54 / 64
離島編
第二十六話 映像を見返してみたところ
しおりを挟む
鳥島で撮影した映像を見返していたのですが、途中に何か所か音声が途切れ居ている場所があった以外はおかしなところも無いのでした。誰かが映っているとか鳥居が変化するという事も無く、音声が途切れてしまっているところが何か所かあるという事以外はいたって普通の映像だと思いました。
「なんでここだけ音が途切れているんだろう。ヒナミには何か変わったモノとか見えてたりしないかな?」
『特に変わったモノは無いと思いますよ。でも、なんで忍ちゃんが喋ってる時だけ音が途切れたりしてるんですかね。私の声が入らないのはわかりますけど、真白先生の声って普通に聞こえてますもんね』
「俺が話している時は何もおかしくないのにな。なんで忍ちゃんの時だけヒナミが喋ってるみたいになってるんだろう」
『ちょっと待ってくださいよ。私の声ってこの映像みたいに聞き取りにくいって言いたいんですか?』
「そう言う意味じゃないって。ヒナミって幽霊だから基本的に映像に声はのらないだろ。でもさ、時々何かのタイミングでヒナミの声が映像に入っちゃうこともあるんだけどさ、その時も今の忍ちゃんみたいな感じでとぎれとぎれでハッキリとは聞き取れない感じになるじゃない」
『ああ、そう言う意味ですか。また私の事を馬鹿にしているのかと思っちゃいましたよ。でも、なんで一緒に話してた真白先生の声は聞き取れるのに忍ちゃんの声は聞き取りにくくなっちゃってるんでしょうね』
「どうしてなんだろうな。次に鳥島に行った時は音声が変になっている場所を調べてみる必要があるかもな」
真白先生はその映像を繰り返し見れるようにしてくれたので私は一晩中映像を見て過ごしていたのです。時々真白先生の寝顔を見たりもしていたのですが、私の目にはいつもと変わらない真白先生の姿がそこにはありました。
朝までずっと同じ映像を繰り返し見ていても変わったところは見つけられませんでした。忍ちゃんが真白先生を起こしに来た時に一緒に見たのですが、忍ちゃんも声が変になっているという事以外はおかしなところを見付けることが出来なかったようです。何か変わったモノでも映っていればよかったのにと思ったりもしたのですけど、そう都合よく何かが見つかるなんてことは無いんですよね。
「今日はいつもより風が強いんで鳥島に行くのはやめた方が良いと思うんですけど、鵜崎先生はどうしても行きたいって思いますか?」
午前中は風も無く穏やかな天候だったのに伝八さん達が戻ってくる頃になると風もだんだんと強くなってきて海も少し荒れ模様になっていた。鳥島にいく分には問題も無いと思うのだけれど、このまま天気が荒れていくと戻ってくる時間にはボートを出すことが出来なくなってしまっているかもしれないとのことだ。
天気予報では昼過ぎから深夜にかけて暴風に警戒するようにと注意喚起がされているので船を出してもらうことはやめた方が良いと思うのだけれど、なぜか真白先生も忍ちゃんもいつも以上に鳥島に行きたそうにしているのだった。
『天気予報では夜にかけて風も強くなるって言ってますけど、どうしてそんなに行きたいんですか?』
「何となくだけどさ、天気が荒れる日はあの島で何かが起こってるような気がするんだよね」
「僕も鵜崎先生と同じような気がしてます。ばあちゃんに天気が悪い日は鳥島の方を見ちゃダメだよって言われてたんですけど、それって天気の悪い日には何かあるって事ですよね。もしも、ばあちゃんが言ってた事に意味があるんだとしたら、今日は鳥島に行くべきだと思うんですよ」
『そうは言いますけど、天気が悪くなったら帰ってこれなくなっちゃいますよ。あの島って寝る場所も無いですから野宿になっちゃうと思いますけど』
「それは大丈夫だと思いますよ。天気予報を見た限りでは雨は降らなそうですし、雨が降ったとしてもお社の中に入っちゃえば大丈夫だと思います。ちょっと狭いかもしれないですけど、一晩くらいだったら問題ないと思いますからね。それに、お弁当も用意しちゃいましたから」
私は危険だと思うんですが、真白先生も忍ちゃんもこんな風の強い日に鳥島に行くことに対して前向きなんですよね。お弁当も用意してあるという事は行く気満々なんだと思いますけど、さすがにコレだけ風が強ければ伝八さんも船を出してくれることなんてないと思うんですよ。漁船では多少の波は大丈夫かもしれないですけど、これから風が強くなって海が荒れてしまうと小さなボートでは転覆してしまう可能性が高いですからね。
真白先生も忍ちゃんもいつもよりも多くの荷物を持って漁港で伝八さんの帰りを待つことにしたのですが、伝八さんは真白先生と忍ちゃんが荷物をいっぱい持って待っているのを見てあきれたような顔を見せていました。
「こんな天気の時にまで鳥島に行きたいって言うのか?」
「うん、今日みたいな天気の日じゃないとわからないこともあると思うんだよ。僕も真白先生も島に行けさえすれば大丈夫だからさ、船を出してもらってもいいかな?」
「晩御飯の用意はしてあるのか?」
「それは大丈夫。温めれば食べられるようにしてあるから」
「それなら早く乗れ。早くしないとボート出せなくなるからな」
「じいちゃんありがとう」
「まったく。今日の宴会は中止にしないといけないな」
いつもより荒れている海ではあったけれど、船はそこまで大きく揺れることは無かった。何とかボートに乗って鳥島に上陸する事は出来たのだけれど、いつもは私たちが上陸してもしばらくは見守ってくれていた伝八さんもすぐに船を出して亀島へと戻っていったのだった。
私は幽霊なので天候の変化なんて気にしないのだけれど、真白先生も忍ちゃんも風が強くて少し歩きにくそうにしている。私が風除けになることが出来ればいいんだけど、そんな事は出来ないので二人には我慢してもらうしかないのだ。
こんな風の強い日に何が起こるというのかわからないけれど、二人の顔に後悔の色は見られないのであった。
「なんでここだけ音が途切れているんだろう。ヒナミには何か変わったモノとか見えてたりしないかな?」
『特に変わったモノは無いと思いますよ。でも、なんで忍ちゃんが喋ってる時だけ音が途切れたりしてるんですかね。私の声が入らないのはわかりますけど、真白先生の声って普通に聞こえてますもんね』
「俺が話している時は何もおかしくないのにな。なんで忍ちゃんの時だけヒナミが喋ってるみたいになってるんだろう」
『ちょっと待ってくださいよ。私の声ってこの映像みたいに聞き取りにくいって言いたいんですか?』
「そう言う意味じゃないって。ヒナミって幽霊だから基本的に映像に声はのらないだろ。でもさ、時々何かのタイミングでヒナミの声が映像に入っちゃうこともあるんだけどさ、その時も今の忍ちゃんみたいな感じでとぎれとぎれでハッキリとは聞き取れない感じになるじゃない」
『ああ、そう言う意味ですか。また私の事を馬鹿にしているのかと思っちゃいましたよ。でも、なんで一緒に話してた真白先生の声は聞き取れるのに忍ちゃんの声は聞き取りにくくなっちゃってるんでしょうね』
「どうしてなんだろうな。次に鳥島に行った時は音声が変になっている場所を調べてみる必要があるかもな」
真白先生はその映像を繰り返し見れるようにしてくれたので私は一晩中映像を見て過ごしていたのです。時々真白先生の寝顔を見たりもしていたのですが、私の目にはいつもと変わらない真白先生の姿がそこにはありました。
朝までずっと同じ映像を繰り返し見ていても変わったところは見つけられませんでした。忍ちゃんが真白先生を起こしに来た時に一緒に見たのですが、忍ちゃんも声が変になっているという事以外はおかしなところを見付けることが出来なかったようです。何か変わったモノでも映っていればよかったのにと思ったりもしたのですけど、そう都合よく何かが見つかるなんてことは無いんですよね。
「今日はいつもより風が強いんで鳥島に行くのはやめた方が良いと思うんですけど、鵜崎先生はどうしても行きたいって思いますか?」
午前中は風も無く穏やかな天候だったのに伝八さん達が戻ってくる頃になると風もだんだんと強くなってきて海も少し荒れ模様になっていた。鳥島にいく分には問題も無いと思うのだけれど、このまま天気が荒れていくと戻ってくる時間にはボートを出すことが出来なくなってしまっているかもしれないとのことだ。
天気予報では昼過ぎから深夜にかけて暴風に警戒するようにと注意喚起がされているので船を出してもらうことはやめた方が良いと思うのだけれど、なぜか真白先生も忍ちゃんもいつも以上に鳥島に行きたそうにしているのだった。
『天気予報では夜にかけて風も強くなるって言ってますけど、どうしてそんなに行きたいんですか?』
「何となくだけどさ、天気が荒れる日はあの島で何かが起こってるような気がするんだよね」
「僕も鵜崎先生と同じような気がしてます。ばあちゃんに天気が悪い日は鳥島の方を見ちゃダメだよって言われてたんですけど、それって天気の悪い日には何かあるって事ですよね。もしも、ばあちゃんが言ってた事に意味があるんだとしたら、今日は鳥島に行くべきだと思うんですよ」
『そうは言いますけど、天気が悪くなったら帰ってこれなくなっちゃいますよ。あの島って寝る場所も無いですから野宿になっちゃうと思いますけど』
「それは大丈夫だと思いますよ。天気予報を見た限りでは雨は降らなそうですし、雨が降ったとしてもお社の中に入っちゃえば大丈夫だと思います。ちょっと狭いかもしれないですけど、一晩くらいだったら問題ないと思いますからね。それに、お弁当も用意しちゃいましたから」
私は危険だと思うんですが、真白先生も忍ちゃんもこんな風の強い日に鳥島に行くことに対して前向きなんですよね。お弁当も用意してあるという事は行く気満々なんだと思いますけど、さすがにコレだけ風が強ければ伝八さんも船を出してくれることなんてないと思うんですよ。漁船では多少の波は大丈夫かもしれないですけど、これから風が強くなって海が荒れてしまうと小さなボートでは転覆してしまう可能性が高いですからね。
真白先生も忍ちゃんもいつもよりも多くの荷物を持って漁港で伝八さんの帰りを待つことにしたのですが、伝八さんは真白先生と忍ちゃんが荷物をいっぱい持って待っているのを見てあきれたような顔を見せていました。
「こんな天気の時にまで鳥島に行きたいって言うのか?」
「うん、今日みたいな天気の日じゃないとわからないこともあると思うんだよ。僕も真白先生も島に行けさえすれば大丈夫だからさ、船を出してもらってもいいかな?」
「晩御飯の用意はしてあるのか?」
「それは大丈夫。温めれば食べられるようにしてあるから」
「それなら早く乗れ。早くしないとボート出せなくなるからな」
「じいちゃんありがとう」
「まったく。今日の宴会は中止にしないといけないな」
いつもより荒れている海ではあったけれど、船はそこまで大きく揺れることは無かった。何とかボートに乗って鳥島に上陸する事は出来たのだけれど、いつもは私たちが上陸してもしばらくは見守ってくれていた伝八さんもすぐに船を出して亀島へと戻っていったのだった。
私は幽霊なので天候の変化なんて気にしないのだけれど、真白先生も忍ちゃんも風が強くて少し歩きにくそうにしている。私が風除けになることが出来ればいいんだけど、そんな事は出来ないので二人には我慢してもらうしかないのだ。
こんな風の強い日に何が起こるというのかわからないけれど、二人の顔に後悔の色は見られないのであった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
うまなちゃんはもっと感じたい
釧路太郎
ホラー
天才霊能力者栗宮院午彪と天才霊能力者栗宮院奈緒美の娘である栗宮院うまなは生まれる前から期待されていたのだが、残念なことに霊能力を持つことはなかった。
霊能力はないものの、持ち前の明るさと努力することを苦ともしない根性で勉強も運動も人並み以上にこなせており、人望も厚く学級委員長を任されるほどでもあった。
栗宮院うまなは両親からの寵愛を一身に受けすくすくと育ってはいたのだが、天才霊能力者である両親から生まれた事もあり、外野からの期待は栗宮院うまなにとって重いプレッシャーとなって圧し掛かっていき、家に帰ってくると自室へ閉じこもりふさぎ込むようになってしまった。
そんな彼女の様子を見かねた両親は信頼出来る友人である清澄真名のフォトスタジオでアルバイトとして働かせることで彼女に秘められた力を育てようとしたのであった。
清澄真名が代表を務めるフォトスタジオ零楼館は通常の写真とは別に心霊写真を収集して調査し、場合によっては除霊までを行う業務を行っているのだ。
栗宮院うまなは清澄真名のもとで修業し、一流の霊能力者になることが出来るのだろうか。
彼女にかかっているプレッシャーが軽くなることはあるのだろうか。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ゴーストバスター幽野怜Ⅱ〜霊王討伐編〜
蜂峰 文助
ホラー
※注意!
この作品は、『ゴーストバスター幽野怜』の続編です!!
『ゴーストバスター幽野怜』⤵︎ ︎
https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/134920398
上記URLもしくは、上記タグ『ゴーストバスター幽野怜シリーズ』をクリックし、順番通り読んでいただくことをオススメします。
――以下、今作あらすじ――
『ボクと美永さんの二人で――霊王を一体倒します』
ゴーストバスターである幽野怜は、命の恩人である美永姫美を蘇生した条件としてそれを提示した。
条件達成の為、動き始める怜達だったが……
ゴーストバスター『六強』内の、蘇生に反発する二名がその条件達成を拒もうとする。
彼らの目的は――美永姫美の処分。
そして……遂に、『王』が動き出す――
次の敵は『十丿霊王』の一体だ。
恩人の命を賭けた――『霊王』との闘いが始まる!
果たして……美永姫美の運命は?
『霊王討伐編』――開幕!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ゾンビ発生が台風並みの扱いで報道される中、ニートの俺は普通にゾンビ倒して普通に生活する
黄札
ホラー
朝、何気なくテレビを付けると流れる天気予報。お馴染みの花粉や紫外線情報も流してくれるのはありがたいことだが……ゾンビ発生注意報?……いやいや、それも普通よ。いつものこと。
だが、お気に入りのアニメを見ようとしたところ、母親から買い物に行ってくれという電話がかかってきた。
どうする俺? 今、ゾンビ発生してるんですけど? 注意報、発令されてるんですけど??
ニートである立場上、断れずしぶしぶ重い腰を上げ外へ出る事に──
家でアニメを見ていても、同人誌を売りに行っても、バイトへ出ても、ゾンビに襲われる主人公。
何で俺ばかりこんな目に……嘆きつつもだんだん耐性ができてくる。
しまいには、サバゲーフィールドにゾンビを放って遊んだり、ゾンビ災害ボランティアにまで参加する始末。
友人はゾンビをペットにし、効率よくゾンビを倒すためエアガンを改造する。
ゾンビのいることが日常となった世界で、当たり前のようにゾンビと戦う日常的ゾンビアクション。ノベルアッププラス、ツギクル、小説家になろうでも公開中。
表紙絵は姫嶋ヤシコさんからいただきました、
©2020黄札
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる