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第94話 一家全員で、放置
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王太子殿下はルーカス殿下よりずっと小柄で、全然偉そうでなかった。
キツネのような茶色の目とありふれた茶色い髪、ただ、目は油断なく笑っていた。
「きれいな子だなあ。こりゃあルーカスが紹介してくれないわけだわ」
「ちょっと、ちょっと、警報が鳴ったわよ? 何したの? ルーカス」
年配の女性が、平然とルーカス殿下の足を乗り越えてやって来た。
重そうなスカートが殿下の体の上をズルズルと通過していく。
見るからにゴージャスなドレスに身を包んでいて、直ぐにルーカス殿下の母上だと気がついた。顔立ちがそっくりだったからだ。とても美人だった。
「すみません、私が目を離したばっかりに」
あわてた様子のセス様が、背中にドクロとぶっ違いの大腿骨の絵柄の黒のコートを引っかけて現れた。ダサい。
「行くなって止めたんですけどね、ポーシャ様が何か勘違いしてるみたいだったんで」
「勘違い?なんの?」
キツネ目の王太子殿下が振り返ってセス様に聞いた。
「なんだか、殿下に嫌われて婚約破棄されたって言ってました」
セス様は王太子殿下に返事した。
「どこで聞いたの?」
私は鋭くセス様の方を振り返って聞いた。バスター君にしか話してないのに?
「おおうっ」
王太子殿下と私に見つめられてセス様はうめいた。王太子殿下がニヤッとした。
「どうせルーカスのことだ。どっかに盗聴器でも仕掛けたんだろう。ポーシャちゃん、うちの弟、あんたのことになると人が変わったみたいなるんだよ。困ったもんだよねー」
「兄弟そろって、好きな女性のことになると、奇行を仕出かすから、ほんとに困るわ」
王妃様がルーカス殿下の前で、腕組みをして仁王立ちになって言った。
「この子、誓約のキスを婚約前にしちゃったらしいのよ」
「ええー。オレだって、婚約式の時だったのに」
キツネ目の王太子殿下が、大げさに驚いて見せた。
「お黙りなさい。ふつうは結婚式でするものよ」
「だって、オレは魔力ないから、拘束力なくてあんまり意味ないから、いつしたってどうってことないけど、魔力が溢れるくらいあるルーカスが、そんなことしたら……」
「ハイ。抑えが効かなくなって、このザマです」
セス様が解説した。
「この部屋に警報装置を設置しといてよかったわあ」
おばあさまが言った。
「マーシャ様。どうしてこんなに雑い警報装置を仕掛けたんです。適当過ぎない? きつ過ぎるわ。雷の原理よね?」
王妃様が眉根を寄せて、おばあさまに詰め寄った。
「うちの息子、多分、三日は起きないわよ?」
「あ、まあ、それくらいどうってことは……」
おばあさまがあわてたところを初めて見た。やはり相手が王妃様だからだろうか。
「申し訳ございません、王妃様。ちょっと私が訂正しておきます。倒れる程度で意識はあるように」
セス様がそつなく言った。
「ありがとう、セス。あなたってば、ホントに頼りになるわ。そのヘンな服の趣味さえどうにかしてくれたらねえ」
王妃様……私でさえ、そんなにはっきり言ったことないのに。
「ジムス、何があったの?」
とてもかわいらしい十二、三歳の女の子が現れた。妹かな? ルーカス殿下に妹がいるって聞いたことないけど。
「シャーリー!」
そう叫んで、少女のところへ走っていったのは王太子殿下だった。
「あのね、いつもスカしているルーカスが女の子に手を出そうとして、雷でうたれたんだ。面白いよね」
「面白いんじゃなくて、かわいそうの間違いじゃないの? ジムス」
女の子はやけにはっきりした口を利いた。ふわふわのピンクブロンドで、ピンク色のフリルとレースがついたドレスを着ている。それがめちゃくちゃに似合っていた。
「ポーシャ、紹介するわ。王太子妃のシャーリーよ」
王妃様が教えてくれた。
え! 王太子妃殿下はつい先ごろ出産したって聞いたけど?
私はお辞儀しながら、上目使いにちっちゃな妃殿下を観察してしまった。これで、私より年上なのかあ。
「は、初めまして。ポーシャ・アランソンと申します」
それからとってつけたように王妃様へ向かっても、同じように自己紹介した。
「改めまして、ご挨拶が遅れ、申し訳ございません。ポーシャ・アランソンと申します。お目にかかれて光栄に存じます」
王妃様がニコリとした途端、王太子殿下が割り込んだ。
「いやー、気にしなくていいよ。人の部屋に、突然、踏み込んできたのはこっちだから」
「王太子殿下におかれましては、ご機嫌麗しく……」
あわてて王太子殿下にも挨拶していなかったことを思い出して、頭を低くしてあいさつしかかったところで、ポンっと頭に手が置かれた。
「この子、小さい時のこと、覚えてないのかなあ?」
恐る恐る振り返ると、どう見ても国王陛下だった。
「無理ですわよ。王城にいたのは五歳かそこらまでですもの」
王妃様が言った。
「そうかー」
国王陛下は残念そうだった。
わ、私、王城に住んでいたのですか? そんな話聞いたこともないのですけど?
「お父様とお母さまが悪獣狩りに出かける時は、私があずかっていたのよ。私がお母さまと親友だったのと、お母さまがおばあさまには預けたくないって」
王妃様が説明してくれた。
「なぜ?」
私が思わず聞くと、おばあさまが小さくなっていた。
「マーシャ様は雑だからねえ。やることが荒っぽくて、赤ん坊向きじゃなかったのよ。娘の方のマーシャは心配したの」
王妃様の解説に心の底から納得できた。
「それにうちには女の子がいなかったから、着飾らせたかったの。ポーシャちゃんはピンクの似合う、とーってもかわいい女の子だったから。今はうちのシャーリーちゃんの方がピンクは似合いそうだけど」
よし。ピンク担当、無事外れた。
「そんなわけで、ポーシャちゃん、よろしくね?」
「はい?」
「この子、あなたでないとダメなのよ。絨毯をあちこち設置してみたり、待ち伏せしてみたり、魔力の無駄遣いで遠いあなたの屋敷まで勝手に一人で出かけて行って、何回王子殿下行方不明事件を起こしたことか。しかも見つかった時は、いつも女装してるじゃないの。聞いたら、男の子の格好だと、あなたに怖がられたからですって。そこまで徹底してやる? もう呆れたわ」
「わしもなー、ルーカスの女装には、最初、なんじゃこりゃと思ったわ」(国王陛下談)
「子どもの頃は、女装もまあまあかわいかったけど、大きくなるとねえ。不気味になってしまって。よくあれで逆に嫌われなかったなあって」(王妃様談)
「だけど、あれであきらめがついたな。女装までやられたら、もうだめだと思ったよ。アランソン公爵家の娘でよかった。家柄的に問題ないし」(王太子殿下談)
国王一家は本音しかない人たちだった。
「そうよね。最早、放任だったわ。学校にくる年まで、あの屋敷に閉じ込められていたようなものよね。マーシャ様の監督が不行き届きなことはわかっていたから。学校の寮なら一応安心だし、ルーカスが任せてほしいって頑張るので、手を出しにくかったのよね」
……………………。
複数の要因が重なって、私はああなっていたのか。
「ごめんなさいねえ。でも、あきらめた方がいいと思う。すごくルーカスはあきらめが悪いから」
王妃様が無理矢理息子を押し付けてくる。
「ポーシャさん、無理だと思うわ。ジムスも同じタイプで、私もずいぶん頑張ったんだけど……」
一瞬で怖い顔に豹変した王太子殿下が、ヒョイとシャーリー様を抱き上げた。
「わかった。わかりました。大好きよ、ジムス」
キツネ目の王太子殿下の顔の表情がわかりやすく緩んだ。ちょろいな、殿下。
「そんなわけでよろしく頼むよ。うちの息子、あなたに拒否られると、ものすごく分かりやすくへこむんだ。誓約のキスをしちまったそうだが、あなたの魔力もすごいらしくて、息子の魔力をもってしてもカバーしきれないらしい。そんな人は初めて見たけど、ルーカスの将来はあなた次第になってしまった。国王として、人の子の親として、こいつは悪い人間ではない。それと絶対浮気しない。重要だと思う」
国王陛下も変な力説をして、そして全員が去っていった。おばあさまも、こういう恋心には手の施しようがないからねと言って、セス様まで仕方ないですよと言って、シャーリー様は頑張れと言って、唯一、王太子殿下だけがどうでもいいと思うよと言った。
「どうでもいいと思うよ。無理矢理の押し付けって気持ち悪いよね。本気で嫌われてたら、こいつも泣きながらあきらめるさ。まあ、死んじゃうかもしれないけど、それくらいキライだったら、死なれてもいっそすっきりしていいんじゃないかな」
すごい後味悪いわ。
殿下はうつぶせのまま意識不明で私の部屋に残された。
ご親族の皆様、放置ですか?
そして、私は、どうしたらいいのか、これ。
キツネのような茶色の目とありふれた茶色い髪、ただ、目は油断なく笑っていた。
「きれいな子だなあ。こりゃあルーカスが紹介してくれないわけだわ」
「ちょっと、ちょっと、警報が鳴ったわよ? 何したの? ルーカス」
年配の女性が、平然とルーカス殿下の足を乗り越えてやって来た。
重そうなスカートが殿下の体の上をズルズルと通過していく。
見るからにゴージャスなドレスに身を包んでいて、直ぐにルーカス殿下の母上だと気がついた。顔立ちがそっくりだったからだ。とても美人だった。
「すみません、私が目を離したばっかりに」
あわてた様子のセス様が、背中にドクロとぶっ違いの大腿骨の絵柄の黒のコートを引っかけて現れた。ダサい。
「行くなって止めたんですけどね、ポーシャ様が何か勘違いしてるみたいだったんで」
「勘違い?なんの?」
キツネ目の王太子殿下が振り返ってセス様に聞いた。
「なんだか、殿下に嫌われて婚約破棄されたって言ってました」
セス様は王太子殿下に返事した。
「どこで聞いたの?」
私は鋭くセス様の方を振り返って聞いた。バスター君にしか話してないのに?
「おおうっ」
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「どうせルーカスのことだ。どっかに盗聴器でも仕掛けたんだろう。ポーシャちゃん、うちの弟、あんたのことになると人が変わったみたいなるんだよ。困ったもんだよねー」
「兄弟そろって、好きな女性のことになると、奇行を仕出かすから、ほんとに困るわ」
王妃様がルーカス殿下の前で、腕組みをして仁王立ちになって言った。
「この子、誓約のキスを婚約前にしちゃったらしいのよ」
「ええー。オレだって、婚約式の時だったのに」
キツネ目の王太子殿下が、大げさに驚いて見せた。
「お黙りなさい。ふつうは結婚式でするものよ」
「だって、オレは魔力ないから、拘束力なくてあんまり意味ないから、いつしたってどうってことないけど、魔力が溢れるくらいあるルーカスが、そんなことしたら……」
「ハイ。抑えが効かなくなって、このザマです」
セス様が解説した。
「この部屋に警報装置を設置しといてよかったわあ」
おばあさまが言った。
「マーシャ様。どうしてこんなに雑い警報装置を仕掛けたんです。適当過ぎない? きつ過ぎるわ。雷の原理よね?」
王妃様が眉根を寄せて、おばあさまに詰め寄った。
「うちの息子、多分、三日は起きないわよ?」
「あ、まあ、それくらいどうってことは……」
おばあさまがあわてたところを初めて見た。やはり相手が王妃様だからだろうか。
「申し訳ございません、王妃様。ちょっと私が訂正しておきます。倒れる程度で意識はあるように」
セス様がそつなく言った。
「ありがとう、セス。あなたってば、ホントに頼りになるわ。そのヘンな服の趣味さえどうにかしてくれたらねえ」
王妃様……私でさえ、そんなにはっきり言ったことないのに。
「ジムス、何があったの?」
とてもかわいらしい十二、三歳の女の子が現れた。妹かな? ルーカス殿下に妹がいるって聞いたことないけど。
「シャーリー!」
そう叫んで、少女のところへ走っていったのは王太子殿下だった。
「あのね、いつもスカしているルーカスが女の子に手を出そうとして、雷でうたれたんだ。面白いよね」
「面白いんじゃなくて、かわいそうの間違いじゃないの? ジムス」
女の子はやけにはっきりした口を利いた。ふわふわのピンクブロンドで、ピンク色のフリルとレースがついたドレスを着ている。それがめちゃくちゃに似合っていた。
「ポーシャ、紹介するわ。王太子妃のシャーリーよ」
王妃様が教えてくれた。
え! 王太子妃殿下はつい先ごろ出産したって聞いたけど?
私はお辞儀しながら、上目使いにちっちゃな妃殿下を観察してしまった。これで、私より年上なのかあ。
「は、初めまして。ポーシャ・アランソンと申します」
それからとってつけたように王妃様へ向かっても、同じように自己紹介した。
「改めまして、ご挨拶が遅れ、申し訳ございません。ポーシャ・アランソンと申します。お目にかかれて光栄に存じます」
王妃様がニコリとした途端、王太子殿下が割り込んだ。
「いやー、気にしなくていいよ。人の部屋に、突然、踏み込んできたのはこっちだから」
「王太子殿下におかれましては、ご機嫌麗しく……」
あわてて王太子殿下にも挨拶していなかったことを思い出して、頭を低くしてあいさつしかかったところで、ポンっと頭に手が置かれた。
「この子、小さい時のこと、覚えてないのかなあ?」
恐る恐る振り返ると、どう見ても国王陛下だった。
「無理ですわよ。王城にいたのは五歳かそこらまでですもの」
王妃様が言った。
「そうかー」
国王陛下は残念そうだった。
わ、私、王城に住んでいたのですか? そんな話聞いたこともないのですけど?
「お父様とお母さまが悪獣狩りに出かける時は、私があずかっていたのよ。私がお母さまと親友だったのと、お母さまがおばあさまには預けたくないって」
王妃様が説明してくれた。
「なぜ?」
私が思わず聞くと、おばあさまが小さくなっていた。
「マーシャ様は雑だからねえ。やることが荒っぽくて、赤ん坊向きじゃなかったのよ。娘の方のマーシャは心配したの」
王妃様の解説に心の底から納得できた。
「それにうちには女の子がいなかったから、着飾らせたかったの。ポーシャちゃんはピンクの似合う、とーってもかわいい女の子だったから。今はうちのシャーリーちゃんの方がピンクは似合いそうだけど」
よし。ピンク担当、無事外れた。
「そんなわけで、ポーシャちゃん、よろしくね?」
「はい?」
「この子、あなたでないとダメなのよ。絨毯をあちこち設置してみたり、待ち伏せしてみたり、魔力の無駄遣いで遠いあなたの屋敷まで勝手に一人で出かけて行って、何回王子殿下行方不明事件を起こしたことか。しかも見つかった時は、いつも女装してるじゃないの。聞いたら、男の子の格好だと、あなたに怖がられたからですって。そこまで徹底してやる? もう呆れたわ」
「わしもなー、ルーカスの女装には、最初、なんじゃこりゃと思ったわ」(国王陛下談)
「子どもの頃は、女装もまあまあかわいかったけど、大きくなるとねえ。不気味になってしまって。よくあれで逆に嫌われなかったなあって」(王妃様談)
「だけど、あれであきらめがついたな。女装までやられたら、もうだめだと思ったよ。アランソン公爵家の娘でよかった。家柄的に問題ないし」(王太子殿下談)
国王一家は本音しかない人たちだった。
「そうよね。最早、放任だったわ。学校にくる年まで、あの屋敷に閉じ込められていたようなものよね。マーシャ様の監督が不行き届きなことはわかっていたから。学校の寮なら一応安心だし、ルーカスが任せてほしいって頑張るので、手を出しにくかったのよね」
……………………。
複数の要因が重なって、私はああなっていたのか。
「ごめんなさいねえ。でも、あきらめた方がいいと思う。すごくルーカスはあきらめが悪いから」
王妃様が無理矢理息子を押し付けてくる。
「ポーシャさん、無理だと思うわ。ジムスも同じタイプで、私もずいぶん頑張ったんだけど……」
一瞬で怖い顔に豹変した王太子殿下が、ヒョイとシャーリー様を抱き上げた。
「わかった。わかりました。大好きよ、ジムス」
キツネ目の王太子殿下の顔の表情がわかりやすく緩んだ。ちょろいな、殿下。
「そんなわけでよろしく頼むよ。うちの息子、あなたに拒否られると、ものすごく分かりやすくへこむんだ。誓約のキスをしちまったそうだが、あなたの魔力もすごいらしくて、息子の魔力をもってしてもカバーしきれないらしい。そんな人は初めて見たけど、ルーカスの将来はあなた次第になってしまった。国王として、人の子の親として、こいつは悪い人間ではない。それと絶対浮気しない。重要だと思う」
国王陛下も変な力説をして、そして全員が去っていった。おばあさまも、こういう恋心には手の施しようがないからねと言って、セス様まで仕方ないですよと言って、シャーリー様は頑張れと言って、唯一、王太子殿下だけがどうでもいいと思うよと言った。
「どうでもいいと思うよ。無理矢理の押し付けって気持ち悪いよね。本気で嫌われてたら、こいつも泣きながらあきらめるさ。まあ、死んじゃうかもしれないけど、それくらいキライだったら、死なれてもいっそすっきりしていいんじゃないかな」
すごい後味悪いわ。
殿下はうつぶせのまま意識不明で私の部屋に残された。
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