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うまなちゃんのチョコレート工場
うまなちゃんのチョコレート工場 第七話
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話を遮って私は工場の中へと進んでいったのだ。うまなちゃんもイザーさんも四天王のみんなも私を止めるような事が無かったのでそのまますんなりと中へ入ることが出来たのだが、三か所ある除菌室を通ってたどり着いた加工場は絡みつくような湿度でむせ返りそうになるくらいに甘い匂いが漂っていた。
あまりにも濃い匂いが私の鼻を強烈に襲ってきているのだ。異常に高い湿度と甘い匂いで頭もクラクラしてきたのだけれど、不思議とこの場から立ち去りたいとは思わなかった。むしろ、もう少しここに居て甘い香りに包まれていたいと思いながらも、私は両腕が自分の汗でしっとりとしてきている事を意識し始めていた。もちろん汗をかいているのは腕だけではないのだけれど、そこはうら若き乙女という事もあって明言しないことにしよう。
私の後から入ってきたうまなちゃんは何事もないかのように私の前をスタスタと歩いて行ったいるのだけれど、少し遅れて入ってきたイザーさんや四天王の三人は加工場へ入ることをためらっているのか扉を開けてもそこを通ろうとはしていなかった。
「あの子たちは耐性が無いからここに入ってくることは出来ないかもね。愛華ちゃんも耐性があるわけじゃないと思うけどさ、この世界に来てまだそんなに時間が経ってないから平気なのかもしれないね。でも、あんまり長い時間ここに居るのはおススメ出来ないかも」
「それってどういうことなの?」
「奥を見ればわかるよ」
うまなちゃんが指さした先には濃い霧に覆われていたのだ。その霧の中から聞こえてくる機械的な音に混ざって時々超えてくる水滴が落ちる音は何か嫌な感じに思えてしまっていた。
少しだけ近くに行って音の正体を確かめたいという気持ちもあるのだけれど、これ以上近付いてはいけないと私の本能が訴えかけてきている。私は前に進みたい気持ちとこれ以上は近付きたくないという気持ちがせめぎ合い、これ以上は自分でも答えを出すことが出来ない。そんな私の事をうまなちゃんは心配する様子もなく笑顔で見守ってくれていた。
「あんまり気が進まないようだったらここで引き返しても良いからね。みんなも向こうで待ってくれているし、あんまりここに長居しない方が良いとも思うけどね。それにさ、いったん戻って紅茶でも飲みながら昨日できた新作のチョコレートでも食べてみないかな?」
私は力なく頷くと、うまなちゃんはそっと私の腰に手をまわしてみんなのもとへと連れて行ってくれた。甘い匂いに負けないくらい爽やかな香りを纏っているうまなちゃんがそばに居てくれるという事もあって、いく分体は楽になってはいるのだけれどなぜかうまなちゃんに支えられているという事を思うと体の芯から熱くなっていっているような気がしていた。
うまなちゃんがすぐそばに居るという緊張からなのかただただ湿度が高いからなのか、私は自分の脇から汗が垂れてしまっているという事を感じてしまった。この距離で汗なんて書いてしまうのは申し訳ないという気持ちもあるのだけれど、私の汗は緊張すれば緊張するほど滴っているように感じていた。幸いなことに、汗が滴り落ちているのはうまなちゃんが支えてくれている方ではないので大丈夫だと思ったのだけれど、うまなちゃんの手が腰にあるという事を思い出して余計に焦ってしまっていた。
「この部屋に入って辛いのはわかるけどさ、あんまりここに長居はしない方が良いと思うよ。私は平気だけど愛華ちゃんにはちょっと刺激が強すぎると思うからね。人体に影響がないくらいに濃度は薄めているんだけど、さすがにちょっと霧を吸い過ぎているかもしれないからな。人体に影響はないと言っても、過剰に摂取するのは良くないってね」
私はうまなちゃんの言葉をちゃんと理解しようとはしていなかった。ただ隣にいてくれるうまなちゃんの事を優しいなとか良い人だなと思ってこの身をゆだねていたのだ。甘える子供のように完全に信頼して寄り添っていたのだ。
心配してくれているイザーさんや四天王のみんなと近付くにつれて体が楽になっているような感じもするのだけれど、それは四人に対して安心感や信頼感があるからと言うわけではない。どちらからと言うと、イザーさんはあまり深くかかわらない方が良いような気がしているし、四天王のみんなの事は全く知らないので当然信用なんて出来るはずも無かった。なので、私はこうしてうまなちゃんに対して全幅の信頼を寄せるのは仕方ない事なのだと言えるのだ。
体も心も落ち着いてきた私は一人で歩くことも出来るようになっていた。しかし、もう少しうまなちゃんのそばに居たいと思って支えてもらうことにしたのだ。
「愛華ちゃんもみんなもだいぶ落ち着いたみたいだし、さっきの部屋に戻って休憩しようか。その前に、愛華ちゃんはシャワー浴びてきてもらっても良いかな。そのままだったら辛いと思うし」
もしかして、私がさっき汗をかいていた事がバレていたのかな。あれだけ私の近くにいたんだから気付かない方が変だよね。でも、シャワーを浴びなきゃいけない程汗臭かったのかな。自分では気づかなかったけど、結構汗もかいてしまっていたし仕方ないかもね。
「ごめんなさい。汗を止めることが出来なくてごめんなさい。次から気を付けます」
「ん、愛華ちゃんはそんなに汗かいてたの?」
「湿度の高さと熱気と緊張で汗をかいてたと思うんだけど、隣にいて汗臭かったですか?」
「全然そんな事なかったと思うけど。私の方が臭かったらどうしようかなって思ってたくらいだし」
「うまなちゃんは全然臭くなんかないです。甘くていい匂いがしてました。ちょっとドキドキしちゃうくらいいい匂いでした」
ちょっとだけ驚いた表情を見せてくれたうまなちゃんに少しだけ私もドキッとしてしまったけれど、そんな事を自然に言ってしまえるくらいうまなちゃんは甘くていい匂いがしていた。
私もうまなちゃんみたいに甘くていい匂いになれたらいいな。
あまりにも濃い匂いが私の鼻を強烈に襲ってきているのだ。異常に高い湿度と甘い匂いで頭もクラクラしてきたのだけれど、不思議とこの場から立ち去りたいとは思わなかった。むしろ、もう少しここに居て甘い香りに包まれていたいと思いながらも、私は両腕が自分の汗でしっとりとしてきている事を意識し始めていた。もちろん汗をかいているのは腕だけではないのだけれど、そこはうら若き乙女という事もあって明言しないことにしよう。
私の後から入ってきたうまなちゃんは何事もないかのように私の前をスタスタと歩いて行ったいるのだけれど、少し遅れて入ってきたイザーさんや四天王の三人は加工場へ入ることをためらっているのか扉を開けてもそこを通ろうとはしていなかった。
「あの子たちは耐性が無いからここに入ってくることは出来ないかもね。愛華ちゃんも耐性があるわけじゃないと思うけどさ、この世界に来てまだそんなに時間が経ってないから平気なのかもしれないね。でも、あんまり長い時間ここに居るのはおススメ出来ないかも」
「それってどういうことなの?」
「奥を見ればわかるよ」
うまなちゃんが指さした先には濃い霧に覆われていたのだ。その霧の中から聞こえてくる機械的な音に混ざって時々超えてくる水滴が落ちる音は何か嫌な感じに思えてしまっていた。
少しだけ近くに行って音の正体を確かめたいという気持ちもあるのだけれど、これ以上近付いてはいけないと私の本能が訴えかけてきている。私は前に進みたい気持ちとこれ以上は近付きたくないという気持ちがせめぎ合い、これ以上は自分でも答えを出すことが出来ない。そんな私の事をうまなちゃんは心配する様子もなく笑顔で見守ってくれていた。
「あんまり気が進まないようだったらここで引き返しても良いからね。みんなも向こうで待ってくれているし、あんまりここに長居しない方が良いとも思うけどね。それにさ、いったん戻って紅茶でも飲みながら昨日できた新作のチョコレートでも食べてみないかな?」
私は力なく頷くと、うまなちゃんはそっと私の腰に手をまわしてみんなのもとへと連れて行ってくれた。甘い匂いに負けないくらい爽やかな香りを纏っているうまなちゃんがそばに居てくれるという事もあって、いく分体は楽になってはいるのだけれどなぜかうまなちゃんに支えられているという事を思うと体の芯から熱くなっていっているような気がしていた。
うまなちゃんがすぐそばに居るという緊張からなのかただただ湿度が高いからなのか、私は自分の脇から汗が垂れてしまっているという事を感じてしまった。この距離で汗なんて書いてしまうのは申し訳ないという気持ちもあるのだけれど、私の汗は緊張すれば緊張するほど滴っているように感じていた。幸いなことに、汗が滴り落ちているのはうまなちゃんが支えてくれている方ではないので大丈夫だと思ったのだけれど、うまなちゃんの手が腰にあるという事を思い出して余計に焦ってしまっていた。
「この部屋に入って辛いのはわかるけどさ、あんまりここに長居はしない方が良いと思うよ。私は平気だけど愛華ちゃんにはちょっと刺激が強すぎると思うからね。人体に影響がないくらいに濃度は薄めているんだけど、さすがにちょっと霧を吸い過ぎているかもしれないからな。人体に影響はないと言っても、過剰に摂取するのは良くないってね」
私はうまなちゃんの言葉をちゃんと理解しようとはしていなかった。ただ隣にいてくれるうまなちゃんの事を優しいなとか良い人だなと思ってこの身をゆだねていたのだ。甘える子供のように完全に信頼して寄り添っていたのだ。
心配してくれているイザーさんや四天王のみんなと近付くにつれて体が楽になっているような感じもするのだけれど、それは四人に対して安心感や信頼感があるからと言うわけではない。どちらからと言うと、イザーさんはあまり深くかかわらない方が良いような気がしているし、四天王のみんなの事は全く知らないので当然信用なんて出来るはずも無かった。なので、私はこうしてうまなちゃんに対して全幅の信頼を寄せるのは仕方ない事なのだと言えるのだ。
体も心も落ち着いてきた私は一人で歩くことも出来るようになっていた。しかし、もう少しうまなちゃんのそばに居たいと思って支えてもらうことにしたのだ。
「愛華ちゃんもみんなもだいぶ落ち着いたみたいだし、さっきの部屋に戻って休憩しようか。その前に、愛華ちゃんはシャワー浴びてきてもらっても良いかな。そのままだったら辛いと思うし」
もしかして、私がさっき汗をかいていた事がバレていたのかな。あれだけ私の近くにいたんだから気付かない方が変だよね。でも、シャワーを浴びなきゃいけない程汗臭かったのかな。自分では気づかなかったけど、結構汗もかいてしまっていたし仕方ないかもね。
「ごめんなさい。汗を止めることが出来なくてごめんなさい。次から気を付けます」
「ん、愛華ちゃんはそんなに汗かいてたの?」
「湿度の高さと熱気と緊張で汗をかいてたと思うんだけど、隣にいて汗臭かったですか?」
「全然そんな事なかったと思うけど。私の方が臭かったらどうしようかなって思ってたくらいだし」
「うまなちゃんは全然臭くなんかないです。甘くていい匂いがしてました。ちょっとドキドキしちゃうくらいいい匂いでした」
ちょっとだけ驚いた表情を見せてくれたうまなちゃんに少しだけ私もドキッとしてしまったけれど、そんな事を自然に言ってしまえるくらいうまなちゃんは甘くていい匂いがしていた。
私もうまなちゃんみたいに甘くていい匂いになれたらいいな。
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