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おパンツ戦争
第78話 宇宙船発着所
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通話が途中で途切れてしまったのでもう一度かけなおそうかと思った工藤太郎であったが、すぐに工藤珠希から地球の座標がメールで送られてきたのでかけなおすことはなかった。
工藤珠希が怒っているのを感じてしまった事もあって電話はしなかったのだが、メールには一応返信をしておいたのだ。それに対する返事はなかったのだが、そこはあまり気にしてはいないのが工藤太郎なのである。
「何か悪いことを言ってしまったのかな?」
ペタコン博士は申し訳なさそうに工藤太郎に話しかけていたのだが、工藤太郎はあまり気にしていないのか笑顔を見せていた。
「気にすることないですよ。それよりも、地球の座標が送られてきたんですけどコレであってるんですかね?」
「この座標で間違いないだろうね。太郎ちゃんの持ってるそれから出てる電波もその座標のあたりまで飛んでいたみたいだし、まず間違いないことだと思うよ」
「俺には全く読めない文字だったんでちょっとだけ心配でした。でも、大丈夫だって言うんだったらこのまま地球に向かいましょう」
「まあまあ、そんなに急いでも良いことなんて無いし、最低限の準備だけはしておこうか」
工藤太郎とペタコン博士が地球へ向かうための準備を始めていたのと時を同じくして、全てを終わらせたイザーが零楼館高校へと戻ってきたのだ。
たった一人でピンクのおパンツ派と戦っていた鈴木愛華を労うと同時に学校にある全ての布を水色に変えるという暴挙に出たのだった。
何もかもを水色に変えたイザーを止めようと多くのサキュバスとレジスタンスが行動を起こしたのだが、その行動一つ一つをイザーはたった一人で阻止し新たに水色で塗りつぶしていったのだった。
「たった一人で良くここまで耐え抜いたね。私が戻ってきたからにはピンクの時代もここで終わるよ。さあ、二人で水色の世界を創造していこう」
「あの、そこまでしなくても大丈夫だと思うよ。ピンクのおパンツを推しているうまなちゃんがまだ幼児化したままなんでイザーちゃんが何もしなくても負ける事は無いかと思うな」
「まだ子供みたいなうまなちゃんのままって事なのか。それだったら私たちの勝ちは揺るぎないものになるな」
「そういうわけにもいかないかもしれないんだよね。だって、珠希ちゃんって水色のおパンツもピンクのおパンツもどっちも興味ないって感じなんだよ。どっちかを穿いてくれないとこの争いはいつまでも終わらないと思うんだけど、どうにかして説得することは出来ないのかな?」
「その珠希ちゃんはいったいどこに居るのかな?」
「たぶん、クリームパイちゃんと一緒に宇宙船の発着所にいると思うよ。太郎ちゃんがもう少しで帰ってくるって言ってたからそこで待ってるんじゃないかな」
「宇宙船の発着所なんていつの間に出来たんだ。私が戻ってきた時にはそんなものはなかったような気がするんだけど」
「いつの間にか出来てたんだよ。クリームパイちゃんとクリーキーが勝手に作ったって噂なんだけど、学校側も容認しているとは思う」
鈴木愛華に宇宙船の発着所の場所を聞いたイザーは一目散にそこを目指して走り出したのだ。
レジスタンス側の校舎を抜けた先に宇宙船の発着所があるようなのだが、イザーの記憶だとその場所は車が三台ほど止められるくらいのスペースしかなかったと思う。そんな狭い場所に宇宙船が降り立つことが出来るのか疑問なのだが、実際に行ってみないことには始まらない。
どこにでもあるようなフェンスに囲まれた草むらは看板が無ければ宇宙船の発着所だとは誰も気付かないだろう。それくらいに何の変哲もないただの空き地だとしか思えない場所だった。
特に何かあるわけでもなく、ベンチすらない殺風景な場所であるのだ。フェンスの中にある草が不自然な倒れ方をして何かの模様を描いているのが辛うじてわかる程度にミステリー要素はあるのだが、それが本当に宇宙船が作り出したものなのか確かめる手段はなかったのだ。
「ここに来たって事は太郎ちゃんの帰りを待ってるってことなのかな。それとも、珠希ちゃんに会いに来たって事なのかな?」
「珠希ちゃんに会いに来たんだけど、どこに居るのかな?」
「そう焦らなくても大丈夫だよ。今はちょっと違う場所にいるんだけど、すぐに戻ってくるはずさ。それにしても、君ほどの人が珠希ちゃんがいないことに気付かなかったなんて何かあったのかな?」
「別に、何もないけど。それがどうかしたのか?」
「おっと、そんなに怒らないでくれたまえ。私はどっちの派閥でもないからね。かといってクリーキーみたいなバカなことを言うつもりもないさ。ただ、珠希ちゃんにはピンクでも水色でもどちらのおパンツも似合うとは思っているよ。もちろん、それ以外のおパンツも似合うとは思うけどね」
「珠希ちゃんならどんなおパンツも似合うとは思うよ」
どこからともなく現れたクリームパイに対してイザーはいつもとは違って強く警戒していた。
いつもであればどこに隠れていたとしてもどんな存在でも見逃さないはずのイザーであるが、何も遮るものがないこの場所でクリームパイに話しかけられるまで気が付かなかったという事は、世界最強のサキュバスとしてのイザーが本来の調子を取り戻せていないという証拠にもなるのだ。
ただ、それには深い理由があったのだが、それに気付かれないようにイザーは平静を装っているのであった。
工藤珠希が怒っているのを感じてしまった事もあって電話はしなかったのだが、メールには一応返信をしておいたのだ。それに対する返事はなかったのだが、そこはあまり気にしてはいないのが工藤太郎なのである。
「何か悪いことを言ってしまったのかな?」
ペタコン博士は申し訳なさそうに工藤太郎に話しかけていたのだが、工藤太郎はあまり気にしていないのか笑顔を見せていた。
「気にすることないですよ。それよりも、地球の座標が送られてきたんですけどコレであってるんですかね?」
「この座標で間違いないだろうね。太郎ちゃんの持ってるそれから出てる電波もその座標のあたりまで飛んでいたみたいだし、まず間違いないことだと思うよ」
「俺には全く読めない文字だったんでちょっとだけ心配でした。でも、大丈夫だって言うんだったらこのまま地球に向かいましょう」
「まあまあ、そんなに急いでも良いことなんて無いし、最低限の準備だけはしておこうか」
工藤太郎とペタコン博士が地球へ向かうための準備を始めていたのと時を同じくして、全てを終わらせたイザーが零楼館高校へと戻ってきたのだ。
たった一人でピンクのおパンツ派と戦っていた鈴木愛華を労うと同時に学校にある全ての布を水色に変えるという暴挙に出たのだった。
何もかもを水色に変えたイザーを止めようと多くのサキュバスとレジスタンスが行動を起こしたのだが、その行動一つ一つをイザーはたった一人で阻止し新たに水色で塗りつぶしていったのだった。
「たった一人で良くここまで耐え抜いたね。私が戻ってきたからにはピンクの時代もここで終わるよ。さあ、二人で水色の世界を創造していこう」
「あの、そこまでしなくても大丈夫だと思うよ。ピンクのおパンツを推しているうまなちゃんがまだ幼児化したままなんでイザーちゃんが何もしなくても負ける事は無いかと思うな」
「まだ子供みたいなうまなちゃんのままって事なのか。それだったら私たちの勝ちは揺るぎないものになるな」
「そういうわけにもいかないかもしれないんだよね。だって、珠希ちゃんって水色のおパンツもピンクのおパンツもどっちも興味ないって感じなんだよ。どっちかを穿いてくれないとこの争いはいつまでも終わらないと思うんだけど、どうにかして説得することは出来ないのかな?」
「その珠希ちゃんはいったいどこに居るのかな?」
「たぶん、クリームパイちゃんと一緒に宇宙船の発着所にいると思うよ。太郎ちゃんがもう少しで帰ってくるって言ってたからそこで待ってるんじゃないかな」
「宇宙船の発着所なんていつの間に出来たんだ。私が戻ってきた時にはそんなものはなかったような気がするんだけど」
「いつの間にか出来てたんだよ。クリームパイちゃんとクリーキーが勝手に作ったって噂なんだけど、学校側も容認しているとは思う」
鈴木愛華に宇宙船の発着所の場所を聞いたイザーは一目散にそこを目指して走り出したのだ。
レジスタンス側の校舎を抜けた先に宇宙船の発着所があるようなのだが、イザーの記憶だとその場所は車が三台ほど止められるくらいのスペースしかなかったと思う。そんな狭い場所に宇宙船が降り立つことが出来るのか疑問なのだが、実際に行ってみないことには始まらない。
どこにでもあるようなフェンスに囲まれた草むらは看板が無ければ宇宙船の発着所だとは誰も気付かないだろう。それくらいに何の変哲もないただの空き地だとしか思えない場所だった。
特に何かあるわけでもなく、ベンチすらない殺風景な場所であるのだ。フェンスの中にある草が不自然な倒れ方をして何かの模様を描いているのが辛うじてわかる程度にミステリー要素はあるのだが、それが本当に宇宙船が作り出したものなのか確かめる手段はなかったのだ。
「ここに来たって事は太郎ちゃんの帰りを待ってるってことなのかな。それとも、珠希ちゃんに会いに来たって事なのかな?」
「珠希ちゃんに会いに来たんだけど、どこに居るのかな?」
「そう焦らなくても大丈夫だよ。今はちょっと違う場所にいるんだけど、すぐに戻ってくるはずさ。それにしても、君ほどの人が珠希ちゃんがいないことに気付かなかったなんて何かあったのかな?」
「別に、何もないけど。それがどうかしたのか?」
「おっと、そんなに怒らないでくれたまえ。私はどっちの派閥でもないからね。かといってクリーキーみたいなバカなことを言うつもりもないさ。ただ、珠希ちゃんにはピンクでも水色でもどちらのおパンツも似合うとは思っているよ。もちろん、それ以外のおパンツも似合うとは思うけどね」
「珠希ちゃんならどんなおパンツも似合うとは思うよ」
どこからともなく現れたクリームパイに対してイザーはいつもとは違って強く警戒していた。
いつもであればどこに隠れていたとしてもどんな存在でも見逃さないはずのイザーであるが、何も遮るものがないこの場所でクリームパイに話しかけられるまで気が付かなかったという事は、世界最強のサキュバスとしてのイザーが本来の調子を取り戻せていないという証拠にもなるのだ。
ただ、それには深い理由があったのだが、それに気付かれないようにイザーは平静を装っているのであった。
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