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第八十七話 明日は二班に別れるようです
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旅館に帰るともうすでに晩御飯は用意されていた。私も何か手伝うべきなのだと思ってはいたのだけれど、神社から戻ってきた時には何も私が手伝う事は無かったのだ。
千雪ちゃんはまだ体調が悪そうに見えるのだけど、晩御飯は食べることが出来るみたいで安心したよ。でも、昨日とは違って千雪ちゃんの前に並んでいる料理はちょっと少な目みたいね。
愛ちゃんも政虎君もそんな千雪ちゃんを心配そうに見守っているんだけど、唯ちゃんと右近はなぜか千雪ちゃんの事を気にせずに自分の前に配膳されている料理を無言で食べている。私もちょっとずつ食べながら千雪ちゃんを見守っているんだけど、千雪ちゃんは自分の分はしっかりと食べきっていたのだ。
私達も千雪ちゃんの食べるペースに合わせてご飯を食べ終えたのだけれど、気付いた時には右近と唯ちゃんの姿が消えていた。二人とも食事を終えたと同時に部屋にでも戻ったのかなと思っていたのだけれど、私達が食器を戻しに行こうかと思っていたタイミングで戻ってきたので少し驚いてしまった。
「明日はここに来る途中にあったショッピングモールに買い物に行こうと思ってるんだけど、一緒に行きたい人いる?」
私は特に欲しいものは無いし目的も無いのだけれど右近と一緒にいたいなと思ってついて行くことにした。唯ちゃんも一緒に行くみたいなので私はなるべく邪魔にならないようにしようと思っていた。
「桜さんは何か見たいものでもあるの?」
「とくには無いかな。でも、ちょっと服を見たいなって思ってるよ」
「それだったらね、私に似合いそうな服を選んでもらえないかな。桜さんってオシャレだからどんな感じで服を選ぶのか参考にしたいんだよね。いつ見ても桜さんってオシャレだなって思ってるから気になってたんだ」
唯ちゃんはいつも地味目な服を選びがちだと思う。素材は凄くいいしとてつもない武器も持ってるんだからそれを活かした感じにすればいいと思うのだけれど、さすがにここまで大きい胸だとそんな簡単に行かないんだろうな。私が普段着ているような感じだと全体のバランスがおかしくなってしまいそうだし、だからと言って全然違う系統を責めるのも私には難しそうなんだよな。とりあえず、お店に行ってみて見ない事には何も始まらないよね。
「政虎と愛華と千雪は行かないのか?」
「ああ、俺はここに残るよ」
「もしかして、ショッピングモールが屋外だから行きたくないとかじゃないよな?」
「それもあるけど、どっちかって言うとここが気に入ったってのもあるかも。二日続けて海に入ったら三日目も海に入りたいなって思ったからな。右近はここが気に入らなかったのか?」
「そう言うわけじゃないよ。唯が買いたいものがあるって言うからそれに付き合う感じでついでに俺も何か買いに行こうかなって思っただけだよ。愛華と千雪は欲しいものとかないの?」
「私は特にないな。必要なものは持ってきてるし。それに、今から帰りの景色を見ちゃうと帰る時に車に酔っちゃいそうだからな。あんまりへんなちしきはいれときたくないんだよ」
「千雪も欲しいもの無いからいいや。欲しいものはあるけどお小遣い残って無いしね。千雪はお姉ちゃんが勝ってきてくれるお土産に期待する事にするよ。お姉ちゃんと桜さんと右近君が何を買ってきてくれるか楽しみに待ってるね」
政虎君が買い物に行かないのは当然そうだろうと思っていたのだけれど、愛ちゃんも買い物に行かないというのは予想外だった。愛ちゃんなら唯ちゃんと一緒に買い物に行くものだとばかり思っていたのだけれど、今回は一緒ではなく別々に行動するんだね。授業も全部同じのを受けているというわけでもないのは知っているからそう言う可能性もあったとは思うんだけど、今回みたいな時は唯ちゃんと愛ちゃんは一緒に行動するものだと思ってたよ。千雪ちゃんも唯ちゃんと一緒に行動しないっていのはここに来てから増えているのかもしれないな。
「そんなに欲張ったら誰もお土産買ってきてくれないかもしれないよ」
「それは悲しいけど、お姉ちゃんは買ってきてくれるよね?」
「どうだろうね。買ってきてあげてもいいんだけど、千雪ちゃんは何かしてくれるのかな?」
「うーん、今の千雪に出来ることなんて何も無いかも」
「じゃあ、お土産は買ってくるか気分次第だね」
唯ちゃんと千雪ちゃんのそんなやり取りを微笑ましいなと思いながら見ていた。右近と政虎君も似たようなやり取りをやっているのかなと思っていたのだけれど、こちらはそんな事もせず明日の計画をお互いに立てているようだ。
「じゃあ、海までみんなを乗せて行ってからショッピングモールに向かう事にするよ。三人とも海に行くって事でしょ?」
「いや、私は海にはいかないよ。政虎と千雪の二人で楽しんできていいからさ」
「ええ、愛ちゃんも一緒に行こうよ。お兄さんと二人だけだったらつまんないから」
「そんな事言わないで政虎と遊んできなって。私は私でちょっと気になることがあるから山の方に行こうかなって思ってるんだよ」
「そうなのか。でもさ、気になる事って何かな。千雪もそれが気になるかも」
「別にそんなにたいそうな事じゃないよ。さっきまでいた神社の奥に獣道っぽいのがあったような気がしてさ、それがどうも気になっちゃってるんだよね。あの山には動物の気配も無かったのにどうしてそんなのがあるんだろうなって思っちゃったんだよ。何か知ってたりする?」
「千雪はそういうの詳しくないからな。お姉ちゃんは何か知ってる?」
「私も全然知らないかも。神社の奥の方なんって気にしてなかったからね」
「よし、千雪も愛華ちゃんと一緒に神社に行くよ。お兄さんは一人で海で遊んでていいからね」
「おう。一人で海で遊んどくよ。そんなに長くはいないと思うけど」
「嘘だって。お兄さんも一緒に山の方に行こうよ。ね、愛華ちゃんもお兄さんがいた方が良いでしょ?」
「まあ、いてもいなくても大して変わりはしないと思うけどな。でも、何かあった時の生贄としてなら価値があるかもしれないな。熊とか猪はさすがにいないとは思うけど、何か出てきたら頼むよ」
「いや、そんなの頼まれても無理でしょ。普通に逃げるけど」
私もちょっとだけ神社の事が気にはなるけどそれは買い物から帰って来てから聞くだけでもいいのかもしれないね。何か変わったものがあるんだったら次の日にでも見に行けばいいもんね。
千雪ちゃんはまだ体調が悪そうに見えるのだけど、晩御飯は食べることが出来るみたいで安心したよ。でも、昨日とは違って千雪ちゃんの前に並んでいる料理はちょっと少な目みたいね。
愛ちゃんも政虎君もそんな千雪ちゃんを心配そうに見守っているんだけど、唯ちゃんと右近はなぜか千雪ちゃんの事を気にせずに自分の前に配膳されている料理を無言で食べている。私もちょっとずつ食べながら千雪ちゃんを見守っているんだけど、千雪ちゃんは自分の分はしっかりと食べきっていたのだ。
私達も千雪ちゃんの食べるペースに合わせてご飯を食べ終えたのだけれど、気付いた時には右近と唯ちゃんの姿が消えていた。二人とも食事を終えたと同時に部屋にでも戻ったのかなと思っていたのだけれど、私達が食器を戻しに行こうかと思っていたタイミングで戻ってきたので少し驚いてしまった。
「明日はここに来る途中にあったショッピングモールに買い物に行こうと思ってるんだけど、一緒に行きたい人いる?」
私は特に欲しいものは無いし目的も無いのだけれど右近と一緒にいたいなと思ってついて行くことにした。唯ちゃんも一緒に行くみたいなので私はなるべく邪魔にならないようにしようと思っていた。
「桜さんは何か見たいものでもあるの?」
「とくには無いかな。でも、ちょっと服を見たいなって思ってるよ」
「それだったらね、私に似合いそうな服を選んでもらえないかな。桜さんってオシャレだからどんな感じで服を選ぶのか参考にしたいんだよね。いつ見ても桜さんってオシャレだなって思ってるから気になってたんだ」
唯ちゃんはいつも地味目な服を選びがちだと思う。素材は凄くいいしとてつもない武器も持ってるんだからそれを活かした感じにすればいいと思うのだけれど、さすがにここまで大きい胸だとそんな簡単に行かないんだろうな。私が普段着ているような感じだと全体のバランスがおかしくなってしまいそうだし、だからと言って全然違う系統を責めるのも私には難しそうなんだよな。とりあえず、お店に行ってみて見ない事には何も始まらないよね。
