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恋愛コミュニケーション
第二十三話
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今日は久しぶりに奥谷君とデート。昨日の夜から気合を入れていたのには理由があった。今日のデートがうまく行っても奥谷君から告白されなかったら、思い切って私から告白してみようと思う。たまには積極的に行動するのもいいと思うし、何よりも学祭を奥谷君と一緒に見て回りたいんだ。それに、亜梨沙ちゃんたちの応援もあるんだから、それに応えないといけないよね。
皆の期待に応えたいなって思って見たんだけど、私の行動っていつも誰かの期待に応えるためにやっているような気がしてきた。奥谷君の事が好きなのは小さい時から変わらないのだけれど、恋人になりたいなって思ったのは梓ちゃんに恋愛アプリの存在を教えてもらってから出し、奥谷君をちゃんと意識するようになったのも恋愛アプリのせいかもしれない。私自身も好きな気持ちはあったのだけれど、近くにいられるだけで満足していたはずなのに、今では奥谷君といつまでも一緒に居たいという気持ちの方が強くなっているのだ。
「泉ちゃんってさ、あれから奥谷君とどこかにいったの?」
「最近はどこにも行ってないかな」
「ホントかな。その割には朝から機嫌良さそうに見えるんだけど、もしかして、近いうちにどこかに行く予定でもあるのかな?」
「え、そんなに機嫌良さそうに見えるかな?」
「見えるよ。テスト期間中に死にそうな顔をしているのはいつもの事だったけど、テストが終わって帰ってきてからの泉ちゃんって、いつも以上に笑顔が緩んでいたからね。これは何かあったのかなって思うに決まってるでしょ」
「そんなに死にそうな顔してた?」
「めっちゃ死にそうな顔してるよ。赤点とって補習が決まったみたいな顔してテストを受けてるもん。泉ちゃんって意外と勉強苦手だし、私も赤点ぎりぎりの時あるから気持ちはわかるんだけどさ、それにしても死にそうな顔だったよ」
「ええ、そんな顔してるなんて知らなかった。ちゃんとテスト勉強しているはずなんだけど、いまいち理解出来てないんだよね」
「勉強ってなんでするんだろうね。将来役に立つからっていうけどさ、私は勉強以外の事を活かして頑張っていこうかな」
「亜梨沙ちゃんは可愛らしいし、胸も大きいから芸能活動とかも出来たりするんじゃないかな?」
「それは無理じゃないかな。私の事を見付けてくれる人なんていないと思うし。それにさ、私は人前に出ることって好きじゃないから向いてないと思うんだ。それよりもさ、泉ちゃんは奥谷君とこれから予定でもあるの?」
「え、予定?」
「そうだよ。奥谷君とどこかに行く予定があるんでしょ?」
「なんでそう思うの?」
「だってさ、朝から奥谷君の方を見てニコニコしてるんだもん、それで気付かなかったら友達じゃないでしょ」
「ええ、そんなに奥谷君の事を見てたかな?」
「凄い見てるよ。スマホの画面を見た後は必ず奥谷君の方を見てたもん。これは確実に何かあるなって思うじゃない。もしかして、週末を利用してどこかに行く予定なの?」
「いや、週末じゃなくてさ、今日なんだよね」
「え、今日って火曜日だよ。今日は普通に授業あるし、明日も学校あるのに今日なの?」
「そうなの。今日しか空いてないって言われちゃってさ。学祭が近いから演劇部で色々やることがあるみたいなんだよね」
「三年生だし、奥谷君の引退公演ってやつなんだね。それでもさ、学祭前で空いている日を泉ちゃんに使ってくれるなんて絶対に脈ありだよね。もしかしてだけど、泉ちゃんって奥谷君に告白するつもりだったりするのかな?」
「いや、それはどうだろう。もしかしたらさ、奥谷君からって事もあり得るからね」
「そうだよね。本当に思うんだけどさ、泉ちゃんと奥谷君ってお似合いのカップルだと思うんだよね。隣にいて一番しっくりくるし、お互いに思いやりとか凄いあるし、勉強できないところも似ているしね」
「ちょっと、最後のは褒めてないでしょ」
「そこも二人の良いところなんだよ」
亜梨沙ちゃんは割と思い込みが激しい子で、亜紀ちゃんと山口の時のようにそれが裏目に出ることもあるのだけれど、私の変化には私以上に気付いてくれている。今日だって、テスト期間中だって私はそんな事に全く気が付いていなかったのだが、そんなに変わっているのを始めて知った。
奥谷君も今日の夜のデートを楽しみにしてくれているのかなと思っていたことは確かだけれど、そんなに奥谷君の事を見ていたのかなと思うと、なんだか恥ずかしくなってきてしまった。そう思っていたのだけれど、また私の視線の先には奥谷君しかいなかったのでこれが無意識のうちに行っていた事なんだなと自覚してしまった。
隣を見ると、亜梨沙ちゃんが嬉しそうな表情を浮かべて私と奥谷君を見ていた。亜梨沙ちゃんの口元が「頑張れ」と言っているように見えて、私は亜梨沙ちゃんの言葉にとても心強さを感じていた。
皆の期待に応えたいなって思って見たんだけど、私の行動っていつも誰かの期待に応えるためにやっているような気がしてきた。奥谷君の事が好きなのは小さい時から変わらないのだけれど、恋人になりたいなって思ったのは梓ちゃんに恋愛アプリの存在を教えてもらってから出し、奥谷君をちゃんと意識するようになったのも恋愛アプリのせいかもしれない。私自身も好きな気持ちはあったのだけれど、近くにいられるだけで満足していたはずなのに、今では奥谷君といつまでも一緒に居たいという気持ちの方が強くなっているのだ。
「泉ちゃんってさ、あれから奥谷君とどこかにいったの?」
「最近はどこにも行ってないかな」
「ホントかな。その割には朝から機嫌良さそうに見えるんだけど、もしかして、近いうちにどこかに行く予定でもあるのかな?」
「え、そんなに機嫌良さそうに見えるかな?」
「見えるよ。テスト期間中に死にそうな顔をしているのはいつもの事だったけど、テストが終わって帰ってきてからの泉ちゃんって、いつも以上に笑顔が緩んでいたからね。これは何かあったのかなって思うに決まってるでしょ」
「そんなに死にそうな顔してた?」
「めっちゃ死にそうな顔してるよ。赤点とって補習が決まったみたいな顔してテストを受けてるもん。泉ちゃんって意外と勉強苦手だし、私も赤点ぎりぎりの時あるから気持ちはわかるんだけどさ、それにしても死にそうな顔だったよ」
「ええ、そんな顔してるなんて知らなかった。ちゃんとテスト勉強しているはずなんだけど、いまいち理解出来てないんだよね」
「勉強ってなんでするんだろうね。将来役に立つからっていうけどさ、私は勉強以外の事を活かして頑張っていこうかな」
「亜梨沙ちゃんは可愛らしいし、胸も大きいから芸能活動とかも出来たりするんじゃないかな?」
「それは無理じゃないかな。私の事を見付けてくれる人なんていないと思うし。それにさ、私は人前に出ることって好きじゃないから向いてないと思うんだ。それよりもさ、泉ちゃんは奥谷君とこれから予定でもあるの?」
「え、予定?」
「そうだよ。奥谷君とどこかに行く予定があるんでしょ?」
「なんでそう思うの?」
「だってさ、朝から奥谷君の方を見てニコニコしてるんだもん、それで気付かなかったら友達じゃないでしょ」
「ええ、そんなに奥谷君の事を見てたかな?」
「凄い見てるよ。スマホの画面を見た後は必ず奥谷君の方を見てたもん。これは確実に何かあるなって思うじゃない。もしかして、週末を利用してどこかに行く予定なの?」
「いや、週末じゃなくてさ、今日なんだよね」
「え、今日って火曜日だよ。今日は普通に授業あるし、明日も学校あるのに今日なの?」
「そうなの。今日しか空いてないって言われちゃってさ。学祭が近いから演劇部で色々やることがあるみたいなんだよね」
「三年生だし、奥谷君の引退公演ってやつなんだね。それでもさ、学祭前で空いている日を泉ちゃんに使ってくれるなんて絶対に脈ありだよね。もしかしてだけど、泉ちゃんって奥谷君に告白するつもりだったりするのかな?」
「いや、それはどうだろう。もしかしたらさ、奥谷君からって事もあり得るからね」
「そうだよね。本当に思うんだけどさ、泉ちゃんと奥谷君ってお似合いのカップルだと思うんだよね。隣にいて一番しっくりくるし、お互いに思いやりとか凄いあるし、勉強できないところも似ているしね」
「ちょっと、最後のは褒めてないでしょ」
「そこも二人の良いところなんだよ」
亜梨沙ちゃんは割と思い込みが激しい子で、亜紀ちゃんと山口の時のようにそれが裏目に出ることもあるのだけれど、私の変化には私以上に気付いてくれている。今日だって、テスト期間中だって私はそんな事に全く気が付いていなかったのだが、そんなに変わっているのを始めて知った。
奥谷君も今日の夜のデートを楽しみにしてくれているのかなと思っていたことは確かだけれど、そんなに奥谷君の事を見ていたのかなと思うと、なんだか恥ずかしくなってきてしまった。そう思っていたのだけれど、また私の視線の先には奥谷君しかいなかったのでこれが無意識のうちに行っていた事なんだなと自覚してしまった。
隣を見ると、亜梨沙ちゃんが嬉しそうな表情を浮かべて私と奥谷君を見ていた。亜梨沙ちゃんの口元が「頑張れ」と言っているように見えて、私は亜梨沙ちゃんの言葉にとても心強さを感じていた。
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