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引きこもりからの脱却
第九話 食事は楽しく美味しく
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終始和やかなムードで楽しんだ食事も終わり、今更ながら自己紹介をすることになった。俺の事はみんなよく知ってくれているという事なのだが、なぜそんなところまで知っているのかと恐怖を覚えてしまった。
「そんなわけで、真琴君は今まで大変だったとは思うけどこれからは今まで楽しめなかった青春を取り戻すつもりで過ごしてくれていいからね。うまなが卒業するまでの間という契約ではあるけれど、君の評判次第ではその後の四年間も引き続きお願いすることになるかもしれないね。うまなが大学を卒業した後は私の仕事の手伝いをしてもらえると助かるよ。私としては、うまなが高校を卒業した後は私の手伝いをしてもらいたいと思ってはいるんだがね」
「パパの仕事なんて何やってる変わらないものにお兄さんを関わらせたくないんだけど」
「そうだよ。午彪の仕事はお兄さんがやるような仕事じゃないと思うな。午彪のサポートなんて専任の人がたくさんいるんだから必要ないでしょ。奈緒美のお手伝いだって言うんだったらわかるけど、午彪は何でもかんでも自分の手元に置こうとするのは良くないと思うな。愛華のことだって優秀だから手元に置いておきたいってだけで学生寮じゃなくて特待生専用寮に住まわせてるんだもんね」
「特待生寮って言ってもいつも皆さんがいつもここに来るから理事長の家に下宿しているような気分になってしまうですよね。それに、学校には指定の制服がないのに寮に住むのに指定のメイド服があるって言うのはどういう事なんですかね?」
メイドさんだと思っていたこの子はメイドなのではなく特待生の鈴木愛華だった。他のメイドさん達とは異なるアレンジの入ったメイド服を着ていると思ってはいたのだけれど、そんな理由があったという事には全く気が付かなかった。何もメイドらしいことをしていないなとは思っていた理由が知れて良かったのだけど、寮に住むのに指定のメイド服があるというのはどういう事だろう。もしかして、俺も何か特別な制服を指定されてしまうのだろうか。
「大丈夫だよ。お兄さんは普通の服を着てていいんだって。特待生寮でメイド服を着ろって決めたのは奈緒美で、奈緒美は可愛いものが好きだから愛華にメイド服を着せてるだけなんだって。本人も満更でもないって感じなんだけど、そんな事顔に出さないんだよね。その辺が頭が良くて社交性も高い優秀な人材たる所以なのかもね」
「奈緒美さんは可愛いものが好きって事は、君も可愛がられてるって事なんだね」
「引きこもりでニートだったお兄さんがそんな事を言うなんてちょっと意外だったな。でも、そう言うこと言ってくれるのは嬉しいかも。私だけじゃなくてうまなちゃんとか奈緒美にも言ってあげるといいかもね。愛華には言わなくていいと思うよ」
可愛いものが好きというのは普通の事だと思う。時々不細工なものが好きだとかグロテスクなものが好きだって言う人がいたりもするけれど、そういうのは多数派にはなりえないと思う。ここでご飯を食べているみんなだけではなく給仕してくれている本物のメイドさんたちも美形揃いなので俺は物凄く場違いな感じがしてならない。
「大丈夫。お兄さんもそれなりにイケてると思うよ。今度午彪と一緒に髪を切りに行ってみたらより良くなると思うな」
「それはいい考えだな。真琴君とは男同士仲良くしたいものだし。ママやうまなたちとは出来ない男だけの付き合いってのもあるからね」
「そういうのは内緒にしてくれると助かるわ。私もパパやうまなとは出来ない大人のお付き合いって言うのを真琴ちゃんに教えてあげようかしら。気が向いたら私の研究室に遊びにきてね。真琴ちゃんの好きな科学や考古学の貴重な資料がたくさんあるからね。もちろん、いつでも歓迎するわ」
「もう、パパもママもいい加減にしてよ。お兄ちゃんは私のためにここに来てもらってるんだからね。私が困ったときのためにお兄ちゃんがいるんだから、パパとママと遊んでたら私が必要な時にお兄ちゃんを呼べないかもしれないでしょ」
「それはわかってるよ。でも、パパもママも真琴君とは良好な関係を築きたいと思っているんだよ。もちろん、うまなの都合を最優先させるつもりで入るけどさ、たまにはパパたちにも真琴君との時間を設けてほしいな」
「わかってるよ。お兄ちゃんがそうしたいって言うんだったら私は何も止めないし。イザーちゃんもだからね」
「はーい、私はうまなちゃんのために何でもするからね」
なぜかみんな話をしている人同士で視線を合わせることなく俺の方を向いていた。俺の膝の上に座っているイザーもわざわざ俺の方を向いて話していたことが少しだけ気になってしまった。
そんな中、一人だけもくもくとご飯を食べているメイド姿の愛華ちゃんはあの体のどこにそれだけの量が入るのだろうと不思議になるくらい食べ続けていた。皿が空きそうになるとメイドさんが新しい料理を持ってきているのだけど、俺や他の人の皿が空いても料理を持ってきたりはせずにおかわりの確認をしてくれるので愛華ちゃんは特別なんだろう。
「あんなにたくさん食べるのにあの体型を維持してるのって凄いよね。もしかしたら、凄い努力してるのかもしれないけど、お兄さんにその努力を見せてくれるかもしれないね」
イザーちゃんの言葉に一瞬だけ反応した愛華ちゃんは俺の目を見ようとしていたのにすぐに視線を目の前の皿に戻していた。そんなにご飯が食べたいのかなと思っていたけれど、確かにこの名前も知らない料理はどれもこれも美味しいので集中したいという気持ちは理解出来る。
うまなちゃん親子は相変わらず俺の事で言い争っているようだけど、三人とも俺の事を見ているのが何となく気になってしまったのだった。
「そんなわけで、真琴君は今まで大変だったとは思うけどこれからは今まで楽しめなかった青春を取り戻すつもりで過ごしてくれていいからね。うまなが卒業するまでの間という契約ではあるけれど、君の評判次第ではその後の四年間も引き続きお願いすることになるかもしれないね。うまなが大学を卒業した後は私の仕事の手伝いをしてもらえると助かるよ。私としては、うまなが高校を卒業した後は私の手伝いをしてもらいたいと思ってはいるんだがね」
「パパの仕事なんて何やってる変わらないものにお兄さんを関わらせたくないんだけど」
「そうだよ。午彪の仕事はお兄さんがやるような仕事じゃないと思うな。午彪のサポートなんて専任の人がたくさんいるんだから必要ないでしょ。奈緒美のお手伝いだって言うんだったらわかるけど、午彪は何でもかんでも自分の手元に置こうとするのは良くないと思うな。愛華のことだって優秀だから手元に置いておきたいってだけで学生寮じゃなくて特待生専用寮に住まわせてるんだもんね」
「特待生寮って言ってもいつも皆さんがいつもここに来るから理事長の家に下宿しているような気分になってしまうですよね。それに、学校には指定の制服がないのに寮に住むのに指定のメイド服があるって言うのはどういう事なんですかね?」
メイドさんだと思っていたこの子はメイドなのではなく特待生の鈴木愛華だった。他のメイドさん達とは異なるアレンジの入ったメイド服を着ていると思ってはいたのだけれど、そんな理由があったという事には全く気が付かなかった。何もメイドらしいことをしていないなとは思っていた理由が知れて良かったのだけど、寮に住むのに指定のメイド服があるというのはどういう事だろう。もしかして、俺も何か特別な制服を指定されてしまうのだろうか。
「大丈夫だよ。お兄さんは普通の服を着てていいんだって。特待生寮でメイド服を着ろって決めたのは奈緒美で、奈緒美は可愛いものが好きだから愛華にメイド服を着せてるだけなんだって。本人も満更でもないって感じなんだけど、そんな事顔に出さないんだよね。その辺が頭が良くて社交性も高い優秀な人材たる所以なのかもね」
「奈緒美さんは可愛いものが好きって事は、君も可愛がられてるって事なんだね」
「引きこもりでニートだったお兄さんがそんな事を言うなんてちょっと意外だったな。でも、そう言うこと言ってくれるのは嬉しいかも。私だけじゃなくてうまなちゃんとか奈緒美にも言ってあげるといいかもね。愛華には言わなくていいと思うよ」
可愛いものが好きというのは普通の事だと思う。時々不細工なものが好きだとかグロテスクなものが好きだって言う人がいたりもするけれど、そういうのは多数派にはなりえないと思う。ここでご飯を食べているみんなだけではなく給仕してくれている本物のメイドさんたちも美形揃いなので俺は物凄く場違いな感じがしてならない。
「大丈夫。お兄さんもそれなりにイケてると思うよ。今度午彪と一緒に髪を切りに行ってみたらより良くなると思うな」
「それはいい考えだな。真琴君とは男同士仲良くしたいものだし。ママやうまなたちとは出来ない男だけの付き合いってのもあるからね」
「そういうのは内緒にしてくれると助かるわ。私もパパやうまなとは出来ない大人のお付き合いって言うのを真琴ちゃんに教えてあげようかしら。気が向いたら私の研究室に遊びにきてね。真琴ちゃんの好きな科学や考古学の貴重な資料がたくさんあるからね。もちろん、いつでも歓迎するわ」
「もう、パパもママもいい加減にしてよ。お兄ちゃんは私のためにここに来てもらってるんだからね。私が困ったときのためにお兄ちゃんがいるんだから、パパとママと遊んでたら私が必要な時にお兄ちゃんを呼べないかもしれないでしょ」
「それはわかってるよ。でも、パパもママも真琴君とは良好な関係を築きたいと思っているんだよ。もちろん、うまなの都合を最優先させるつもりで入るけどさ、たまにはパパたちにも真琴君との時間を設けてほしいな」
「わかってるよ。お兄ちゃんがそうしたいって言うんだったら私は何も止めないし。イザーちゃんもだからね」
「はーい、私はうまなちゃんのために何でもするからね」
なぜかみんな話をしている人同士で視線を合わせることなく俺の方を向いていた。俺の膝の上に座っているイザーもわざわざ俺の方を向いて話していたことが少しだけ気になってしまった。
そんな中、一人だけもくもくとご飯を食べているメイド姿の愛華ちゃんはあの体のどこにそれだけの量が入るのだろうと不思議になるくらい食べ続けていた。皿が空きそうになるとメイドさんが新しい料理を持ってきているのだけど、俺や他の人の皿が空いても料理を持ってきたりはせずにおかわりの確認をしてくれるので愛華ちゃんは特別なんだろう。
「あんなにたくさん食べるのにあの体型を維持してるのって凄いよね。もしかしたら、凄い努力してるのかもしれないけど、お兄さんにその努力を見せてくれるかもしれないね」
イザーちゃんの言葉に一瞬だけ反応した愛華ちゃんは俺の目を見ようとしていたのにすぐに視線を目の前の皿に戻していた。そんなにご飯が食べたいのかなと思っていたけれど、確かにこの名前も知らない料理はどれもこれも美味しいので集中したいという気持ちは理解出来る。
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