61 / 111
王様リセマラ
王様リセマラ 第一話
しおりを挟む
うまなちゃんを悪魔扱いした野城圭重に本当の悪魔とはどんなものなのか見せるという。そんな目的のために関係ないはずの俺たちはイザーちゃんに連れられて悪魔がいるという世界へと連れていかれた。
「さあ、お兄さん。あなたの目の前にある扉を開いて新たなる世界への第一歩を踏み出す時がきたよ」
イザーちゃんが目の前にある扉を指示しているのだが、どこからどう見ても禍々しく怪しいのだ。遊園地のアトラクションでもこんなに怪しい造りにすることが無いというくらいに不気味さを漂わせているのだが、こんなあからさまに怪しいものを俺にどうしろというのだろうか。
本物の悪魔がいる世界に連れて行くという事を聞かされているわけだからここまで怪しい扉があるのは納得出来るのだが、それにしては登場が早すぎる気がしてならない。
そもそもの話にはなるが、本物の悪魔を見せるべき野城圭重が一緒に来ていないというのは問題ではないのだろうか。それを問いただす暇もないくらいに俺は四人の少女と妹に急かされている。
「お兄ちゃん、この扉も怪しいのは見た目だけだから大丈夫だよ」
「真琴さん、この世界は私たちに危害を加えることなんて無いよ」
「兄貴、新しい世界の扉を開くのは今だよ」
「お兄ちゃん、魔王程度なら相手にならないわ」
「お兄さん、今すぐ扉を開けちゃいなよ。ささ、今すぐ開けちゃいなよ」
俺の事をお兄ちゃんと呼ぶのは栗宮院うまなちゃんとうまなちゃんの親戚で一歳年上の栗鳥院柘榴ちゃんだ。二人は現実世界ではお嬢様なこともあってドレス風ではありつつも動きやすそうな服装で細身の剣を持っている。
うまなちゃんはその髪色に似た金色をあしらったドレスで柘榴ちゃんは黒いドレスにさし色で赤が散りばめられている。そのまま舞踏会に出るには軽すぎるかもしれない服装ではあるが、異世界で戦うのであればその方が良いのかもしれないな。
俺の事を真琴さんと呼ぶ鈴木愛華ちゃんはごく普通の家庭に生まれた天才少女である。その頭の良さを表すためなのか学者風の服装でタブレット端末を持っているのだが、体のいたるところについているホルスターには様々な拳銃が収容されている。
誘拐犯を何のためらいもなく撃ち殺していたこともあったが、この世界でも命を奪うという事に何のためらいも持たないというのは強みになるのではないだろうか。
俺の事を兄貴と呼ぶのは俺の妹である片岡瑠璃だ。瑠璃は三人のクラスも担当している教師である。俺が引きこもりであった時から勉強を教えるのが上手だったので多くの生徒からも信頼されているのであろう。授業自体は見たことはないのだが、三人からもわかりやすいという話を聞いている。
瑠璃がなぜ巫女装束を身にまとっているのかわからないが、何か深い理由があるのだろう。愛華ちゃんと違って命を奪うことに抵抗はあると思うので俺たちの無事を祈ってくれるという事に対する意思の表れなのかもしれないな。
俺の事をお兄さんと呼ぶのはイザーちゃんである。イザーちゃんはヴァンパイアだがサイボーグ化しておりその弱点を全て克服している。そして、自分の意志で自由に世界線を超えて他の世界好き勝手に行くことも出来るのだ。今回俺たちがこの世界へやって来ることが出来たのもイザーちゃんの力に寄るのだが、ハッキリ言って迷惑な話である。
ヴァンパイアであるにもかかわらず修道服を着ているというのは何かの皮肉なのかもしれないが、俺にはその理由はさっぱりわからない。あと、素手で人間の体をバラバラに引き裂くことが出来るのは生まれ持っての物なのかもしれない。
「とりあえず、この扉を開けてください。そうしないと、何も始まらないですからね」
五人とは違う誰かもわからない声に戸惑いながらも扉を開くと、三階建ての家くらいはありそうな大きさの玉座に座った怪物が俺の事を睨みつけていた。
その怪物のわきを固める異形の生物が俺たちの方を見ると同時にけたたましい咆哮をあげ戦闘態勢をとっていた。
扉を開けた瞬間にボスバトルなんて聞いてないぞと言う思いが俺の心の底から口に出るよりも早く、俺の後ろにいた五人が怪物に向かって一直線に駆けていっていた。
完全に出遅れてしまった俺ではあった。
だが、俺が出遅れたのではなく、彼女たちの動きが早すぎただけなのかもしれない。
うまなちゃんはどこから取り出したのかわからない自分よりも大きな斧で一番近くにいた怪物を真っ二つにしていた。
イザーちゃんはその怪力を最大限に発揮して一番大きな怪物の体を小さく小さく畳んでいた。
愛華ちゃんは素早く動いていた怪物を正確に狙撃し、その怪物が完全に動きを止めても弾丸が尽きるまで引き金を引き続けていた。
柘榴ちゃんはどこかの魔法少女が持っていそうな杖から光る球を怪物に向かって放っていたのだが、そのスピードと数が尋常ではなく怪物は光によって粉々になって散っていた。
瑠璃は自分の影から飛び出てきた右手のない巨人を使って怪物を一方的に殴り殺していた。
何が何だかわからないうちに敵は玉座に座っている大きな怪物だけになっていたのだ。五人の視線が俺に向かっているのだが、その期待を込めた目で見られたところで何をすればいいのかさっぱり想像もつかない。
俺は武器も持っていないし何か特別な技を習得しているわけでもない。どうしていいのかわからず、時間を稼ぐという意味でも俺はゆっくりとその怪物に近付いていった。
「さあ、お兄さん。あなたの目の前にある扉を開いて新たなる世界への第一歩を踏み出す時がきたよ」
イザーちゃんが目の前にある扉を指示しているのだが、どこからどう見ても禍々しく怪しいのだ。遊園地のアトラクションでもこんなに怪しい造りにすることが無いというくらいに不気味さを漂わせているのだが、こんなあからさまに怪しいものを俺にどうしろというのだろうか。
本物の悪魔がいる世界に連れて行くという事を聞かされているわけだからここまで怪しい扉があるのは納得出来るのだが、それにしては登場が早すぎる気がしてならない。
そもそもの話にはなるが、本物の悪魔を見せるべき野城圭重が一緒に来ていないというのは問題ではないのだろうか。それを問いただす暇もないくらいに俺は四人の少女と妹に急かされている。
「お兄ちゃん、この扉も怪しいのは見た目だけだから大丈夫だよ」
「真琴さん、この世界は私たちに危害を加えることなんて無いよ」
「兄貴、新しい世界の扉を開くのは今だよ」
「お兄ちゃん、魔王程度なら相手にならないわ」
「お兄さん、今すぐ扉を開けちゃいなよ。ささ、今すぐ開けちゃいなよ」
俺の事をお兄ちゃんと呼ぶのは栗宮院うまなちゃんとうまなちゃんの親戚で一歳年上の栗鳥院柘榴ちゃんだ。二人は現実世界ではお嬢様なこともあってドレス風ではありつつも動きやすそうな服装で細身の剣を持っている。
うまなちゃんはその髪色に似た金色をあしらったドレスで柘榴ちゃんは黒いドレスにさし色で赤が散りばめられている。そのまま舞踏会に出るには軽すぎるかもしれない服装ではあるが、異世界で戦うのであればその方が良いのかもしれないな。
俺の事を真琴さんと呼ぶ鈴木愛華ちゃんはごく普通の家庭に生まれた天才少女である。その頭の良さを表すためなのか学者風の服装でタブレット端末を持っているのだが、体のいたるところについているホルスターには様々な拳銃が収容されている。
誘拐犯を何のためらいもなく撃ち殺していたこともあったが、この世界でも命を奪うという事に何のためらいも持たないというのは強みになるのではないだろうか。
俺の事を兄貴と呼ぶのは俺の妹である片岡瑠璃だ。瑠璃は三人のクラスも担当している教師である。俺が引きこもりであった時から勉強を教えるのが上手だったので多くの生徒からも信頼されているのであろう。授業自体は見たことはないのだが、三人からもわかりやすいという話を聞いている。
瑠璃がなぜ巫女装束を身にまとっているのかわからないが、何か深い理由があるのだろう。愛華ちゃんと違って命を奪うことに抵抗はあると思うので俺たちの無事を祈ってくれるという事に対する意思の表れなのかもしれないな。
俺の事をお兄さんと呼ぶのはイザーちゃんである。イザーちゃんはヴァンパイアだがサイボーグ化しておりその弱点を全て克服している。そして、自分の意志で自由に世界線を超えて他の世界好き勝手に行くことも出来るのだ。今回俺たちがこの世界へやって来ることが出来たのもイザーちゃんの力に寄るのだが、ハッキリ言って迷惑な話である。
ヴァンパイアであるにもかかわらず修道服を着ているというのは何かの皮肉なのかもしれないが、俺にはその理由はさっぱりわからない。あと、素手で人間の体をバラバラに引き裂くことが出来るのは生まれ持っての物なのかもしれない。
「とりあえず、この扉を開けてください。そうしないと、何も始まらないですからね」
五人とは違う誰かもわからない声に戸惑いながらも扉を開くと、三階建ての家くらいはありそうな大きさの玉座に座った怪物が俺の事を睨みつけていた。
その怪物のわきを固める異形の生物が俺たちの方を見ると同時にけたたましい咆哮をあげ戦闘態勢をとっていた。
扉を開けた瞬間にボスバトルなんて聞いてないぞと言う思いが俺の心の底から口に出るよりも早く、俺の後ろにいた五人が怪物に向かって一直線に駆けていっていた。
完全に出遅れてしまった俺ではあった。
だが、俺が出遅れたのではなく、彼女たちの動きが早すぎただけなのかもしれない。
うまなちゃんはどこから取り出したのかわからない自分よりも大きな斧で一番近くにいた怪物を真っ二つにしていた。
イザーちゃんはその怪力を最大限に発揮して一番大きな怪物の体を小さく小さく畳んでいた。
愛華ちゃんは素早く動いていた怪物を正確に狙撃し、その怪物が完全に動きを止めても弾丸が尽きるまで引き金を引き続けていた。
柘榴ちゃんはどこかの魔法少女が持っていそうな杖から光る球を怪物に向かって放っていたのだが、そのスピードと数が尋常ではなく怪物は光によって粉々になって散っていた。
瑠璃は自分の影から飛び出てきた右手のない巨人を使って怪物を一方的に殴り殺していた。
何が何だかわからないうちに敵は玉座に座っている大きな怪物だけになっていたのだ。五人の視線が俺に向かっているのだが、その期待を込めた目で見られたところで何をすればいいのかさっぱり想像もつかない。
俺は武器も持っていないし何か特別な技を習得しているわけでもない。どうしていいのかわからず、時間を稼ぐという意味でも俺はゆっくりとその怪物に近付いていった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる