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異世界転生 佐藤みさきの場合 前編
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学校の帰り道、いつものようにまー君に送ってもらっているわけなのだけれど、今日はいつもよりも空が薄暗いような気がしていた。
一緒に東京まで観光に行きたいと言ってみたけれど、そんなに簡単に行けるわけもないんだよなとわかってはいる。それでも、まー君なら一緒に行ってくれるんじゃないかなって気になるんだよね。
あっという間に家までついてしまったんだけど、もっとゆっくりお話をしていたかったな。まー君の家に遊びに行くことも考えていたんだけど、毎日のように遊びに行くのも気が引けるし、お互いの時間も大切にしないとうまく行くものもうまく行かなくなってしまうんじゃないかな。お姉ちゃんがそう言ってたけど、お姉ちゃんって恋愛経験あんまり無さそうなんだよね。
それにしても、今日は家の中がとても静かなような気がしてる。いつもなら聞こえてくるテレビの音も聞こえないし、不自然に静まり返っているな。
お姉ちゃんはまだ帰ってきていないみたいなんだけど、駐車場には車があったからお父さんはいるみたいなんだよね。でも、お父さんの声も聞こえないってのはちょっと普通じゃない感じがするな。
とりあえず、制服から部屋着に着替えて下に降りていったんだけど、やっぱり物音ひとつしないっていうのはおかしな感じがするんだよね。いつもなら聞こえてくる生活音もしないし、何より、玄関の鍵が開いていたのに誰もいないってのはおかしい。
変だなって思っていると、家の奥の方から何かが倒れる音が聞こえてきた。とても大きい音だったからびっくりしたんだけど、それと同時に誰かいたんだって思うと安心感がこみあげてきたよ。きっとお父さんがお風呂掃除でもしていたんだろうなって思って覗いてみたら、そこには体をバラバラにちぎられたお父さんとお母さんに見えるものが落ちていた。それのすぐ横にお姉ちゃんもいたんだけど、意識が無いのか一点を見つめているだけだった。
「お姉ちゃん、これっていったい何?」
私が話しかけてみてもお姉ちゃんは無反応で、まるで私の声が聞こえていないようだった。一体何事だろうと思ってお姉ちゃんに近くで話しかけようと思って前に一歩近づいてみると、お姉ちゃんはそのまま前のめりに倒れてきた。お姉ちゃんは前のめりに倒れてきているんだけどお姉ちゃんの背中は壁にもたれたままだったんだよ。
お姉ちゃんは体のを前後に分断されていて、その前側が私の方に倒れてきたみたいだった。
人間って本当にびっくりした時って何も出来ないんだなってその時に気付いたんだけど、泣き叫ぶよりも先に私は倒れてきたお姉ちゃんの体を一つに戻そうとしていた。きっと冷静な判断なんて出来なくなっていたんだと思うけど、私が出来ることはそれしかなかったんだと思うんだ。
不思議なことに、お姉ちゃんの体は元通り簡単にくっついたんだけど、それとは別にお姉ちゃんが自分の意思で動くことは無かったんだよね。あと、お姉ちゃんの切り口から血は一滴も出ていなかったんだよ。
その後も、倒れてくるお姉ちゃんの体を何度も何度もくっつけていたんだけど、後ろから誰かに呼ばれるまでそれは続いていたんだ。
懐かしいその声は一瞬まー君じゃないかなって思ったんだけど、まー君じゃなくて見た事ない人だったんだよ。見た事ない人だったんだけど、見おぼえがあるような気がしていたな。でも、思い出せないって不思議な感じだったよ。
「みさきちゃん、久しぶりだね。君はきっと僕の事なんて覚えていないと思うけど、今日は君を迎えに来たんだよ。君の家の場所はわかっていたんだけど、君がどこにいるかわからなかったんで待たせてもらっていたんだよね。これは運が悪いと思ってもらうしかないんだけど、君を待っている間に僕を追ってきた奴らが君の家族を殺しちゃったんだ。でも、それは君と違って力を持てなかった君の家族が悪いんだよ。僕も他人を守れるくらい強いわけじゃないんで、君が戻ってくるまで持ちこたえることが出来なかったんだよね。その気になれば守れたのかもしれないけど、神の使いである僕が普通の人間なんかのために力を使うのも変な話でしょ。だからさ、君が帰ってくるまで僕は黙って見守ることにしたんだよ。君が玄関のドアを開けた時には奴らは始末したんだけど、君の家族を守るには少しだけ遅かったね。でも、僕は弱くなってしまった君の命だけは助けたんだから逆恨みとかしないでね。僕は君を守ることは出来たんだから文句を言うのは無しだよ」
「パパもママもお姉ちゃんも見殺しにしたってことなの?」
「見殺しとは酷いことを言うね。僕は君を天界に連れて帰るって指令を与えられただけで、君の家族まで守るって指令は受けてなかったんだよ。それだけの事だからさ。それに、君はこの世界が変わったことに気付いていたはずだよ。気付いていて何もしなかったのはみさきちゃん、君なんだよ」
「ねえ、パパもママもお姉ちゃんも苦しんでなかったかな?」
「人間の感情は見た目でわかるからそれには簡単に答えることが出来るけど、君の家族は苦痛を感じる前に死んだんじゃないかな」
「そう、死んじゃったのは悲しいけど、苦しまなかったのは良かったな。いや、良くないか」
「じゃあ、君の力と記憶を取り戻す儀式を行うね。とりあえず、ここを出て外に行こうか。話はそれからだよ」
一緒に東京まで観光に行きたいと言ってみたけれど、そんなに簡単に行けるわけもないんだよなとわかってはいる。それでも、まー君なら一緒に行ってくれるんじゃないかなって気になるんだよね。
あっという間に家までついてしまったんだけど、もっとゆっくりお話をしていたかったな。まー君の家に遊びに行くことも考えていたんだけど、毎日のように遊びに行くのも気が引けるし、お互いの時間も大切にしないとうまく行くものもうまく行かなくなってしまうんじゃないかな。お姉ちゃんがそう言ってたけど、お姉ちゃんって恋愛経験あんまり無さそうなんだよね。
それにしても、今日は家の中がとても静かなような気がしてる。いつもなら聞こえてくるテレビの音も聞こえないし、不自然に静まり返っているな。
お姉ちゃんはまだ帰ってきていないみたいなんだけど、駐車場には車があったからお父さんはいるみたいなんだよね。でも、お父さんの声も聞こえないってのはちょっと普通じゃない感じがするな。
とりあえず、制服から部屋着に着替えて下に降りていったんだけど、やっぱり物音ひとつしないっていうのはおかしな感じがするんだよね。いつもなら聞こえてくる生活音もしないし、何より、玄関の鍵が開いていたのに誰もいないってのはおかしい。
変だなって思っていると、家の奥の方から何かが倒れる音が聞こえてきた。とても大きい音だったからびっくりしたんだけど、それと同時に誰かいたんだって思うと安心感がこみあげてきたよ。きっとお父さんがお風呂掃除でもしていたんだろうなって思って覗いてみたら、そこには体をバラバラにちぎられたお父さんとお母さんに見えるものが落ちていた。それのすぐ横にお姉ちゃんもいたんだけど、意識が無いのか一点を見つめているだけだった。
「お姉ちゃん、これっていったい何?」
私が話しかけてみてもお姉ちゃんは無反応で、まるで私の声が聞こえていないようだった。一体何事だろうと思ってお姉ちゃんに近くで話しかけようと思って前に一歩近づいてみると、お姉ちゃんはそのまま前のめりに倒れてきた。お姉ちゃんは前のめりに倒れてきているんだけどお姉ちゃんの背中は壁にもたれたままだったんだよ。
お姉ちゃんは体のを前後に分断されていて、その前側が私の方に倒れてきたみたいだった。
人間って本当にびっくりした時って何も出来ないんだなってその時に気付いたんだけど、泣き叫ぶよりも先に私は倒れてきたお姉ちゃんの体を一つに戻そうとしていた。きっと冷静な判断なんて出来なくなっていたんだと思うけど、私が出来ることはそれしかなかったんだと思うんだ。
不思議なことに、お姉ちゃんの体は元通り簡単にくっついたんだけど、それとは別にお姉ちゃんが自分の意思で動くことは無かったんだよね。あと、お姉ちゃんの切り口から血は一滴も出ていなかったんだよ。
その後も、倒れてくるお姉ちゃんの体を何度も何度もくっつけていたんだけど、後ろから誰かに呼ばれるまでそれは続いていたんだ。
懐かしいその声は一瞬まー君じゃないかなって思ったんだけど、まー君じゃなくて見た事ない人だったんだよ。見た事ない人だったんだけど、見おぼえがあるような気がしていたな。でも、思い出せないって不思議な感じだったよ。
「みさきちゃん、久しぶりだね。君はきっと僕の事なんて覚えていないと思うけど、今日は君を迎えに来たんだよ。君の家の場所はわかっていたんだけど、君がどこにいるかわからなかったんで待たせてもらっていたんだよね。これは運が悪いと思ってもらうしかないんだけど、君を待っている間に僕を追ってきた奴らが君の家族を殺しちゃったんだ。でも、それは君と違って力を持てなかった君の家族が悪いんだよ。僕も他人を守れるくらい強いわけじゃないんで、君が戻ってくるまで持ちこたえることが出来なかったんだよね。その気になれば守れたのかもしれないけど、神の使いである僕が普通の人間なんかのために力を使うのも変な話でしょ。だからさ、君が帰ってくるまで僕は黙って見守ることにしたんだよ。君が玄関のドアを開けた時には奴らは始末したんだけど、君の家族を守るには少しだけ遅かったね。でも、僕は弱くなってしまった君の命だけは助けたんだから逆恨みとかしないでね。僕は君を守ることは出来たんだから文句を言うのは無しだよ」
「パパもママもお姉ちゃんも見殺しにしたってことなの?」
「見殺しとは酷いことを言うね。僕は君を天界に連れて帰るって指令を与えられただけで、君の家族まで守るって指令は受けてなかったんだよ。それだけの事だからさ。それに、君はこの世界が変わったことに気付いていたはずだよ。気付いていて何もしなかったのはみさきちゃん、君なんだよ」
「ねえ、パパもママもお姉ちゃんも苦しんでなかったかな?」
「人間の感情は見た目でわかるからそれには簡単に答えることが出来るけど、君の家族は苦痛を感じる前に死んだんじゃないかな」
「そう、死んじゃったのは悲しいけど、苦しまなかったのは良かったな。いや、良くないか」
「じゃあ、君の力と記憶を取り戻す儀式を行うね。とりあえず、ここを出て外に行こうか。話はそれからだよ」
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