148 / 185
サジシーム
第148話 領地の争奪戦(ロンゴバルト側)
しおりを挟む
ザイードたちが戻ってきたら、領地の争奪戦が始まるのだろう。
だが、もともとダリアの事情には詳しくないので、領地を手にしたところで、うまく収益を上げる方法を知らないはずだった。
ダリアに詳しいサジシーム自身、いや、詳しいからこそ、領地経営は難しいと考えていた。ザイードなんか、無理に決まっている。
「どこの地域が一番得かとか、そう言った問題でもめ始めて、疑心暗鬼になるのではないでしょうか」
もうサジシームはお手上げだった。
メフメトの後釜として、権利を主張したくても、王と王妃の首印をあげた者が、一番の権利を主張できる論理にすり替わっている時点で無理だった。
「まあ、誰も知らないとは思いますが、結局、身代金をせしめたのはサジシーム様ですから。領地よりそちらの方が実際には得でございます」
マシムは落ち着き払って言った。
保守的なマシムとしては、サジシームの奇想天外なやり方に不安をぬぐいきれなかったのだ。
今、こうして出陣して行く様を見ていると、これはロンゴバルトの伝統的なやり方で、全く安心できた。戦利品の分け方も伝統的な方法で分けられていくのだろうし、マシムは異存なかった。
だが、サジシームは落ち着きなく様子をうかがっていた。
早い者は日が落ちる前から、多くの者は暗くなってからバラバラに戻ってきた。
ザイードは、日が落ちて、かなりたってから帰ってきて、臣下のリエンチャが王と王妃の首を取ったと告げた。
「簡単に見つかり、誰も抵抗しなかった。お前の言う通りだったよ。問題は、城の中の探索だった。お前を連れて行けばよかった。どこに何があるのかわからず、苦労した。明日は、お前も来い。宝石類をどこかに隠しているのかもしれん。まだ、火はつけるなと命じてある」
ザイードはそれでもまあまあの機嫌で、金の鎖や誰のものともわからない指輪などを次々に見せてくれた。
「お付きの貴族どもも、皆殺しだ。本当に守備兵を置いていなかったな。のんきな連中だ。バカなのか? ダリアのやつらは」
守備隊はサジシームなのだが、まさか、今それを説明するわけにはいかなかった。
ザイードは、単細胞かもしれないが、頭が回らないわけではない。
守備隊をサジシームが請け負っていたと聞いたら、裏切り者と言いだすかもしれない。少なくとも、ダリア王にそれだけ信用されていたということには気がつくだろう。
「王も王妃も簡単じゃった。それどころかわしに縋りつくのじゃ。王太子は無事かと」
「それは……」
ザイードは高笑いした。
「あのファン島に女どもと閉じ込められていた豚のような男のことだろう。わしは、よう知らなんだがのう。途中でファン島に停泊した時、あまりに目ざわりなので、吊るしてきたわ」
「つ、吊るしてきた?」
サジシームは耳を疑った。
「そうともさ。あのような気味の悪い、ものもはっきり言わぬ男は、わしは大嫌いじゃ。剣を使うのも勿体ない。そこらの革ひもで、窓から吊るしておいた。女どもが大騒ぎしておった」
「それは……死んだということですか?」
ザイードはサジシームの異様な反応に気付いて、じろりとサジシームを見た。
「死んだろうな。それがどうした。メフメトを殺されたのじゃ。命で贖わせて当然じゃ。王と王妃は何やら叫んでおったが、知ったことではない。自分の命の心配をした方がよいものを」
ザイードは手にした鞭で、石畳をたたき、ピシピシ音を立てながら砦の外にある自分の住処-テントへ帰って行った。彼らの軍勢は砂漠にテントを張り、そこで暮らすライフスタイルにすっかり慣れているので、砦の中に住もうとしなかったのだ。
後には、あまりのことに呆然としたサジシームが残った。
彼の手には今や、何のカードも残されてはいなかった。
王と王妃が健在なら、王太子は彼らが死ぬまでカードとして使えるはずだった。
ロンゴバルトの女と結婚させて、子どもができれば、サジシームは摂政としてこの国を支配するつもりだった。
何もかもむちゃくちゃになってしまった。
砦には、新たなロンゴバルトの首長連中が到着していた。
後続の連中は、すでに戦いは終わったと聞いてがっかりした様子だったが、城はとにかく、カプトルの町はまだ手付かずだと聞いて、明日はそちらへ攻め入ろうと相談していた。
「メフメトの敵を討ったのはわしじゃ。ダリアの王領はわしのものじゃ」
「砦や下準備、連絡や契約を結んだのはサジシームじゃろう。おぬし一人の手柄なわけがあるまい」
「いや待て。そもそもダリアの王領とは、どこにどれだけあるのじゃ」
ヒゲもじゃで、それぞれ不揃いな部族の衣装に身を固めた男たちが、一斉にサジシームの方を振り返った。
サジシームは黙って地図を広げた。
字の読めない者、老眼の者には、全く意味をなさない紙だった。彼らには地図の概念があまりなかった。
「それで、これが、何なのじゃ」
「この赤く塗られた部分が王領です」
「ほおお?」
「結構な面積だな」
彼らは地図をじっくり見つめたが、尋ねた。
「それで、ここから何が獲れる?」
「麦やマメとか、リンゴ、牧草ですね」
「……悪くはないが、ロンゴバルトに持ってくるまでに腐りそうだ」
「売って金に換えるといいと思います」
ザイードは、ちょっと呆然とした顔になった。
ロンゴバルトには、物々交換以外市場がなかったので、貨幣に換えると言う意味が良く分からなかったのだろう。
ああ……とサジシームはため息をついた。
彼の故郷はロンゴバルトだった。
生活は単純で、戒律は厳しかった。昼は暑く、夜は寒い。
食堂や宿、ベルブルグのような歓楽街は存在しなかった。金さえ出せば、たいていどんな要望にも応えてくれるダリアの都市とはわけが違う。
一度、ダリアで暮らしてしまうと、そして金があれば、その魅力に取りつかれてしまう。自由で勝手気ままで、誰からも干渉されない暮らしは、サジシームにとって麻薬のようだった。
彼の故郷のロンゴバルトとは、あまりにもかけ離れている。
祖国を変えるか、ダリアに住むか。
一方、サジシームと違い、ダリアの魅力を解さないメフメトがダリアに強い興味を示したのはレイビックのせいだった。金が採れるからだ。
首長たちが知らないのは勿怪の幸いだった。でなければ、今頃、レイビックへ出陣すると大騒ぎになっているはずだった。サジシームは、ほっとしていた。
「ダリアには金山があると聞いたが?」
誰かが大声で叫んだ。
「金山?」
「黄金か?」
彼らは地図に押し寄せた。
「サジシーム! 金が採れるのはどこなのだ?」
ザイードの目が血走っていた。
サジシームは、指で北の果てを指した。
「レイビック」
赤く塗られていない場所だった。
「王領ではないのか?」
「ええ」
「誰の所領だ?」
「レイビック伯爵」
「ここからどれくらいかかる?」
「十四日程度」
「ううむ。遠いな」
彼らは考えた。
「しかし、ダリアの連中はマヌケだ。守備兵も置かないし、ファン島だってロンゴバルトにくれたくらいだ」
ザイードの視線は広間に並べられた机のうえに、無造作に置かれたいくつかの首桶の方へ漂っていった。
王と王妃、ウェルケウェ伯爵や、何人か名前を知っている貴族たちが首だけになって、桶にしまい込まれていた。
王と王妃たちは、サジシームに騙されたとか、そんなことを考える間もなかったろう。あっという間に見つかり、何の容赦もなく殺されてしまったのだろう。
「少し遠いが、ダリア兵は弱いから問題にならん。悪い話ではないな」
「しかし、あそこは悪霊の地では……」
誰かが言い、ザイードは血走った目をそちらに向けた。
「悪霊の地?」
「レイバイクだ」
「まさか。では、このレイビック伯爵が悪霊だとでもいうのか?」
「鋼鉄の騎士の生まれ故郷です」
サジシームが答えた。
十五年前の戦いの時のことはことは、ロンゴバルトの皆が知っていた。若い連中も、話は聞いていた。
ザイードが黙った。
鋼鉄の騎士は彼らにとって、悪夢だった。
だが、もともとダリアの事情には詳しくないので、領地を手にしたところで、うまく収益を上げる方法を知らないはずだった。
ダリアに詳しいサジシーム自身、いや、詳しいからこそ、領地経営は難しいと考えていた。ザイードなんか、無理に決まっている。
「どこの地域が一番得かとか、そう言った問題でもめ始めて、疑心暗鬼になるのではないでしょうか」
もうサジシームはお手上げだった。
メフメトの後釜として、権利を主張したくても、王と王妃の首印をあげた者が、一番の権利を主張できる論理にすり替わっている時点で無理だった。
「まあ、誰も知らないとは思いますが、結局、身代金をせしめたのはサジシーム様ですから。領地よりそちらの方が実際には得でございます」
マシムは落ち着き払って言った。
保守的なマシムとしては、サジシームの奇想天外なやり方に不安をぬぐいきれなかったのだ。
今、こうして出陣して行く様を見ていると、これはロンゴバルトの伝統的なやり方で、全く安心できた。戦利品の分け方も伝統的な方法で分けられていくのだろうし、マシムは異存なかった。
だが、サジシームは落ち着きなく様子をうかがっていた。
早い者は日が落ちる前から、多くの者は暗くなってからバラバラに戻ってきた。
ザイードは、日が落ちて、かなりたってから帰ってきて、臣下のリエンチャが王と王妃の首を取ったと告げた。
「簡単に見つかり、誰も抵抗しなかった。お前の言う通りだったよ。問題は、城の中の探索だった。お前を連れて行けばよかった。どこに何があるのかわからず、苦労した。明日は、お前も来い。宝石類をどこかに隠しているのかもしれん。まだ、火はつけるなと命じてある」
ザイードはそれでもまあまあの機嫌で、金の鎖や誰のものともわからない指輪などを次々に見せてくれた。
「お付きの貴族どもも、皆殺しだ。本当に守備兵を置いていなかったな。のんきな連中だ。バカなのか? ダリアのやつらは」
守備隊はサジシームなのだが、まさか、今それを説明するわけにはいかなかった。
ザイードは、単細胞かもしれないが、頭が回らないわけではない。
守備隊をサジシームが請け負っていたと聞いたら、裏切り者と言いだすかもしれない。少なくとも、ダリア王にそれだけ信用されていたということには気がつくだろう。
「王も王妃も簡単じゃった。それどころかわしに縋りつくのじゃ。王太子は無事かと」
「それは……」
ザイードは高笑いした。
「あのファン島に女どもと閉じ込められていた豚のような男のことだろう。わしは、よう知らなんだがのう。途中でファン島に停泊した時、あまりに目ざわりなので、吊るしてきたわ」
「つ、吊るしてきた?」
サジシームは耳を疑った。
「そうともさ。あのような気味の悪い、ものもはっきり言わぬ男は、わしは大嫌いじゃ。剣を使うのも勿体ない。そこらの革ひもで、窓から吊るしておいた。女どもが大騒ぎしておった」
「それは……死んだということですか?」
ザイードはサジシームの異様な反応に気付いて、じろりとサジシームを見た。
「死んだろうな。それがどうした。メフメトを殺されたのじゃ。命で贖わせて当然じゃ。王と王妃は何やら叫んでおったが、知ったことではない。自分の命の心配をした方がよいものを」
ザイードは手にした鞭で、石畳をたたき、ピシピシ音を立てながら砦の外にある自分の住処-テントへ帰って行った。彼らの軍勢は砂漠にテントを張り、そこで暮らすライフスタイルにすっかり慣れているので、砦の中に住もうとしなかったのだ。
後には、あまりのことに呆然としたサジシームが残った。
彼の手には今や、何のカードも残されてはいなかった。
王と王妃が健在なら、王太子は彼らが死ぬまでカードとして使えるはずだった。
ロンゴバルトの女と結婚させて、子どもができれば、サジシームは摂政としてこの国を支配するつもりだった。
何もかもむちゃくちゃになってしまった。
砦には、新たなロンゴバルトの首長連中が到着していた。
後続の連中は、すでに戦いは終わったと聞いてがっかりした様子だったが、城はとにかく、カプトルの町はまだ手付かずだと聞いて、明日はそちらへ攻め入ろうと相談していた。
「メフメトの敵を討ったのはわしじゃ。ダリアの王領はわしのものじゃ」
「砦や下準備、連絡や契約を結んだのはサジシームじゃろう。おぬし一人の手柄なわけがあるまい」
「いや待て。そもそもダリアの王領とは、どこにどれだけあるのじゃ」
ヒゲもじゃで、それぞれ不揃いな部族の衣装に身を固めた男たちが、一斉にサジシームの方を振り返った。
サジシームは黙って地図を広げた。
字の読めない者、老眼の者には、全く意味をなさない紙だった。彼らには地図の概念があまりなかった。
「それで、これが、何なのじゃ」
「この赤く塗られた部分が王領です」
「ほおお?」
「結構な面積だな」
彼らは地図をじっくり見つめたが、尋ねた。
「それで、ここから何が獲れる?」
「麦やマメとか、リンゴ、牧草ですね」
「……悪くはないが、ロンゴバルトに持ってくるまでに腐りそうだ」
「売って金に換えるといいと思います」
ザイードは、ちょっと呆然とした顔になった。
ロンゴバルトには、物々交換以外市場がなかったので、貨幣に換えると言う意味が良く分からなかったのだろう。
ああ……とサジシームはため息をついた。
彼の故郷はロンゴバルトだった。
生活は単純で、戒律は厳しかった。昼は暑く、夜は寒い。
食堂や宿、ベルブルグのような歓楽街は存在しなかった。金さえ出せば、たいていどんな要望にも応えてくれるダリアの都市とはわけが違う。
一度、ダリアで暮らしてしまうと、そして金があれば、その魅力に取りつかれてしまう。自由で勝手気ままで、誰からも干渉されない暮らしは、サジシームにとって麻薬のようだった。
彼の故郷のロンゴバルトとは、あまりにもかけ離れている。
祖国を変えるか、ダリアに住むか。
一方、サジシームと違い、ダリアの魅力を解さないメフメトがダリアに強い興味を示したのはレイビックのせいだった。金が採れるからだ。
首長たちが知らないのは勿怪の幸いだった。でなければ、今頃、レイビックへ出陣すると大騒ぎになっているはずだった。サジシームは、ほっとしていた。
「ダリアには金山があると聞いたが?」
誰かが大声で叫んだ。
「金山?」
「黄金か?」
彼らは地図に押し寄せた。
「サジシーム! 金が採れるのはどこなのだ?」
ザイードの目が血走っていた。
サジシームは、指で北の果てを指した。
「レイビック」
赤く塗られていない場所だった。
「王領ではないのか?」
「ええ」
「誰の所領だ?」
「レイビック伯爵」
「ここからどれくらいかかる?」
「十四日程度」
「ううむ。遠いな」
彼らは考えた。
「しかし、ダリアの連中はマヌケだ。守備兵も置かないし、ファン島だってロンゴバルトにくれたくらいだ」
ザイードの視線は広間に並べられた机のうえに、無造作に置かれたいくつかの首桶の方へ漂っていった。
王と王妃、ウェルケウェ伯爵や、何人か名前を知っている貴族たちが首だけになって、桶にしまい込まれていた。
王と王妃たちは、サジシームに騙されたとか、そんなことを考える間もなかったろう。あっという間に見つかり、何の容赦もなく殺されてしまったのだろう。
「少し遠いが、ダリア兵は弱いから問題にならん。悪い話ではないな」
「しかし、あそこは悪霊の地では……」
誰かが言い、ザイードは血走った目をそちらに向けた。
「悪霊の地?」
「レイバイクだ」
「まさか。では、このレイビック伯爵が悪霊だとでもいうのか?」
「鋼鉄の騎士の生まれ故郷です」
サジシームが答えた。
十五年前の戦いの時のことはことは、ロンゴバルトの皆が知っていた。若い連中も、話は聞いていた。
ザイードが黙った。
鋼鉄の騎士は彼らにとって、悪夢だった。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。
ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。
その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。
無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。
手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。
屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。
【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】
だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる