ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛

第二部 二人だけの世界編

美少女二人の温泉満喫回

　露天風呂を楽しみにしていたレベッカではあったのだが、今日は男性が露天風呂を使うことが出来る日だという事を温泉につくまでは信じていないようだった。実際に温泉に行ってみればわかることなのだが、今日は昨日とは逆に露天風呂入口と掛かれた看板が掛けられている方に男湯の暖簾がかかっているのだ。

「どうせこれは日本のジョークってやつなのよ。露天風呂を楽しみにやってきた人達をガッカリさせておいていざ温泉に入ると露天風呂があるんですよ。ってやつよね。今までそう言うのってテレビでたくさん見てきたから私はわかるよ。それに、日本人が温泉好きだってのに露天風呂が一つしかないってのはおかしな話よ。いくら日本が狭いからって露天風呂を一つしか作れなかったわけないもんね。だから、実際に入ってみるとどっちにも露天風呂があるってオチなのよ。そうじゃないと困るわ」
「あらあら、今日は可愛いお友達を連れてきてくれたんだね。もしかして、旅館に泊まってる外国の人なのかな？」
「はい、私は旅館に泊まってるレベッカです。ベッキーって呼んでくれて大丈夫です」
「はいはい、レベッカちゃんね。ウチの温泉は美肌効果もあるんだけど、あなたみたいに肌が綺麗な人がどれくらい綺麗になるのか楽しみね」
「美肌効果って事は、私も綺麗になれるって事ですか？」
「そうよ。温泉は肌を綺麗にする効果があるからツルツルのスベスベになってしまうのよ」
「おお、凄い。そんな温泉に入って見たかったんです。私は温泉に入るのが初めてなので、露天風呂とか楽しみなんです。あと、ベッキーって呼んでください」
「あら、残念だけど今日の露天風呂は男性しか入れないのよ。レベッカちゃんが五歳くらいだったらお父さんと一緒に入ることも出来たと思うんだけど、さすがにその年で男湯に入るのはマズいからね」
「え、もしかして、本当に男湯にしか露天風呂って無いんですか？」
「そうなのよ。お友達からも聞いていると思うけど、ウチの温泉って建物を大きくしすぎちゃったせいで露天スペースが少なくなっちゃったのよね。昔はそれでも混浴でやってたりもしたんだけど、平成になったくらいから女性客からクレームが多くなっちゃったのよね。こんな集落までわざわざ温泉に入りに来てくれるような人達を粗末に扱うことなんて出来ないし、かといって露天風呂を拡張することも出来なかったのよ。それでね、ウチの旦那がいっそのこと日替わりで男女入れ替えて露天を使うことにしよう。って言いだしたのよ。ウチの旦那って言いだしたらきかない人でね、それまで一つだった内風呂を二つに分けて、片方は狭いんだけど露天風呂に行けるようにしておいて、もう片方は広いけど外が見えないように壁で覆っちゃったのよね。でもそれだと味気ないって事で、天窓は結構いいのを付けたのよね。昼間は時間によっては日差しがきついんだけど、夜になったら星空が綺麗なんでお勧めよ」
「じゃあ、本当に今日は露天風呂に入れないって事ですか？」
「そうなのよ。ごめんなさいね。でもね、広い内風呂を半分の大きさにしておけば男女両方に露天風呂を付けれたんじゃないかって旦那が亡くなる前に急に言いだしたのよね。今更そんな事をするお金なんて残ってないんだけど、もしも今の建物が老朽化して立て直すことになったらそうするかもしれないから、それまで待っててね。でも、日替わりで男女が入れ替わるシステムって旅館の人には好評なのよ。だって、両方楽しみたい人って必然的に連泊するようになっちゃうからね。これは内緒の話なんだけど、あなた達みたいに連泊してくれる人がいるとウチもその分儲かるからこのままでもいいかなって思ってたりもするのよね」

　私は田舎の人はあまりよそ者を受け入れないのではないかとここの集落に来るまでは思っていたりもしたのだが、実際のところは私達のような旅行者はとても歓迎されているようだ。この集落にある産業で私達が知っている物はここの温泉と旅館のレストランくらいしかないのだが、もしかしたら昼間に見た畑もその一つなのかもしれない。
　受付のおばさんはまだ私達と話したそうにしていたのだが、レベッカが早く温泉に入りたいと私のシャツのすそを引っ張るので脱衣所へ移動することになった。今日は昨日よりも早い時間という事もあって人はそれほどいないのだが、昨日も見たおばあちゃんが数名いたので軽く挨拶だけはしておいた。レベッカも私と同じように挨拶をしていたのだが、私達はお風呂上りでもないというのにコーヒー牛乳とフルーツ牛乳をいただくというアクシデントが発生してしまった。

「わあ、これって瓶に入ってるやつだ。私は初めて見たよ。さっそく飲んでもいいのかな？」
「お風呂から上がってからでもいいと思うけど」
「でもでもでも、お風呂に入ってたらぬるくなっちゃうかもしれないよ。こういうのは冷たいうちに飲んだ方がいいってママもい言ってたよ。それにさ、ここまで歩いてきて体内の水分も枯渇してるだろうし今のうちに水分補給しといた方がいいって。みさきもおばあちゃんたちの行為を無にするような事はしないで飲もうよ」
「はいはい、わかりましたよ。じゃあ、どっちか一本だけにしようね。お風呂に入っている時にトイレ行きたくなったら困るからね」
「私はそんなに子供じゃないよ。みさきだって私とそんなに年齢変わらないじゃない。もう、さっさと飲んで温泉に行くわよ。で、これはどうやって飲むの？」
「しょうがないな。これはね、この蓋にこの針を刺して上に持ち上げれば開くよ。こうやってテコの原理を応用すれば簡単に開くからさ」
「凄いな。日本人って本当に器用だよね。こんなの良く思いつくもんだよ」
「いや、発祥が日本なのかは知らないけど昔からあるのは確かだと思うよ。そんな事はどうでもいいから、さっさと飲んで温泉に行くわよ」
「そんなに焦らなくてもいいわよ。せっかくなんだから味わって飲みたいし。って、みさきって着やせするタイプなのかと思ってたけど、見たまんまの感じなのね」
「何を見てそう言っているのかわからないけど、レベッカの目を牛乳の蓋みたいに取ってあげようか？」
「あ、間違えた。みさきのは小さいけど綺麗な形だね」

　私は持ってきたタオルで体を隠すと、レベッカを置いて脱衣所から温泉に向かったのだが、私を追うようにしてレベッカはぴったりと後をついてきたのだった。温泉も銭湯も行ったことが無いと言っていたので、私は最低限のマナーを教えてあげることにした。

「ちょっと待ってね。そのまま温泉に直接入るのはマナー違反だからね。ここは自分の家のお風呂じゃないので体を綺麗にしないで湯船につかるのはダメよ。まずはここでかけ湯をしてからね。そんなに念入りにかけなくてもさっとかけるだけで大丈夫よ。そう、そんな感じで軽く流したら、そうだな、あそこの洗い場で体を綺麗に洗いましょうか」
「ねえ、体を洗う前にかけ湯をするのって何か意味があるの？」
「さあ、汚れを簡単に落としておくってのと、体をお湯に慣れさせるって意味があるんじゃないかな。私も理由まで走らないけど、昔からそうしてたよ」
「そう言えばテレビとか映画でもかけ湯を見たことあったかも。その時は全く意識してなかったから何なのかわからなかったけど、こうして実際に体験してみると意外と意識してないまま見てることってあったのかもしれないね」
「そうだね。私も海外ドラマとか見ててお茶会とかのマナーとか面倒そうだなって思ってみてるくらいだよ」
「お茶会ってさ、日本だと礼儀作法とかたくさんあるから大変だよね。私はいまだに正座が上手く出来ないから緊張しちゃうよ」
「でも、イギリスとかそっちの方がマナーにうるさいんじゃないの？」
「どうなんだろうね。アレって私もあんまり参加したことないけど、カップを持つとかソーサーごと持つとかそれくらいしか決まり事なんて無いと思うよ。間違ってたとしても別に何とも思われないだろうしね」
「じゃあ、コース料理とかのカトラリーの使い間違いとかは怒られたりするんじゃないの？」
「使うものを間違えたくらいで怒る人はいないでしょ。間違えたらその後に出てくる料理に使いにくいってだけだし、落とした時と一緒で使い間違えたって言えば新しいのを持ってきてくれると思うよ。大体、そんな事を間違えた程度で怒る方がマナー違反だと思うよ。もてなす気持ちがないって事じゃない」
「へえ、そうなんだ。意外だな。外国とかの方がマナーに厳しいのかと思ってた」
「どうなんだろうね。イギリスとかフランスの貴族階級の人はそう言うのに厳しいのかもしれないけど、私のところはそう言うの無かったと思うよ。でもさ、日本だってマナーに厳しいとこあると思うんだよね。温泉の入り方って聞かないとわからなかったし、私が一人だったらあそこのシャワーを浴びてそのまま温泉に入るだけだったと思うもん」
「まあ、中にはそう言う人もいるけどさ、かけ湯をしないで温泉にそのまま入ってくる人がいたら嫌だなって事をみんなで思ってるからこそのマナーなのかもね」
「他人に対する気遣いってやつだね。じゃあ、私から先にみさきの背中を流してあげるよ。ほら、後ろを向いてね。みさきってさ、綺麗な肌をしてるんだね。日本人なのに私と同じように白くて綺麗な肌だよね」

　レベッカはそう言って私の背中をタオルで優しく洗ってくれていた。ずっと同じところをこすっているのでそこに何かついているのかと思っていたんだけれど、首の下にあるホクロが気になっていたようだ。私もすっかり忘れていたのだけれど、普段は見えないけれど浴衣や着物を着ていると角度によっては見える位置にホクロがあるのだ。まー君の妹の百合ちゃんと一緒に浴衣を着ている時に言われて知ったのだが、浴衣を着ている時にうなじの下にあるホクロの写真を撮ってもらったのだが、意外と色っぽく見えていたのを思い出した。

「じゃあ、背中は終わったから次は前を洗ってあげるね」
「いや、前は自分で洗ったからいいよ。次はレベッカの番ね」
「え、私は前を洗ってなかったよ。それに、裸の付き合いをしているんだし、そろそろベッキーって呼んでもいいんだよ」

　レベッカの肌は透き通るように白く、その肌はスベスベなのにしっとりと吸い付くようで、レベッカの肌に触れいている私の指がその感触を喜んでいるようだった。
　意外とレベッカは人に触られることに慣れていないようで、私がタオルを動かすたびに小刻みに震えて我慢しているようなのだが、その悶えている姿を見ているとなんだかイケナイことをしているような気分になってしまった。私も誰かと温泉や銭湯に行ったりすることは多い方ではないのだが、体を洗われているだけでここまで過敏に反応している人を見るのは初めてのように思えた。
　確か、レベッカは体をまだ洗っていないと言っていたと思うので、私はサービスとして全身を洗ってあげることにしたのだ。レベッカはどこを洗ってあげてもビクビクと反応をしているのだが、その耐えている姿を見て私はついつい悪い事を考えてしまっていた。ただ、もちろん変な事をするつもりなんて無く、体を綺麗に洗ってあげているだけなのだ。
　シャワーで泡を洗い流しているレベッカは心なしかぐったりとしているように見えたのだけれど、頭を洗ってあげようと提案してみたところ、それは全力で拒否されてしまった。そのまま二人で湯船につかることにしたのだけれど、はじめてはいる温泉はレベッカにとっては少し熱すぎたようで、肩までつかることに抵抗があるようだった。
　湯船の入口にある段差に二人で並んで座り、半身浴に近い形で上を見てみると、そこには薄暗くなりかけている空があった。まだ星は出ていないようなのだが、街灯の少ないこの集落は星空も綺麗に見えるので、夜になってから見える景色は綺麗なんだろうなという事は簡単に想像がついた。

「この温泉って熱くない？」
「多分これくらいの温度が標準なんだと思うよ。熱いところはもっと凄いからね」
「そうなん。私はこれくらいの温度でもちょっと熱いなって思うけどね、でも、少し慣れてきたから肩まではいってみようかな」
「じゃあ、肩まではいって百を数えたら頭を洗いに行こうか」
「ふふ、それって漫画で見たことあるやつだ。それにしても、温泉って気持ちいいんだね」

　私の方にもたれかかるレベッカを見て、この子は少し可愛いところがあるんだなと思う私であった。