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第15話 思い込み。三人三様。
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私は、結婚後、初めて旦那様の顔をしっかり見たように思う。
私が顔を隠さなくてはいけないような事情も無くなった。
旦那様が探している花嫁は私ではない。いわば、私は部外者だ。まあ、旦那様の誤解の被害者でもあるけれど。
だから、この度、初めて冷静に旦那様の顔を見た。
なるほど。
ちょっと頑固そう。個性のはっきりしているタイプだ。だが、頭はよさそうだ。思い込みで行動するようには見えないけれど?
同時に、どうしてこれまで相手がいなかったのか不思議に思った。
顔に難がなくて、子爵家出身の新進気鋭の騎士様なら、引く手数多だったろうに。ちょっとイカつい体つきではあるけれど。
気の毒に。変な思い込みで困った羽目に陥ってしまったのね。
この方、いい方ですのよ。
私は世界中の女性にお知らせしてあげたい気分だった。
私のようなあまりぱっとしない女性でも、丁重に扱ってくださいました。誰に対してもやさしい礼儀正しい方ですの。結婚しないだなんて、勿体ないわ。
「旦那様、こんな格好では外に出られません。私は、うちにいて旦那様が気に入ったという女性を探すお手伝いをいたしますわ。今回は完璧な調査をいたします」
「どうしてそうなるの? シャーロット!」
旦那様が叫んだ。
どういう意味で言っているのかわからないけど、私に対して正直に話してくれているらしい。それには、安心した。
私も少し打ち解けて、説明した。
「マーガレット様からお手紙をいただきました。事情はわかりました。あの場にいた誰かに強く心を惹かれたという訳ですね」
私はにっこりした。
考えてみれば、微笑ましい話だ。
初恋の人を探す……まあ、初恋ではないかも知れないけど、ロマンチックじゃない。
このシャーロット、人探しに経験はありませんが、マーガレット様の下で数々の敵方の情報収集に手腕を発揮してまいりました。
この度は、お世話になった旦那様のために、力一杯尽力させていただきます。
「ねえ、どうしてそれがあなたじゃないと言い出す訳?」
私は、またもやにっこりした。
旦那様をはじめ、殿方の性向は良く存じ上げている。旦那様が、ご自分では自覚していらっしゃらない心の奥底までも。
こんなことをおっしゃっても、それは本心ではない。
生意気な女、男に口答えするような女、キャンキャン文句をいう女、これらは全て嫌われる。
そして、最も嫌われるのは、賢しげに正論を披露する女。つまり、私だ。
真実や正論は、好まれない。ましてや女性の口から出た場合は。
必ず男はカチンとくる。
その張本人だと知られたくない。
せめて人違いで別れたい。
それならこれから改めたらって?
姉と母にしょっちゅう説教されています。
私は、曲がったことが嫌いで、つい、口に出してしまう。口に出さなくても、気にする。
マーガレット様だって、曲がったことはお嫌いなのだが、そこは大貴族の姫君様、指摘する時も、あたかも可愛らしい姫君がワガママ言ってるみたいに見せかける術を心得ておられる。(実は鋭い指摘なんだけど)
男性もついうっかり耳を傾けてしまう。
あれだけの美女だからこそ、できる技だと思う。私のように貧相な胸と平凡際まりないご面相での女では、どんな男も耳も貸さないだろう。
私は、ニッコリ笑って答えない戦法に出てみた。
しかし、てっきり、ちゃんと返事しろと怒られるかと思ったのだが、意外なことに旦那様は、ちょっと目を逸らして、話題を変えた。
「外出着でなければ、確かに困るな」
うまく話が元に戻ったので、その通りでございますと軽く目礼した。
わかっていただけたのなら、今度、旦那様も私の部屋のドアを押す手伝いをしてくれるといいんだけど。
ちょっと期待を込めて、私は旦那様の顔を見たが、私の部屋のドアの件なんか全然考えていないようだった。
旦那様の体重と力があれば、私の力でつくったバリケードなんか、すぐに解決でできると思うんだけどな。
バリケードを築いてしまったのは、自分なので、敵であるメアリとアンはもちろん、セバスにも旦那様にも手伝いを頼めない。
実家に手紙を書いて、お姉さまの古着があれば、それを持ってきてもらおう。大根の調査のためではなく、女学院のメンバーの調査に外出する時は、さすがに必要だ。
旦那様は腕組みをして考えていたが、突然言い出した。
「ううむ。仕方ないな。メアリに頼むか」
「メアリなら、大根価格に詳しいですわね」
私にはめちゃくちゃ不利な選択だけど。
メアリは旦那様を野菜の高級店に連れて行って、説得しにかかるだろう。
だけど、まあ、仕方ない。勘違い婚の誤解が解けた今、旦那様が離婚を切り出すことは覚悟が出来ていた。
「メアリの服を借りよう。市場まで行くだけだ。使用人の服でも十分だろう」
聞き違いかと思った。
なんですって?
「え? ちょっと待ってください。使用人の格好をするのですか?」
使用人の格好でも別にかまやしない。ただ、メアリの服は嫌だ。
メアリだって嫌だろう。
今日はメアリの嘘を確認するために外出するのだ。
彼女は私のことを嫌っていると思う。あんなことを言われたのだもの。値段を誤魔化しているって。
本当に、ごまかしていたから文句は言えないはずだけど、気分は悪いだろう。
だから、服を貸すだなんて、絶対嫌がると思う。
「仕方ないだろう。アンの服では入らない」
思わずムッとした。
アンは細いのである。だから私には入らない……のだが、アンはそもそも私より十センチほど背が低い。当然服も小さい。入る訳がないじゃないか。
「奥様は大柄で、胸はとにかくウエストもお尻も足も太うございますから」
アンがそう言いながら、メアリの服を持ってきた。
「メアリの服は余裕めに作ってあるので、さすがに大きいかもしれませんが……」
メアリも私よりだいぶ背が低い。だが太っているので横幅だけは入る。問題は丈だ。せりあがってしまう。
「それでいい」
旦那様は急いでいるらしく、まだ何か言いたげなアンを追い出した。
アンは、旦那様の上半身をねっとりした目つきで眺めていた。ちょっと頬を染めて、旦那様のお着替えを、お手伝いいいたしましょうかとか言っているのが聞こえてしまった。
「奥様のお着替えを手伝いたまえ」
「まあ、失礼いたしました。それではもう戻りますわ」
まあ、この家にいる期間はそう長くないと思うので、どうでも良いが、模範的な使用人とは言い難いのではないだろうか。
旦那様は衣裳室の中に隠れて着替えて、私はベッドの天蓋に隠れて一人で着替えた。
使用人の服だから、着脱は簡単なのだ。
アンはその辺をぶらぶらしていた。早く、台所に戻ればいいのに。
「おや。意外によく似合うね」
使用人服がお似合いだなんて、どういう意味だろう。これには本能的にムカッとしたが、黙っておいた。どうせもう長い付き合いではない。我慢我慢。
「奥様には本当にお似合いですわ」
ただそれだけのセリフだが、アンの言い方には果てしない侮蔑が含まれていた。
大事にされない奥様というのは、こんなものなのだろう。離婚秒読みだし。
アンの使用人服は、使用人服の制約が許す限り、派手で可愛らしかった。相当お金もかかっていた。
メアリのは、身分相応というか、料理女が普通に着るような服だった。手入れはよくされていたが、ところどころシミや焼け焦げがあるのは、いかにも料理女らしい。
私は、大根問題はとにかく、それ以外はメアリはよくやっているのではないかと思った。服の焼け焦げは丁寧に繕ってあったし、きれいに洗濯してあった。
「お供いたしますわ」
アンが言った。
さすがに私は驚いた。
大根価格の高騰を言い出したのはメアリであって、アンではない。食料品の買い付けもメアリの仕事だ。アンは関係ない。
「市場なんて、奥様は何も知らないでしょう。それに比べて私はよく知っております」
アンは、旦那様に向かって、ちょっと媚びるように話しかけた。
なかなかかわいらしい娘だ、と私は思った。確かに男なら、こちらを好むだろう。いちいち私を下げる発言にはムカつくが。
「あのう、旦那様……」
私は口を挟んだ。
そのとたん、アンは、黙れ、この女という目つきでギロリと私を睨んだ。
「奥様は、ご自宅に残っていてはどうですか? その格好では、旦那様がお気の毒ですし」
どうも料理女の格好というのは、威厳も何も粉砕するらしい。見た目、私は貧しい使用人にしか見えない。
「いや、中身は私の妻だ。格好なんかどうでもいい。お前は台所に早く戻れ」
相当イラついた様子の旦那様が命令した。
「「でも、旦那様」」
なぜか、アンと私の声が被った。
アンは私を睨むと、私より一歩前に出て、手で私を抑えるような身振りをした。
「奥様は何もできませんわ……」
「アンを連れて行かれてはどうですか?」
今度は、アンはびっくりした様子で私を見た。
私は、全く平静だった。
アンは私が怒るとでも思っていたのだろうか。
「私は外出着もありませんし、市場の場所も分かりません。アンなら知っているでしょう」
「知ってはいるけど、平民だからって、侮蔑しないでくださいね。同じ人間です」
アンが小さい声で挑んできた。
やっと理解できた。旦那様のことが好きなのか。
それは微妙。果てしなく微妙。なぜなら、私は、旦那様の真の恋人を探す手伝いをするために、自宅に残りたいのよ。
つまり、私を家に残すと、それだけあなたの恋が成就する可能性は低くなる。それでも、旦那様と一緒に出かけたいですか?
私たちが睨み合いをしていると、突然、旦那様が私の腕を掴んだ。
「さあ、出かけよう!」
私が顔を隠さなくてはいけないような事情も無くなった。
旦那様が探している花嫁は私ではない。いわば、私は部外者だ。まあ、旦那様の誤解の被害者でもあるけれど。
だから、この度、初めて冷静に旦那様の顔を見た。
なるほど。
ちょっと頑固そう。個性のはっきりしているタイプだ。だが、頭はよさそうだ。思い込みで行動するようには見えないけれど?
同時に、どうしてこれまで相手がいなかったのか不思議に思った。
顔に難がなくて、子爵家出身の新進気鋭の騎士様なら、引く手数多だったろうに。ちょっとイカつい体つきではあるけれど。
気の毒に。変な思い込みで困った羽目に陥ってしまったのね。
この方、いい方ですのよ。
私は世界中の女性にお知らせしてあげたい気分だった。
私のようなあまりぱっとしない女性でも、丁重に扱ってくださいました。誰に対してもやさしい礼儀正しい方ですの。結婚しないだなんて、勿体ないわ。
「旦那様、こんな格好では外に出られません。私は、うちにいて旦那様が気に入ったという女性を探すお手伝いをいたしますわ。今回は完璧な調査をいたします」
「どうしてそうなるの? シャーロット!」
旦那様が叫んだ。
どういう意味で言っているのかわからないけど、私に対して正直に話してくれているらしい。それには、安心した。
私も少し打ち解けて、説明した。
「マーガレット様からお手紙をいただきました。事情はわかりました。あの場にいた誰かに強く心を惹かれたという訳ですね」
私はにっこりした。
考えてみれば、微笑ましい話だ。
初恋の人を探す……まあ、初恋ではないかも知れないけど、ロマンチックじゃない。
このシャーロット、人探しに経験はありませんが、マーガレット様の下で数々の敵方の情報収集に手腕を発揮してまいりました。
この度は、お世話になった旦那様のために、力一杯尽力させていただきます。
「ねえ、どうしてそれがあなたじゃないと言い出す訳?」
私は、またもやにっこりした。
旦那様をはじめ、殿方の性向は良く存じ上げている。旦那様が、ご自分では自覚していらっしゃらない心の奥底までも。
こんなことをおっしゃっても、それは本心ではない。
生意気な女、男に口答えするような女、キャンキャン文句をいう女、これらは全て嫌われる。
そして、最も嫌われるのは、賢しげに正論を披露する女。つまり、私だ。
真実や正論は、好まれない。ましてや女性の口から出た場合は。
必ず男はカチンとくる。
その張本人だと知られたくない。
せめて人違いで別れたい。
それならこれから改めたらって?
姉と母にしょっちゅう説教されています。
私は、曲がったことが嫌いで、つい、口に出してしまう。口に出さなくても、気にする。
マーガレット様だって、曲がったことはお嫌いなのだが、そこは大貴族の姫君様、指摘する時も、あたかも可愛らしい姫君がワガママ言ってるみたいに見せかける術を心得ておられる。(実は鋭い指摘なんだけど)
男性もついうっかり耳を傾けてしまう。
あれだけの美女だからこそ、できる技だと思う。私のように貧相な胸と平凡際まりないご面相での女では、どんな男も耳も貸さないだろう。
私は、ニッコリ笑って答えない戦法に出てみた。
しかし、てっきり、ちゃんと返事しろと怒られるかと思ったのだが、意外なことに旦那様は、ちょっと目を逸らして、話題を変えた。
「外出着でなければ、確かに困るな」
うまく話が元に戻ったので、その通りでございますと軽く目礼した。
わかっていただけたのなら、今度、旦那様も私の部屋のドアを押す手伝いをしてくれるといいんだけど。
ちょっと期待を込めて、私は旦那様の顔を見たが、私の部屋のドアの件なんか全然考えていないようだった。
旦那様の体重と力があれば、私の力でつくったバリケードなんか、すぐに解決でできると思うんだけどな。
バリケードを築いてしまったのは、自分なので、敵であるメアリとアンはもちろん、セバスにも旦那様にも手伝いを頼めない。
実家に手紙を書いて、お姉さまの古着があれば、それを持ってきてもらおう。大根の調査のためではなく、女学院のメンバーの調査に外出する時は、さすがに必要だ。
旦那様は腕組みをして考えていたが、突然言い出した。
「ううむ。仕方ないな。メアリに頼むか」
「メアリなら、大根価格に詳しいですわね」
私にはめちゃくちゃ不利な選択だけど。
メアリは旦那様を野菜の高級店に連れて行って、説得しにかかるだろう。
だけど、まあ、仕方ない。勘違い婚の誤解が解けた今、旦那様が離婚を切り出すことは覚悟が出来ていた。
「メアリの服を借りよう。市場まで行くだけだ。使用人の服でも十分だろう」
聞き違いかと思った。
なんですって?
「え? ちょっと待ってください。使用人の格好をするのですか?」
使用人の格好でも別にかまやしない。ただ、メアリの服は嫌だ。
メアリだって嫌だろう。
今日はメアリの嘘を確認するために外出するのだ。
彼女は私のことを嫌っていると思う。あんなことを言われたのだもの。値段を誤魔化しているって。
本当に、ごまかしていたから文句は言えないはずだけど、気分は悪いだろう。
だから、服を貸すだなんて、絶対嫌がると思う。
「仕方ないだろう。アンの服では入らない」
思わずムッとした。
アンは細いのである。だから私には入らない……のだが、アンはそもそも私より十センチほど背が低い。当然服も小さい。入る訳がないじゃないか。
「奥様は大柄で、胸はとにかくウエストもお尻も足も太うございますから」
アンがそう言いながら、メアリの服を持ってきた。
「メアリの服は余裕めに作ってあるので、さすがに大きいかもしれませんが……」
メアリも私よりだいぶ背が低い。だが太っているので横幅だけは入る。問題は丈だ。せりあがってしまう。
「それでいい」
旦那様は急いでいるらしく、まだ何か言いたげなアンを追い出した。
アンは、旦那様の上半身をねっとりした目つきで眺めていた。ちょっと頬を染めて、旦那様のお着替えを、お手伝いいいたしましょうかとか言っているのが聞こえてしまった。
「奥様のお着替えを手伝いたまえ」
「まあ、失礼いたしました。それではもう戻りますわ」
まあ、この家にいる期間はそう長くないと思うので、どうでも良いが、模範的な使用人とは言い難いのではないだろうか。
旦那様は衣裳室の中に隠れて着替えて、私はベッドの天蓋に隠れて一人で着替えた。
使用人の服だから、着脱は簡単なのだ。
アンはその辺をぶらぶらしていた。早く、台所に戻ればいいのに。
「おや。意外によく似合うね」
使用人服がお似合いだなんて、どういう意味だろう。これには本能的にムカッとしたが、黙っておいた。どうせもう長い付き合いではない。我慢我慢。
「奥様には本当にお似合いですわ」
ただそれだけのセリフだが、アンの言い方には果てしない侮蔑が含まれていた。
大事にされない奥様というのは、こんなものなのだろう。離婚秒読みだし。
アンの使用人服は、使用人服の制約が許す限り、派手で可愛らしかった。相当お金もかかっていた。
メアリのは、身分相応というか、料理女が普通に着るような服だった。手入れはよくされていたが、ところどころシミや焼け焦げがあるのは、いかにも料理女らしい。
私は、大根問題はとにかく、それ以外はメアリはよくやっているのではないかと思った。服の焼け焦げは丁寧に繕ってあったし、きれいに洗濯してあった。
「お供いたしますわ」
アンが言った。
さすがに私は驚いた。
大根価格の高騰を言い出したのはメアリであって、アンではない。食料品の買い付けもメアリの仕事だ。アンは関係ない。
「市場なんて、奥様は何も知らないでしょう。それに比べて私はよく知っております」
アンは、旦那様に向かって、ちょっと媚びるように話しかけた。
なかなかかわいらしい娘だ、と私は思った。確かに男なら、こちらを好むだろう。いちいち私を下げる発言にはムカつくが。
「あのう、旦那様……」
私は口を挟んだ。
そのとたん、アンは、黙れ、この女という目つきでギロリと私を睨んだ。
「奥様は、ご自宅に残っていてはどうですか? その格好では、旦那様がお気の毒ですし」
どうも料理女の格好というのは、威厳も何も粉砕するらしい。見た目、私は貧しい使用人にしか見えない。
「いや、中身は私の妻だ。格好なんかどうでもいい。お前は台所に早く戻れ」
相当イラついた様子の旦那様が命令した。
「「でも、旦那様」」
なぜか、アンと私の声が被った。
アンは私を睨むと、私より一歩前に出て、手で私を抑えるような身振りをした。
「奥様は何もできませんわ……」
「アンを連れて行かれてはどうですか?」
今度は、アンはびっくりした様子で私を見た。
私は、全く平静だった。
アンは私が怒るとでも思っていたのだろうか。
「私は外出着もありませんし、市場の場所も分かりません。アンなら知っているでしょう」
「知ってはいるけど、平民だからって、侮蔑しないでくださいね。同じ人間です」
アンが小さい声で挑んできた。
やっと理解できた。旦那様のことが好きなのか。
それは微妙。果てしなく微妙。なぜなら、私は、旦那様の真の恋人を探す手伝いをするために、自宅に残りたいのよ。
つまり、私を家に残すと、それだけあなたの恋が成就する可能性は低くなる。それでも、旦那様と一緒に出かけたいですか?
私たちが睨み合いをしていると、突然、旦那様が私の腕を掴んだ。
「さあ、出かけよう!」
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