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第25話 婚約発表!
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ごとごとと馬車が動き出す。
隣には同じように正装に身を包んだロアン様。気のせいか、ずっとこっちを向いて座っている。目が合ってしまうので、仕方なくて窓の外を見ている。
ドレスに着替えた私を見て、ロアン様はゴボゴボ咳き込んでいた。それから足早に部屋に入ってくると、手を取って「急ごう」とかなんとか言い出した。そのあとはずっとチラチラ見まわしているので、なんだか怖い。
誰のパーティで会場はどこなのか。
伯爵家の令息ロアン様が出席されると言うなら、それ相応のパーティだと思うけど。
「モレル様」
「ロアンと呼んでくれ」
いや、伯爵家の令息に失礼ですから。
「会場はどちらでしょうか」
「俺んちだ」
ちょっと待って?
「モレル伯爵邸ですか?」
「そうだ。本邸の方だ」
わあああああ。伯爵家主催のパーティ? そんなパーティで、伯爵家の令息が女性を連れてきて婚約者だと言い出したら、冗談で済まなくなる。
「安心しろ。主催者は伯爵ではない。俺だ。幸い両親は旅行中なんだ」
幸い? 私はロアン様の顔を目の玉が飛び出るほど見つめた。ますますダメじゃない!
ロアン様はちょっと照れた。照れる場面か?
「まだ、正式に両親に紹介していないので、気づまりかなと思って、そこは心遣いした。俺主催にした方がいいだろう。お前の両親もまだ戻ってきていないし」
その心遣いは心遣いなのか? ほかに方法がありそうなもんだけど?
「ご両親が戻ってきてからパーティをすればいいのでは」
私は途切れ途切れに言い出したが、全否定された。
「今すぐのパーティーじゃないとダメだ。この間も説明したろう。この二週間が危険なんだ」
えらい力の入れようなので、口を挟めなかった。
「俺が婚約者に名乗り出れば、ジェロームなど声もかけられなくなる。そのためのパーティ出席だ」
ふはははは……とロアン様は満足げに笑ったが、私は全然笑えなかった。
パーティ会場には、ほかの参加者と同様に馬車で乗り入れた。主催者だけど。
「なるほど。坊ちゃまがお選びになるだけあって、本当にお美しい」
ロアン様、黙る。どうしてそこで寡黙になるの? 私の前ではあんなにぺらぺらしゃべっているのに。
私、美人ではないし、ロアン様の隣だなんて恥ずかしいわ。きっとあちこちの令嬢からクレームがつくと思うわ! 不釣り合いだって。
家臣?一同がお屋敷のお坊ちゃまと、その付属物(私のことだ)をうやうやしく迎え入れた。もう、針の筵、いたたまれない。私は平民なのに。
主人がいなくてもパーティの準備が滞りなく出来るくらい使用人が優秀らしい。さすが伯爵家。
大きな広間はざわざわ人声がして、すでに人が入っているらしい。緊張するわ。
訳知り顔の執事が広間のドアを開ける。
光が明るい! 大勢の人たちが見ている。全員見ている。
私は手を引かれて、広間へ入った。
声が通る執事が声を張って私たちを紹介した。
「お集まりの皆様。お待たせいたしました」
ざわめきが広がり、会場の全員が私たちを見た。視線が痛い!
隣には同じように正装に身を包んだロアン様。気のせいか、ずっとこっちを向いて座っている。目が合ってしまうので、仕方なくて窓の外を見ている。
ドレスに着替えた私を見て、ロアン様はゴボゴボ咳き込んでいた。それから足早に部屋に入ってくると、手を取って「急ごう」とかなんとか言い出した。そのあとはずっとチラチラ見まわしているので、なんだか怖い。
誰のパーティで会場はどこなのか。
伯爵家の令息ロアン様が出席されると言うなら、それ相応のパーティだと思うけど。
「モレル様」
「ロアンと呼んでくれ」
いや、伯爵家の令息に失礼ですから。
「会場はどちらでしょうか」
「俺んちだ」
ちょっと待って?
「モレル伯爵邸ですか?」
「そうだ。本邸の方だ」
わあああああ。伯爵家主催のパーティ? そんなパーティで、伯爵家の令息が女性を連れてきて婚約者だと言い出したら、冗談で済まなくなる。
「安心しろ。主催者は伯爵ではない。俺だ。幸い両親は旅行中なんだ」
幸い? 私はロアン様の顔を目の玉が飛び出るほど見つめた。ますますダメじゃない!
ロアン様はちょっと照れた。照れる場面か?
「まだ、正式に両親に紹介していないので、気づまりかなと思って、そこは心遣いした。俺主催にした方がいいだろう。お前の両親もまだ戻ってきていないし」
その心遣いは心遣いなのか? ほかに方法がありそうなもんだけど?
「ご両親が戻ってきてからパーティをすればいいのでは」
私は途切れ途切れに言い出したが、全否定された。
「今すぐのパーティーじゃないとダメだ。この間も説明したろう。この二週間が危険なんだ」
えらい力の入れようなので、口を挟めなかった。
「俺が婚約者に名乗り出れば、ジェロームなど声もかけられなくなる。そのためのパーティ出席だ」
ふはははは……とロアン様は満足げに笑ったが、私は全然笑えなかった。
パーティ会場には、ほかの参加者と同様に馬車で乗り入れた。主催者だけど。
「なるほど。坊ちゃまがお選びになるだけあって、本当にお美しい」
ロアン様、黙る。どうしてそこで寡黙になるの? 私の前ではあんなにぺらぺらしゃべっているのに。
私、美人ではないし、ロアン様の隣だなんて恥ずかしいわ。きっとあちこちの令嬢からクレームがつくと思うわ! 不釣り合いだって。
家臣?一同がお屋敷のお坊ちゃまと、その付属物(私のことだ)をうやうやしく迎え入れた。もう、針の筵、いたたまれない。私は平民なのに。
主人がいなくてもパーティの準備が滞りなく出来るくらい使用人が優秀らしい。さすが伯爵家。
大きな広間はざわざわ人声がして、すでに人が入っているらしい。緊張するわ。
訳知り顔の執事が広間のドアを開ける。
光が明るい! 大勢の人たちが見ている。全員見ている。
私は手を引かれて、広間へ入った。
声が通る執事が声を張って私たちを紹介した。
「お集まりの皆様。お待たせいたしました」
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