するに恐らくここは日本じゃ無い事が分かったから。

家族の皆に会いたかったし、会いに行きたかったけど、今の自分は部屋の調度品である、ちょっとアンティーク風の鏡に映らない時点で幽霊な状態だし。
ここが何処かもわからないから日本に帰れるわけが無い。
仮に場所がわかったとしてもどうやって帰れば良いのかすらわからない。

だから絶対に迷う。
彷徨う幽霊になる。

うん、絶対になる。
うん、絶対間違い。

だから離れられないのなら尚更この子の側で成長を見守ろう。って考えて。

でも何で私は縁えんも縁ゆかりも無いこの子に取り憑いたのか本気でわからなくて。

もしかして実は遠い遠い親戚か⁈

なんて有り得ないバカな事を考えてた時、近くにいた赤ちゃんの母親らしき美人さんが赤ちゃんの名を呼びながら抱っこしてあやし始めたのだけど、その子の名を聞いて驚いたのなんの。

その理由とは私が生前？電車に激突される前の、ほんの隙間時間で遊んでいた乙女ゲーム『ただ一つだけの花束を君に  ～真実は心の中に～』の悪役令嬢と同じ名前だったからだ。

いや、まさかね。
違うよね。

…って普通、思うよね。

単なる同じ名前なだけで、偶々偶然の一致なだけだよね。

うん、きっとそう。

そう思ったよ。

でも、でもね。
やっぱり私は所謂オタクと呼ばれる人種で。

異世界転生に強い憧れがあったからこの有り得ない現実…というには背後霊？な状態だからイマイチ現実味が足りなさ過ぎるけど、実は…‼︎な展開なのでは⁈と直感的に感じてしまって。

魂だけ異世界転生したのだと、本能で感じてしまったのだった…。