見切り教育

ラッキーセヴァン

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9月4日

メイド喫茶

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原とご機嫌で歌っている内にあっという間に着いた。ここが私の人生の中で一生訪れる事が無いと思っていた・・・

「メイド喫茶だ!」

「いええええええええい!!」

メイド喫茶。・・・説明は不要であろう。

強いて言えば見た目は二階建ての小さな洋風なお屋敷という感じで、結婚式場や大きなホテルを彷彿とさせる。高校生の私から見たら胸がちょっとワクワクするような豪華さだ。

「因みにここは俺の組織が運営してる場所なんだぜ。」

「ふーん。これから国を背負っていくのにこんな悪徳商法働いてるんだね。」

「違う違う!悪徳商法じゃなくて、ここも俺たちみたいに家が貧乏で行き場を失った奴らが働いてる場所なんだ!いたって健全だぜ!」

なるほど。まあ龍頭組もヤクザって名目だけで悪い組織じゃないみたいだし、それだったら入るのにも抵抗は少ないかな。

「そっか!じゃあ早速お邪魔しても良いかな?」

「良いぜ!じゃあレッツラゴー!」

原は勢い良く豪華な両開きの扉を開いた。

ギイイイイ・・・

中から赤い煌びやかなオーラが漂って来た。そして・・・

「「「おかえりなたいまて!ご主人たま♡」」」

えっ。

中の人達を見てみたらメイド服を着た胸元がパカッと空いた若い女の人達が現れた。スカートもめちゃくちゃ短い。

「おーす!ただいまー!みんな!」

原が赤い壁が張り詰めてある扉の向こうへ消えていった。

「悠たまー!おかえりなたーい♡」

「暫く帰ってこなかったから、たみちかったのー♡」

メイド達が次々と原に駆け寄る。良く見たら腹の腕元に胸をふにふにと押し付けていた。

これはビジネスじゃなくて本気で惚れてるな。あとなんで舌ったらずなんだよ。分かりづらいわ。

外から改めて良く中を覗いてみたら、もしクラスにいたら教室の隅っこでえへえへと低い笑い声をあげていそうな人達がメイドをいやらしい目つきで見ていた。それにメイド達が体当たりで応えまくる。ボディタッチで。中の雰囲気もギラギラしていて、私がいる場所と店の中をナイフでスッパリと切り分けたかの様に世界が分かれている。

やばい。全然健全じゃない。

私が呆然と立ち尽くしていると一人のメイドがこちらに気づいて話しかけてきた。

「あ、そこのおねえたーん!こっちでわたち達と遊びまとー♡」

ええっ。

私は一瞬首を振りそうになったが、ここで原と離れても行き場を失うだけなので恐る恐る中に歩きだした。

「「がんばれ!がんばれ!」」

「「がんばれ!がんばれ!」」

私がゆっくりと一歩を踏み出す度に、メイド達は手拍子で私を応援した。

なんだこれ。

そして私は遂に中に到着した。

「ゴールー!おかえりなたまて!ご主人たま♡」

「「「わーい!おかえりなたいまて♡」」」

メイド達が私をぎゅうっと抱きしめた。棒立ちしている中で胸や太ももを全身に押し付けられる。特に需要は無い。

そして私はその状態で耳元に囁かれた。

「じゃあ、わたち達とすーっごくたのちー事、ちまちょうね♡」

えええっ。

楽しい事って何?てか押し付ける速度が段々早くなってるんだけど。

「もっと中・・・入って♡」

「えっやだちょっと待ってああああああああああああああああああ!!」

私はそのまま店の中に引きずり込まれていった。

ねえ。助けて。






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