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第五話 髑髏沼愛華
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私は唯ちゃんが柊政虎の事をどうしてあそこまで好きなのか理解することが出来なかった。普段の言動を見ても好きになる要素なんて一か所も無いと思うし、中身を深く知れば知るほど好きになる事なんて無くなると思う。むしろ、近くにいたくないと思って離れていくのが普通なんじゃないかとさえ思うのだ。
それなのに、唯ちゃんは何を思っているのか柊政虎の事しか考えていないような節が見られるのだ。どこをどう見たらあの男の事をそこまで好きになれるのか聞いてみた事があるのだけれど、残念なことに私には唯ちゃんが感じている柊政虎の良い部分というものを一つたりとも理解することも共感することも出来なかった。
鬼仏院右近も唯ちゃんと一緒で柊政虎の事を良く思っているようなのだが、二人が言い争っているところを良く目撃している。そんなに言い争うような相手とどうして一緒にいるのだろうと思うのだが、柊政虎は鬼仏院右近以外に話が出来る相手がいないので離れることが出来ないのだろうと思う。一方の鬼仏院右近は柊政虎との関係を絶ったとしても仲良くする相手はごまんといると思うし、柊政虎との関係を絶つことで今まで避けてきた人達とも仲良くなることが出来そうな気もしていた。
唯ちゃんと鬼仏院右近はお互いに柊政虎の良さで共感している部分があるようなのだが、あまりにも感覚的過ぎる事なので私は一切それも理解する事は出来ない。そもそも、私が柊政虎の事をわかろうと思う気持ちが無いので理解することも無いとは思う。
でも、一番不幸なのはそんな柊政虎に一方的に気持ちを向けられている桜唯菜だろう。桜は何一つ悪いことはしてないのだが、柊政虎に好意を寄せられているという理由だけで一時期みんなから避けられていたことがあったのだ。みんなから避けられている人から好かれているという理由だけでみんなが去るのはちょっと酷い話だとは思うけれど、その行為を向けている相手が柊政虎だという事を考えると仕方ないのかもしれないとみんなが思っていたのだ。それくらい柊政虎はみんなからよく思われていないという事なのだ。
唯ちゃんは柊政虎と同じ授業をなるべく取りたいと思っているようなのだけれど、学科が違うという事もあって一緒に受けられる授業にも限りはあるのだ。私と鬼仏院右近と桜唯菜は柊政虎と同じ学科なので一緒の授業を受けることもあるのだけれど、鬼仏院右近はなぜか柊政虎と別の授業を履修していて桜唯菜は意図的に柊政虎のいない授業を履修している。私は全く意識せずに受けたい授業だけ登録していたのだけれど、悲しいことにその全てが柊政虎と一致してしまっていたのだ。のちに柊政虎はそのうちのいくつかの授業を他の授業に変更したようなので、全ての時間に私が柊政虎の姿を見ることは無くなったのだった。
それにしても、親友であるのなら鬼仏院右近は責任をもって柊政虎と同じ授業を受けて欲しいと思う。そうすれば今みたいに近い距離で授業を受けることも無くなっていたのではないか。ただ、柊政虎は授業に関してはいたって真面目な普通の生徒なので問題はない。授業以外の時間に問題はあるのだけれど、私はそこまで深くかかわることは無いので特に気にする必要もないのだ。
ただ、週に何回かは柊政虎の家に行くことになるのが苦痛で仕方ない。唯ちゃんが柊政虎と遊ぶ約束をしてしまっているので一緒に行かなくてはいけないのだ。私が目を離したすきに唯ちゃんが酷い目に遭ってしまう可能性が高いと思うので、私はこの身を挺してでも唯ちゃんの事を守り切らないといけないのだ。
もっとも、私は小さいころから両親に言われて格闘技の類は一通り学んでいて実戦もそこそこ行っているので柊政虎と喧嘩になっても勝てる自信はある。柊政虎が武器を持っていたとしても私がこんな奴に負けることも無いとの確信だけはあるのだ。
しかし、こうして見れば見るほど唯ちゃんはこいつのどこに惚れているのだろうという気持ちが強くなってしまう。何度か唯ちゃんにこいつの好きなポイントを聞いてみたりもしたのだけれど、そのどれもが私にはさっぱり理解も共感も出来ないものではあった。唯ちゃんが言葉に出来ない小さなことも積み重なって大きな好意になっているのだろうけれど、それらを全く知らない私は唯ちゃんが柊政虎の事をどうして好きになったのか一生理解することは無いのだ。
「お前はどうしてそんななのに唯ちゃんに好かれているんだろうな」
「それは俺も気になる事ではあるけどさ、髑髏沼の方からも鵜崎に俺は相応しくないという事をちゃんと言ってもらえないかな」
「私の事を髑髏沼と呼ぶな。それに、お前がどんなやつかは私の知っている限り唯ちゃんには伝えているんだよ。それなのに、唯ちゃんはお前を一途に想い続けているんだ。私にはそこまで思う理由がさっぱりわからないんだよ」
「それは俺もわからないよ。自分で言うのもなんだけど、俺みたいなやつをどうしてそこまで思ってくれるのかわからん。鵜崎だけじゃなく右近もなんで俺に良くしてくれるのか理解出来ないんだよ」
「別に理解する必要なんてないだろ。嫌われているわけではないんだし、好かれている事に疑問を持つ必要はないと思うけどな。だけど、お前みたいなやつは何で好かれているのか知る必要はあるかもしれないな」
唯ちゃんに聞いても鬼仏院右近に聞いても私達みたいな普通の人が理解する事は出来ないだろう。当事者である柊政虎が一番ソレについて悩んでいる可能性だってあるんだろうなと私は思うのだ。
それよりも、唯ちゃんが今日作ってくれるご飯が煮魚だという事に若干の戸惑いを覚えていた。私は魚を綺麗に食べることが出来ないので一緒に煮魚を食べるのは少し恥ずかしい。何故か柊政虎は器用に骨を取って綺麗に食べることが出来るのだが、そんな事で好きになったりなんて普通はしないよな。そんな理由で人を好きになるなんて幼稚園児でもありえない話だとは思ってしまった。
それなのに、唯ちゃんは何を思っているのか柊政虎の事しか考えていないような節が見られるのだ。どこをどう見たらあの男の事をそこまで好きになれるのか聞いてみた事があるのだけれど、残念なことに私には唯ちゃんが感じている柊政虎の良い部分というものを一つたりとも理解することも共感することも出来なかった。
鬼仏院右近も唯ちゃんと一緒で柊政虎の事を良く思っているようなのだが、二人が言い争っているところを良く目撃している。そんなに言い争うような相手とどうして一緒にいるのだろうと思うのだが、柊政虎は鬼仏院右近以外に話が出来る相手がいないので離れることが出来ないのだろうと思う。一方の鬼仏院右近は柊政虎との関係を絶ったとしても仲良くする相手はごまんといると思うし、柊政虎との関係を絶つことで今まで避けてきた人達とも仲良くなることが出来そうな気もしていた。
唯ちゃんと鬼仏院右近はお互いに柊政虎の良さで共感している部分があるようなのだが、あまりにも感覚的過ぎる事なので私は一切それも理解する事は出来ない。そもそも、私が柊政虎の事をわかろうと思う気持ちが無いので理解することも無いとは思う。
でも、一番不幸なのはそんな柊政虎に一方的に気持ちを向けられている桜唯菜だろう。桜は何一つ悪いことはしてないのだが、柊政虎に好意を寄せられているという理由だけで一時期みんなから避けられていたことがあったのだ。みんなから避けられている人から好かれているという理由だけでみんなが去るのはちょっと酷い話だとは思うけれど、その行為を向けている相手が柊政虎だという事を考えると仕方ないのかもしれないとみんなが思っていたのだ。それくらい柊政虎はみんなからよく思われていないという事なのだ。
唯ちゃんは柊政虎と同じ授業をなるべく取りたいと思っているようなのだけれど、学科が違うという事もあって一緒に受けられる授業にも限りはあるのだ。私と鬼仏院右近と桜唯菜は柊政虎と同じ学科なので一緒の授業を受けることもあるのだけれど、鬼仏院右近はなぜか柊政虎と別の授業を履修していて桜唯菜は意図的に柊政虎のいない授業を履修している。私は全く意識せずに受けたい授業だけ登録していたのだけれど、悲しいことにその全てが柊政虎と一致してしまっていたのだ。のちに柊政虎はそのうちのいくつかの授業を他の授業に変更したようなので、全ての時間に私が柊政虎の姿を見ることは無くなったのだった。
それにしても、親友であるのなら鬼仏院右近は責任をもって柊政虎と同じ授業を受けて欲しいと思う。そうすれば今みたいに近い距離で授業を受けることも無くなっていたのではないか。ただ、柊政虎は授業に関してはいたって真面目な普通の生徒なので問題はない。授業以外の時間に問題はあるのだけれど、私はそこまで深くかかわることは無いので特に気にする必要もないのだ。
ただ、週に何回かは柊政虎の家に行くことになるのが苦痛で仕方ない。唯ちゃんが柊政虎と遊ぶ約束をしてしまっているので一緒に行かなくてはいけないのだ。私が目を離したすきに唯ちゃんが酷い目に遭ってしまう可能性が高いと思うので、私はこの身を挺してでも唯ちゃんの事を守り切らないといけないのだ。
もっとも、私は小さいころから両親に言われて格闘技の類は一通り学んでいて実戦もそこそこ行っているので柊政虎と喧嘩になっても勝てる自信はある。柊政虎が武器を持っていたとしても私がこんな奴に負けることも無いとの確信だけはあるのだ。
しかし、こうして見れば見るほど唯ちゃんはこいつのどこに惚れているのだろうという気持ちが強くなってしまう。何度か唯ちゃんにこいつの好きなポイントを聞いてみたりもしたのだけれど、そのどれもが私にはさっぱり理解も共感も出来ないものではあった。唯ちゃんが言葉に出来ない小さなことも積み重なって大きな好意になっているのだろうけれど、それらを全く知らない私は唯ちゃんが柊政虎の事をどうして好きになったのか一生理解することは無いのだ。
「お前はどうしてそんななのに唯ちゃんに好かれているんだろうな」
「それは俺も気になる事ではあるけどさ、髑髏沼の方からも鵜崎に俺は相応しくないという事をちゃんと言ってもらえないかな」
「私の事を髑髏沼と呼ぶな。それに、お前がどんなやつかは私の知っている限り唯ちゃんには伝えているんだよ。それなのに、唯ちゃんはお前を一途に想い続けているんだ。私にはそこまで思う理由がさっぱりわからないんだよ」
「それは俺もわからないよ。自分で言うのもなんだけど、俺みたいなやつをどうしてそこまで思ってくれるのかわからん。鵜崎だけじゃなく右近もなんで俺に良くしてくれるのか理解出来ないんだよ」
「別に理解する必要なんてないだろ。嫌われているわけではないんだし、好かれている事に疑問を持つ必要はないと思うけどな。だけど、お前みたいなやつは何で好かれているのか知る必要はあるかもしれないな」
唯ちゃんに聞いても鬼仏院右近に聞いても私達みたいな普通の人が理解する事は出来ないだろう。当事者である柊政虎が一番ソレについて悩んでいる可能性だってあるんだろうなと私は思うのだ。
それよりも、唯ちゃんが今日作ってくれるご飯が煮魚だという事に若干の戸惑いを覚えていた。私は魚を綺麗に食べることが出来ないので一緒に煮魚を食べるのは少し恥ずかしい。何故か柊政虎は器用に骨を取って綺麗に食べることが出来るのだが、そんな事で好きになったりなんて普通はしないよな。そんな理由で人を好きになるなんて幼稚園児でもありえない話だとは思ってしまった。
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