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第3章 ディオーネとの出会い

第6話 シャルル19世

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 翌日


「今日は王宮に行って、一度王族の方々にお会いしましょう。シャルル19世に報告しなければならない事もあるし…」
 ディオーネは、瑠依と勇治に言った。

「お父さん、お母さん、しばらく黙っててね」
 瑠依は剣と杖に語りかけた。

「わかった」
「わかったわよ」

 リクとクウは王宮の外で待ってもらい、瑠依達は王宮の中に入って行った。
 瑠依と勇治の横に宰相や大臣、貴族がたくさんいる。
 瑠依はみんな暇なのかな~と思った。
 王宮の広間に着き待っていると、王族の人達がやってきた。

「面を上げ。そなた達が瑠依と勇治であるな」

「はい、陛下。その通りでございます」
 ディオーネが答えた。

 ディオーネは小声で
「王座に座っているのがこの国の王、シャルル19世。その隣に座ってるのが王妃のフランソワ様。その隣に立っているのが、第一王子ルシアン様よ」
 と瑠依に説明した。

「聞いた話によると、そなた達は亡くなった唯の妹と弟であり召喚士でもあるとの事だが…」

「その通りでございます」
 ディオーネが返事した。

「召喚士という事は何を召喚するのじゃ?」

「ケルベロスです」
 今度は瑠依が答えた。

「何!?魔獣ケルベロスじゃと??」
 シャルル19世が立ち上がった。

「はい、その通りです。姉がケルベロスに私達を助けてくれるよう頼んだそうです」
 瑠依は何故ケルベロスが魔獣だという事を知っているのか不思議だった。

「地獄の門番、ケルベロスが何故なにゆえ…」
 そう呟くと王座に座った。

「陛下は英雄の仲間の一人、魔術師の子孫であり、自分自身も魔術師なのよ」
 ディオーネが小さな声で説明してくれた。

「今、ここでケルベロスを召喚する事は可能か?」

「はい、召喚できますが犬がいないと召喚できません」
 シャルル19世に瑠依が答えた。

 するとディオーネは
「外から犬を連れてきなさい」
 と勇治に言った。

 勇治がリクとクウを連れて戻ってきた。
(えー!クウも連れてきたの!?)
 瑠依は焦った。

「その背中の生き物はワイバーンの子供ではないか?」
 シャルル19世は怪訝な顔をした。

「ワイバーンですが、私に懐いており人に危害を加えません」
(やっぱり突っ込まれたか…)
 嫌な予感はしていた。

 シャルル19世は、じっとワイバーンを見つめた。
「まあ、よいわ。それではケルベロスを召喚してくれ」

 瑠依はほっと胸を撫で下ろした。
 そして
「出でよ!ケルベロス!」と唱えると、ケルベロスが召喚された。

 側近達は「お~!」と、ざわめいている。

「瑠依よ、呼ぶのはよいがどこにも魔物はおらぬでないか。しかもこんな人がたくさんいるところに呼び出して、我は見せ物ではないぞ」
 ケルベロスはイラついている。

「ごめんなさい、ケルベロス…」
 瑠依は、ケルベロスに謝った。

「まごうことなき魔獣ケルベロスじゃ…魔獣ケルベロスよ、申し訳ない。瑠依よ、ありがとう」
 シャルル19世はケルベロスと瑠依に頭を下げた。

「古の書物によりますと、この二人が所持している剣と杖が英雄と僧侶が持っていた剣と杖に瓜二つなのです。それで、封印されたとされるダンジョンに行き英雄と僧侶の魔石を解放しようかと思います。その時は、ルシアン様も御一緒に……」
 ディオーネは、シャルル19世とルシアンを見ながらお願いした。

 ルシアンは「えっ?」と驚いた表情をしている。

「それは真か?そうなれば、解放の指輪を授けたルシアンにも行ってもらわねばなるまい…。今はまだ瑠依も勇治もこちらの世界に来たばかりで、まだ戦うには早いじゃろうから1ヶ月先に行ってもらうとしよう。それまでの間に二人とも鍛錬するのじゃ」
 そういうとシャルル19世は立ち上がり歩いた。広間から出ようとしているシャルル19世の後ろから「父上!父上!封印されたダンジョンに行くなど無理です!ダンジョンになんか行きたくありません!」と大声で食い付いているルシアンの姿があった。
 しかし、シャルル19世はそれに対して返事もしていない。

「ルシアン様は、魔法は使えないし剣士としての強さもラインハルト様よりかなり劣るのよ。だから、ダンジョンになんかに行きたくないの」
 ディオーネは瑠依に囁いた。

(いやいや、私もダンジョンに行きたくないし~)と心の中で叫んだ瑠依であった。
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