92 / 97
第92話 商売は絶好調
しおりを挟む
「ポーシャ様」
最近、とみに大人っぽくなったバスター君が客間に座って待っていた。背は相変わらずちっこいけど。
「久しぶり、バスター君」
そういや、事件が多すぎて学校に行けてない。
もう、落ち着いたし、学校にも行かなくちゃ。
まあ、正直なところ、何も解決していないけど、アデル嬢の罪状やリーマン侯爵家の問題は私が解決するような問題じゃない。司法の問題だ。
グレイ様に関しては、ほとぼりが覚めた頃にグレイ様を助けに行こう。
どう考えても、アデル嬢の共犯じゃあないだろうし。
「ポーシャ様、今日はどういったご用件でしょうか?」
バスター君は全く普通。
殿下みたいなギラギラ感も、グレイ様のようなキラキラ感もない。
単にいるだけ。普通っていいわあ。
「呼び出してしまってごめんなさい。今のハウエル商会の様子を聞いておきたいと思って」
「ええ。僕も、商会の会長と副会長から、叙勲までなさったポーシャ様が、今後ポーション作りにどう関わってくださるか、確認してこいって言われているんです」
そうかー。そうだよね。
「それにルーカス殿下とのご婚約の話が広まっていますし」
「いや、それはない」
即、否定した。
「え?」
「殿下とは趣味が合わないので、殿下からお断りが入ったのよ」
私は言った。殿下の側の趣味の問題だけどね。一度、婚約したいとまで言ったくせに、デコルテの開いたドレスを見た途端、気が変わるだなんて、重症のフェチだと思う。
バスター君は街の噂を信じていたらしい。かなり驚いた顔をしていた。
「……へえ? 聞いていいならお聞きしたいですが、どんな趣味なのですか? ポーションの関係ですか?」
いや、そんな真面目な話じゃないって! でも、一応、男性のバスター君にその話は恥ずかしい。
「まあ、ポーションの話じゃないんで、そこんところは安心してもらえると思うわ」
「なら……よかったです」
バスター君は引き下がった。
バスター君、好き。
その当たり前な対応、常識的な感じを、どうして殿下もセス様もアデル嬢も、それからグレイ様も持っていないんだろう。ウチのおばあさまもだ。
「で、お尋ねの商会のポーシャ様関連のお仕事の件ですが、本当に順風満帆です」
バスター君が嬉しそうに告げた。
「まず、日常用のハゲ治療薬、こちらは目玉が飛び出るほどのお値段で富裕層に少量ずつ売り渡しています」
ほうほう。
「一度使い始めると、絶対やめられません。なぜならまたハゲ始めるからで、固定顧客が見込めます。その意味では麻薬と同じですね」
妙なものに例えられたが、言い得て妙とはこのことだ。
「女性向け方面では美肌クリーム。これも同様です。毎日、必要となりますので、必ず切らさずお買い求めになります。効果が、他の商品と完全に違います。これまた、富裕層の方のみへの販売となります。莫大な利益を上げています」
「ちょっとしか作らなくて済むのはありがたいわ」
バスター君が同意した。
「単価が高く、利幅が大きい商品は本当に美味しいです」
「しかも、原価がほぼタダ同然。良いお話ですわ」
「はい。顧客の皆様を生かさず殺さず、永遠に顧客となっていただける優れものの商品です」
バスター君がいい笑顔で頷いた。
「次は、悪獣退治のための毒肉ポーションです」
毒を輸入したくらいで捕まるなら、毒の生産者の私も投獄されそう。でも、この話は国家プロジェクトだからね。
「実は他のポーションメーカーから苦情が上がってきておりまして」
「そうですか。ある程度予想できた問題ですね」
私は真顔で答えた。
発明者は私で、レシピは私しか知らない。
だからと言って、国家プロジェクトを一つの会社に独占させたら、他のポーション会社は黙っているまい。
「黙らせるか、ハウエル商会がトップに立って、他のポーション会社と協業で生産するか。ハウエル商会だけだと、コピーするポーションメーカーがでてきた時、目配り出来ないかもしれませんね」
「確かに偽ポーションは心配ですね。正規品でないと、効き目が出ないかもしれませんし、信用を失うことになります」
バスター君が言った。
「それぞれの地方を代表するようなポーションの会社を選んで、ハウエル商会の下につけるのはどうかしら。あと、王都にある他の有力なポーションの会社に話はつけておいた方がいいでしょう」
まあ、こんなこと、会長と副会長は百も承知だろう。
問題はこれを他のポーションの会社に納得させる力がいるってことだ。
セス様と殿下だろう。私は思案した。
「でもね、殿下から婚約破棄を申し渡されてしまったのよ、私」
「とても信じられませんが」
「本当なの」
私は被害者ぶって、(いやいや本当に被害者だから)顔を伏せて見せた。
殿下が豊乳好きだなんて知らなかったわ。アデル様が趣味なら、あんなに冷たくあしらわないで、堪能すればよかったのに。毒殺趣味はいただけないけど。
「だから、おばあさまと縁のあるセス様を通じて、そのあたりは調整していただくしかないわ。私はまだ学生ですし」
セス様に投げてみる。
いいんじゃないかしら。婚約解消の原因を作ったのはセス様なのだから。
「では僕からセバスチャン様に連絡を取ってみます」
帰りしな、バスター君は足を止めて私に聞いた。
「家中、花でいっぱいですね?」
「ええ。今晩、全部燃やそうと思って」
「え? どうして?」
「全部、婚約破棄してきた殿下からのものなのよ。胸糞悪くって」
「え? でも、この花、新しいですよ。いつ送られてきたんですか?」
私はメイフィールド夫人を振り返った。
夫人は殿下との婚約破棄の話を耳にして、顔色を悪くしてプルプル震えていたが、震える声で返事した。
「たった今でございます」
「婚約破棄されたのって、いつですか?」
バスター君が聞いた。
「モロゾフに食事に行ったときよ」
その時、使用人出入り口がザワザワし出した。
侍女の一人が嬉しそうな顔をして走ってきた。
「ポーシャ様、またお花でございます」
「今度は誰から?」
「今度はって、いつも殿下からに決まっているではありませんか」
「どうして送って来るのかしら?」
そう言うと、バスター君が不思議そうに聞いた。
「殿下は本当に婚約破棄したいとおっしゃったのですか?」
屈強な男が二人一組になって、次々と大きな花瓶ごと花を運んでくる。花瓶はガラス製や陶器製などいろいろだが、どれもあふれんばかりに花が入っていて、部屋中に花の香りが混ざっていた。
「すみませーん。こちらは二階の寝室用と伺ってましてー。どちらのお部屋でしょうか?」
大汗をかきながら、花屋の使いらしいのがメイフィールド夫人に聞いた。
「あ、それと、客間と食堂はこちらの花でと言いつかっております。あと、受領サインをお願いしたいんですけど」
公爵邸内をドタバタと人が動いている。
「よいせっ。重いぞ。なんで水や花瓶ごと持っていけだなんて言うんだろう?」
「仕方ねーよ。貴族の坊ちゃまのワガママだ。その分料金割り増しだから、大儲けよ」
私はバスター君と、ポケーとその様子を眺めていた。
「殿下、婚約破棄する気なさそうですよ?」
バスター君がそう言うなら、間違いないだろう。
「返品作業が大変そうね」
私はつぶやいた。
今回ばかりは本気で返さないといけない。
「私、婚約者がいなくなってしまったのよ。社交界に本気でデビューして、相手を探さないといけないわ」
最近、とみに大人っぽくなったバスター君が客間に座って待っていた。背は相変わらずちっこいけど。
「久しぶり、バスター君」
そういや、事件が多すぎて学校に行けてない。
もう、落ち着いたし、学校にも行かなくちゃ。
まあ、正直なところ、何も解決していないけど、アデル嬢の罪状やリーマン侯爵家の問題は私が解決するような問題じゃない。司法の問題だ。
グレイ様に関しては、ほとぼりが覚めた頃にグレイ様を助けに行こう。
どう考えても、アデル嬢の共犯じゃあないだろうし。
「ポーシャ様、今日はどういったご用件でしょうか?」
バスター君は全く普通。
殿下みたいなギラギラ感も、グレイ様のようなキラキラ感もない。
単にいるだけ。普通っていいわあ。
「呼び出してしまってごめんなさい。今のハウエル商会の様子を聞いておきたいと思って」
「ええ。僕も、商会の会長と副会長から、叙勲までなさったポーシャ様が、今後ポーション作りにどう関わってくださるか、確認してこいって言われているんです」
そうかー。そうだよね。
「それにルーカス殿下とのご婚約の話が広まっていますし」
「いや、それはない」
即、否定した。
「え?」
「殿下とは趣味が合わないので、殿下からお断りが入ったのよ」
私は言った。殿下の側の趣味の問題だけどね。一度、婚約したいとまで言ったくせに、デコルテの開いたドレスを見た途端、気が変わるだなんて、重症のフェチだと思う。
バスター君は街の噂を信じていたらしい。かなり驚いた顔をしていた。
「……へえ? 聞いていいならお聞きしたいですが、どんな趣味なのですか? ポーションの関係ですか?」
いや、そんな真面目な話じゃないって! でも、一応、男性のバスター君にその話は恥ずかしい。
「まあ、ポーションの話じゃないんで、そこんところは安心してもらえると思うわ」
「なら……よかったです」
バスター君は引き下がった。
バスター君、好き。
その当たり前な対応、常識的な感じを、どうして殿下もセス様もアデル嬢も、それからグレイ様も持っていないんだろう。ウチのおばあさまもだ。
「で、お尋ねの商会のポーシャ様関連のお仕事の件ですが、本当に順風満帆です」
バスター君が嬉しそうに告げた。
「まず、日常用のハゲ治療薬、こちらは目玉が飛び出るほどのお値段で富裕層に少量ずつ売り渡しています」
ほうほう。
「一度使い始めると、絶対やめられません。なぜならまたハゲ始めるからで、固定顧客が見込めます。その意味では麻薬と同じですね」
妙なものに例えられたが、言い得て妙とはこのことだ。
「女性向け方面では美肌クリーム。これも同様です。毎日、必要となりますので、必ず切らさずお買い求めになります。効果が、他の商品と完全に違います。これまた、富裕層の方のみへの販売となります。莫大な利益を上げています」
「ちょっとしか作らなくて済むのはありがたいわ」
バスター君が同意した。
「単価が高く、利幅が大きい商品は本当に美味しいです」
「しかも、原価がほぼタダ同然。良いお話ですわ」
「はい。顧客の皆様を生かさず殺さず、永遠に顧客となっていただける優れものの商品です」
バスター君がいい笑顔で頷いた。
「次は、悪獣退治のための毒肉ポーションです」
毒を輸入したくらいで捕まるなら、毒の生産者の私も投獄されそう。でも、この話は国家プロジェクトだからね。
「実は他のポーションメーカーから苦情が上がってきておりまして」
「そうですか。ある程度予想できた問題ですね」
私は真顔で答えた。
発明者は私で、レシピは私しか知らない。
だからと言って、国家プロジェクトを一つの会社に独占させたら、他のポーション会社は黙っているまい。
「黙らせるか、ハウエル商会がトップに立って、他のポーション会社と協業で生産するか。ハウエル商会だけだと、コピーするポーションメーカーがでてきた時、目配り出来ないかもしれませんね」
「確かに偽ポーションは心配ですね。正規品でないと、効き目が出ないかもしれませんし、信用を失うことになります」
バスター君が言った。
「それぞれの地方を代表するようなポーションの会社を選んで、ハウエル商会の下につけるのはどうかしら。あと、王都にある他の有力なポーションの会社に話はつけておいた方がいいでしょう」
まあ、こんなこと、会長と副会長は百も承知だろう。
問題はこれを他のポーションの会社に納得させる力がいるってことだ。
セス様と殿下だろう。私は思案した。
「でもね、殿下から婚約破棄を申し渡されてしまったのよ、私」
「とても信じられませんが」
「本当なの」
私は被害者ぶって、(いやいや本当に被害者だから)顔を伏せて見せた。
殿下が豊乳好きだなんて知らなかったわ。アデル様が趣味なら、あんなに冷たくあしらわないで、堪能すればよかったのに。毒殺趣味はいただけないけど。
「だから、おばあさまと縁のあるセス様を通じて、そのあたりは調整していただくしかないわ。私はまだ学生ですし」
セス様に投げてみる。
いいんじゃないかしら。婚約解消の原因を作ったのはセス様なのだから。
「では僕からセバスチャン様に連絡を取ってみます」
帰りしな、バスター君は足を止めて私に聞いた。
「家中、花でいっぱいですね?」
「ええ。今晩、全部燃やそうと思って」
「え? どうして?」
「全部、婚約破棄してきた殿下からのものなのよ。胸糞悪くって」
「え? でも、この花、新しいですよ。いつ送られてきたんですか?」
私はメイフィールド夫人を振り返った。
夫人は殿下との婚約破棄の話を耳にして、顔色を悪くしてプルプル震えていたが、震える声で返事した。
「たった今でございます」
「婚約破棄されたのって、いつですか?」
バスター君が聞いた。
「モロゾフに食事に行ったときよ」
その時、使用人出入り口がザワザワし出した。
侍女の一人が嬉しそうな顔をして走ってきた。
「ポーシャ様、またお花でございます」
「今度は誰から?」
「今度はって、いつも殿下からに決まっているではありませんか」
「どうして送って来るのかしら?」
そう言うと、バスター君が不思議そうに聞いた。
「殿下は本当に婚約破棄したいとおっしゃったのですか?」
屈強な男が二人一組になって、次々と大きな花瓶ごと花を運んでくる。花瓶はガラス製や陶器製などいろいろだが、どれもあふれんばかりに花が入っていて、部屋中に花の香りが混ざっていた。
「すみませーん。こちらは二階の寝室用と伺ってましてー。どちらのお部屋でしょうか?」
大汗をかきながら、花屋の使いらしいのがメイフィールド夫人に聞いた。
「あ、それと、客間と食堂はこちらの花でと言いつかっております。あと、受領サインをお願いしたいんですけど」
公爵邸内をドタバタと人が動いている。
「よいせっ。重いぞ。なんで水や花瓶ごと持っていけだなんて言うんだろう?」
「仕方ねーよ。貴族の坊ちゃまのワガママだ。その分料金割り増しだから、大儲けよ」
私はバスター君と、ポケーとその様子を眺めていた。
「殿下、婚約破棄する気なさそうですよ?」
バスター君がそう言うなら、間違いないだろう。
「返品作業が大変そうね」
私はつぶやいた。
今回ばかりは本気で返さないといけない。
「私、婚約者がいなくなってしまったのよ。社交界に本気でデビューして、相手を探さないといけないわ」
14
お気に入りに追加
1,760
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる