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第19話 蘇生後
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無事に蘇った二人の生徒はドクターポンピーノにお礼を言って帰っていった。
死んでいる時に何か感じていることがあるのか気になっていた工藤珠希ではあったが、何となく二人に話しかけにくい空気を感じて黙って見送っていた。工藤太郎も特に何も言わずに黙って見送っていた。
「君たちはこれから家に帰るだけだと思うんだけど、何か聞いておきたいことがあれば何でも聞いておくれ。それに答えられるかどうかはわからないけど、知っている事なら何でも教えてあげるよ」
「ボクは小さい時からずっと気になってることがあるんですけど、死んでる時ってどんな感じなんですか。生きている時みたいに何かを感じたりみんなの事を見守っているとかあるんですか?」
「さあ、私は死んだことが無いからわからないね。私はこの学校内で死んだ人を無事に生き返らせるってだけであって、自分が死んでも自分の事を無事に生き返らせることが出来るかはわからないよ。私は戦いに参加しないし誰かが襲ってきても返り討ちにするだけだし」
「ドクターポンピーノってそんなに強いんですか?」
「普通の人に比べれば強いかもしれないけれど、この辺にいるサキュバスとか生徒会役員に比べると大したことは無いと思うよ。ただ、この処置室にいる間は不思議な力に守られているから安全だって事だよ」
「不思議な力ですか。困ったときはボクもここに入ってくれば守ってもらえるって事ですか?」
「まあ、ここに来ることが出来れば守ってもらえるんじゃないかな。この中は完全に非戦闘区域となっているのでここで何かをやろうとしても全部自分に返ってきちゃうからね。私に対する攻撃だけじゃなくて、自分自身を攻撃しようとしてもそれは自分に返ってきちゃうみたいだよ。死んでおとなしくしている分には何も問題無いと思うけど、この部屋で何かしようと考えるのはやめた方がいいんじゃないかな」
何か良くないことをしようとしていた工藤太郎を牽制したドクターポンピーノは優しい声で諭すように話しかけていたのだが、真っ青な顔をした工藤太郎は額に脂汗を浮かべて苦笑いをしていた。
工藤太郎が一体何をしようとしていたのかと考えた工藤珠希ではあったが、彼が何をしようとしていたのか考えたところでろくな答えは出ないと思ったので黙っていることにした。何も言おうとしない工藤太郎は誰とも目を合わさないように視線をあちらこちらに向けていたのだった。
「他に何か聞きたいことはあるかな?」
「サキュバスについてなんですけど、本当にサキュバスって実在してるんですか?」
「実在しているんですかって、君のクラスにたくさんいるでしょ。今回の抗争でもたくさんサキュバスが出てきてたし、実在するという証明になるんじゃないかな」
「そうかもしれないですけど、それってみんな自分の事をサキュバスだって自称しているだけですよね。サキュバスだって証拠とかあるんですか?」
「私は死んだことが無いってのと同じような答えになってしまうけど、私はサキュバスではないので証明のしようもないね。ただ、あの子たちが中心となって工藤珠希君、君の推薦に繋がったというのは事実なんだよ。それとサキュバスがどう繋がるのかわからないといった表情だけど、その謎を紐解くためにはあの子たちがサキュバスでその対象が男性ではなく女性だというのも重要なんだ。なぜなら、この学校にいるサキュバスはみんな君に一目惚れしちゃってるんだよ。自分のどこに一目惚れをされる要素なんてあるんだろうって思っているかもしれないけど、人を好きになることに理屈なんていらないのさ。しいて言えば、前世から繋がる因縁ってやつなんだろうね。私はこの世界の人間じゃないんで輪廻転生とか知らないけど、サキュバスの子たちは工藤珠希君が好みのタイプなんだと思うよ。サキュバスの遺伝子に組み込まれた本能ってやつなんだろうね」
「それって、珠希ちゃんはサキュバスから見たら至高の女神って事ですか?」
「多分そうなんじゃないかな。さっき蘇った一年の子も珠希君の事を直視出来なかったけど頬を染めてたからね。きっと今頃珠希君に会ったことを自慢してるんじゃないかな」
そう言えば、生き返った二人のうちレジスタンス側の司令官は工藤珠希にも頭を下げて出ていったのだけど、サキュバス側の司令官はドクターポンピーノに向かって頭を下げただけで工藤珠希と工藤太郎には見向きもせずに逃げ出すように出ていっていた。
工藤太郎を目の前にして何か話をしようと頑張っているのに緊張しすぎてしまって話すことが出来なくなる女子を今までたくさん見てきた工藤珠希ではあったが、自分に対して相手が緊張して話しかけることが出来ないという立場になるとは夢にも思っていなかった。
「珠希ちゃんは今まで隠れファンが多かったけど、この学校にいる人たちの多くは珠希ちゃんのファンだって事だね」
「なんか嬉しそうだね。今まで自分が味わってきた苦労をボクが味わえばいいって思ってるの?」
「そんなわけないでしょ。俺はもっと世の中の人に珠希ちゃんの良さが伝わればいいなって思ってるんだからね。人間じゃなくてサキュバスってのはちょっと引っかかるけど、そこから珠希ちゃんの良さを知る人の輪が世界中に広がっていくといいよね」
「絶対に嫌でしょ。そもそも、ボクがそこまで話題になるはずないし」
ぜ
「ま、どっちにしろ珠希君はサキュバス達にとってかけがえのない存在という事なんだね。家に帰るまでちゃんと君が護ってあげなくちゃダメだよ。君はそれをやり遂げることが出来るだけの力もあるんだからね」
最後まで理解出来ないことが多い工藤珠希ではあったが、少しだけ気分が良くなって自然と鼻歌が出ていたのであった。
死んでいる時に何か感じていることがあるのか気になっていた工藤珠希ではあったが、何となく二人に話しかけにくい空気を感じて黙って見送っていた。工藤太郎も特に何も言わずに黙って見送っていた。
「君たちはこれから家に帰るだけだと思うんだけど、何か聞いておきたいことがあれば何でも聞いておくれ。それに答えられるかどうかはわからないけど、知っている事なら何でも教えてあげるよ」
「ボクは小さい時からずっと気になってることがあるんですけど、死んでる時ってどんな感じなんですか。生きている時みたいに何かを感じたりみんなの事を見守っているとかあるんですか?」
「さあ、私は死んだことが無いからわからないね。私はこの学校内で死んだ人を無事に生き返らせるってだけであって、自分が死んでも自分の事を無事に生き返らせることが出来るかはわからないよ。私は戦いに参加しないし誰かが襲ってきても返り討ちにするだけだし」
「ドクターポンピーノってそんなに強いんですか?」
「普通の人に比べれば強いかもしれないけれど、この辺にいるサキュバスとか生徒会役員に比べると大したことは無いと思うよ。ただ、この処置室にいる間は不思議な力に守られているから安全だって事だよ」
「不思議な力ですか。困ったときはボクもここに入ってくれば守ってもらえるって事ですか?」
「まあ、ここに来ることが出来れば守ってもらえるんじゃないかな。この中は完全に非戦闘区域となっているのでここで何かをやろうとしても全部自分に返ってきちゃうからね。私に対する攻撃だけじゃなくて、自分自身を攻撃しようとしてもそれは自分に返ってきちゃうみたいだよ。死んでおとなしくしている分には何も問題無いと思うけど、この部屋で何かしようと考えるのはやめた方がいいんじゃないかな」
何か良くないことをしようとしていた工藤太郎を牽制したドクターポンピーノは優しい声で諭すように話しかけていたのだが、真っ青な顔をした工藤太郎は額に脂汗を浮かべて苦笑いをしていた。
工藤太郎が一体何をしようとしていたのかと考えた工藤珠希ではあったが、彼が何をしようとしていたのか考えたところでろくな答えは出ないと思ったので黙っていることにした。何も言おうとしない工藤太郎は誰とも目を合わさないように視線をあちらこちらに向けていたのだった。
「他に何か聞きたいことはあるかな?」
「サキュバスについてなんですけど、本当にサキュバスって実在してるんですか?」
「実在しているんですかって、君のクラスにたくさんいるでしょ。今回の抗争でもたくさんサキュバスが出てきてたし、実在するという証明になるんじゃないかな」
「そうかもしれないですけど、それってみんな自分の事をサキュバスだって自称しているだけですよね。サキュバスだって証拠とかあるんですか?」
「私は死んだことが無いってのと同じような答えになってしまうけど、私はサキュバスではないので証明のしようもないね。ただ、あの子たちが中心となって工藤珠希君、君の推薦に繋がったというのは事実なんだよ。それとサキュバスがどう繋がるのかわからないといった表情だけど、その謎を紐解くためにはあの子たちがサキュバスでその対象が男性ではなく女性だというのも重要なんだ。なぜなら、この学校にいるサキュバスはみんな君に一目惚れしちゃってるんだよ。自分のどこに一目惚れをされる要素なんてあるんだろうって思っているかもしれないけど、人を好きになることに理屈なんていらないのさ。しいて言えば、前世から繋がる因縁ってやつなんだろうね。私はこの世界の人間じゃないんで輪廻転生とか知らないけど、サキュバスの子たちは工藤珠希君が好みのタイプなんだと思うよ。サキュバスの遺伝子に組み込まれた本能ってやつなんだろうね」
「それって、珠希ちゃんはサキュバスから見たら至高の女神って事ですか?」
「多分そうなんじゃないかな。さっき蘇った一年の子も珠希君の事を直視出来なかったけど頬を染めてたからね。きっと今頃珠希君に会ったことを自慢してるんじゃないかな」
そう言えば、生き返った二人のうちレジスタンス側の司令官は工藤珠希にも頭を下げて出ていったのだけど、サキュバス側の司令官はドクターポンピーノに向かって頭を下げただけで工藤珠希と工藤太郎には見向きもせずに逃げ出すように出ていっていた。
工藤太郎を目の前にして何か話をしようと頑張っているのに緊張しすぎてしまって話すことが出来なくなる女子を今までたくさん見てきた工藤珠希ではあったが、自分に対して相手が緊張して話しかけることが出来ないという立場になるとは夢にも思っていなかった。
「珠希ちゃんは今まで隠れファンが多かったけど、この学校にいる人たちの多くは珠希ちゃんのファンだって事だね」
「なんか嬉しそうだね。今まで自分が味わってきた苦労をボクが味わえばいいって思ってるの?」
「そんなわけないでしょ。俺はもっと世の中の人に珠希ちゃんの良さが伝わればいいなって思ってるんだからね。人間じゃなくてサキュバスってのはちょっと引っかかるけど、そこから珠希ちゃんの良さを知る人の輪が世界中に広がっていくといいよね」
「絶対に嫌でしょ。そもそも、ボクがそこまで話題になるはずないし」
ぜ
「ま、どっちにしろ珠希君はサキュバス達にとってかけがえのない存在という事なんだね。家に帰るまでちゃんと君が護ってあげなくちゃダメだよ。君はそれをやり遂げることが出来るだけの力もあるんだからね」
最後まで理解出来ないことが多い工藤珠希ではあったが、少しだけ気分が良くなって自然と鼻歌が出ていたのであった。
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