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アイドル編
第十三話 真白先生の家に支配人さんがやってきました
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お風呂のドアを開けておいてくれたおかげで私は真白先生と支配人さんの楓さんがやっていることを見なくてもすんでいた。幽霊になってから人間の時には出来なかったことがいくつも出来るようにはなっていたのだけれど、人間の時には見なくて良かったものを避けることが出来なくなっているというのは辛い出来事でもある。
今もこうして真白先生と楓さんがエッチな事をしているところを見なくて済んでいるのは助かるのだが、姿が見えない分だけ二人の会話やリアルな音がより私の想像力を掻き立てて妄想が膨らんでしまっているのだ。
「真白先生って背の高い女性の方が好きですよね?」
「そんな事ないよ。俺は楓さんみたいな可愛い人も好きだから」
「可愛いって言ってくれるのは嬉しいですけど、可愛い人“も”ってのは良くないと思いますよ。可愛い人“が”好きでいいんじゃないですかね」
「それはそうかもしれないけどさ、楓さんは可愛いだけじゃなくて綺麗でもあるからね。そういう意味で言ったんだけど」
「そんな事言ってごまかそうとしてますよね。でも、そう言う風に言ってもらえるの好きだから特別に許してあげますよ。もう少し休んだらもう一回しましょうね」
「俺は何回でも大丈夫だけど、楓さんは平気なの?」
「そうですね。真白先生のって大きいんで最初は不安でしたけど、ちゃんと気持ち良くしてくれてるんで大丈夫ですよ。ちょっと痛いなって思うことはありますけど、前に他の人とエッチした時よりは平気ですから」
「前の日とはそんなに上手じゃなかったって事?」
「そうかもしれないですね。私の事を気持ち良くしようって気はなかったのかもしれないです。私も相手の事を気持ち良くしてあげたいって思えなかったのが原因かもしれないですけど、真白先生の事はたくさん気持ち良くしてあげますからね」
二回くらいだったら私も我慢して聞いていられますけど、さすがに四回目はやめて欲しいです。いつまでもお風呂に閉じこもっているのも辛いですし、さっきシャワーを浴びに来た二人を見た時に楓さんと目が合ったような気がするんですよね。
もしかして、真白先生とエッチな事をすると能力に目覚めてしまうっていうのは本当にある話なんでしょうか。そんなことがあるわけないって思いつつも、しばらくの間目が合っていたというのは気のせいじゃないと思うんですよね。私が視線から逃げようとした時にも楓さんは私の事を目で追ってましたからね。
「でも、本当に真白先生って子供が作れないように手術させられたんですか?」
「そうなんだよ。鵜崎家では男児は忌むべき存在として葬られてきたからね。俺も今の時代じゃなきゃ生まれたと同時に首をぎゅっとされてたかもしれないんだ」
「なんでそんな事をしてきたんですかね。男の人を残した方が家として残っていくと思うんですけど」
「その辺は鵜崎家特有の事情ってのがあるからね。楓さんはわからないかもしれないけど、霊能力ってのは男性よりも女性の方が備わりやすいんだって。俺よりも妹の紗雪の方が力は圧倒的に凄いし、俺にいたっては幽霊の声が聞こえるだけだったりするからね。ガッカリされちゃうかもしれないけど、俺には幽霊の姿ってほとんど見えないんだよ」
「じゃあ、お風呂にいる何かに怯えている女の子の幽霊も見えなかったって事ですか?」
やっぱり、楓さんは私の事が見えていたんですね。ずっと目が合っていたからそうだとは思っていたんですけど、はっきり見えていると言われたことで見られているという事がわかりましたからね。今後はあまりだらしないところは見せないように気を付けましょう。
「楓さんはヒナミの事が見えるようになったんだ」
「ヒナミ。あの女の子はヒナミって言うんですか。と言うか、真白先生の知り合いなんですか?」
「知り合いと言うか、俺が唯一姿をちゃんと認識できる幽霊だよ。俺と同じ空間にしか存在出来ないんだけどね」
「ちょっと待ってください。同じ空間って事は劇場にいた時も支配人室にいた時も近くにいたって事ですか?」
「まあ、そう言うことになるよね」
「ああ、そう言うことは最初に言ってくださいよ。私があんなことをしているところも見られていたって事じゃないですか。でも、見えるだけで言葉は通じないんですよね?」
「え、普通に会話も出来るよ。シャワー室でもずっと独り言を言ってるし」
ちょっと待ってください。私は独り言なんて言ってないですよ。もしかして、私って思っていることを口に出しちゃうタイプだったんですか。そうだとしたら、もっと早く教えてくれてもいいじゃないですか。真白先生って意外と意地悪なところありますし、面白がってたって事なんですかね。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。ヒナミは今までもいろんなところを見てきたからね。たぶんだけど、今までヒナミが見てきた人の中でも楓さんはまともな方だと思うよ。世の中には変わった性癖の人が多くいるからね」
「そんな慰めは必要ないですって。それと、会話が出来るって本当ですか?」
「本当だよ。劇場にいた幽霊の事もヒナミに実況解説してもらってたからね。もしかして、楓さんはヒナミの事は見えても何を言ってるか理解出来ないタイプなのかな?」
「そうかもしれないです。何か言ってそうだなとは思うんですけど、うめき声にしか聞こえないんですよね。今もお風呂からうめき声が聞こえてたんですけど、お風呂で喋ってるはずなのに音が反響してなくて逆に怖いなって思ってたんです」
「ヒナミは悪い幽霊じゃないから心配しなくてもいいんだけどな」
「それは何となくわかりますけど、それでも怖いなって思っちゃうんです。怖いって思っちゃったんで、真白先生の体で忘れさせてもらってもいいですか?」
「体でって、どういうこと?」
「ほら、さっきみたいにたくさんエッチな事をして忘れさせてくださいよ」
これからまた長い夜が始まるんでしょうか。
さっきまで昼だったような気がするんですけど、チラッと見た外はもう真っ暗になってるんですよね。幽霊になって時間の感覚がおかしくなってるってのは理解しているんですけど、真白先生がエッチな事をしてる時っていつもより時間の進みが遅いような気がするんですよね。
今もこうして真白先生と楓さんがエッチな事をしているところを見なくて済んでいるのは助かるのだが、姿が見えない分だけ二人の会話やリアルな音がより私の想像力を掻き立てて妄想が膨らんでしまっているのだ。
「真白先生って背の高い女性の方が好きですよね?」
「そんな事ないよ。俺は楓さんみたいな可愛い人も好きだから」
「可愛いって言ってくれるのは嬉しいですけど、可愛い人“も”ってのは良くないと思いますよ。可愛い人“が”好きでいいんじゃないですかね」
「それはそうかもしれないけどさ、楓さんは可愛いだけじゃなくて綺麗でもあるからね。そういう意味で言ったんだけど」
「そんな事言ってごまかそうとしてますよね。でも、そう言う風に言ってもらえるの好きだから特別に許してあげますよ。もう少し休んだらもう一回しましょうね」
「俺は何回でも大丈夫だけど、楓さんは平気なの?」
「そうですね。真白先生のって大きいんで最初は不安でしたけど、ちゃんと気持ち良くしてくれてるんで大丈夫ですよ。ちょっと痛いなって思うことはありますけど、前に他の人とエッチした時よりは平気ですから」
「前の日とはそんなに上手じゃなかったって事?」
「そうかもしれないですね。私の事を気持ち良くしようって気はなかったのかもしれないです。私も相手の事を気持ち良くしてあげたいって思えなかったのが原因かもしれないですけど、真白先生の事はたくさん気持ち良くしてあげますからね」
二回くらいだったら私も我慢して聞いていられますけど、さすがに四回目はやめて欲しいです。いつまでもお風呂に閉じこもっているのも辛いですし、さっきシャワーを浴びに来た二人を見た時に楓さんと目が合ったような気がするんですよね。
もしかして、真白先生とエッチな事をすると能力に目覚めてしまうっていうのは本当にある話なんでしょうか。そんなことがあるわけないって思いつつも、しばらくの間目が合っていたというのは気のせいじゃないと思うんですよね。私が視線から逃げようとした時にも楓さんは私の事を目で追ってましたからね。
「でも、本当に真白先生って子供が作れないように手術させられたんですか?」
「そうなんだよ。鵜崎家では男児は忌むべき存在として葬られてきたからね。俺も今の時代じゃなきゃ生まれたと同時に首をぎゅっとされてたかもしれないんだ」
「なんでそんな事をしてきたんですかね。男の人を残した方が家として残っていくと思うんですけど」
「その辺は鵜崎家特有の事情ってのがあるからね。楓さんはわからないかもしれないけど、霊能力ってのは男性よりも女性の方が備わりやすいんだって。俺よりも妹の紗雪の方が力は圧倒的に凄いし、俺にいたっては幽霊の声が聞こえるだけだったりするからね。ガッカリされちゃうかもしれないけど、俺には幽霊の姿ってほとんど見えないんだよ」
「じゃあ、お風呂にいる何かに怯えている女の子の幽霊も見えなかったって事ですか?」
やっぱり、楓さんは私の事が見えていたんですね。ずっと目が合っていたからそうだとは思っていたんですけど、はっきり見えていると言われたことで見られているという事がわかりましたからね。今後はあまりだらしないところは見せないように気を付けましょう。
「楓さんはヒナミの事が見えるようになったんだ」
「ヒナミ。あの女の子はヒナミって言うんですか。と言うか、真白先生の知り合いなんですか?」
「知り合いと言うか、俺が唯一姿をちゃんと認識できる幽霊だよ。俺と同じ空間にしか存在出来ないんだけどね」
「ちょっと待ってください。同じ空間って事は劇場にいた時も支配人室にいた時も近くにいたって事ですか?」
「まあ、そう言うことになるよね」
「ああ、そう言うことは最初に言ってくださいよ。私があんなことをしているところも見られていたって事じゃないですか。でも、見えるだけで言葉は通じないんですよね?」
「え、普通に会話も出来るよ。シャワー室でもずっと独り言を言ってるし」
ちょっと待ってください。私は独り言なんて言ってないですよ。もしかして、私って思っていることを口に出しちゃうタイプだったんですか。そうだとしたら、もっと早く教えてくれてもいいじゃないですか。真白先生って意外と意地悪なところありますし、面白がってたって事なんですかね。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。ヒナミは今までもいろんなところを見てきたからね。たぶんだけど、今までヒナミが見てきた人の中でも楓さんはまともな方だと思うよ。世の中には変わった性癖の人が多くいるからね」
「そんな慰めは必要ないですって。それと、会話が出来るって本当ですか?」
「本当だよ。劇場にいた幽霊の事もヒナミに実況解説してもらってたからね。もしかして、楓さんはヒナミの事は見えても何を言ってるか理解出来ないタイプなのかな?」
「そうかもしれないです。何か言ってそうだなとは思うんですけど、うめき声にしか聞こえないんですよね。今もお風呂からうめき声が聞こえてたんですけど、お風呂で喋ってるはずなのに音が反響してなくて逆に怖いなって思ってたんです」
「ヒナミは悪い幽霊じゃないから心配しなくてもいいんだけどな」
「それは何となくわかりますけど、それでも怖いなって思っちゃうんです。怖いって思っちゃったんで、真白先生の体で忘れさせてもらってもいいですか?」
「体でって、どういうこと?」
「ほら、さっきみたいにたくさんエッチな事をして忘れさせてくださいよ」
これからまた長い夜が始まるんでしょうか。
さっきまで昼だったような気がするんですけど、チラッと見た外はもう真っ暗になってるんですよね。幽霊になって時間の感覚がおかしくなってるってのは理解しているんですけど、真白先生がエッチな事をしてる時っていつもより時間の進みが遅いような気がするんですよね。
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