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第一部 日常生活編

佐藤みさきと花咲撫子

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 まー君の昔の話が聞けるのは嬉しかったけれど、まー君が他の女と二人っきりになっているというのは嬉しい事ではない。でも、そんな事で目くじらを立てているようでは良い彼女とは言えないだろう。私はまー君にとっていい彼女であり続けたいと思っているのだ。
少なくとも、この姉妹のどちらよりもまー君と一緒にいると思うのだけれど、私の知らないまー君の事を知っている人がいるというのは気分のいいものではなかった。

「先輩って昔からお姉ちゃんには優しいんですよ。今もお姉ちゃんの事が好きだから一緒にいてくれるのかな?」
「まー君は誰にでも優しいから勘違いしちゃうかもしれないけど、あなたのお姉ちゃんの事はそんなに好きじゃないと思うよ。私の勘だけど、あなたのお姉ちゃんもまー君の事を異性として見てないんじゃないかな?」
「ま、お姉ちゃん程度の人間じゃ先輩の隣にはふさわしくないってことですよね。あなたも先輩の隣が相応しくないと思うんですけど、それはどう思うんですか?」
「どう思うって言われてもね。私以上にまー君に相応しい女なんていないと思うけど」
「確かに、あなたは可愛らしいとは思いますけど、私に比べたらまだまだじゃないですかね。どう見たって私の方が可愛いですし、今日だってあなたの気持ちよりも私のお願いを優先して聞いてくれたじゃないですか。他の女のお願いを聞いてくれるのって、彼女の事をないがしろにしているってことじゃないですかね?」
「それはどうかな。まー君って優しいから頼まれたことはあんまり断らないと思うんだよね。でも、今日は何か理由があったんじゃないかって思うけどね。そうじゃなかったとしても、あなたが思っているほどまー君には好かれていないと思うよ」
「はあ、私みたいにかわいい子が好かれていないはずないじゃないですか。あなたは何を言っているんですか。私の事を良いなって思っているから先輩は家までついて来てくれたんじゃないですかね」
「そんなことは無いと思うよ。あなたの姿を見た時のまー君はどう見ても面倒ごとに巻き込まれたって顔してたからね。確かに、あなたは見た目だけなら可愛く見えるけれど、なんか胡散臭いのよね。私はそう思うけれど、まー君もそう思ってるんじゃないかしらね」
「ちょっと、どういう意味なのか理解に苦しむんだけど、あんたって撫子の事バカにしてるの?」
「馬鹿にはしてないけど、なんとなくいい人っぽくないなってのは感じるのよね。あなたのお姉さんは見るからにいい人そうだったけど、あなたはなんか腹黒さを感じるのよ。良い人を演じようとしているってのが見え見えなんだよね」
「そんなわけないでしょ。撫子は見た目だけじゃなくて中身も素晴らしい女の子なんだよ。あんたみたいな変態ストーカー監視女とは違うんです。撫子はそんなことしなくても先輩にちゃんと見てもらえてるんですぅ」
「あなたはそう思っているかもしれないけど、まー君はあなたの目を見てたことなかったと思うんだけど、今日一日で何回まー君と目があったのかな?」
「えっと、それは先輩が撫子の可愛さで恥ずかしくなって見れなかっただけで、先輩の視線は何度も感じていましたけど」
「私はまー君の事を見ていたけど、あなたの事をちゃんと見ようとしたことは一度も無かったと思うよ。微妙に目が合わないようにしてたと思うんだけど、それは感じなかったのかな?」
「撫子の事を見る男の子は大体そんな感じですから問題ありません。どんなに自身がある男の子でも撫子の顔を直視するのは恥ずかしいって言ってたし、あんた程度の見た目ならその苦労を味わえてないと思うんですけど、そう考えたらどっちが女として魅力があるかわかると思うんですけど、それってどうなんでしょうね?」
「別にどうでもいい事じゃないかな。私はまー君が私の事だけ見てくれればいいだけだし、あなたはまー君じゃなくてもいいみたいな言い方だけど、それってどうなのかな。クラスに好きな人がいるけど振り向いてもらえないとか?」
「そんなわけないでしょ。撫子から好きになって振り向いてもらえないとか何言ってんの。あんたは自分がそうだからって撫子までそうだと思うのはやめてよね。あんたはたまたまタイミングが良くて先輩と付き合ってるだけだし、撫子が本気を出したらあんたなんてすぐに捨てられちゃうんだからね」
「それは困っちゃうけど、あなたにそんな魅力があるとは思えないけどね。そんなくだらない話を聞くためにまー君と離れてあなたについてきたんじゃないんだけど、まー君が中学生の時の話はまだなの?」
「はああ? このタイミングでするわけないでしょ。あんたが撫子に言った暴言を謝罪してからよ。なんで撫子があんた程度の人間にそこまで侮辱されないといけないのよ。まずは謝りなさいよ」
「ごめんごめん。謝ったからまー君の昔の事話してよ。私が知らない奴で頼むわよ」
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