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第95話 殿下をおもちゃにして遊ぶ
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全員が帰ってしまった後で、私は動かない殿下の横に座った。
黙って横たわっていると……それは私の推し。
口元は固く結ばれ、最強の戦士と呼ばれるにふさわしい厳しい頬の線。
額に無造作にかかる髪。
これ見よがしではない、多分実戦で培われた筋肉で盛り上がった肩や胸。
なんて美しい。
これが自室に! 置いてある!
思わず神様に感謝してしまった。
ありがとう神様。三日間、大切に大切にお世話します。
私は殿下を拝んだ。
推しを独り占めできるだなんて、推し道に背く邪道だけど、誰もが夢見る一瞬ではないだろうか。
こう、何か、百年に一度クラスの災害級の大嵐のせいで山小屋に二人きりで残されたとか、巨大彗星が世界を直撃することがわかって明日で人類が滅びる前の晩に愛を確かめる的な、それほどまでに、のっぴきならない極限の状態に追い込まれて、推しを自分の部屋にお招きできたみたいな。
山の際に住む人々を救うために、魔力をまとわせた砲をひたすらに撃ち続けたあの時の殿下を私は忘れない。暗い闇を背に、殿下の砲は赤く放物線を描いて森の中へ消えていった。
私のことを一途だとか言うけど、殿下の方がよっぽど一途で献身的。
「殿下、好き……」
耳元で言ってみた。
三日間、このままらしい。つまり、聞こえない。しゃべらない。安心。
思い切って、手を取るとずっしりと重い。
もう片方の手も持ち上げてみた。やっぱり重い。そして温かい。
両手を手に取ってみて、突然思い出した。
シャンシャンセとか言って、子どもの時よく遊んでいたっけ。
顔をしげしげと見つめていたら、確かにあの時の姉の顔だった。女の子にしてはちょっと怖い顔だなと思っていたのは内緒だ。
姉は優しかったもの。
姉におもちゃを取られて泣きながら追いかけたり、お人形さんを大きくする競争をしてて姉の人形の下敷きになって死にかけたり、スカートめくりごっごを私に持ちかけておばあさまに殴られたり……
あれ全部殿下だったんだ。
ああ、なんか変わっていない。遊ぼう遊ぼうって、結構しつこかった。
本に熱中している時に遊べないって断ったら、後でめそめそ泣いていた。
学校に来てからは、殿下の方からグイグイ来たから、私はどうしたらいいのかわからなくて、逃げることばっかり考えていた。
他の女子からにらまれるほかにも、殿下に近寄られると、なんだか警戒心が一杯になって、でも惹きつけられる気持ちもあって、自分で自分が怖いみたいな気がする。
なんだか取り返しのつかないことをやってしまいそうで。
「風邪をひいたらいけないわ」
探し出してきて、私のショールを何枚もかけた。寒くないように。
寝顔は、悪獣退治の時の殿下を思い起こさせる。
私を見る時の顔じゃなくて、冷たくて静かな、むしろ冷酷な表情だ。
めっちゃファンになったわ、あの時は。
でも、帰ってきたら大甘のデロデロだった。ちっともかっこよくなかった。
明日朝起きたら、水や食事をあげないと。三日間、飲まず食わずでは死んでしまう。生活魔法万歳だ。きっと何かしてあげられる。でも、今日はもう寝よう。
いつも通り、目が覚めて、何かいいことがあったような気がして意識が覚醒した。
そうだ。動かない殿下がいたんだ。あれはちょっと楽しみだ。
動くと、ロクでもない要求ばかり突き付けて来るんだもん。
さあ、殿下のお世話をしなくちゃ。
えへへ。
まずは寝顔を思い切り堪能しようっと。
寝ている分には、精悍でたくましい理想の騎士様なんだもの。美しい。
「寝顔を思う存分みられるだなんて、うれしかった。あなたは本当に美しいから」
真横から声がした。びくぅっとした。
そろりそろりと首を回すと、殿下と目線があった。
「ギャアアアーーーー」
ガシッと強い腕で押されて、ベッドに逆戻りした。
「怖い怖い怖い」
「好きだって言っていた。夕べ」
私は真っ赤になった。
寝ていたんじゃなかったの? 殿下。
「な、何のことかしら?」
「耳元で言ってた」
殿下は悪そうな顔で言った。肉食獣みたいだ。私を食べないでください。おいしくないですよ?
「あれは、その、かっこよさでは好きかなと? それだけのことよ」
殿下がわかりやすく顔を緩めた。
「大好きなポーシャ……誓約のキスが出来たんだ。絶対嫌ってない。でも、はっきり言ってもらったことがない」
失言でした。……そう言ったら、その後が怖い気がする。好きか嫌いかで言うと好きだし、かっこいいとは思っているけど、なにか種類が違うみたいな……?
「両思いになれたらって、ずっと願っていた。好きって言ってくれるだなんて。それがこんなに心満ちるものとは……嬉しい」
殿下がガバリと私に抱き着いた……途端に、夕べと同じくガシャーンと音がして殿下が倒れた。
「あ、セス様が威力は弱くしておくとおっしゃっていました」
敬語を使わざるを得ない。セス様万能。セス様、すごい。
今度は、殿下は気を失うことなく、ギリギリと歯噛みしながら、よろよろ立ち上がって、私の手を取った。
雷は発生しない。
それから、手を唇に持っていった。
発生しない。
キスしかけたら私がつい後ろに逃げたので、肩を掴んで強行しようとして……
「ダメに決まってるじゃないですか」
またもや結構な音が響き、殿下はシュウウウ……と湯気が出そうな感じに、うつぶせで倒れていた。
ガバリと起き上がって殿下は言い出した。
「好きだ。行動で愛を伝えられない。あなたのことが本当に好きだ」
ええと。知ってます。それから、行動で愛を伝えるって、こういうマネのことですか?
「あなたが入学以来、今みたいな生殺しの状態をずっと続けてきた」
「……生殺し?」
「僕が面倒を見るからと請け負った。予定によれば、毎日、一緒に授業を受けて、お昼を一緒に食べて、寮まで送ると。楽しみにしてたんだ。だって、僕たちは幼馴染なのだから」
「そ、そう言われれば、そうだけど……」
だけど、女装をしていた幼馴染の男なんか、そうそう覚えられないと思う……
「絶対覚えてくれていると信じてたのに。あなたは冷たかった……」
凄く恨めしそう……なんて言ったらいいのかしら? これって、私が悪いのかしら。
「好きなのに手に取れない。確実に自分のものにできない。全然、意識してくれない。むちゃくちゃに欲求不満」
推しとしてなら、すんごく意識しているんだけど、どうしよう、この二重?感情?
「ポーシャ、来月の王家の王孫誕生披露会で、婚約発表をする」
「ええ?」
早くない?
「不満か?」
断固として拒否は認めないと言わんばかりに、殿下は私のベッドの前に立ちふさがった。触れないギリギリの距離感で。彼の方から触れさえしなければ、例の雷は発生しない仕様らしい。
「いえ」
圧に負けた。ご家族もなんか言ってたな。
「よしッ。で、結婚式は来週にしよう」
「えっ?」
結婚式の方が婚約式より早いのはなぜ? 聞き違い?
「秘密結婚だ。ほんとの結婚式の前に」
殿下は目を細めて、指の先で頬に触れた。
途端に、当然ながらまた警戒音が鳴り響いて、殿下は床に伸びた。殿下の学習能力はどこへ行った。
「くそー」
「同じことになるに決まっているじゃありませんか。何回やるの? それに秘密結婚って何?」
私は呆れて、思わず殿下のそばにかがみこんだ。あんまり何回も雷に打たれておかしくならないといいんだけど。心配だわ。
グッと顔を近づけて言われた。
「ポーシャ。結婚して。婚約のあとでいいから。愛してる」
譲歩したみたいに言うのはやめてください。
真綿で首を絞められるみたいに、王室メンバー全員から婚約を勧められている私……
そして秘かな推しから愛の言葉をささやかれている。
「ポーシャ」
殿下が言った。
「ねえ、今日からはルーカスって呼んで。婚約者は殿下じゃない。僕だよ」
黙って横たわっていると……それは私の推し。
口元は固く結ばれ、最強の戦士と呼ばれるにふさわしい厳しい頬の線。
額に無造作にかかる髪。
これ見よがしではない、多分実戦で培われた筋肉で盛り上がった肩や胸。
なんて美しい。
これが自室に! 置いてある!
思わず神様に感謝してしまった。
ありがとう神様。三日間、大切に大切にお世話します。
私は殿下を拝んだ。
推しを独り占めできるだなんて、推し道に背く邪道だけど、誰もが夢見る一瞬ではないだろうか。
こう、何か、百年に一度クラスの災害級の大嵐のせいで山小屋に二人きりで残されたとか、巨大彗星が世界を直撃することがわかって明日で人類が滅びる前の晩に愛を確かめる的な、それほどまでに、のっぴきならない極限の状態に追い込まれて、推しを自分の部屋にお招きできたみたいな。
山の際に住む人々を救うために、魔力をまとわせた砲をひたすらに撃ち続けたあの時の殿下を私は忘れない。暗い闇を背に、殿下の砲は赤く放物線を描いて森の中へ消えていった。
私のことを一途だとか言うけど、殿下の方がよっぽど一途で献身的。
「殿下、好き……」
耳元で言ってみた。
三日間、このままらしい。つまり、聞こえない。しゃべらない。安心。
思い切って、手を取るとずっしりと重い。
もう片方の手も持ち上げてみた。やっぱり重い。そして温かい。
両手を手に取ってみて、突然思い出した。
シャンシャンセとか言って、子どもの時よく遊んでいたっけ。
顔をしげしげと見つめていたら、確かにあの時の姉の顔だった。女の子にしてはちょっと怖い顔だなと思っていたのは内緒だ。
姉は優しかったもの。
姉におもちゃを取られて泣きながら追いかけたり、お人形さんを大きくする競争をしてて姉の人形の下敷きになって死にかけたり、スカートめくりごっごを私に持ちかけておばあさまに殴られたり……
あれ全部殿下だったんだ。
ああ、なんか変わっていない。遊ぼう遊ぼうって、結構しつこかった。
本に熱中している時に遊べないって断ったら、後でめそめそ泣いていた。
学校に来てからは、殿下の方からグイグイ来たから、私はどうしたらいいのかわからなくて、逃げることばっかり考えていた。
他の女子からにらまれるほかにも、殿下に近寄られると、なんだか警戒心が一杯になって、でも惹きつけられる気持ちもあって、自分で自分が怖いみたいな気がする。
なんだか取り返しのつかないことをやってしまいそうで。
「風邪をひいたらいけないわ」
探し出してきて、私のショールを何枚もかけた。寒くないように。
寝顔は、悪獣退治の時の殿下を思い起こさせる。
私を見る時の顔じゃなくて、冷たくて静かな、むしろ冷酷な表情だ。
めっちゃファンになったわ、あの時は。
でも、帰ってきたら大甘のデロデロだった。ちっともかっこよくなかった。
明日朝起きたら、水や食事をあげないと。三日間、飲まず食わずでは死んでしまう。生活魔法万歳だ。きっと何かしてあげられる。でも、今日はもう寝よう。
いつも通り、目が覚めて、何かいいことがあったような気がして意識が覚醒した。
そうだ。動かない殿下がいたんだ。あれはちょっと楽しみだ。
動くと、ロクでもない要求ばかり突き付けて来るんだもん。
さあ、殿下のお世話をしなくちゃ。
えへへ。
まずは寝顔を思い切り堪能しようっと。
寝ている分には、精悍でたくましい理想の騎士様なんだもの。美しい。
「寝顔を思う存分みられるだなんて、うれしかった。あなたは本当に美しいから」
真横から声がした。びくぅっとした。
そろりそろりと首を回すと、殿下と目線があった。
「ギャアアアーーーー」
ガシッと強い腕で押されて、ベッドに逆戻りした。
「怖い怖い怖い」
「好きだって言っていた。夕べ」
私は真っ赤になった。
寝ていたんじゃなかったの? 殿下。
「な、何のことかしら?」
「耳元で言ってた」
殿下は悪そうな顔で言った。肉食獣みたいだ。私を食べないでください。おいしくないですよ?
「あれは、その、かっこよさでは好きかなと? それだけのことよ」
殿下がわかりやすく顔を緩めた。
「大好きなポーシャ……誓約のキスが出来たんだ。絶対嫌ってない。でも、はっきり言ってもらったことがない」
失言でした。……そう言ったら、その後が怖い気がする。好きか嫌いかで言うと好きだし、かっこいいとは思っているけど、なにか種類が違うみたいな……?
「両思いになれたらって、ずっと願っていた。好きって言ってくれるだなんて。それがこんなに心満ちるものとは……嬉しい」
殿下がガバリと私に抱き着いた……途端に、夕べと同じくガシャーンと音がして殿下が倒れた。
「あ、セス様が威力は弱くしておくとおっしゃっていました」
敬語を使わざるを得ない。セス様万能。セス様、すごい。
今度は、殿下は気を失うことなく、ギリギリと歯噛みしながら、よろよろ立ち上がって、私の手を取った。
雷は発生しない。
それから、手を唇に持っていった。
発生しない。
キスしかけたら私がつい後ろに逃げたので、肩を掴んで強行しようとして……
「ダメに決まってるじゃないですか」
またもや結構な音が響き、殿下はシュウウウ……と湯気が出そうな感じに、うつぶせで倒れていた。
ガバリと起き上がって殿下は言い出した。
「好きだ。行動で愛を伝えられない。あなたのことが本当に好きだ」
ええと。知ってます。それから、行動で愛を伝えるって、こういうマネのことですか?
「あなたが入学以来、今みたいな生殺しの状態をずっと続けてきた」
「……生殺し?」
「僕が面倒を見るからと請け負った。予定によれば、毎日、一緒に授業を受けて、お昼を一緒に食べて、寮まで送ると。楽しみにしてたんだ。だって、僕たちは幼馴染なのだから」
「そ、そう言われれば、そうだけど……」
だけど、女装をしていた幼馴染の男なんか、そうそう覚えられないと思う……
「絶対覚えてくれていると信じてたのに。あなたは冷たかった……」
凄く恨めしそう……なんて言ったらいいのかしら? これって、私が悪いのかしら。
「好きなのに手に取れない。確実に自分のものにできない。全然、意識してくれない。むちゃくちゃに欲求不満」
推しとしてなら、すんごく意識しているんだけど、どうしよう、この二重?感情?
「ポーシャ、来月の王家の王孫誕生披露会で、婚約発表をする」
「ええ?」
早くない?
「不満か?」
断固として拒否は認めないと言わんばかりに、殿下は私のベッドの前に立ちふさがった。触れないギリギリの距離感で。彼の方から触れさえしなければ、例の雷は発生しない仕様らしい。
「いえ」
圧に負けた。ご家族もなんか言ってたな。
「よしッ。で、結婚式は来週にしよう」
「えっ?」
結婚式の方が婚約式より早いのはなぜ? 聞き違い?
「秘密結婚だ。ほんとの結婚式の前に」
殿下は目を細めて、指の先で頬に触れた。
途端に、当然ながらまた警戒音が鳴り響いて、殿下は床に伸びた。殿下の学習能力はどこへ行った。
「くそー」
「同じことになるに決まっているじゃありませんか。何回やるの? それに秘密結婚って何?」
私は呆れて、思わず殿下のそばにかがみこんだ。あんまり何回も雷に打たれておかしくならないといいんだけど。心配だわ。
グッと顔を近づけて言われた。
「ポーシャ。結婚して。婚約のあとでいいから。愛してる」
譲歩したみたいに言うのはやめてください。
真綿で首を絞められるみたいに、王室メンバー全員から婚約を勧められている私……
そして秘かな推しから愛の言葉をささやかれている。
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