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勇者の試練
勇者の試練 第十六話
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全国勇者連合の試練は最後に知っている人が出てくるという事もあったのだが、一応無事にクリアすることが出来た。
残る試練はあと三つという事になるのだが、俺の試練とは別に愛華ちゃんが自分の問題点をしっかりと見つめなおすことにしたようだ。
「真琴さんと二人で行動して自分のいたらない点に気付くことが出来ました。このままではまた迷惑をかけてしまうと思うので、ここを離れてまた全国勇者連合の本部に行って自分を鍛えなおしてきます。あとはお願いします」
「はい、愛華さんの思いはしっかりと受け取りました。大丈夫だとは思いますが、あまり思いつめないようにしてくださいね」
「ありがとうございます。瑠璃先生も無理だけはなさらないでくださいね」
瑠璃と愛華ちゃんのやり取りを見ていると、瑠璃もしっかりと先生らしいことをしているのだという事を思い知らされた。
普段の授業がどのような感じなのかわからないけれど、この感じだと瑠璃も生徒から変な風に思われるようなことはなさそうだ。
最初からそんな心配なんてしていないが、こうして目の前で行われるやり取りを見ているとそれが間違いではなかったという事を理解させられるのであった。
「次は私と兄貴で大勇者連盟の試練を受けるって事でいいんだよね?」
「そういう事になるな。大勇者連盟がどんな試練を与えてくるのかわからないけど、全国勇者連合と同じだと仮定するといくつかの階層に分かれて敵が襲ってくる形になると思う」
「そうなんだ。でも、私には強い味方がいるから大丈夫だよ。兄貴は愛華ちゃんの時以上に気楽にしてていいからね。万が一って事も起きないくらい安全に散歩感覚で最終階層までいけるようにするからね」
「随分と自信があるみたいだな。何か特別な力でも手に入れたのか?」
「そういうところかな。でも、まずはあの扉を二人の力で開けないといけないよね。私とお兄ちゃんだったら開けられなかったとしても仕方ないって事でいいかな?」
「仕方ないという事はないだろう。開けられないという事だと、他の誰かに瑠璃の代わりをしてもらうことになるだけだよ」
扉を開けることが出来ないなんて無いと思うが、瑠璃も愛華ちゃんも扉が開かないことを願っているようにも見えていた。
その願いもむなしく、俺と瑠璃は何の苦もなく扉を開けて無事に試練を受けることが出来るようになったのだった。
「なんで私と兄貴で扉が開いちゃうんだろう。開かないって思ってたから少しショックだな。私と兄貴はそういう関係ではないけれど、心では繋がってるって思ってたのに」
「心では繋がっていると思うよ。ただ、ちょっと見ない間に瑠璃も印象が変わったなって思うよ。気のせいかもしれないけど、何となく雰囲気が変わってるよね」
「やっぱり兄貴にはわかっちゃうんだね。私が今までと違うってことをさ」
少しだけテンションが高い瑠璃は何の躊躇もせずに前へ前へと進んでいっていた。
全国勇者連合の試練であれば暗闇の階層に影と同化している敵がいたのだけれど、大勇者連盟の試練にはそういった感じの敵は配置されていないようだ。
それどころか、何処を見回しても敵の気配は一切感じさせる事なども無かったのだ。
突き当りまでやって来ると先ほどまでのダンジョンで見たことがある扉が目の前に現れた。
野城君が座って待っていたあの部屋と同じ扉がいきなり一階にあるという事を考えると、この中にはこの試練の最終ボスである野城君がいるという事になるのではないか。
誰が考えたのかわからないが、たった一階で終わるというのはどういうことかという話し合いになった。ただ、この扉が俺を惑わすためのフェイクだという可能性も考えられるのだ。
「なんか立派な扉だけどさ、この奥にボスがいるって事だったりして」
「その可能性は高いと思う。愛華ちゃんと一緒に挑んだ試練も最後の扉はこんな感じで豪華な造りになってたからね。誰が見ても特別な部屋だって言うのがわかると思うんだよ」
「兄貴がそう言うんだったら間違いないんだろうね。一応だけど、いつでも戦える準備だけはしておくね」
今回の扉はどこにでもあるような感じではあるが、やたらと装飾だけは立派になっている普通の扉なのだ。
俺が扉を開けようと前に出たのだが、その行為自体を瑠璃に制されてしまった。。
「ここから先は危ない予感がしてるからごめんね。兄貴は私の背中に隠れて見てるといいよ」
俺は瑠璃の言葉にどう返せばいいのか悩んだのだが、上手い返しが見つからなかったので瑠璃の背中に隠れて見ることにした。
俺が何も言わずに本当に背中に隠れたので瑠璃は笑ってしまっていたが、何も反論することが出来なかった以上仕方ないことなのだ。
この扉の向こうにいるのは間違いなく危険な相手だという事だけは知っているのだ。
「じゃあ、私が開けるからね。兄貴は私から離れないようにしてね。ほら、恥ずかしがってないで腰にしっかりと手を回しなさい」
「さすがにそこまではしなくてもいいんじゃないかな。そんな事をすると瑠璃の動きに制限がかかっちゃうんじゃないかな」
「それは大丈夫よ。何も問題ないわ。だって、私が戦うんじゃなくて私の代わりに影にいる巨人が戦ってくれるからね」
残る試練はあと三つという事になるのだが、俺の試練とは別に愛華ちゃんが自分の問題点をしっかりと見つめなおすことにしたようだ。
「真琴さんと二人で行動して自分のいたらない点に気付くことが出来ました。このままではまた迷惑をかけてしまうと思うので、ここを離れてまた全国勇者連合の本部に行って自分を鍛えなおしてきます。あとはお願いします」
「はい、愛華さんの思いはしっかりと受け取りました。大丈夫だとは思いますが、あまり思いつめないようにしてくださいね」
「ありがとうございます。瑠璃先生も無理だけはなさらないでくださいね」
瑠璃と愛華ちゃんのやり取りを見ていると、瑠璃もしっかりと先生らしいことをしているのだという事を思い知らされた。
普段の授業がどのような感じなのかわからないけれど、この感じだと瑠璃も生徒から変な風に思われるようなことはなさそうだ。
最初からそんな心配なんてしていないが、こうして目の前で行われるやり取りを見ているとそれが間違いではなかったという事を理解させられるのであった。
「次は私と兄貴で大勇者連盟の試練を受けるって事でいいんだよね?」
「そういう事になるな。大勇者連盟がどんな試練を与えてくるのかわからないけど、全国勇者連合と同じだと仮定するといくつかの階層に分かれて敵が襲ってくる形になると思う」
「そうなんだ。でも、私には強い味方がいるから大丈夫だよ。兄貴は愛華ちゃんの時以上に気楽にしてていいからね。万が一って事も起きないくらい安全に散歩感覚で最終階層までいけるようにするからね」
「随分と自信があるみたいだな。何か特別な力でも手に入れたのか?」
「そういうところかな。でも、まずはあの扉を二人の力で開けないといけないよね。私とお兄ちゃんだったら開けられなかったとしても仕方ないって事でいいかな?」
「仕方ないという事はないだろう。開けられないという事だと、他の誰かに瑠璃の代わりをしてもらうことになるだけだよ」
扉を開けることが出来ないなんて無いと思うが、瑠璃も愛華ちゃんも扉が開かないことを願っているようにも見えていた。
その願いもむなしく、俺と瑠璃は何の苦もなく扉を開けて無事に試練を受けることが出来るようになったのだった。
「なんで私と兄貴で扉が開いちゃうんだろう。開かないって思ってたから少しショックだな。私と兄貴はそういう関係ではないけれど、心では繋がってるって思ってたのに」
「心では繋がっていると思うよ。ただ、ちょっと見ない間に瑠璃も印象が変わったなって思うよ。気のせいかもしれないけど、何となく雰囲気が変わってるよね」
「やっぱり兄貴にはわかっちゃうんだね。私が今までと違うってことをさ」
少しだけテンションが高い瑠璃は何の躊躇もせずに前へ前へと進んでいっていた。
全国勇者連合の試練であれば暗闇の階層に影と同化している敵がいたのだけれど、大勇者連盟の試練にはそういった感じの敵は配置されていないようだ。
それどころか、何処を見回しても敵の気配は一切感じさせる事なども無かったのだ。
突き当りまでやって来ると先ほどまでのダンジョンで見たことがある扉が目の前に現れた。
野城君が座って待っていたあの部屋と同じ扉がいきなり一階にあるという事を考えると、この中にはこの試練の最終ボスである野城君がいるという事になるのではないか。
誰が考えたのかわからないが、たった一階で終わるというのはどういうことかという話し合いになった。ただ、この扉が俺を惑わすためのフェイクだという可能性も考えられるのだ。
「なんか立派な扉だけどさ、この奥にボスがいるって事だったりして」
「その可能性は高いと思う。愛華ちゃんと一緒に挑んだ試練も最後の扉はこんな感じで豪華な造りになってたからね。誰が見ても特別な部屋だって言うのがわかると思うんだよ」
「兄貴がそう言うんだったら間違いないんだろうね。一応だけど、いつでも戦える準備だけはしておくね」
今回の扉はどこにでもあるような感じではあるが、やたらと装飾だけは立派になっている普通の扉なのだ。
俺が扉を開けようと前に出たのだが、その行為自体を瑠璃に制されてしまった。。
「ここから先は危ない予感がしてるからごめんね。兄貴は私の背中に隠れて見てるといいよ」
俺は瑠璃の言葉にどう返せばいいのか悩んだのだが、上手い返しが見つからなかったので瑠璃の背中に隠れて見ることにした。
俺が何も言わずに本当に背中に隠れたので瑠璃は笑ってしまっていたが、何も反論することが出来なかった以上仕方ないことなのだ。
この扉の向こうにいるのは間違いなく危険な相手だという事だけは知っているのだ。
「じゃあ、私が開けるからね。兄貴は私から離れないようにしてね。ほら、恥ずかしがってないで腰にしっかりと手を回しなさい」
「さすがにそこまではしなくてもいいんじゃないかな。そんな事をすると瑠璃の動きに制限がかかっちゃうんじゃないかな」
「それは大丈夫よ。何も問題ないわ。だって、私が戦うんじゃなくて私の代わりに影にいる巨人が戦ってくれるからね」
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