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第一部 日常生活編
二年巨乳女子 前田正樹の場合
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最近は知らない人と話す機会が増えているような気がしていた。高校生活もまだまだ始まったばかりなので当然と言えば当然なのだけれど、それでも知らない人が話しかけてくることが多くなっている。今も移動教室から戻るところなのだけれど、知らない先輩に呼び止められてしまった。
「君はみさきの彼氏だよね?」
「そうですけど、どちら様ですか?」
「私は佐藤渚。みさきの姉です」
そう言えば、少し前にみさきと一緒に居る時に話しかけてきた人に似ているような気がしてきた。あんまり顔は覚えていなかったけれど、どことなくみさきに似ている気もするので、お姉さんに間違いはないのだろう。
みさきのお姉さんに話しかけられる理由がわからないので警戒していたが、敵意のようなものは向けられていないようだったので、そこまで警戒は必要ないのかもしれない。雰囲気はそれほどみさきに似ていないけれど、どこかはみさきに似ているので他の人に比べると安心感があるからかもしれない。
「みさきの彼氏であるあなたに頼みたいことがあるんだけど、ちょっとだけ話を聞いてもらってもいいかな?」
「授業が始まる前まででいいなら大丈夫ですよ」
「ありがとう。ちょっとだけ君に協力してもらいたいんだけど、みさきも一緒にお願いするんで安心してね」
「みさきも一緒なら大丈夫だと思うんですけど、用件は何ですか?」
「そう、みさきも一緒じゃないとダメなのよね。それにしても、君は何か他の男子とは違う感じがするわね」
「どう違うのかはわからないですけど、用件って何ですか?」
「そうよね、用件を言ってなかったわね。みさきと一緒に二年生の松本さんとお話をしてもらいたいのよ。松本さんの事はご存じかしら?」
「いえ、俺は自分の学年の人の事もあんまり知らないんで、二年生の先輩の事は存じ上げないです」
「そうよね。私も一年の時は先輩の事なんてほとんど知らなかったわ。それでも、先輩と仲良くしておくと何かと便利かもよ」
「はあ、それで、いつどこに行けばいいんですか?」
「放課後に文芸部の部室に行ってくれるかしら。松本さん以外の部員はいないと思うから安心していいわよ。ほとんど幽霊部員って話だから、今日に限って活動しているって事も無いでしょうからね」
「わかりました。で、文芸部の部室ってどこにあるんですか?」
「図書室はわかるかしら?」
「はい、何度か利用したことがあるので」
「そこの近くに行けばわかると思うわ。わからなかったらその辺にいる人に聞いてみたらいいと思う」
渚先輩は俺にお願いが終わるとそのまま階段を上ってどこかへ行ってしまった。二年生の先輩とお話をするお願いってどんな裏があるのだろうと思ったけれど、そこまで変なお願いではないような気がしていた。クラスに文芸部の部員がいれば松本先輩がどんな人か聞くことも出来たのだろうけれど、俺はクラスメイトの所属している部活は知らないし、興味を持った事も無かった。
教室に戻っている途中で授業の始まりを告げるチャイムが鳴っていたのだけれど、先生方はチャイムが鳴ってから職員室を出ることが多いので、授業に遅刻することは無かった。
「田中は文芸部の事を知ってるか?」
「どうしたんだ? 前田って文芸部に興味あるのか?」
「いや、興味は無いんだけど、みさきのお姉さんに頼まれて文芸部の先輩と話をしないといけなくなったんだよ」
「なんだよそれ、意味が分かんないな。でも、文芸部の先輩ってどんな人なんだろうな」
「なんでそんな事になるのかがわからないけれど、彼女のお姉さんのお願いって断りづらいよな」
「彼女のいない俺に同意を求められても困るけれど、確かに彼女の兄弟からお願いされたら断りにくいかもな」
田中に聞いても答えが出ないのは知っていたけれど、期待しなくてよかったなと思っていた。お互いに部活に入っていないのだから、先輩の事に詳しくなくても仕方ないのだけれど、友人の多い田中の事だから文芸部員と知り合いなのかもと期待していたのは事実だ。松本先輩の情報は手に入らなかったけれど、放課後になればなんとかなるだろう。
「ねえ、前田君は文芸部に興味あるの?」
隣の席の女子に話しかけられて少し驚いたけれど、そうだと伝えるとその女子は少し嬉しそうにしていた。
「そうなんだ。私は文芸部じゃないんだけど、中学からの友達が文芸部なんだよね。それで、その友達が部員が少ないって困ってたんだ。それで、文芸部って聞こえたから聞いてみたんだよね」
「興味はあるんだけど、文芸部じゃなくて松本先輩って人がどんな人なのか気になってるだけなんだよね」
「へえ、松本先輩ね。もうすぐ先生も来ると思うし、友達にメッセージ送って聞いてみるよ。授業が終わった時に返事が来てなくても気にしないでね」
「うん、聞いてくれてありがとうね」
「全然だよ。気にしなくていいからね」
隣の席の女子は手早くスマホを操作すると、俺に向けて親指を立てていた。俺は他の人に優しくしてもらえる才能でもあるのだろうか。そんな冗談を考えていたのだけれど、それならもっと楽な生活を送っていたいと思うだけだった。
本日最後の授業が始まる前になって隣の席の女子が俺に話しかけてきた。松本先輩の情報が手に入ったようなのだけれど、ちょっと困惑した感じでしきりに首を傾げていたのが気になってしまった。
「文芸部の友達から返事がきたんだけど、松本先輩の事はそんなに話した事が無いから詳しくないってさ。でもね、仲の良い人と話をするときはやたらと饒舌だってさ。後、見た目は髪型も地味だからもっさい感じらしいんだけど、目が綺麗だってさ。こんな情報で大丈夫だった?」
「ありがとう。どんな感じかわかっただけでも助かるよ」
「どういたしまして。あ、良かったら今度アリス先輩の事紹介してもらえると嬉しいな」
「アリス先輩は俺も友達なわけじゃないから期待に応えられるかはわからないけれど、今度会った時にそれとなく聞いてみるよ。」
「そうなんだ、じゃあ、期待しないで待っておくね」
放課後になって文芸部の部室に向かおうかと思っていたのだけれど、担任が男子四人を職員室まで呼んでいたのだが、俺はその四人の中に含まれてしまっていたので、とりあえずは職員室に向かう事になった。
職員室についた男子四名はそのまま担任の指示に従ってプリントのぎっしり詰まった箱を渡された。どうやら、この箱の中身を処分する手伝いに呼び出されたらしい。用事自体は職員室から用務員室に運ぶだけなのですぐ終わったのだけれど、用務員室に誰もいなかったので用務員さんが戻ってくるまでは少し時間がかかってしまっていた。
男子の中に田中がいれば俺も何かを話していたのだろうけれど、他の三人と話した事も無かったので終始無言でいた。他の三人も特に言葉を発していなかったので、もしかしたら友達ではないのかもしれない。本当は、俺に気を使っているのだとは思うのだけれど。
担任に頼まれた仕事も終わって教室に荷物を取りに行くと、教室にはもう誰も残っておらず、隣のクラスを見てもそれは同じだった。みさきからメッセージが届いていたのだけれど、文芸部の部室に行っているとだけ書かれていて、いつものように必要のない文章は送られてきていなかった。
俺は放課後の静かになった教室を出て、図書室に向かったのだけれど、クラスによっては残っている人がいたり、部活に精を出している生徒がいたりと、それなりに賑やかな感じにはなっていた。
目的の文芸部の部室はすぐに見つかったのだけれど、入り口の前に立つと中からみさきの声が聞こえてきた。松本先輩の声はハッキリとは聞こえてこなかったのだけれど、みさきの言葉から誰かと会話をしている事は理解出来た。
ドアについている細い窓から中を覗いてみると、先ほど聞いていた情報で想像していた人物とそれほど変わらない人がいた。もう一人こちらに背を向けているのがみさきなので、こちらを向いている人物が松本先輩なのだろう。話に聞いていた通りの人物で、少しもっさい感じがする人のようだったけれど、この位置から見ても胸が膨らんでいるのがわかった。
俺が出会う人はみさき以外は皆胸が大きいような気がしていたけれど、これはどんな意味があるのだろう。俺に松本先輩の情報をくれた女子も胸が大きいような気がしていたけれど、はっきりと思い出せないのでどうなのかはわからない。
みさきと先輩が何かを言い合っているようなので入るタイミングが掴めないのだけれど、俺はそれを気にせずに会話が途切れた時にノックをしてみることにした。
なかなか途切れない会話を聞いていると、何だか悪い事をしているような気がしてきたのだが、俺は頼まれてここに来ているのでそんな細かい事は気にしないでおこう。それがきっと最善の行動なのだから。
「君はみさきの彼氏だよね?」
「そうですけど、どちら様ですか?」
「私は佐藤渚。みさきの姉です」
そう言えば、少し前にみさきと一緒に居る時に話しかけてきた人に似ているような気がしてきた。あんまり顔は覚えていなかったけれど、どことなくみさきに似ている気もするので、お姉さんに間違いはないのだろう。
みさきのお姉さんに話しかけられる理由がわからないので警戒していたが、敵意のようなものは向けられていないようだったので、そこまで警戒は必要ないのかもしれない。雰囲気はそれほどみさきに似ていないけれど、どこかはみさきに似ているので他の人に比べると安心感があるからかもしれない。
「みさきの彼氏であるあなたに頼みたいことがあるんだけど、ちょっとだけ話を聞いてもらってもいいかな?」
「授業が始まる前まででいいなら大丈夫ですよ」
「ありがとう。ちょっとだけ君に協力してもらいたいんだけど、みさきも一緒にお願いするんで安心してね」
「みさきも一緒なら大丈夫だと思うんですけど、用件は何ですか?」
「そう、みさきも一緒じゃないとダメなのよね。それにしても、君は何か他の男子とは違う感じがするわね」
「どう違うのかはわからないですけど、用件って何ですか?」
「そうよね、用件を言ってなかったわね。みさきと一緒に二年生の松本さんとお話をしてもらいたいのよ。松本さんの事はご存じかしら?」
「いえ、俺は自分の学年の人の事もあんまり知らないんで、二年生の先輩の事は存じ上げないです」
「そうよね。私も一年の時は先輩の事なんてほとんど知らなかったわ。それでも、先輩と仲良くしておくと何かと便利かもよ」
「はあ、それで、いつどこに行けばいいんですか?」
「放課後に文芸部の部室に行ってくれるかしら。松本さん以外の部員はいないと思うから安心していいわよ。ほとんど幽霊部員って話だから、今日に限って活動しているって事も無いでしょうからね」
「わかりました。で、文芸部の部室ってどこにあるんですか?」
「図書室はわかるかしら?」
「はい、何度か利用したことがあるので」
「そこの近くに行けばわかると思うわ。わからなかったらその辺にいる人に聞いてみたらいいと思う」
渚先輩は俺にお願いが終わるとそのまま階段を上ってどこかへ行ってしまった。二年生の先輩とお話をするお願いってどんな裏があるのだろうと思ったけれど、そこまで変なお願いではないような気がしていた。クラスに文芸部の部員がいれば松本先輩がどんな人か聞くことも出来たのだろうけれど、俺はクラスメイトの所属している部活は知らないし、興味を持った事も無かった。
教室に戻っている途中で授業の始まりを告げるチャイムが鳴っていたのだけれど、先生方はチャイムが鳴ってから職員室を出ることが多いので、授業に遅刻することは無かった。
「田中は文芸部の事を知ってるか?」
「どうしたんだ? 前田って文芸部に興味あるのか?」
「いや、興味は無いんだけど、みさきのお姉さんに頼まれて文芸部の先輩と話をしないといけなくなったんだよ」
「なんだよそれ、意味が分かんないな。でも、文芸部の先輩ってどんな人なんだろうな」
「なんでそんな事になるのかがわからないけれど、彼女のお姉さんのお願いって断りづらいよな」
「彼女のいない俺に同意を求められても困るけれど、確かに彼女の兄弟からお願いされたら断りにくいかもな」
田中に聞いても答えが出ないのは知っていたけれど、期待しなくてよかったなと思っていた。お互いに部活に入っていないのだから、先輩の事に詳しくなくても仕方ないのだけれど、友人の多い田中の事だから文芸部員と知り合いなのかもと期待していたのは事実だ。松本先輩の情報は手に入らなかったけれど、放課後になればなんとかなるだろう。
「ねえ、前田君は文芸部に興味あるの?」
隣の席の女子に話しかけられて少し驚いたけれど、そうだと伝えるとその女子は少し嬉しそうにしていた。
「そうなんだ。私は文芸部じゃないんだけど、中学からの友達が文芸部なんだよね。それで、その友達が部員が少ないって困ってたんだ。それで、文芸部って聞こえたから聞いてみたんだよね」
「興味はあるんだけど、文芸部じゃなくて松本先輩って人がどんな人なのか気になってるだけなんだよね」
「へえ、松本先輩ね。もうすぐ先生も来ると思うし、友達にメッセージ送って聞いてみるよ。授業が終わった時に返事が来てなくても気にしないでね」
「うん、聞いてくれてありがとうね」
「全然だよ。気にしなくていいからね」
隣の席の女子は手早くスマホを操作すると、俺に向けて親指を立てていた。俺は他の人に優しくしてもらえる才能でもあるのだろうか。そんな冗談を考えていたのだけれど、それならもっと楽な生活を送っていたいと思うだけだった。
本日最後の授業が始まる前になって隣の席の女子が俺に話しかけてきた。松本先輩の情報が手に入ったようなのだけれど、ちょっと困惑した感じでしきりに首を傾げていたのが気になってしまった。
「文芸部の友達から返事がきたんだけど、松本先輩の事はそんなに話した事が無いから詳しくないってさ。でもね、仲の良い人と話をするときはやたらと饒舌だってさ。後、見た目は髪型も地味だからもっさい感じらしいんだけど、目が綺麗だってさ。こんな情報で大丈夫だった?」
「ありがとう。どんな感じかわかっただけでも助かるよ」
「どういたしまして。あ、良かったら今度アリス先輩の事紹介してもらえると嬉しいな」
「アリス先輩は俺も友達なわけじゃないから期待に応えられるかはわからないけれど、今度会った時にそれとなく聞いてみるよ。」
「そうなんだ、じゃあ、期待しないで待っておくね」
放課後になって文芸部の部室に向かおうかと思っていたのだけれど、担任が男子四人を職員室まで呼んでいたのだが、俺はその四人の中に含まれてしまっていたので、とりあえずは職員室に向かう事になった。
職員室についた男子四名はそのまま担任の指示に従ってプリントのぎっしり詰まった箱を渡された。どうやら、この箱の中身を処分する手伝いに呼び出されたらしい。用事自体は職員室から用務員室に運ぶだけなのですぐ終わったのだけれど、用務員室に誰もいなかったので用務員さんが戻ってくるまでは少し時間がかかってしまっていた。
男子の中に田中がいれば俺も何かを話していたのだろうけれど、他の三人と話した事も無かったので終始無言でいた。他の三人も特に言葉を発していなかったので、もしかしたら友達ではないのかもしれない。本当は、俺に気を使っているのだとは思うのだけれど。
担任に頼まれた仕事も終わって教室に荷物を取りに行くと、教室にはもう誰も残っておらず、隣のクラスを見てもそれは同じだった。みさきからメッセージが届いていたのだけれど、文芸部の部室に行っているとだけ書かれていて、いつものように必要のない文章は送られてきていなかった。
俺は放課後の静かになった教室を出て、図書室に向かったのだけれど、クラスによっては残っている人がいたり、部活に精を出している生徒がいたりと、それなりに賑やかな感じにはなっていた。
目的の文芸部の部室はすぐに見つかったのだけれど、入り口の前に立つと中からみさきの声が聞こえてきた。松本先輩の声はハッキリとは聞こえてこなかったのだけれど、みさきの言葉から誰かと会話をしている事は理解出来た。
ドアについている細い窓から中を覗いてみると、先ほど聞いていた情報で想像していた人物とそれほど変わらない人がいた。もう一人こちらに背を向けているのがみさきなので、こちらを向いている人物が松本先輩なのだろう。話に聞いていた通りの人物で、少しもっさい感じがする人のようだったけれど、この位置から見ても胸が膨らんでいるのがわかった。
俺が出会う人はみさき以外は皆胸が大きいような気がしていたけれど、これはどんな意味があるのだろう。俺に松本先輩の情報をくれた女子も胸が大きいような気がしていたけれど、はっきりと思い出せないのでどうなのかはわからない。
みさきと先輩が何かを言い合っているようなので入るタイミングが掴めないのだけれど、俺はそれを気にせずに会話が途切れた時にノックをしてみることにした。
なかなか途切れない会話を聞いていると、何だか悪い事をしているような気がしてきたのだが、俺は頼まれてここに来ているのでそんな細かい事は気にしないでおこう。それがきっと最善の行動なのだから。
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