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5 アメリア3歳。魔法少女になる為に商人を目指します。
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あれからアメリアは毎日分身を出したりMPを増やす方法を試行錯誤しながら過ごし、あっという間に3歳になった。
現在のステータスはこんな感じだ。
アメリア・スチュアート(3)
HP 10/10
MP 10/10 (隠蔽中 300/300)
素早さ 5
力 3
器用さ 5
スキル 《魔法少女》《気配察知》《鑑定》(隠蔽中)
《クリスティーンの加護》(隠蔽中)
MP、HP以外も英語表記だったのだが、RPGに疎いアメリアにはイマイチ分かりにくかったので日本語表記にならないかと念じてみたら成功した。それ以来この表記で見ている。
スキルとクリスティーンの加護は隠蔽し、ずば抜けて高いMPは他人から見たら10に見えるように書き換えた。
因みに魔法だと思っていた気配察知は魔法ではなくスキルだったらしい。
MPを消費しないで使えるのはかなりありがたい。
3歳になり自由に家の中を歩き回れるようになったアメリアは、使用人の目を盗んでは魔法の訓練を続けた。それと同時に両親に頼んでこの世界の常識や、経済、世界情勢等の本を強請る。
3歳には分からないだろうと言われたが、「沢山勉強して将来父様の手伝いをしたい」と潤んだ瞳で見上げれば山のように本を買ってくれた。
この世界には珍しい黒髪、黒目で整った容姿のアメリアは勤勉さと子供とは思えない程の聞き分けの良さも相まって《女神クリスティーンの愛し子》と呼ばれるようになっているのは、本人の預かり知らぬ所である。
「さて、この世界の情報は粗方分かったし。」
パタンと読んでいた本を閉じるとアメリアはノートと羽ペンを取る。これからの人生計画を大筋で決めていこうと日本語で書き出していく。
「まずは、やりたい事。魔法少女としての活動。…あと折角この世界に来たのだから冒険者としてダンジョンとかにも行ってみたい。」
サラサラと書いていくアメリア。この時も気配察知を発動させていて誰か来そうな時にはすぐにノートを隠せるようにしている。
「この世界の食生活ももう少しなんとかしたいなぁ。甘ったるいか素材の味しかしない…両極端すぎなのよね。」
普段の食事を思い出し眉間に皺を寄せるアメリア。最もアメリアの食生活は一般人からしたらかなりのご馳走なのは明白で、アメリアもそれを分かっているので文句を言った事はない。
「あとは美容に関することだよねぇ。泡立たない石鹸、しかも髪の毛も同じ石鹸で洗ってゴワゴワ。艶を出す為のオイルはベトベト。」
アメリアは魔法でサラサラの髪の毛と艶々の肌を維持している。メイドやすれ違うご婦人にお手入れ方法を聞かれる事もしょっちゅうだが、考えて欲しい。普通は3歳にそんな事を聞いても分かる訳がない。
特に何もしてませんと言うと皆ガックリと項垂れる。そんな訳で美容関連の開発もしてみたい。
これは将来の自分の為でもある。お見合いや結婚など真っ平ゴメンなアメリアは自分の力で生きていけるようにしたいのである。
商人としてのノウハウを父から学び、商会を立ち上げたいと思っていた。
「昼間は商人、夜は正義の魔法少女…うん、これだわ!」
ノートに書いていく手に力が入る。
美容関連の開発。この文字にアメリアは考えこむ。
地球から取り寄せるのが手っ取り早い。けれど、1ヶ月に一度しか取り寄せられない。しかも一つだけなのだ。それに一週間魔法少女として変身が出来なくなる。これはアメリアにとっては死活問題だ。
「そう考えるとこっちの世界の素材で美容液やら何やらを作らないとダメ…と」
何とも前途多難な問題である。いくら地球の知識があるとは言え、高校生までの知識でしかない。
様々な分野の専門知識などは勿論無い。
「兎に角、こっちの世界の素材を色々集めてから考えよう」
アメリアはそう考えると早速準備に取りかかるのだった。
産まれてから三年間、ずっとこの為に練習してきたと言っても過言ではない。
アメリアは体の中にあるブローチを出現させる。
ブローチからコンパクトを出現させるとアメリアはコンパクトを開いて鏡に向かって言葉を紡ぐ。
「召しませ我が分身!冒険者としての姿をもって!!」
眩い光が辺りを照らす。少しずつ光が収まっていくと、そこには18歳位の男性が立っていた。
アメリアとは違い金髪でグレーの瞳。腰には剣が携えられている。
「成功…したぁ~!!」
思わずホッとするアメリア。自ら変身してから分身を出す手順を飛ばして、思い浮かべた姿での分身を出す事に成功し喜ぶ。
あとは…
「取り敢えず名前をつけましょう。…リアムでどう?」
「リアム…いいんじゃないか」
不思議な感覚だ。目の前の男は自分と全く違うのに自分なのだ。
「リアム、取り敢えず冒険者として行動して。まずはギルドで身分証の発行。そしてダンジョンに行って素材集めよ。私はその間に色々準備しておく事があるから」
「ああ、分かってる。隠れ家の用意だろ?」
流石分身なだけあり、リアムはアメリアのやる事を言わなくても把握している。勿論アメリアにもリアムの考えている事は把握している。
「取り敢えず期間は一週間。その間に冒険者登録とダンジョンとで素材を集めておいて。素材の保管方法だけど…」
「アイテムボックスだろ?」
「っと、私だから言わなくても分かるか。それじゃ頼んだわ。何かあればリンクを繋げて」
アメリアの言葉にリアムは頷くと窓から外へと飛び降りた。
やっと動き出した計画にアメリアの心は期待に満ちていた。
現在のステータスはこんな感じだ。
アメリア・スチュアート(3)
HP 10/10
MP 10/10 (隠蔽中 300/300)
素早さ 5
力 3
器用さ 5
スキル 《魔法少女》《気配察知》《鑑定》(隠蔽中)
《クリスティーンの加護》(隠蔽中)
MP、HP以外も英語表記だったのだが、RPGに疎いアメリアにはイマイチ分かりにくかったので日本語表記にならないかと念じてみたら成功した。それ以来この表記で見ている。
スキルとクリスティーンの加護は隠蔽し、ずば抜けて高いMPは他人から見たら10に見えるように書き換えた。
因みに魔法だと思っていた気配察知は魔法ではなくスキルだったらしい。
MPを消費しないで使えるのはかなりありがたい。
3歳になり自由に家の中を歩き回れるようになったアメリアは、使用人の目を盗んでは魔法の訓練を続けた。それと同時に両親に頼んでこの世界の常識や、経済、世界情勢等の本を強請る。
3歳には分からないだろうと言われたが、「沢山勉強して将来父様の手伝いをしたい」と潤んだ瞳で見上げれば山のように本を買ってくれた。
この世界には珍しい黒髪、黒目で整った容姿のアメリアは勤勉さと子供とは思えない程の聞き分けの良さも相まって《女神クリスティーンの愛し子》と呼ばれるようになっているのは、本人の預かり知らぬ所である。
「さて、この世界の情報は粗方分かったし。」
パタンと読んでいた本を閉じるとアメリアはノートと羽ペンを取る。これからの人生計画を大筋で決めていこうと日本語で書き出していく。
「まずは、やりたい事。魔法少女としての活動。…あと折角この世界に来たのだから冒険者としてダンジョンとかにも行ってみたい。」
サラサラと書いていくアメリア。この時も気配察知を発動させていて誰か来そうな時にはすぐにノートを隠せるようにしている。
「この世界の食生活ももう少しなんとかしたいなぁ。甘ったるいか素材の味しかしない…両極端すぎなのよね。」
普段の食事を思い出し眉間に皺を寄せるアメリア。最もアメリアの食生活は一般人からしたらかなりのご馳走なのは明白で、アメリアもそれを分かっているので文句を言った事はない。
「あとは美容に関することだよねぇ。泡立たない石鹸、しかも髪の毛も同じ石鹸で洗ってゴワゴワ。艶を出す為のオイルはベトベト。」
アメリアは魔法でサラサラの髪の毛と艶々の肌を維持している。メイドやすれ違うご婦人にお手入れ方法を聞かれる事もしょっちゅうだが、考えて欲しい。普通は3歳にそんな事を聞いても分かる訳がない。
特に何もしてませんと言うと皆ガックリと項垂れる。そんな訳で美容関連の開発もしてみたい。
これは将来の自分の為でもある。お見合いや結婚など真っ平ゴメンなアメリアは自分の力で生きていけるようにしたいのである。
商人としてのノウハウを父から学び、商会を立ち上げたいと思っていた。
「昼間は商人、夜は正義の魔法少女…うん、これだわ!」
ノートに書いていく手に力が入る。
美容関連の開発。この文字にアメリアは考えこむ。
地球から取り寄せるのが手っ取り早い。けれど、1ヶ月に一度しか取り寄せられない。しかも一つだけなのだ。それに一週間魔法少女として変身が出来なくなる。これはアメリアにとっては死活問題だ。
「そう考えるとこっちの世界の素材で美容液やら何やらを作らないとダメ…と」
何とも前途多難な問題である。いくら地球の知識があるとは言え、高校生までの知識でしかない。
様々な分野の専門知識などは勿論無い。
「兎に角、こっちの世界の素材を色々集めてから考えよう」
アメリアはそう考えると早速準備に取りかかるのだった。
産まれてから三年間、ずっとこの為に練習してきたと言っても過言ではない。
アメリアは体の中にあるブローチを出現させる。
ブローチからコンパクトを出現させるとアメリアはコンパクトを開いて鏡に向かって言葉を紡ぐ。
「召しませ我が分身!冒険者としての姿をもって!!」
眩い光が辺りを照らす。少しずつ光が収まっていくと、そこには18歳位の男性が立っていた。
アメリアとは違い金髪でグレーの瞳。腰には剣が携えられている。
「成功…したぁ~!!」
思わずホッとするアメリア。自ら変身してから分身を出す手順を飛ばして、思い浮かべた姿での分身を出す事に成功し喜ぶ。
あとは…
「取り敢えず名前をつけましょう。…リアムでどう?」
「リアム…いいんじゃないか」
不思議な感覚だ。目の前の男は自分と全く違うのに自分なのだ。
「リアム、取り敢えず冒険者として行動して。まずはギルドで身分証の発行。そしてダンジョンに行って素材集めよ。私はその間に色々準備しておく事があるから」
「ああ、分かってる。隠れ家の用意だろ?」
流石分身なだけあり、リアムはアメリアのやる事を言わなくても把握している。勿論アメリアにもリアムの考えている事は把握している。
「取り敢えず期間は一週間。その間に冒険者登録とダンジョンとで素材を集めておいて。素材の保管方法だけど…」
「アイテムボックスだろ?」
「っと、私だから言わなくても分かるか。それじゃ頼んだわ。何かあればリンクを繋げて」
アメリアの言葉にリアムは頷くと窓から外へと飛び降りた。
やっと動き出した計画にアメリアの心は期待に満ちていた。
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