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おパンツ戦争
第64話 うまなちゃん復活
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校舎内に入ってきたカボチャの馬車は物凄い勢いで学校中の注目を集めたのだが、中から降りてきたのが工藤珠希だとわかった瞬間に生徒たちは何事も無かったかのように日常へと戻っていった。
工藤珠希は真っ赤な顔のまま教室のいつもの席に座ろうとしたのだが、教室の雰囲気がいつもと違うように感じていた。自分が変な馬車で登校してしまったからなのかと思っていたところ、鈴木愛華が工藤珠希のもとへと深刻そうな顔で近付いてきた。
「うまなちゃんが大変なことになってるの。イザーちゃんも柘榴ちゃんも大丈夫だって言うんだけど、私は大丈夫じゃないんじゃないかって思うんだ。珠希ちゃんにも見てもらって本当に大丈夫なのかどうか教えて欲しい」
「生き返るのに失敗したって事?」
「失敗かはわからないけど、元のうまなちゃんとは違う感じなっちゃってるんだよ。見て貰えばすぐにわかると思うんで、教室まで急いで向かわないと」
「わかったよ。急いで行かないとね」
「急ぐと言っても、カボチャの馬車には乗らないけどね」
鈴木愛華の言葉を聞いて前に進もうとしていた足が止まってしまったのだけれど、そんな事を無視するかのように手を引かれている工藤珠希は自然と教室へ向かっていた。このタイミングでカボチャの馬車をいじられるとは思っていなかったという事もあるのだが、それ以上に鈴木愛華がそんな事を言うとは思っていなかったのがショックだった。
教室に入ると全員の視線がこちらに向いたのだが、その視線もすぐに教室の中央へと戻っていた。
全員の視線の先には栗宮院うまながいて、彼女は不安そうな顔で何かを探しているようだった。
一体何を探しているのだろうかと思いながら教室に一歩足を踏み入れた工藤珠希。それを見ていた栗宮院うまなの瞳は不安そうな表情が一変して満面の笑みを浮かべて工藤珠希のもとへと駆け寄ってきたのだ。
「ねえねえ、うまなちゃんは今日起きてからずっと珠希ちゃんに会いたいなって思ってたんだよ。イザーちゃんに聞いても珠希ちゃんは学校にいるって事しか教えてくれなかったんだけど、うまなちゃんが学校に来ても珠希ちゃんがいなくて心配になっちゃってたんだ。イザーちゃんは嘘なんてつかないと思ってたんだけど、珠希ちゃんがどこにもいないから嘘だったのかなって思ってたんだよ。でも、こうして珠希ちゃんが学校に来てくれたからイザーちゃんは噓つきじゃないってことだよね。うまなちゃんはイザーちゃんは嘘なんてつかないって思ってたんだけど、ちょっとだけ嘘つきだったのかなって思っちゃった」
いつもとは違い幼い印象を受けたのだが、それは喋り方だけではなく話すときに手や足も一緒に動かしている事で感じていたのかもしれない。普段であればここまで大きな身振り手振りを交えて話すことなどないのだが、今日の栗宮院うまなは言葉だけでなく全身を使って思っていることを伝えようとしているように見えていた。
「珠希ちゃんはこれからお勉強するんだよね?」
「そうだけど、うまなちゃんは勉強しないの?」
「うーん、うまなちゃんはお外で遊んでようかなって思ってるんだ。だって、学校で習う事なんてずっとずっと前に終わらせちゃってるからね。何回も同じことをお勉強するの飽きちゃったんだもん。だから、うまなちゃんは珠希ちゃんが乗ってきたかぼちゃん馬車に乗って遊んでこようかな。イザーちゃんも一緒に遊びに行こうよ」
「何言ってるのよ。何回も同じことを勉強してるとかおかしなこと言わないの。毎日学校に来てても習ってることなんて毎回違うでしょ。遊びに行きたいからって変なこと言っちゃダメだよ」
「本当にお勉強何回もしてたんだもん。今日やるところだって明日やるところだってその次もその次ももう全部うまなちゃんは知ってるんだもん」
栗宮院うまなは勉強嫌いをこじらせた子供のように駄々をこねていた。
なぜこんなにも幼稚な行動をとっているのだろうと工藤珠希は考えていたのだが、それを教えてくれたのは野城君であった
「さっきドクターポンピーノから確認が取れたんだけど、昨日の職員会議でうまなちゃんの記憶を少しいじって自分の胸についてあまり執着しないようにしようとしたそうだ。見て貰えればわかると思うのだが、今のうまなちゃんは自分の胸に対して昨日のような強いこだわりが無いように見えるだろ?」
「そう言われたらそうかも。昨日は怖いくらい自分の胸が小さくなってるって言ってたと思う」
「胸が小さくなってるって思わせないためにどうすればいいのかドクターポンピーノは考えたようなんだが、考え抜いた末に出来てきた答えがコレみたいだ。高校生くらいだと胸にこだわることもあるだろう、中学生も小さくなったことには反応してしまうかもしれない。小学生だとしても、成長の早い子だったら胸の大きさに意識が言ってしまうかもな。だが、幼稚園くらいの年齢だとそういう事にはこだわりも無くなってるんじゃないだろうか。そう考えたドクターポンピーノは、うまなちゃんの記憶をいじって自分を幼稚園児だと思うようにしたそうだ」
工藤珠希が感じていた栗宮院うまながいつも以上に子供っぽいというのは間違ってはいなかったようだ。
それでも、普段とそんなに大きく変わっていないような印象も受けていたのだった。
工藤珠希は真っ赤な顔のまま教室のいつもの席に座ろうとしたのだが、教室の雰囲気がいつもと違うように感じていた。自分が変な馬車で登校してしまったからなのかと思っていたところ、鈴木愛華が工藤珠希のもとへと深刻そうな顔で近付いてきた。
「うまなちゃんが大変なことになってるの。イザーちゃんも柘榴ちゃんも大丈夫だって言うんだけど、私は大丈夫じゃないんじゃないかって思うんだ。珠希ちゃんにも見てもらって本当に大丈夫なのかどうか教えて欲しい」
「生き返るのに失敗したって事?」
「失敗かはわからないけど、元のうまなちゃんとは違う感じなっちゃってるんだよ。見て貰えばすぐにわかると思うんで、教室まで急いで向かわないと」
「わかったよ。急いで行かないとね」
「急ぐと言っても、カボチャの馬車には乗らないけどね」
鈴木愛華の言葉を聞いて前に進もうとしていた足が止まってしまったのだけれど、そんな事を無視するかのように手を引かれている工藤珠希は自然と教室へ向かっていた。このタイミングでカボチャの馬車をいじられるとは思っていなかったという事もあるのだが、それ以上に鈴木愛華がそんな事を言うとは思っていなかったのがショックだった。
教室に入ると全員の視線がこちらに向いたのだが、その視線もすぐに教室の中央へと戻っていた。
全員の視線の先には栗宮院うまながいて、彼女は不安そうな顔で何かを探しているようだった。
一体何を探しているのだろうかと思いながら教室に一歩足を踏み入れた工藤珠希。それを見ていた栗宮院うまなの瞳は不安そうな表情が一変して満面の笑みを浮かべて工藤珠希のもとへと駆け寄ってきたのだ。
「ねえねえ、うまなちゃんは今日起きてからずっと珠希ちゃんに会いたいなって思ってたんだよ。イザーちゃんに聞いても珠希ちゃんは学校にいるって事しか教えてくれなかったんだけど、うまなちゃんが学校に来ても珠希ちゃんがいなくて心配になっちゃってたんだ。イザーちゃんは嘘なんてつかないと思ってたんだけど、珠希ちゃんがどこにもいないから嘘だったのかなって思ってたんだよ。でも、こうして珠希ちゃんが学校に来てくれたからイザーちゃんは噓つきじゃないってことだよね。うまなちゃんはイザーちゃんは嘘なんてつかないって思ってたんだけど、ちょっとだけ嘘つきだったのかなって思っちゃった」
いつもとは違い幼い印象を受けたのだが、それは喋り方だけではなく話すときに手や足も一緒に動かしている事で感じていたのかもしれない。普段であればここまで大きな身振り手振りを交えて話すことなどないのだが、今日の栗宮院うまなは言葉だけでなく全身を使って思っていることを伝えようとしているように見えていた。
「珠希ちゃんはこれからお勉強するんだよね?」
「そうだけど、うまなちゃんは勉強しないの?」
「うーん、うまなちゃんはお外で遊んでようかなって思ってるんだ。だって、学校で習う事なんてずっとずっと前に終わらせちゃってるからね。何回も同じことをお勉強するの飽きちゃったんだもん。だから、うまなちゃんは珠希ちゃんが乗ってきたかぼちゃん馬車に乗って遊んでこようかな。イザーちゃんも一緒に遊びに行こうよ」
「何言ってるのよ。何回も同じことを勉強してるとかおかしなこと言わないの。毎日学校に来てても習ってることなんて毎回違うでしょ。遊びに行きたいからって変なこと言っちゃダメだよ」
「本当にお勉強何回もしてたんだもん。今日やるところだって明日やるところだってその次もその次ももう全部うまなちゃんは知ってるんだもん」
栗宮院うまなは勉強嫌いをこじらせた子供のように駄々をこねていた。
なぜこんなにも幼稚な行動をとっているのだろうと工藤珠希は考えていたのだが、それを教えてくれたのは野城君であった
「さっきドクターポンピーノから確認が取れたんだけど、昨日の職員会議でうまなちゃんの記憶を少しいじって自分の胸についてあまり執着しないようにしようとしたそうだ。見て貰えればわかると思うのだが、今のうまなちゃんは自分の胸に対して昨日のような強いこだわりが無いように見えるだろ?」
「そう言われたらそうかも。昨日は怖いくらい自分の胸が小さくなってるって言ってたと思う」
「胸が小さくなってるって思わせないためにどうすればいいのかドクターポンピーノは考えたようなんだが、考え抜いた末に出来てきた答えがコレみたいだ。高校生くらいだと胸にこだわることもあるだろう、中学生も小さくなったことには反応してしまうかもしれない。小学生だとしても、成長の早い子だったら胸の大きさに意識が言ってしまうかもな。だが、幼稚園くらいの年齢だとそういう事にはこだわりも無くなってるんじゃないだろうか。そう考えたドクターポンピーノは、うまなちゃんの記憶をいじって自分を幼稚園児だと思うようにしたそうだ」
工藤珠希が感じていた栗宮院うまながいつも以上に子供っぽいというのは間違ってはいなかったようだ。
それでも、普段とそんなに大きく変わっていないような印象も受けていたのだった。
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