「政虎と愛華と千雪は行かないのか?」
「ああ、俺はここに残るよ」
「もしかして、ショッピングモールが屋外だから行きたくないとかじゃないよな?」
「それもあるけど、どっちかって言うとここが気に入ったってのもあるかも。二日続けて海に入ったら三日目も海に入りたいなって思ったからな。右近はここが気に入らなかったのか?」
「そう言うわけじゃないよ。唯が買いたいものがあるって言うからそれに付き合う感じでついでに俺も何か買いに行こうかなって思っただけだよ。愛華と千雪は欲しいものとかないの?」
「私は特にないな。必要なものは持ってきてるし。それに、今から帰りの景色を見ちゃうと帰る時に車に酔っちゃいそうだからな。あんまりへんなちしきはいれときたくないんだよ」
「千雪も欲しいもの無いからいいや。欲しいものはあるけどお小遣い残って無いしね。千雪はお姉ちゃんが勝ってきてくれるお土産に期待する事にするよ。お姉ちゃんと桜さんと右近君が何を買ってきてくれるか楽しみに待ってるね」
政虎君が買い物に行かないのは当然そうだろうと思っていたのだけれど、愛ちゃんも買い物に行かないというのは予想外だった。愛ちゃんなら唯ちゃんと一緒に買い物に行くものだとばかり思っていたのだけれど、今回は一緒ではなく別々に行動するんだね。授業も全部同じのを受けているというわけでもないのは知っているからそう言う可能性もあったとは思うんだけど、今回みたいな時は唯ちゃんと愛ちゃんは一緒に行動するものだと思ってたよ。千雪ちゃんも唯ちゃんと一緒に行動しないっていのはここに来てから増えているのかもしれないな。
「そんなに欲張ったら誰もお土産買ってきてくれないかもしれないよ」
「それは悲しいけど、お姉ちゃんは買ってきてくれるよね?」
「どうだろうね。買ってきてあげてもいいんだけど、千雪ちゃんは何かしてくれるのかな?」
「うーん、今の千雪に出来ることなんて何も無いかも」
「じゃあ、お土産は買ってくるか気分次第だね」
唯ちゃんと千雪ちゃんのそんなやり取りを微笑ましいなと思いながら見ていた。右近と政虎君も似たようなやり取りをやっているのかなと思っていたのだけれど、こちらはそんな事もせず明日の計画をお互いに立てているようだ。
「じゃあ、海までみんなを乗せて行ってからショッピングモールに向かう事にするよ。三人とも海に行くって事でしょ?」
「いや、私は海にはいかないよ。政虎と千雪の二人で楽しんできていいからさ」
「ええ、愛ちゃんも一緒に行こうよ。お兄さんと二人だけだったらつまんないから」
「そんな事言わないで政虎と遊んできなって。私は私でちょっと気になることがあるから山の方に行こうかなって思ってるんだよ」
「そうなのか。でもさ、気になる事って何かな。千雪もそれが気になるかも」
「別にそんなにたいそうな事じゃないよ。さっきまでいた神社の奥に獣道っぽいのがあったような気がしてさ、それがどうも気になっちゃってるんだよね。あの山には動物の気配も無かったのにどうしてそんなのがあるんだろうなって思っちゃったんだよ。何か知ってたりする?」
「千雪はそういうの詳しくないからな。お姉ちゃんは何か知ってる?」
「私も全然知らないかも。神社の奥の方なんって気にしてなかったからね」
「よし、千雪も愛華ちゃんと一緒に神社に行くよ。お兄さんは一人で海で遊んでていいからね」
「おう。一人で海で遊んどくよ。そんなに長くはいないと思うけど」
「嘘だって。お兄さんも一緒に山の方に行こうよ。ね、愛華ちゃんもお兄さんがいた方が良いでしょ?」
「まあ、いてもいなくても大して変わりはしないと思うけどな。でも、何かあった時の生贄としてなら価値があるかもしれないな。熊とか猪はさすがにいないとは思うけど、何か出てきたら頼むよ」
「いや、そんなの頼まれても無理でしょ。普通に逃げるけど」
私もちょっとだけ神社の事が気にはなるけどそれは買い物から帰って来てから聞くだけでもいいのかもしれないね。何か変わったものがあるんだったら次の日にでも見に行けばいいもんね。
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