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三章・・・療養
朧月という男1
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厳重に結界の張られた岩戸を強引に蹴破れば、いつもは小憎たらしい弟分が、ボロ雑巾のような様で地面に伏していた。
「紅月!」
この私と紅月との間には、邪魔な障害物がいる。
「バカな!何重にも結界を重ねたんだぞ!?
触媒だって上等なものを使ったんだ、なんで一介の御使ごときに破れグアッ!?!?」
その障害物が何か言い終わる前に、私は手が出ていた。
「その触媒は、紅月から採取したものだろう。」
カツ、カツ、と靴が岩の地面を叩き、冷たい音を立てる。
「私はお前よりも紅月のことを間近でみてきた。それこそ、忌々しいほどに。」
殴り飛ばされた痛みに悶える障害物を見下ろす。
「その紅月を触媒にした結界が、私に解けないなどという道理はない。」
まぁ、無理矢理蹴破っただけだけど。
「結界とは己の心の強さだ。触媒などを使う時点で貴様の実力などたかが知れている。」
破ったこととは全然関係ないけど。
「ふ、無様だな。」
そんなことはおくびにもださず、鼻で笑う。
起き上がれないように手を踏みつけてやれば、そいつの顔は痛みに歪む。
「紅月は返してもらうよ。」
紅月にしているように、そいつにも魔法陣での拘束を施してやる。
紅月のいる魔法陣をコピーして貼り付ければいいだけの簡単な作業だ。
「くっ、待て!それはあのお方への供物だ!
勝手にグフッ!?!?」
過ぎた口に思わず足が出た。
「私は紅月ほど気が短くないが、主様ほど長くもない。
俗世で流行ってるだろ?“口は災いの元”、だ。消されたくなきゃ黙れ。」
これ以上喋られるのも癪だから、口枷をはめてやる。
「じゃあな。」
檻を開け、ぐったりとしている紅月を担ぐ。
まったく、世話のやける弟分だ。
そのまま帰ろうとして、ふと思い出す。
「そういえば、二千年前の時もお前だったよね。
あれから紅月も、私も、随分変わったけど、お前は全然変わらないんだな。」
フッ、とわざとらしく嘲笑する。
「相も変わらず雑魚だね。」
悔しさと怒りが浮かんだ目を見て満足する。
決して成長していない訳では無いが、まだ、私たちの相手をするのには物足りない。
「次はもっと上手くやりな。
他を使ってどうこうしてるうちは三流だよ。」
いい目をしているのだから、もっと自分を高めればいいのに。
気に入られたいからって貢物ばかりで、己を高めることを怠れば、振り向いてもらえることなど有り得はしないのに。
「いつでも掛かってこい。この朧月が胸を貸してやる。」
面倒なことは嫌いだが、面白いことは大好きだ。
特に、強い奴・・・・・・技術、能力、知能、それを限界まで活用してくるような奴と合わせる拳はたまらない。
「やる気があるならいつでも朧月を訪ねてこい。」
弱い奴には興味が無い。
視界に映す価値もない。
でも一番嫌いなのは、伸ばせる能力を伸ばそうとしない愚者だ。
手に入れたいもののために、己の手で、足で、その身で足掻こうとしないのは愚かだ。
弱い愚者には存在する価値すら感じない。
でも、足掻く弱者は愛おしい。
何度手を伸ばしても、届くことの無いものに向かって一心不乱に向かっていく姿は滑稽であるのに、どうしてか愛おしい。
そして、届くはずのなかったものに手が届いた時の彼等は眩いばかりに輝いている。
「この朧月はお前を待っている。」
この私の視界に映るのなら、愚者になるなよ。
岩戸を出てしばらくしてから、担いでいた弟分が身じろいだ。
「起きたか。主様を心配させるなど、御使としてあるまじき行為だぞ。そこんところの自覚はどうなっているんだ。大体、また問題を起こしたそうじゃないか。そもそも、主様の命令に従ってないことすらおかしな話だ。いつもの主様に対する忠犬のような態度はどうした?あの新入りの影響か?やはりお前は周りからの影響を受けやすすぎる。周りから吸収して己を成長させることが悪いこととは言わないが、お前のそれは度を越している。せっかくの長所が弱点に変わりきっているじゃないか。抵抗できない状態で洗脳を施されたら、お前は太刀打ちできなくなるだろう。実際、さっきまでボロボロになるまで痛めつけられていたな?あの檻や枷は出自が“日本”に由来するものには壊せやしないのだから、捕まる前にもっと慎重に行動するべきだったな。もちろん、それは相手方にも言えることだな。お前ばかり愚かという訳でもない。あいつはお前ばかりを見すぎたな。前回お前に内側から壊されたことを念頭に置いたまではいいが、二千年前と何もかもが同じなはずがないのにそこを抜かったところがいけない。お前さえ抑えればいいと思ったところがあいつの敗因だな。」
そこまで喋って、紅月の様子がおかしいことに気がついた。
「・・・どうした。」
いつもなら、いい加減くどいと弱っていながらも憎まれ口を叩いてくるはずなのに。
今回はかなり酷くやられたか。
「・・・・・・喋れる程度に治してやる。」
担いでいた彼をおろし、周りに軽く結界を張る。
『無菌処置、瘴気の排除、我が名の元に神さえ及ばぬ至高の領域を』
自分を中心に、四畳半程度の空間が広がる。
外の断絶が完了したことを確認し、紅月に向き直る。
「診察を始める。」
頭の先からつま先に至るまで、丁寧に診ていく。
脈拍は正常。呼吸も正常。目立った外傷もなし。
「ただ、顔面蒼白で意識は混濁している・・・か。」
はぁ、と思わずため息をつく。
「さっきの私の話は聞けてないか・・・。」
そりゃ憎まれ口も叩けないはずだ。
少し気落ちしながらも、診察する手はとめない。
「意識の混濁は気の乱れが原因か・・・。」
その乱れを整えてやれば、顔色が良くなっていくのがわかる。
そして、ゆっくりと目が開く。
「やっと起きたか。お前には話したいことが山ほど・・・」
言い終わる前に紅月が動いた。
「っ、はははは!!!!その動きが出来るなら身体に問題はなさそうだな!」
私の右腕だったものを貪り食う紅月。
「問題は中身か・・・・・・。」
獰猛な獣のような爛々とした紅い目と、視線があった。
To Be Continue・・・・・・
「紅月!」
この私と紅月との間には、邪魔な障害物がいる。
「バカな!何重にも結界を重ねたんだぞ!?
触媒だって上等なものを使ったんだ、なんで一介の御使ごときに破れグアッ!?!?」
その障害物が何か言い終わる前に、私は手が出ていた。
「その触媒は、紅月から採取したものだろう。」
カツ、カツ、と靴が岩の地面を叩き、冷たい音を立てる。
「私はお前よりも紅月のことを間近でみてきた。それこそ、忌々しいほどに。」
殴り飛ばされた痛みに悶える障害物を見下ろす。
「その紅月を触媒にした結界が、私に解けないなどという道理はない。」
まぁ、無理矢理蹴破っただけだけど。
「結界とは己の心の強さだ。触媒などを使う時点で貴様の実力などたかが知れている。」
破ったこととは全然関係ないけど。
「ふ、無様だな。」
そんなことはおくびにもださず、鼻で笑う。
起き上がれないように手を踏みつけてやれば、そいつの顔は痛みに歪む。
「紅月は返してもらうよ。」
紅月にしているように、そいつにも魔法陣での拘束を施してやる。
紅月のいる魔法陣をコピーして貼り付ければいいだけの簡単な作業だ。
「くっ、待て!それはあのお方への供物だ!
勝手にグフッ!?!?」
過ぎた口に思わず足が出た。
「私は紅月ほど気が短くないが、主様ほど長くもない。
俗世で流行ってるだろ?“口は災いの元”、だ。消されたくなきゃ黙れ。」
これ以上喋られるのも癪だから、口枷をはめてやる。
「じゃあな。」
檻を開け、ぐったりとしている紅月を担ぐ。
まったく、世話のやける弟分だ。
そのまま帰ろうとして、ふと思い出す。
「そういえば、二千年前の時もお前だったよね。
あれから紅月も、私も、随分変わったけど、お前は全然変わらないんだな。」
フッ、とわざとらしく嘲笑する。
「相も変わらず雑魚だね。」
悔しさと怒りが浮かんだ目を見て満足する。
決して成長していない訳では無いが、まだ、私たちの相手をするのには物足りない。
「次はもっと上手くやりな。
他を使ってどうこうしてるうちは三流だよ。」
いい目をしているのだから、もっと自分を高めればいいのに。
気に入られたいからって貢物ばかりで、己を高めることを怠れば、振り向いてもらえることなど有り得はしないのに。
「いつでも掛かってこい。この朧月が胸を貸してやる。」
面倒なことは嫌いだが、面白いことは大好きだ。
特に、強い奴・・・・・・技術、能力、知能、それを限界まで活用してくるような奴と合わせる拳はたまらない。
「やる気があるならいつでも朧月を訪ねてこい。」
弱い奴には興味が無い。
視界に映す価値もない。
でも一番嫌いなのは、伸ばせる能力を伸ばそうとしない愚者だ。
手に入れたいもののために、己の手で、足で、その身で足掻こうとしないのは愚かだ。
弱い愚者には存在する価値すら感じない。
でも、足掻く弱者は愛おしい。
何度手を伸ばしても、届くことの無いものに向かって一心不乱に向かっていく姿は滑稽であるのに、どうしてか愛おしい。
そして、届くはずのなかったものに手が届いた時の彼等は眩いばかりに輝いている。
「この朧月はお前を待っている。」
この私の視界に映るのなら、愚者になるなよ。
岩戸を出てしばらくしてから、担いでいた弟分が身じろいだ。
「起きたか。主様を心配させるなど、御使としてあるまじき行為だぞ。そこんところの自覚はどうなっているんだ。大体、また問題を起こしたそうじゃないか。そもそも、主様の命令に従ってないことすらおかしな話だ。いつもの主様に対する忠犬のような態度はどうした?あの新入りの影響か?やはりお前は周りからの影響を受けやすすぎる。周りから吸収して己を成長させることが悪いこととは言わないが、お前のそれは度を越している。せっかくの長所が弱点に変わりきっているじゃないか。抵抗できない状態で洗脳を施されたら、お前は太刀打ちできなくなるだろう。実際、さっきまでボロボロになるまで痛めつけられていたな?あの檻や枷は出自が“日本”に由来するものには壊せやしないのだから、捕まる前にもっと慎重に行動するべきだったな。もちろん、それは相手方にも言えることだな。お前ばかり愚かという訳でもない。あいつはお前ばかりを見すぎたな。前回お前に内側から壊されたことを念頭に置いたまではいいが、二千年前と何もかもが同じなはずがないのにそこを抜かったところがいけない。お前さえ抑えればいいと思ったところがあいつの敗因だな。」
そこまで喋って、紅月の様子がおかしいことに気がついた。
「・・・どうした。」
いつもなら、いい加減くどいと弱っていながらも憎まれ口を叩いてくるはずなのに。
今回はかなり酷くやられたか。
「・・・・・・喋れる程度に治してやる。」
担いでいた彼をおろし、周りに軽く結界を張る。
『無菌処置、瘴気の排除、我が名の元に神さえ及ばぬ至高の領域を』
自分を中心に、四畳半程度の空間が広がる。
外の断絶が完了したことを確認し、紅月に向き直る。
「診察を始める。」
頭の先からつま先に至るまで、丁寧に診ていく。
脈拍は正常。呼吸も正常。目立った外傷もなし。
「ただ、顔面蒼白で意識は混濁している・・・か。」
はぁ、と思わずため息をつく。
「さっきの私の話は聞けてないか・・・。」
そりゃ憎まれ口も叩けないはずだ。
少し気落ちしながらも、診察する手はとめない。
「意識の混濁は気の乱れが原因か・・・。」
その乱れを整えてやれば、顔色が良くなっていくのがわかる。
そして、ゆっくりと目が開く。
「やっと起きたか。お前には話したいことが山ほど・・・」
言い終わる前に紅月が動いた。
「っ、はははは!!!!その動きが出来るなら身体に問題はなさそうだな!」
私の右腕だったものを貪り食う紅月。
「問題は中身か・・・・・・。」
獰猛な獣のような爛々とした紅い目と、視線があった。
To Be Continue・・・・・・
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