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第3章 相談と対策、そして宿泊研修
5.妖怪封じの瓢箪??(ようかいふうじのひょうたん)
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8月1日(木)、哲也達勝平小学校の5年生は達が宿泊研修に出発する日がやって来た。
朝、哲也が小学校に着くと、小学校のグランドには4台の大型バスが止まっていた。
学校の正門の前には、子供を見送りに来た保護者の車が学校の前絵に何台も止まっている。
哲也が正門を通ると、校舎玄関の前には各組ごとに生徒が列を作り座っていた。
5年3組の表示をみつけ、その場に向かうと、ナオケン、カッチが既に来ていた。
委員長であるいずみは数人の生徒と共に、少し列から離れたところで先生達と話していた。
出発の前に、各クラスの担任の先生達と、委員長たちが打ち合わせをしているみたいだった。
『テッカ、久しぶりだな!』
数日振りに会う、カッチが哲也を見て手を挙げる。
『テッカ、やっと来たか、待ってたよ』
カッチの様子をみて、振り向いたナオケンも挨拶してきた。
『おはよう、ナオケンとカッチも、大きいリュックだな』
『まあ、オレも同じだけど・・。ナオケン、トランシーバー忘れてないよな?』
『あたりめーだろ・・、大事なモノ忘れるか!』
『テッカは、持って来たのかよ』
『持って来たよ』
『テッカ、カッチがお祖父さんの部屋で、使えそうなモノを見つけて来たんだって』
『・・・何だよ、ソレ』
『瓢箪って、知ってるか?』
『これだよ、すごい小さいんだけど』
カッチは、そういうと掌に入りそうな、小さい二つのこぶがついているような容器みたいなものをみせた。
『あ、それね・・オレ、時代劇で見た事あるよ。水や、お酒を入れてる水筒みたいなものだ・・』
『・・・小さいな。コップ一杯分の水も入らないなんじゃないか』
カッチが見せてくれた瓢箪を見て、哲也は正直に感想を言った。
『そう、其処なんだ!これ、祖父ちゃんが殺された日、ポケットに入ってたんだ』
カッチが、真剣な顔でそういうので、哲也はほんのちょっとビックリしてしまった。
『祖父ちゃんは、お酒飲む人じゃなかったし、飲み物だって、普通の水筒の方が便利だよ』
『しかも、祖父ちゃんのポケットから見つかった時、蓋を取っても、中身が入ってなかった』
『・・瓢箪の中が、まったく濡れてもいなかったんだよ』
『3日前オレ、・・・テッカから夜電話で、先生達と対策会議をした事を聞いたじゃん』
『対策会議の中で、福岡先生が、三枚のおふだで、和尚さんがオモチに山姥を入れて食べたって話を』
『容器に入れて封印したんじゃないかって言ってたって聞いて、』
『オレ、その後しばらくして、この瓢箪の事思い出したんだ』
『あの日、祖父ちゃんは、アイツを退治して、いや封印する予定だったんじゃないかって』
『それで、祖父ちゃんの遺品として取って置いたこの瓢箪を、取って来たんだ、父さん、母さんには内緒だけど』
そう言っているカッチの表情は、自分の考えが正しいと確信している顔だった。
『だけどさ、問題が一つあるんだよね・・』
『普通、妖怪を封じたりするとき、呪文を唱えたりするじゃん』
『この瓢箪の蓋をあけて、何も言わなくても、妖怪が吸い込まれればいいぜ・・』
『もし、何も起こらなかったら、死亡確定じゃん』
カッチの隣にいたナオケンは、そう言うと、自分の首を両手で絞めたふりをして、二人に白目を見せる。
『そうだな、呪文・・カッチ、なんか、カッチのお祖父さんから聞いた事無かったのか?』
『無いんだよ・・・。祖父ちゃんの部屋も探した。祖父ちゃんの部屋に有ったそれらしき、昔の本もみたんだけど・・』
『習字の筆で書かれてて、しかも、いまの日本語じゃないんだよ。昔の文章。字はつながってて』
『解読不能、オレの母さんにも、見せたけど、お手上げ・・』
『・・じゃあ、使えないよな。正直、持って来た意味ないんじゃない』
テッカが、失望したように指摘する。
『クソッ、祖父ちゃんさえ、生きていてくれてたら・・』
カッチは、そう言うと、地面のアスファルトを力いっぱい踏みつけた。
『西遊記、孫悟空だとさ、金閣と銀閣っていう妖怪を、名前を呼んで、相手が返事をすると』
『瓢箪に吸い込まれるよな!最悪、それ試すしかないよな』
ナオケンが、二人の状況を励ますつもりなのか、そんな事を言った。
『そうだよな、ただ、名前が分からん』
『ヤマンバって、俺たちが呼べば、アイツ返事してくれるのかな』
『ヤマンバって、名前じゃなくて、種類の名称じゃない、例えば、オレたち、日本人じゃん』
『オレってさ、日本人の、佐上哲也、だからアイツは多分、山姥の山田花子とか、別の名前が・・』
『・・グアッ!テッカ、止めてくれ!もういい、どんどん不安になって来た。バスに乗りたくなくなってきた』
ナオケンが、両耳を手で押さえて、苦しそうに言う。
ナオケンの様子を、カッチとナオケンが見ていると、その時大きな声が聞こえて来た。
『それじゃ、みんな、注目、こっちを見て、これから出発式を始めます!!』
5年生の学年主任、山岡先生の声だった。
朝、哲也が小学校に着くと、小学校のグランドには4台の大型バスが止まっていた。
学校の正門の前には、子供を見送りに来た保護者の車が学校の前絵に何台も止まっている。
哲也が正門を通ると、校舎玄関の前には各組ごとに生徒が列を作り座っていた。
5年3組の表示をみつけ、その場に向かうと、ナオケン、カッチが既に来ていた。
委員長であるいずみは数人の生徒と共に、少し列から離れたところで先生達と話していた。
出発の前に、各クラスの担任の先生達と、委員長たちが打ち合わせをしているみたいだった。
『テッカ、久しぶりだな!』
数日振りに会う、カッチが哲也を見て手を挙げる。
『テッカ、やっと来たか、待ってたよ』
カッチの様子をみて、振り向いたナオケンも挨拶してきた。
『おはよう、ナオケンとカッチも、大きいリュックだな』
『まあ、オレも同じだけど・・。ナオケン、トランシーバー忘れてないよな?』
『あたりめーだろ・・、大事なモノ忘れるか!』
『テッカは、持って来たのかよ』
『持って来たよ』
『テッカ、カッチがお祖父さんの部屋で、使えそうなモノを見つけて来たんだって』
『・・・何だよ、ソレ』
『瓢箪って、知ってるか?』
『これだよ、すごい小さいんだけど』
カッチは、そういうと掌に入りそうな、小さい二つのこぶがついているような容器みたいなものをみせた。
『あ、それね・・オレ、時代劇で見た事あるよ。水や、お酒を入れてる水筒みたいなものだ・・』
『・・・小さいな。コップ一杯分の水も入らないなんじゃないか』
カッチが見せてくれた瓢箪を見て、哲也は正直に感想を言った。
『そう、其処なんだ!これ、祖父ちゃんが殺された日、ポケットに入ってたんだ』
カッチが、真剣な顔でそういうので、哲也はほんのちょっとビックリしてしまった。
『祖父ちゃんは、お酒飲む人じゃなかったし、飲み物だって、普通の水筒の方が便利だよ』
『しかも、祖父ちゃんのポケットから見つかった時、蓋を取っても、中身が入ってなかった』
『・・瓢箪の中が、まったく濡れてもいなかったんだよ』
『3日前オレ、・・・テッカから夜電話で、先生達と対策会議をした事を聞いたじゃん』
『対策会議の中で、福岡先生が、三枚のおふだで、和尚さんがオモチに山姥を入れて食べたって話を』
『容器に入れて封印したんじゃないかって言ってたって聞いて、』
『オレ、その後しばらくして、この瓢箪の事思い出したんだ』
『あの日、祖父ちゃんは、アイツを退治して、いや封印する予定だったんじゃないかって』
『それで、祖父ちゃんの遺品として取って置いたこの瓢箪を、取って来たんだ、父さん、母さんには内緒だけど』
そう言っているカッチの表情は、自分の考えが正しいと確信している顔だった。
『だけどさ、問題が一つあるんだよね・・』
『普通、妖怪を封じたりするとき、呪文を唱えたりするじゃん』
『この瓢箪の蓋をあけて、何も言わなくても、妖怪が吸い込まれればいいぜ・・』
『もし、何も起こらなかったら、死亡確定じゃん』
カッチの隣にいたナオケンは、そう言うと、自分の首を両手で絞めたふりをして、二人に白目を見せる。
『そうだな、呪文・・カッチ、なんか、カッチのお祖父さんから聞いた事無かったのか?』
『無いんだよ・・・。祖父ちゃんの部屋も探した。祖父ちゃんの部屋に有ったそれらしき、昔の本もみたんだけど・・』
『習字の筆で書かれてて、しかも、いまの日本語じゃないんだよ。昔の文章。字はつながってて』
『解読不能、オレの母さんにも、見せたけど、お手上げ・・』
『・・じゃあ、使えないよな。正直、持って来た意味ないんじゃない』
テッカが、失望したように指摘する。
『クソッ、祖父ちゃんさえ、生きていてくれてたら・・』
カッチは、そう言うと、地面のアスファルトを力いっぱい踏みつけた。
『西遊記、孫悟空だとさ、金閣と銀閣っていう妖怪を、名前を呼んで、相手が返事をすると』
『瓢箪に吸い込まれるよな!最悪、それ試すしかないよな』
ナオケンが、二人の状況を励ますつもりなのか、そんな事を言った。
『そうだよな、ただ、名前が分からん』
『ヤマンバって、俺たちが呼べば、アイツ返事してくれるのかな』
『ヤマンバって、名前じゃなくて、種類の名称じゃない、例えば、オレたち、日本人じゃん』
『オレってさ、日本人の、佐上哲也、だからアイツは多分、山姥の山田花子とか、別の名前が・・』
『・・グアッ!テッカ、止めてくれ!もういい、どんどん不安になって来た。バスに乗りたくなくなってきた』
ナオケンが、両耳を手で押さえて、苦しそうに言う。
ナオケンの様子を、カッチとナオケンが見ていると、その時大きな声が聞こえて来た。
『それじゃ、みんな、注目、こっちを見て、これから出発式を始めます!!』
5年生の学年主任、山岡先生の声だった。
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