41 / 71
恋愛インスピレーション
第一話
しおりを挟む
クラスの中で恋愛アプリというのが流行ってきたらしい。私は他の人達とあまり絡んだりしないのでわからないけれど、近くの女子たちが恋愛アプリの話題で盛り上がっているのが嫌でも耳に入ってきたのだ。
実は、その恋愛アプリを私は半年前くらいから使っているのだ。これは、時代がやっと私に追いついてきたという証拠なのかなと思っていたんだが、それはあまりにも幼稚な考えだったと自分で思ってしまったのは内緒にしておこう。ただ、こんなことを言える友達なんてクラスにいないし、クラスで普通に話が出来る奥谷にも言うようなことではないんだと思う。それに、私は恋愛アプリをみんなのように両想いか確かめるためのツールとして使っているのではなく、ネットゲームを一緒にやっている仲間たちとの連絡手段として使っているだけなのだ。他にもいろいろなツールはあるのだけれど、恋愛アプリのグループ通信を使うと貯まるポイントで課金アイテムが買えるという利点があるのだ。
私は恋愛に興味が無いし、他の人達みたいに誰が誰を好きだの誰と誰が両想いだっただので盛り上がったりはしないので登録なんてしてないし、そもそもクラスのというか男子の生年月日と血液型を知らないのだ。普通の女子はそういうのをちゃんと知っているものなのかと思っていたんだけど、意外とそんな情報は知らずにみんな一喜一憂していたんだなと思って見ていた。お互いに情報を知らないという事は登録していないだけなんだろうし、逆に言えば情報を知らないので登録することが出来ないので振られてはいないという証拠になるって思っていたりするんだろうな。それぞれの情報が出そろってしまうと両想いにならなかったことがそのまま脈なしという事に繋がってしまうと女子たちは気付いているのに、男子はその事に全く気付いていない感じなのが男女の考え方の違いなのかもしれない。
そんな風に考えていたんだけれど、空気を読めないバカの西森がクラスLINEを使ってみんなの生年月日と血液型を収集しようとしていた。そんな事をしてしまったらモテない女子たちがひっそりと深い傷を負うだけだという事がわかっていないのだろうか。恋愛以外は何も考えていないような頭と尻の軽い女は良かれと思ってやっていることが有難迷惑だという事に気付いていないんだろうな。ただ、私にはそれを知ったからと言って登録するような相手がいないというのは変わらないのだがな。
「なあ、山口はクラスLINEで回ってきたアプリって登録したの?」
「ああ、アレなら結構前にゲーム友達に教えてもらったやつだったよ。アプリはグループメッセージ機能を使ってるけど、恋愛的な使い方はしたことないな。そもそも、私は好きな相手とかいないしな。奥谷は誰か登録したのか?」
「俺は一応登録したよ。今のところ片思いって表示されているけどね」
「へえ、恋愛の方を使った事ないからわからなかったけど、そうやって知らせてくれるのは何でもいい事だな。奥谷の好きな相手が奥谷の情報を入れてくれるといいな」
「そうだな。今のところその可能性は無さそうなんだけど、めげずに頑張ってみるわ」
そう言えば、奥谷も意外とこういうのが好きそうなんだよな。小さい時から女子である私よりも占いとか好きだったみたいだし、公園に行った時も四つ葉を探していたりしていたな。あの時はメルヘンチックな男だと思っていたのだけれど、高校生になってまでそんな事をやっているのを見ると少し痛々しく感じてしまう。それに、奥谷はずっと体育会系の男だと思っていたのに、高校に入ってから急に演劇部に入部したのも何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。一部の女子の間では、いつだったかの演劇で奥谷が見せた女装姿を待ち受けにしているのが流行っていたみたいなのだが、そんなものが一生残ってしまうのは奥谷にとって黒歴史になってしまうんじゃないかと幼馴染としても心配になってしまうな。
そんな奥谷の事を登録してみようかと思ったこともあったけれど、奥谷も私の事を登録していたら面倒なことになりそうだなと思ってそれだけはやめておくことにしていた。奥谷も私以外の女子の生年月日も血液型も知らないだろうし、私を何となく登録しているという可能性は低くなさそうだもんな。
実は、その恋愛アプリを私は半年前くらいから使っているのだ。これは、時代がやっと私に追いついてきたという証拠なのかなと思っていたんだが、それはあまりにも幼稚な考えだったと自分で思ってしまったのは内緒にしておこう。ただ、こんなことを言える友達なんてクラスにいないし、クラスで普通に話が出来る奥谷にも言うようなことではないんだと思う。それに、私は恋愛アプリをみんなのように両想いか確かめるためのツールとして使っているのではなく、ネットゲームを一緒にやっている仲間たちとの連絡手段として使っているだけなのだ。他にもいろいろなツールはあるのだけれど、恋愛アプリのグループ通信を使うと貯まるポイントで課金アイテムが買えるという利点があるのだ。
私は恋愛に興味が無いし、他の人達みたいに誰が誰を好きだの誰と誰が両想いだっただので盛り上がったりはしないので登録なんてしてないし、そもそもクラスのというか男子の生年月日と血液型を知らないのだ。普通の女子はそういうのをちゃんと知っているものなのかと思っていたんだけど、意外とそんな情報は知らずにみんな一喜一憂していたんだなと思って見ていた。お互いに情報を知らないという事は登録していないだけなんだろうし、逆に言えば情報を知らないので登録することが出来ないので振られてはいないという証拠になるって思っていたりするんだろうな。それぞれの情報が出そろってしまうと両想いにならなかったことがそのまま脈なしという事に繋がってしまうと女子たちは気付いているのに、男子はその事に全く気付いていない感じなのが男女の考え方の違いなのかもしれない。
そんな風に考えていたんだけれど、空気を読めないバカの西森がクラスLINEを使ってみんなの生年月日と血液型を収集しようとしていた。そんな事をしてしまったらモテない女子たちがひっそりと深い傷を負うだけだという事がわかっていないのだろうか。恋愛以外は何も考えていないような頭と尻の軽い女は良かれと思ってやっていることが有難迷惑だという事に気付いていないんだろうな。ただ、私にはそれを知ったからと言って登録するような相手がいないというのは変わらないのだがな。
「なあ、山口はクラスLINEで回ってきたアプリって登録したの?」
「ああ、アレなら結構前にゲーム友達に教えてもらったやつだったよ。アプリはグループメッセージ機能を使ってるけど、恋愛的な使い方はしたことないな。そもそも、私は好きな相手とかいないしな。奥谷は誰か登録したのか?」
「俺は一応登録したよ。今のところ片思いって表示されているけどね」
「へえ、恋愛の方を使った事ないからわからなかったけど、そうやって知らせてくれるのは何でもいい事だな。奥谷の好きな相手が奥谷の情報を入れてくれるといいな」
「そうだな。今のところその可能性は無さそうなんだけど、めげずに頑張ってみるわ」
そう言えば、奥谷も意外とこういうのが好きそうなんだよな。小さい時から女子である私よりも占いとか好きだったみたいだし、公園に行った時も四つ葉を探していたりしていたな。あの時はメルヘンチックな男だと思っていたのだけれど、高校生になってまでそんな事をやっているのを見ると少し痛々しく感じてしまう。それに、奥谷はずっと体育会系の男だと思っていたのに、高校に入ってから急に演劇部に入部したのも何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。一部の女子の間では、いつだったかの演劇で奥谷が見せた女装姿を待ち受けにしているのが流行っていたみたいなのだが、そんなものが一生残ってしまうのは奥谷にとって黒歴史になってしまうんじゃないかと幼馴染としても心配になってしまうな。
そんな奥谷の事を登録してみようかと思ったこともあったけれど、奥谷も私の事を登録していたら面倒なことになりそうだなと思ってそれだけはやめておくことにしていた。奥谷も私以外の女子の生年月日も血液型も知らないだろうし、私を何となく登録しているという可能性は低くなさそうだもんな。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
元婚約者様の勘違い
希猫 ゆうみ
恋愛
ある日突然、婚約者の伯爵令息アーノルドから「浮気者」と罵られた伯爵令嬢カイラ。
そのまま罵詈雑言を浴びせられ婚約破棄されてしまう。
しかしアーノルドは酷い勘違いをしているのだ。
アーノルドが見たというホッブス伯爵とキスしていたのは別人。
カイラの双子の妹で数年前親戚である伯爵家の養子となったハリエットだった。
「知らない方がいらっしゃるなんて驚きよ」
「そんな変な男は忘れましょう」
一件落着かに思えたが元婚約者アーノルドは更なる言掛りをつけてくる。
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる