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第48話 エクスター公爵、フロレンスを追いだす
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ルイは、結局、関係がありそうな周り全部を説得してしまった。
国王陛下夫妻相手に、どんな話術を使ったのかわからない。
王妃あたりに、外国の王家や国内の有力公爵家あたりの娘と彼が結婚すると、幼少の王子を差し置いて王位を狙われかねないので、国内の格下の令嬢と結婚させた方がよいと誰かにアドバイスさせたのかもしれない。なんかそれっぽいことを言っていた。
国王夫妻は上機嫌で結婚を承認したらしい。父が拍子抜けしていた。
国内の有力他家はウッドハウス家の力を削ぐべく鋭意努力した。ただ、殿下が傍目に見て、頭、おかしいの?くらい溺愛していると言われていた(例の学園での溺愛劇場@食堂その他が功を奏したらしい)ので、殿下に直接話を持っていく者は少なく、父のエクスター公爵が主に狙われた。
「父のところに結婚の申込がたくさん来ていてね」
ルイが、少々物欲しそうに私の顔を見ながら伝えてきた。
「そうですか……」
「僕も時々見ているんだ。肖像画もついてくるんだが、なかなか美しいお嬢さんが多くて。君も見てみる?」
そんなことを聞かされても、嬉しくもなんともない。
「父が暮らしている別邸に行ったことはなかったよね? 一度、一緒に行った方がいいと思っていたんだ」
熱心に勧めるものだから、一緒に公爵家別邸に行くことになった。
釣書を送ってきた側は、まさか私に検分されるとは思っていないんじゃないだろうか。なんだか間が悪いなあと思うが、ルイを止められないので、仕方なくついて行った。
「何? 釣書が見たい?」
ルイは父親の書斎に執事を連れて釣書を捜索しに行ってしまい、私は公爵と愛人のソフィア様がおられる台所に取り残された。
なぜ、台所なんだろう……
台所と言っても、広くて日当たりが良くて、さすが公爵家だけあって豪華な家具類で飾られていた。
多分、パーティを開く場合などに必要な本当の厨房は、別な場所にあって、本物の料理番が別にいるのだろうと思った。
でも、この部屋の見た目はどう見ても台所で、客を招き入れる場所ではない。
それに公爵夫妻ならまだしも、公爵と愛人のいる場所に取り残されるだなんて。何を話したらいいものか。
「いえ。わたくしではなく、ルイ殿下が」
公爵は愛人のソフィア様とくつろいでいたところへ、息子が婚約者連れで乱入したので大いに迷惑したらしかった。
私は恐縮した。ものすごく居心地が悪かった。台所だし。
普通、どこのお屋敷を訪問するにしても、台所に招き入れられることなどない。
客間か食堂か、百歩譲って書斎どまりだ。
「申し訳ございません」
私はソフィア様にも頭を下げた。
この人の出自を私は知らない。元は台所の下働きだったと言う説を聞いたことがあるが、本当だろうか。
年のころは三十半ばを過ぎたくらいだろうか。美人だが、おおらかな、物事を突き詰めて考えないタイプに見えた。公爵の手元に置かれるようになってから十年以上たつはずだが、顔を見た人は少ないのではないだろうか。
「釣書なんぞ、あんたが見たところで意味はなかろう」
「……はい」
「ルイが見たければ、見ればよかろう」
その通りだ。私は黙って頭を下げた。
「だが、あんたが見ることはあるまい。誰を選ぶかはルイの自由なんじゃから」
いちいち正論だが、私が見たかったわけではない。
「グロースター様」
その時、低い声で声がかかった。
ソフィア様だ。
「ウッドハウス嬢が、ほかの女性からの結婚申し込みを見たいわけないでしょ」
私はかすかに頭を上下に振った。その通りである。
公爵は、ソフィア様の低い声になにか動揺したようだった。
「では、なんでここへ来たのかね? 釣書を検分して、破り捨てたいのかとわしは思った」
来たんじゃない。連れてこられたのだ。
「そんなことは、決して致しません」
私はあわてて言った。
「拝見したいとも思いません。どなたを迎え入れるかは、公爵家の問題でございましょう」
「殿下の嫌がらせに違いないです」
ソフィア様が、同じような低い声で言った。ソフィア様、鋭い!
公爵の方は、ソフィア様のその冷たい声を聞くたびに、ギクリとしている。
きっとソフィア様の怒った時の声なんだ。
私も無実を訴えた。
「殿下のお考えは分かりません。殿下にお誘いいただいたので参りましたが、訪問の理由は伺っておりませんでした」
ソフィア様がじっとりとした目つきで公爵を見つめ出した。そして、言った。
「ウッドハウス嬢にお帰り願ったらいいでしょう」
私は目を見張った。
帰らせて欲しいとは思いましたが、まさか本当に帰されるとは思いませんでした。
ソフィア様は、噂通り貴族階級の出ではないようだ。
彼女は、恋人宛ての結婚申し込みを見せられるなんて、耐えがたいに違いないと人間的な発想をしたに過ぎないが、招いた人に最大限丁重な扱いをするのは貴族の常識。
その考え方から言えば、招いた人をすぐ帰すのは失礼千万である。ものすごい、聞いたこともないくらいの大失態でもしなければ、追い返すなどと言う真似は絶対しない。こんな失礼なあしらいは聞いたことがない。めちゃくちゃだ。
公爵は、当然、顔色を変えた。息子がわざわざ呼んだ客人を、何らかの人聞きの悪い理由があって追い返した態になってしまう。
しかし、公爵は、ソフィア様の怒った声を聞くと、その都度、ビクついていた。すっかりソフィア様の尻に敷かれているらしい。
威厳たっぷりなあごひげを蓄えた公爵が困った様子で、ごにょごにょと小声でソフィア様を止めようと嘆願していた。
私へのこの扱いが知られれば、今までルイが積み上げてきた、婚約者を大事にしていると言うイメージは木っ端微塵になるんじゃないかしら。
しかし、私は乗っかることにした。
抗議せず、しおしおと公爵家の馬車で送り届けられることにした。ソフィア様は、嫌がらせをした殿下に義侠心から激怒していたのである。
公爵に止める力はないらしかった。
「なんてことでしょう! 自分から婚約を申し出ておいて、他家からも釣書が来ていると本人に見せたがるなんて!」
いや、ほんと、何のためにそんな真似したがるのかしら。
「少し器量がいいと思って、ご令嬢方をいいようにあしらってらっしゃるのですね!」
いい人だ。私はソフィア様がちょびっと好きになった。もっとも宮廷では通用しないだろう。貴族的な常識がなさすぎる。平民ならいい人かも。
でも、もしかして、ソフィア様、ルイ殿下のこと嫌いなの?
私は、殿下が釣書を持って台所に入ってくる寸前に、そんなもの見せられるのはかわいそう過ぎるわ、大急ぎで帰らせてあげて!と叫ぶソフィア様に命じられた御者に連行され、馬車に監禁されて、とっとと伯爵邸に戻ってきた。あとは、知らん。
馬車に揺られて、伯爵邸に戻りながら考えた。
摂政役がルイに回ってくるのはやむなしだった。あの二人では、無理だ。私でもわかる。
奥方の尻に敷かれるのはよくある話だが、あの奥方はさすが元台所の下働きを噂されるだけあって、礼儀作法のカケラもなかった。
公爵も天然モノのボケボケだった。お手上げだ。
この騒ぎを聞いた父は眉間に皺を寄せた。
招いておいて父の公爵が追い返すと言う事態に、さすがの父も対応に困ったらしい。
ふつうはタダでは済まない。知っている者が伯爵家の家族と公爵家の者だけなのが救いだ。これが一般に知られたら、婚約の話は完全に白紙に戻る。
何か口にもできない大失態があったのではと疑われるだろう。
ルイは三時間後に伯爵邸に舞い戻ってきたが、後の祭りで私には会わせてもらえず、客間で父の伯爵に難詰された。
スパイに立候補してきたアリスとメアリと執事が聞き取れないくらいの小声で父とルイ殿下が話していたので、ちょうど友達のお茶会に行っていて帰ってきたばかりの母を公式スパイとして徴用した。
「え? 何が起きているの?」
外出着のまま、母は、私たちの珍妙な様子に驚いて聞いた。
なにせいつもは仰々しい筈の筆頭執事のセバスチャンまでが椅子に乗って、どこから持ち出してきたのか、聴診器をドアにあてていたのである。彼に言わせると、ドアは上の方が薄いと言うのだ。本当かしら。
「殿下が、他家からの釣書がたくさんお手元に届いているので、見るようにと公爵家の別邸に招かれたのですけど」
私が小さな声で報告すると、たちまち母が眉を吊り上げた。
「エクスター公爵が公爵家の問題だから、私が見たがるのはおかしいとおっしゃって」
「それはそうよ。でも、フロレンスが見たいと頼んだわけじゃないのよね?」
「見たくありません」
「見たいわけがないわ。それは誤解だわ、ひどい濡れ衣だわ」
「それで、関係ない私は帰れと言われて戻ってきました」
「呼んでおいて、帰れですって?! 関係ないから帰れですって?」
正常な貴族の奥方の正常な反応だ。
「今、殿下が来られています。父と話しているのですが、何の話をしているのか……」
私がお願いするまでもなく、母は密談中の客間のドアに向かって突進していった。
セバスチャンは、まるで練習でもしてあったかのように、母の動きに合わせて見事な手さばきで椅子をどかして、ドアを全開させ、母は堂々と中へ入っていった。
国王陛下夫妻相手に、どんな話術を使ったのかわからない。
王妃あたりに、外国の王家や国内の有力公爵家あたりの娘と彼が結婚すると、幼少の王子を差し置いて王位を狙われかねないので、国内の格下の令嬢と結婚させた方がよいと誰かにアドバイスさせたのかもしれない。なんかそれっぽいことを言っていた。
国王夫妻は上機嫌で結婚を承認したらしい。父が拍子抜けしていた。
国内の有力他家はウッドハウス家の力を削ぐべく鋭意努力した。ただ、殿下が傍目に見て、頭、おかしいの?くらい溺愛していると言われていた(例の学園での溺愛劇場@食堂その他が功を奏したらしい)ので、殿下に直接話を持っていく者は少なく、父のエクスター公爵が主に狙われた。
「父のところに結婚の申込がたくさん来ていてね」
ルイが、少々物欲しそうに私の顔を見ながら伝えてきた。
「そうですか……」
「僕も時々見ているんだ。肖像画もついてくるんだが、なかなか美しいお嬢さんが多くて。君も見てみる?」
そんなことを聞かされても、嬉しくもなんともない。
「父が暮らしている別邸に行ったことはなかったよね? 一度、一緒に行った方がいいと思っていたんだ」
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釣書を送ってきた側は、まさか私に検分されるとは思っていないんじゃないだろうか。なんだか間が悪いなあと思うが、ルイを止められないので、仕方なくついて行った。
「何? 釣書が見たい?」
ルイは父親の書斎に執事を連れて釣書を捜索しに行ってしまい、私は公爵と愛人のソフィア様がおられる台所に取り残された。
なぜ、台所なんだろう……
台所と言っても、広くて日当たりが良くて、さすが公爵家だけあって豪華な家具類で飾られていた。
多分、パーティを開く場合などに必要な本当の厨房は、別な場所にあって、本物の料理番が別にいるのだろうと思った。
でも、この部屋の見た目はどう見ても台所で、客を招き入れる場所ではない。
それに公爵夫妻ならまだしも、公爵と愛人のいる場所に取り残されるだなんて。何を話したらいいものか。
「いえ。わたくしではなく、ルイ殿下が」
公爵は愛人のソフィア様とくつろいでいたところへ、息子が婚約者連れで乱入したので大いに迷惑したらしかった。
私は恐縮した。ものすごく居心地が悪かった。台所だし。
普通、どこのお屋敷を訪問するにしても、台所に招き入れられることなどない。
客間か食堂か、百歩譲って書斎どまりだ。
「申し訳ございません」
私はソフィア様にも頭を下げた。
この人の出自を私は知らない。元は台所の下働きだったと言う説を聞いたことがあるが、本当だろうか。
年のころは三十半ばを過ぎたくらいだろうか。美人だが、おおらかな、物事を突き詰めて考えないタイプに見えた。公爵の手元に置かれるようになってから十年以上たつはずだが、顔を見た人は少ないのではないだろうか。
「釣書なんぞ、あんたが見たところで意味はなかろう」
「……はい」
「ルイが見たければ、見ればよかろう」
その通りだ。私は黙って頭を下げた。
「だが、あんたが見ることはあるまい。誰を選ぶかはルイの自由なんじゃから」
いちいち正論だが、私が見たかったわけではない。
「グロースター様」
その時、低い声で声がかかった。
ソフィア様だ。
「ウッドハウス嬢が、ほかの女性からの結婚申し込みを見たいわけないでしょ」
私はかすかに頭を上下に振った。その通りである。
公爵は、ソフィア様の低い声になにか動揺したようだった。
「では、なんでここへ来たのかね? 釣書を検分して、破り捨てたいのかとわしは思った」
来たんじゃない。連れてこられたのだ。
「そんなことは、決して致しません」
私はあわてて言った。
「拝見したいとも思いません。どなたを迎え入れるかは、公爵家の問題でございましょう」
「殿下の嫌がらせに違いないです」
ソフィア様が、同じような低い声で言った。ソフィア様、鋭い!
公爵の方は、ソフィア様のその冷たい声を聞くたびに、ギクリとしている。
きっとソフィア様の怒った時の声なんだ。
私も無実を訴えた。
「殿下のお考えは分かりません。殿下にお誘いいただいたので参りましたが、訪問の理由は伺っておりませんでした」
ソフィア様がじっとりとした目つきで公爵を見つめ出した。そして、言った。
「ウッドハウス嬢にお帰り願ったらいいでしょう」
私は目を見張った。
帰らせて欲しいとは思いましたが、まさか本当に帰されるとは思いませんでした。
ソフィア様は、噂通り貴族階級の出ではないようだ。
彼女は、恋人宛ての結婚申し込みを見せられるなんて、耐えがたいに違いないと人間的な発想をしたに過ぎないが、招いた人に最大限丁重な扱いをするのは貴族の常識。
その考え方から言えば、招いた人をすぐ帰すのは失礼千万である。ものすごい、聞いたこともないくらいの大失態でもしなければ、追い返すなどと言う真似は絶対しない。こんな失礼なあしらいは聞いたことがない。めちゃくちゃだ。
公爵は、当然、顔色を変えた。息子がわざわざ呼んだ客人を、何らかの人聞きの悪い理由があって追い返した態になってしまう。
しかし、公爵は、ソフィア様の怒った声を聞くと、その都度、ビクついていた。すっかりソフィア様の尻に敷かれているらしい。
威厳たっぷりなあごひげを蓄えた公爵が困った様子で、ごにょごにょと小声でソフィア様を止めようと嘆願していた。
私へのこの扱いが知られれば、今までルイが積み上げてきた、婚約者を大事にしていると言うイメージは木っ端微塵になるんじゃないかしら。
しかし、私は乗っかることにした。
抗議せず、しおしおと公爵家の馬車で送り届けられることにした。ソフィア様は、嫌がらせをした殿下に義侠心から激怒していたのである。
公爵に止める力はないらしかった。
「なんてことでしょう! 自分から婚約を申し出ておいて、他家からも釣書が来ていると本人に見せたがるなんて!」
いや、ほんと、何のためにそんな真似したがるのかしら。
「少し器量がいいと思って、ご令嬢方をいいようにあしらってらっしゃるのですね!」
いい人だ。私はソフィア様がちょびっと好きになった。もっとも宮廷では通用しないだろう。貴族的な常識がなさすぎる。平民ならいい人かも。
でも、もしかして、ソフィア様、ルイ殿下のこと嫌いなの?
私は、殿下が釣書を持って台所に入ってくる寸前に、そんなもの見せられるのはかわいそう過ぎるわ、大急ぎで帰らせてあげて!と叫ぶソフィア様に命じられた御者に連行され、馬車に監禁されて、とっとと伯爵邸に戻ってきた。あとは、知らん。
馬車に揺られて、伯爵邸に戻りながら考えた。
摂政役がルイに回ってくるのはやむなしだった。あの二人では、無理だ。私でもわかる。
奥方の尻に敷かれるのはよくある話だが、あの奥方はさすが元台所の下働きを噂されるだけあって、礼儀作法のカケラもなかった。
公爵も天然モノのボケボケだった。お手上げだ。
この騒ぎを聞いた父は眉間に皺を寄せた。
招いておいて父の公爵が追い返すと言う事態に、さすがの父も対応に困ったらしい。
ふつうはタダでは済まない。知っている者が伯爵家の家族と公爵家の者だけなのが救いだ。これが一般に知られたら、婚約の話は完全に白紙に戻る。
何か口にもできない大失態があったのではと疑われるだろう。
ルイは三時間後に伯爵邸に舞い戻ってきたが、後の祭りで私には会わせてもらえず、客間で父の伯爵に難詰された。
スパイに立候補してきたアリスとメアリと執事が聞き取れないくらいの小声で父とルイ殿下が話していたので、ちょうど友達のお茶会に行っていて帰ってきたばかりの母を公式スパイとして徴用した。
「え? 何が起きているの?」
外出着のまま、母は、私たちの珍妙な様子に驚いて聞いた。
なにせいつもは仰々しい筈の筆頭執事のセバスチャンまでが椅子に乗って、どこから持ち出してきたのか、聴診器をドアにあてていたのである。彼に言わせると、ドアは上の方が薄いと言うのだ。本当かしら。
「殿下が、他家からの釣書がたくさんお手元に届いているので、見るようにと公爵家の別邸に招かれたのですけど」
私が小さな声で報告すると、たちまち母が眉を吊り上げた。
「エクスター公爵が公爵家の問題だから、私が見たがるのはおかしいとおっしゃって」
「それはそうよ。でも、フロレンスが見たいと頼んだわけじゃないのよね?」
「見たくありません」
「見たいわけがないわ。それは誤解だわ、ひどい濡れ衣だわ」
「それで、関係ない私は帰れと言われて戻ってきました」
「呼んでおいて、帰れですって?! 関係ないから帰れですって?」
正常な貴族の奥方の正常な反応だ。
「今、殿下が来られています。父と話しているのですが、何の話をしているのか……」
私がお願いするまでもなく、母は密談中の客間のドアに向かって突進していった。
セバスチャンは、まるで練習でもしてあったかのように、母の動きに合わせて見事な手さばきで椅子をどかして、ドアを全開させ、母は堂々と中へ入っていった。
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