12 / 97
第12話 鏡の中の美女
しおりを挟む
全力疾走後の殿下は汗臭い。
そんなものに抱きつかれたら、こちらまで臭くなる。
仕方がないので、誰もいない平民の女子寮に殿下を連れてきて、これからアンナが魔力で殿下のお世話をしますと通告した。
寮には他に誰も住んでいないから、男を連れ込んだなどと言いふらす人間なんかいない。
本来はアンナがいなきゃいけないのだけど、絶賛職務放棄中だ。
「では、私は隣の部屋で待っていますから」
最近、私は生活魔法の遠隔操作も、できるようになったのである。
ちょっと楽しみだ。
実は遠隔操作のお湯の温度のテストをしたかった。だが、一人住まいだから、実験相手がおらず、これまで出来ずにいた。
いきなりの全身人体実験は、ちょっと緊張したが、被検体が自ら名乗り出てくれたのは、ラッキーだった。
「あー、シャワーあるの。いいねー」
気楽すぎないか? 王子。
「ギャアアアー」
最初は快調だったが、二分もたつと、熱い!と叫んで殿下は全裸で飛び出してこられた。
うーむ。シャワーを浴びてるのは自分じゃないので、お湯の温度設定を細かく変更できない。やっぱり駄目だったか。二分しか、もたないとは。
課題が見つかって良かった。
「こう言ったことは、経験がものを言うのよね」
一応、そこそこの冷風で殿下を干してみた。その間に洗濯魔法と乾燥魔法で殿下の服を程よく乾かしていく。
「ここ、君の部屋?」
殿下は、きれいになり服を着直して、一脚しかない私の椅子に座り込んで回りをキョロキョロ見回していた。
「はい」
「殺風景だねえ」
なんか知らんが、もう帰れ。人の部屋をけなすな。
でも、一応、殿下なので、高級茶葉と砂糖、気を遣ってレモンとミルクも用意した。
「お構いなく」
その割には遠慮なく紅茶のカップに手を伸ばす。
「困ったことがあったら、何でも構わないから連絡して欲しい」
王子殿下は真面目な様子で言った。
私はあいまいな笑いを口元に浮かべた。
困りごとの原因が、何を言っている。
「僕は一流の魔力持ちだ」
殿下は打ち明けた。
「アランソン公爵家に狙われている理由はそこも大きい。アランソン公爵家は代々膨大な魔力持ちだった。今のアランソン公爵はジョンと言って、母方からアランソンの血を引いているがもう何代も前だから、魔力はない。娘たち二人にも魔力はないのだ。だから僕は彼らにとって、とても魅力的なんだ」
やっぱり魔力持ちって、不便なのね。
王子まで狙われるのか。
「それから、言っておくことがある」
殿下の青い目が悩まし気な色を帯びた。
「は……」
何?
「簡単に他人を部屋に入れないと僕に誓ってくれ。特に男」
いや、殿下は? 殿下はいいの?
ダメなんじゃないの?
「僕はいいんだ」
何を言ってる。ダメに決まってるだろ。男じゃないとでも言いたいのか。
「婚約者だから。僕は君にとても興味があるんだ。また来たい」
なんだかとても気持ちが悪いセリフだ。なぜだろう。
「私は……」
殿下が勝手を言うのなら、私だって言わせてもらいたい。
「ポーション作りだとか、魔法に興味があります」
「そうか」
「魔法の授業の見学に行きたいんです」
殿下、手を回してくれないかなあ。
ポーションの授業は、見物人だらけであまり見れない。
生活魔法も最初こそ人気だったが、見に来ていた連中が軒並み貴族令嬢だった関係で、ほぼ全員が飽きて来なくなった。
これまでだって、侍女だの使用人にやらせていた仕事内容なのだ。彼女たちには一生縁がない。それどころか、生活魔法ができるようになったら、侍女の代わりに自分達がやることになるかも知れない。
出来ない方がマシである。
だが、ポーションの方は希少価値が高いせいで、人気がなかなか薄れないのだ。
そして、平民の私はいつでも見学の人並みの一番後ろをウロウロしている。全然見えない。
ここはひとつ、殿下のご威光で、平民でも見学できるよう取り計らっていただきたい。
しかし、思うようにはならなかった。
「ぜひ来てくれ。今度魔術格闘技の公開トーナメントがある。君が応援してくれたら、勇気百倍だよ」
殿下はニコリと笑った。
「お互いのことを知って、この数年間の埋め合わせをしたい」
何言ってんだ。誰が格闘技の見学に行きたいと言った? ポーションの授業の見学に行きたいって言ったよね?
「誰が見てようが、実力は変わんないんじゃないですか」
当てが外れた私は、そっけなく言った。
「君に見て欲しいんだ。この上なく美しい君に」
ものすごく間の悪い沈黙が流れた。
自分で自分のことを悪く言うは嫌だけれど、これは訂正しないと、殿下が気の毒だ。
私はゆっくりと殿下の誤解?を訂正しにかかった。あんまり、気は進まなかったけれど。
「あのう、自分で言うのもなんですが、私、どう見ても、ちっとも美人じゃありませんよ?」
殿下は深刻な表情に変わった。
「君には強い保護魔法がかかっている。僕のように強い魔力を持たない者たちには、君の顔立ちはぼやけて見える」
私には、殿下の言葉は信じられなかった。
この前も同じことを言っていた。
「君は自分でも自分の顔を知らない。本当の君は絶世の美女なのに。この前、鏡で見ただろう」
「鏡に細工がしてあるのだろうと思いました」
私は正直な感想を言った。
殿下は激しく首を振った。
「違うよ。君にはまだ、見えないんだ」
「まだって?」
いつか美女に変身できるのですか?
殿下はまどろっこしそうに答えた。
「君は、子どもの頃もきれいだったけど、今もとてもきれいだよ。君自身の魔力が、かけられた保護魔法の力を超えるか、十七歳の誕生日を迎えれば、その魔法は解けて、本当の君の姿が現れる。つまり、自分で自分が守れるようになったら保護膜が解除されるんだ」
どうしてそんなことになっているのだろう。
「僕には君の姿が見えている。可憐な美少女だ。君程美しい人を見たことがない」
殿下は私の顔をうっとりと見つめた。
……とても見目麗しい身分高い男性に見つめられる私。
でも、彼の目に映る私の姿は、私ではないという。とても美しく可憐な美少女だという。
だけど、もし、それが本当だったとして……私が美女だったとして、殿下はその美しい姿かたちを見ているの? その美しさを好きだと言うなら、それは私を好きだと言うのとは、少し違うでしょう?
魔力の有無で、真の姿が認識できなかったりできたりするって言うのも、眉唾物だと思うんだけど……
「ホラ」
王子殿下は立ち上がって、飾り鏡に触れた。幻のように、鏡の中からは私が消えて、私ではない別な人が当惑顔でこちらを見ている。
「これで、この鏡は文字通り魔法の鏡になる。この鏡だけはあなたの真実を写すよ。夢でも願望でもない。いつかこの姿に立ち向かわなくてはいけなくなる」
彼は長い時間邪魔したことを詫びて出て行った。
彼の話は半分もわからなかった。
ずっと昔からの知り合いのような言い方だ。でも、まったく覚えがない。
それに大体私は平民だ。育ちは、王都からずっと離れた田舎だし、村に第二王子様がお越しになられようものなら、記念に石碑が建つ勢いだと思う。だけど、村には石碑はおろか棒きれ一本立っていない。誰にも聞いたこともない。
しかも、私は今の私より、本当は美人なんだって?
そりゃ結構なお話かもしれないけど、今のままでも別にいい。
この高級貴族のにいちゃん的には、美人の方がいいんだろうけど、私は人間、顔だけじゃないと思ってる。
この平民蔑視の強い学校内で暮らしていくのは大変だけど、タダでポーション作りの勉強をさせてもらえるなら、妥協する。
嫌がらせくらい、ヒョイヒョイかわして、これまでやってきたんだもん。平凡で目立たない平民顔は、この際、便利だ。これからだってどうにかする。そして、学校を出たら、ポーション作りとして生計を立てる。
世の中、平民の方が数はずっと多い。嫌がらせなんか今のうちだけだ。
それにしても、次の魔法の授業の見学は魔道具に決めた。
私はカギと錠前の作り方を勉強するのだ。ちょっとやそっとでは開けられないヤツを。
殿下には、今回、無事にお引き取り願ったが、最後に、殿下は寮の玄関から潜入されたそうで、なんで自分が問題なく女子寮に入れたのかわからないと首をひねっていた。他の人も自由に出入り出来たら困るそうである。私は殿下が自由に出入りされると困るのだけど。
「普通、お世話係の担当者とかいるんじゃないの?」
「平民ですから」
「平民でもなんでも、誰かがいるはずだ。でないと、妙な男が出入りしたら困るから」
職務放棄が専門のアンナさんですから。
おかげでいろいろと助かっている。
だから、黙っておいた。
そんなものに抱きつかれたら、こちらまで臭くなる。
仕方がないので、誰もいない平民の女子寮に殿下を連れてきて、これからアンナが魔力で殿下のお世話をしますと通告した。
寮には他に誰も住んでいないから、男を連れ込んだなどと言いふらす人間なんかいない。
本来はアンナがいなきゃいけないのだけど、絶賛職務放棄中だ。
「では、私は隣の部屋で待っていますから」
最近、私は生活魔法の遠隔操作も、できるようになったのである。
ちょっと楽しみだ。
実は遠隔操作のお湯の温度のテストをしたかった。だが、一人住まいだから、実験相手がおらず、これまで出来ずにいた。
いきなりの全身人体実験は、ちょっと緊張したが、被検体が自ら名乗り出てくれたのは、ラッキーだった。
「あー、シャワーあるの。いいねー」
気楽すぎないか? 王子。
「ギャアアアー」
最初は快調だったが、二分もたつと、熱い!と叫んで殿下は全裸で飛び出してこられた。
うーむ。シャワーを浴びてるのは自分じゃないので、お湯の温度設定を細かく変更できない。やっぱり駄目だったか。二分しか、もたないとは。
課題が見つかって良かった。
「こう言ったことは、経験がものを言うのよね」
一応、そこそこの冷風で殿下を干してみた。その間に洗濯魔法と乾燥魔法で殿下の服を程よく乾かしていく。
「ここ、君の部屋?」
殿下は、きれいになり服を着直して、一脚しかない私の椅子に座り込んで回りをキョロキョロ見回していた。
「はい」
「殺風景だねえ」
なんか知らんが、もう帰れ。人の部屋をけなすな。
でも、一応、殿下なので、高級茶葉と砂糖、気を遣ってレモンとミルクも用意した。
「お構いなく」
その割には遠慮なく紅茶のカップに手を伸ばす。
「困ったことがあったら、何でも構わないから連絡して欲しい」
王子殿下は真面目な様子で言った。
私はあいまいな笑いを口元に浮かべた。
困りごとの原因が、何を言っている。
「僕は一流の魔力持ちだ」
殿下は打ち明けた。
「アランソン公爵家に狙われている理由はそこも大きい。アランソン公爵家は代々膨大な魔力持ちだった。今のアランソン公爵はジョンと言って、母方からアランソンの血を引いているがもう何代も前だから、魔力はない。娘たち二人にも魔力はないのだ。だから僕は彼らにとって、とても魅力的なんだ」
やっぱり魔力持ちって、不便なのね。
王子まで狙われるのか。
「それから、言っておくことがある」
殿下の青い目が悩まし気な色を帯びた。
「は……」
何?
「簡単に他人を部屋に入れないと僕に誓ってくれ。特に男」
いや、殿下は? 殿下はいいの?
ダメなんじゃないの?
「僕はいいんだ」
何を言ってる。ダメに決まってるだろ。男じゃないとでも言いたいのか。
「婚約者だから。僕は君にとても興味があるんだ。また来たい」
なんだかとても気持ちが悪いセリフだ。なぜだろう。
「私は……」
殿下が勝手を言うのなら、私だって言わせてもらいたい。
「ポーション作りだとか、魔法に興味があります」
「そうか」
「魔法の授業の見学に行きたいんです」
殿下、手を回してくれないかなあ。
ポーションの授業は、見物人だらけであまり見れない。
生活魔法も最初こそ人気だったが、見に来ていた連中が軒並み貴族令嬢だった関係で、ほぼ全員が飽きて来なくなった。
これまでだって、侍女だの使用人にやらせていた仕事内容なのだ。彼女たちには一生縁がない。それどころか、生活魔法ができるようになったら、侍女の代わりに自分達がやることになるかも知れない。
出来ない方がマシである。
だが、ポーションの方は希少価値が高いせいで、人気がなかなか薄れないのだ。
そして、平民の私はいつでも見学の人並みの一番後ろをウロウロしている。全然見えない。
ここはひとつ、殿下のご威光で、平民でも見学できるよう取り計らっていただきたい。
しかし、思うようにはならなかった。
「ぜひ来てくれ。今度魔術格闘技の公開トーナメントがある。君が応援してくれたら、勇気百倍だよ」
殿下はニコリと笑った。
「お互いのことを知って、この数年間の埋め合わせをしたい」
何言ってんだ。誰が格闘技の見学に行きたいと言った? ポーションの授業の見学に行きたいって言ったよね?
「誰が見てようが、実力は変わんないんじゃないですか」
当てが外れた私は、そっけなく言った。
「君に見て欲しいんだ。この上なく美しい君に」
ものすごく間の悪い沈黙が流れた。
自分で自分のことを悪く言うは嫌だけれど、これは訂正しないと、殿下が気の毒だ。
私はゆっくりと殿下の誤解?を訂正しにかかった。あんまり、気は進まなかったけれど。
「あのう、自分で言うのもなんですが、私、どう見ても、ちっとも美人じゃありませんよ?」
殿下は深刻な表情に変わった。
「君には強い保護魔法がかかっている。僕のように強い魔力を持たない者たちには、君の顔立ちはぼやけて見える」
私には、殿下の言葉は信じられなかった。
この前も同じことを言っていた。
「君は自分でも自分の顔を知らない。本当の君は絶世の美女なのに。この前、鏡で見ただろう」
「鏡に細工がしてあるのだろうと思いました」
私は正直な感想を言った。
殿下は激しく首を振った。
「違うよ。君にはまだ、見えないんだ」
「まだって?」
いつか美女に変身できるのですか?
殿下はまどろっこしそうに答えた。
「君は、子どもの頃もきれいだったけど、今もとてもきれいだよ。君自身の魔力が、かけられた保護魔法の力を超えるか、十七歳の誕生日を迎えれば、その魔法は解けて、本当の君の姿が現れる。つまり、自分で自分が守れるようになったら保護膜が解除されるんだ」
どうしてそんなことになっているのだろう。
「僕には君の姿が見えている。可憐な美少女だ。君程美しい人を見たことがない」
殿下は私の顔をうっとりと見つめた。
……とても見目麗しい身分高い男性に見つめられる私。
でも、彼の目に映る私の姿は、私ではないという。とても美しく可憐な美少女だという。
だけど、もし、それが本当だったとして……私が美女だったとして、殿下はその美しい姿かたちを見ているの? その美しさを好きだと言うなら、それは私を好きだと言うのとは、少し違うでしょう?
魔力の有無で、真の姿が認識できなかったりできたりするって言うのも、眉唾物だと思うんだけど……
「ホラ」
王子殿下は立ち上がって、飾り鏡に触れた。幻のように、鏡の中からは私が消えて、私ではない別な人が当惑顔でこちらを見ている。
「これで、この鏡は文字通り魔法の鏡になる。この鏡だけはあなたの真実を写すよ。夢でも願望でもない。いつかこの姿に立ち向かわなくてはいけなくなる」
彼は長い時間邪魔したことを詫びて出て行った。
彼の話は半分もわからなかった。
ずっと昔からの知り合いのような言い方だ。でも、まったく覚えがない。
それに大体私は平民だ。育ちは、王都からずっと離れた田舎だし、村に第二王子様がお越しになられようものなら、記念に石碑が建つ勢いだと思う。だけど、村には石碑はおろか棒きれ一本立っていない。誰にも聞いたこともない。
しかも、私は今の私より、本当は美人なんだって?
そりゃ結構なお話かもしれないけど、今のままでも別にいい。
この高級貴族のにいちゃん的には、美人の方がいいんだろうけど、私は人間、顔だけじゃないと思ってる。
この平民蔑視の強い学校内で暮らしていくのは大変だけど、タダでポーション作りの勉強をさせてもらえるなら、妥協する。
嫌がらせくらい、ヒョイヒョイかわして、これまでやってきたんだもん。平凡で目立たない平民顔は、この際、便利だ。これからだってどうにかする。そして、学校を出たら、ポーション作りとして生計を立てる。
世の中、平民の方が数はずっと多い。嫌がらせなんか今のうちだけだ。
それにしても、次の魔法の授業の見学は魔道具に決めた。
私はカギと錠前の作り方を勉強するのだ。ちょっとやそっとでは開けられないヤツを。
殿下には、今回、無事にお引き取り願ったが、最後に、殿下は寮の玄関から潜入されたそうで、なんで自分が問題なく女子寮に入れたのかわからないと首をひねっていた。他の人も自由に出入り出来たら困るそうである。私は殿下が自由に出入りされると困るのだけど。
「普通、お世話係の担当者とかいるんじゃないの?」
「平民ですから」
「平民でもなんでも、誰かがいるはずだ。でないと、妙な男が出入りしたら困るから」
職務放棄が専門のアンナさんですから。
おかげでいろいろと助かっている。
だから、黙っておいた。
18
お気に入りに追加
1,760
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる