120 / 185
サジシーム
第120話 メフメト出撃
しおりを挟む
実のところ、メフメトは軍事行動に出た経験がなかった。だが、彼はいま直感したのだ。チャンスだと。そして、想像した。ロンゴバルトの大群に囲まれて、ダリアの首都カプトルへ、威風堂々入場する自分の姿を。
「さあ、準備をしなくてはならない。積年の恨みを晴らす時が来たのだ」
サジシームは深く礼をした。
「お手並み拝見と言ったところだな」
サジシームはつぶやいた。
彼の後ろでは、バタバタと多くの奴隷や従僕たちが、それぞれ名のある首長たちを呼びに行かされたり、奴隷兵たちの長に命令を伝えに行ったり、あわただしい雰囲気に包まれていた。
サジシームが欲しかったのは、王や王妃ではなかった。ダリアでもなかった。
死んだレイビック伯と、生きたルシアだった。
サジシームのルシアへの執着はロンゴバルトでは知れ渡っていた。
メフメトなどは、常にその話を持ち出しては、サジシームをからかった。
「そんな奇妙な北国の女などにこだわるお前の気が知れん」
別に大いにそれで結構だった。女一人、メフメトは簡単にサジシームにくれるだろう。
だが、メフメトは知らないだろうが、ルシアには金山が付いてくる。計り知れない富だ。この二つは不可分なのである。金山がダリアにある以上、ダリアの法と慣習により、レイビック伯が死ねば、金山はルシアのものだった。
「ダリア全体を占領し、ロンゴバルトの支配下に置くことができるかどうか?」
今の状況はロンゴバルトにとって、一見千載一遇のチャンスのように見える。王家の人々と主だった貴族を人質としてとらえているのだ。
だが、サジシームの見るところ、全ダリアの占拠など無謀と言うものだった。
泥沼化の危険をはらむ、消耗戦の可能性があった。それは両国にとって、ちっともプラスにならないだろう。
その引き金を引いたのは、自分だった。
サジシームは、皮肉な微笑みを浮かべて騒ぎを見ていた。
彼は、王家と大貴族を人質にしたが、ダリア全領土の領主が人質になっているわけではない。
人質になった領主だって、息子たちや親族たちが残っていて、今頃、ロンゴバルトと戦うために、錆びついた剣や槍を引っ張り出し、戦いの準備を始めているところだろう。
ましてや、人質事件とは関係のない大多数の小領主たちは、ロンゴバルトに恐怖と敵愾心を抱き、出来得る限りの準備をしているに違いない。
調子に乗ったロンゴバルトが力技で攻めていくなら、最初は勝てるだろうが、敵地奥深くに入って行けば行くほど、補給線が伸び、不利になることは目に見えている。
「レイビック伯とルシアを逃した以上、この作戦は失敗だった」
サジシームは、もはや、どうでもいい気分だった。
伯父が彼の手柄を取ってしまって、勝手に戦争に突入しようと、あるいは人質を使って身代金交渉に入ろうと、彼の責任ではない。
敵地に乗り込むこの戦いは絶対勝てない。
ロンゴバルトの各首長たちは勝ち戦の期待に胸を膨らませ、おっとり刀で駆け付けてくるに違いなかった。
奴隷兵は、統制が取れ使いやすかったが、大規模な軍勢を動かすとなると、各首長の軍隊をあてにしなくてはならなくなる。
サジシームは、この首長たちが苦手だった。
まず、言うことを聞かない。
勝手なことを始めて、時には略奪に走る輩が出て来るのだ。首長自らが、他人の家に押し入って金目の物を分捕って帰ることがあるくらいだった。しかも、分捕り品に満足すると、戦闘が終わってもいないのに、転々バラバラ帰り始める者が出る始末だ。
マシムが絶大な権力を持つ英雄の出現を待ち望むゆえんだった。
命令一下、ロンゴバルト全軍を動かすことが出来るようになれば、その時には、ダリアが総力を挙げても敵わないほどの力を手に入れられるだろう。
ふと見ると、悔しそうなマシムが、何か言いたそうにサジシームを見ていた。
「どうした? マシム?」
「お手柄はすべて、サジシーム様のものでございます」
「なんだ、そんなことか」
「いいえ、そんなことではございません。サジシーム様こそが、すべての計画を練り、実行し、成功させたのでございます。このような手際のよさは、ほかの者には到底まねができませぬ」
サジシームは、マシムに優しく言った。
「残念だが、計画は大失敗なのだ」
「え?」
「失敗だ」
「ど、どこが失敗でございますか? 王宮の礼拝堂は焼け落ち、なんといっても王族全員を捕らえ、拘束しております」
「使いようがない」
マシムは主人の顔を見た。
「だから、メフメトが喜んでいるのは意味のないことだ」
「ど、どういうことでございますか?」
だが、サジシームは答えなかった。メフメトのこの戦いが徒労に終わるだろうということは口に出していいことではなかった。それにせっかく喜んで無謀な戦いに挑もうとしているのだ。捨ておけばよい。
メフメトだって、心のどこかで、この成り行きの本当の功績者はサジシームかも知れないと感じていた。
だが、人は信じたいことしか信じない。
メフメトは、サジシームが単なる偶然で王たちを人質に取ったのだと信じたかった。サジシームは無能で、チャンスを生かし切る自分こそが有能なのだ。
サジシームが、メフメトの正しい判断力を狂わすような言動ばかり取っていることも大きかった。
メフメトは、今、この千載一遇のチャンスに食いつかないではいられなかった。無我夢中だった。
サジシームが加担することをメフメトが好まないことをサジシームは知っていた。手柄を独り占めしたいのだ。
「さて、果たして、このダリア侵攻、手柄になるかどうか」
彼は冷笑し、ひそかにメフメトの屋敷を離れ、自分の屋敷に引っ込んで様子をうかがった。
メフメトはダリアを知らない。この戦いが無残な結果に終わっても、サジシームは責任を取りたくないし、メフメトが惨敗し勢力が削がれることはサジシームの望みでさえあった。
そのうちに町は騒がしくなり、多くの者が出兵の準備を始めていた。
もちろん、直属の奴隷兵たちも準備を整えていたが、そのほかに、この度の命を受けて、旗を押し立て、地方から手勢を引き連れ、参加してくる部族も大勢いた。
あれだ。あれが問題なのだ。
まるでいうことを聞かない野蛮人だと、彼は内心忌々しかった。戦いの途中だと言うのに、目先の利益で戦線を放棄することすら、ままあるのである。
だが、奴隷兵たちだけでは数が足らない。
サジシームは静かに目立たないように、レイビックからの便りを待っていた。
礼拝堂での焼き討ちは失敗だった。レイビック伯は、見つからなかったし、ルシアも見つからなかった。それらしい死体もなかった。
彼らが礼拝堂に入ったところまでは、確認が取れていた。ということは、何らかの危険を察知して、事前に逃げ出したのだ。うそのようだった。そんなことはあり得なかった。
だが、無事に逃げたとしても、レイビック城ではサジシームの奴隷兵が城を占拠している。
レイビックでは、今頃、戻ってきた当主と、レイビック城に立てこもるロンゴバルト兵との間で死闘が繰り広げられているに違いなかった。
当主の側にどれほどの手勢がいるのか、結局判然としなかった。鉱夫たちが、兵に化けるらしかったが、どこで線引きされているのか外部の者にはわからなかったのである。
だが、歴戦の百人の統制の取れた奴隷兵に、勝てるはずがない。
「カプトルがうまくいかなくても、レイビックで打ち取ることが出来る」
サジシームは目を光らせた。伯父は好きにすればいい。サジシームは自分の道を切り開くのだ。
「さあ、準備をしなくてはならない。積年の恨みを晴らす時が来たのだ」
サジシームは深く礼をした。
「お手並み拝見と言ったところだな」
サジシームはつぶやいた。
彼の後ろでは、バタバタと多くの奴隷や従僕たちが、それぞれ名のある首長たちを呼びに行かされたり、奴隷兵たちの長に命令を伝えに行ったり、あわただしい雰囲気に包まれていた。
サジシームが欲しかったのは、王や王妃ではなかった。ダリアでもなかった。
死んだレイビック伯と、生きたルシアだった。
サジシームのルシアへの執着はロンゴバルトでは知れ渡っていた。
メフメトなどは、常にその話を持ち出しては、サジシームをからかった。
「そんな奇妙な北国の女などにこだわるお前の気が知れん」
別に大いにそれで結構だった。女一人、メフメトは簡単にサジシームにくれるだろう。
だが、メフメトは知らないだろうが、ルシアには金山が付いてくる。計り知れない富だ。この二つは不可分なのである。金山がダリアにある以上、ダリアの法と慣習により、レイビック伯が死ねば、金山はルシアのものだった。
「ダリア全体を占領し、ロンゴバルトの支配下に置くことができるかどうか?」
今の状況はロンゴバルトにとって、一見千載一遇のチャンスのように見える。王家の人々と主だった貴族を人質としてとらえているのだ。
だが、サジシームの見るところ、全ダリアの占拠など無謀と言うものだった。
泥沼化の危険をはらむ、消耗戦の可能性があった。それは両国にとって、ちっともプラスにならないだろう。
その引き金を引いたのは、自分だった。
サジシームは、皮肉な微笑みを浮かべて騒ぎを見ていた。
彼は、王家と大貴族を人質にしたが、ダリア全領土の領主が人質になっているわけではない。
人質になった領主だって、息子たちや親族たちが残っていて、今頃、ロンゴバルトと戦うために、錆びついた剣や槍を引っ張り出し、戦いの準備を始めているところだろう。
ましてや、人質事件とは関係のない大多数の小領主たちは、ロンゴバルトに恐怖と敵愾心を抱き、出来得る限りの準備をしているに違いない。
調子に乗ったロンゴバルトが力技で攻めていくなら、最初は勝てるだろうが、敵地奥深くに入って行けば行くほど、補給線が伸び、不利になることは目に見えている。
「レイビック伯とルシアを逃した以上、この作戦は失敗だった」
サジシームは、もはや、どうでもいい気分だった。
伯父が彼の手柄を取ってしまって、勝手に戦争に突入しようと、あるいは人質を使って身代金交渉に入ろうと、彼の責任ではない。
敵地に乗り込むこの戦いは絶対勝てない。
ロンゴバルトの各首長たちは勝ち戦の期待に胸を膨らませ、おっとり刀で駆け付けてくるに違いなかった。
奴隷兵は、統制が取れ使いやすかったが、大規模な軍勢を動かすとなると、各首長の軍隊をあてにしなくてはならなくなる。
サジシームは、この首長たちが苦手だった。
まず、言うことを聞かない。
勝手なことを始めて、時には略奪に走る輩が出て来るのだ。首長自らが、他人の家に押し入って金目の物を分捕って帰ることがあるくらいだった。しかも、分捕り品に満足すると、戦闘が終わってもいないのに、転々バラバラ帰り始める者が出る始末だ。
マシムが絶大な権力を持つ英雄の出現を待ち望むゆえんだった。
命令一下、ロンゴバルト全軍を動かすことが出来るようになれば、その時には、ダリアが総力を挙げても敵わないほどの力を手に入れられるだろう。
ふと見ると、悔しそうなマシムが、何か言いたそうにサジシームを見ていた。
「どうした? マシム?」
「お手柄はすべて、サジシーム様のものでございます」
「なんだ、そんなことか」
「いいえ、そんなことではございません。サジシーム様こそが、すべての計画を練り、実行し、成功させたのでございます。このような手際のよさは、ほかの者には到底まねができませぬ」
サジシームは、マシムに優しく言った。
「残念だが、計画は大失敗なのだ」
「え?」
「失敗だ」
「ど、どこが失敗でございますか? 王宮の礼拝堂は焼け落ち、なんといっても王族全員を捕らえ、拘束しております」
「使いようがない」
マシムは主人の顔を見た。
「だから、メフメトが喜んでいるのは意味のないことだ」
「ど、どういうことでございますか?」
だが、サジシームは答えなかった。メフメトのこの戦いが徒労に終わるだろうということは口に出していいことではなかった。それにせっかく喜んで無謀な戦いに挑もうとしているのだ。捨ておけばよい。
メフメトだって、心のどこかで、この成り行きの本当の功績者はサジシームかも知れないと感じていた。
だが、人は信じたいことしか信じない。
メフメトは、サジシームが単なる偶然で王たちを人質に取ったのだと信じたかった。サジシームは無能で、チャンスを生かし切る自分こそが有能なのだ。
サジシームが、メフメトの正しい判断力を狂わすような言動ばかり取っていることも大きかった。
メフメトは、今、この千載一遇のチャンスに食いつかないではいられなかった。無我夢中だった。
サジシームが加担することをメフメトが好まないことをサジシームは知っていた。手柄を独り占めしたいのだ。
「さて、果たして、このダリア侵攻、手柄になるかどうか」
彼は冷笑し、ひそかにメフメトの屋敷を離れ、自分の屋敷に引っ込んで様子をうかがった。
メフメトはダリアを知らない。この戦いが無残な結果に終わっても、サジシームは責任を取りたくないし、メフメトが惨敗し勢力が削がれることはサジシームの望みでさえあった。
そのうちに町は騒がしくなり、多くの者が出兵の準備を始めていた。
もちろん、直属の奴隷兵たちも準備を整えていたが、そのほかに、この度の命を受けて、旗を押し立て、地方から手勢を引き連れ、参加してくる部族も大勢いた。
あれだ。あれが問題なのだ。
まるでいうことを聞かない野蛮人だと、彼は内心忌々しかった。戦いの途中だと言うのに、目先の利益で戦線を放棄することすら、ままあるのである。
だが、奴隷兵たちだけでは数が足らない。
サジシームは静かに目立たないように、レイビックからの便りを待っていた。
礼拝堂での焼き討ちは失敗だった。レイビック伯は、見つからなかったし、ルシアも見つからなかった。それらしい死体もなかった。
彼らが礼拝堂に入ったところまでは、確認が取れていた。ということは、何らかの危険を察知して、事前に逃げ出したのだ。うそのようだった。そんなことはあり得なかった。
だが、無事に逃げたとしても、レイビック城ではサジシームの奴隷兵が城を占拠している。
レイビックでは、今頃、戻ってきた当主と、レイビック城に立てこもるロンゴバルト兵との間で死闘が繰り広げられているに違いなかった。
当主の側にどれほどの手勢がいるのか、結局判然としなかった。鉱夫たちが、兵に化けるらしかったが、どこで線引きされているのか外部の者にはわからなかったのである。
だが、歴戦の百人の統制の取れた奴隷兵に、勝てるはずがない。
「カプトルがうまくいかなくても、レイビックで打ち取ることが出来る」
サジシームは目を光らせた。伯父は好きにすればいい。サジシームは自分の道を切り開くのだ。
7
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。
ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。
その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。
無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。
手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。
屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。
【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】
だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる