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第四章 会いたい
45睦月 囚われた紫苑
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あの時なぜ止めなかったんだろう……。
野生の勘がこんなにも幸せボケするのかと、神無月は唇を嚙んだ。
電話が鳴った。
もう店は閉め二次会場所の連絡がないことをおかしいなと思い始めた矢先のことだった。
「涼風君電話……ってもう帰ったんだった」
独り言ちて受話器を取った。
「チャオチャオバンビーノですが」
「あー良かった、シェフまだいたんだね。二次会場所が変更になって○○に移動しますから早く来てくださいね。チャオチャオさんがいないと話が盛り上がらないんだよ。きれーなリースの作り方も聞きたいしね」
じゃぁ!早くね。言うなりガチャンと電話は切られツーツーツーと遮断音だけが耳元でなっていた。
――リースの作り方なんて美月に聞けばいいのに。
――って言うか、さっき会長さんなんて言った?
『チャオチャオさんがいないと……』って言ったか。チャオチャオさんはいる、だって美月がいたんだから。
背中に走る嫌な汗がとてつもなく気持ち悪くて壁に背中を擦り付けた。
すぐに折り返した電話は電源が切られているのか留守番電話になり、神無月は舌打ちをして慌てて店を飛び出した。
愛車のエンジンをかける。一般道のため早々スピードも上げられず、近いからと走っていくことも考えていたが、最悪のケースがどうにも神無月の頭の中から消えてくれ無かった。
まさか美月はいないのか……。何度も頭を振り嫌な予感を振り払おうと必死になった。
角を曲がれば指定先の会場だ。
目の前に車を付けると路駐であることすら気に留めず、店の扉を開けた。
「あぁ神無月さんやっと来た。こっちこっち」
奥の方からこちらを見て手招きする声がある。すでに出来上がっている連中の中から紫苑の姿を探した。
やはりいない?
「美月は、どこですか」
低く唸るような声に会場の空気が瞬間的に凍り付いた。
「ちょっと待ってってばよ、今日は代わりの人が手配できなくて二次会から一緒に来るんじゃないのかい」
固まっている会長の代わりにおでん屋のマスターが答えた。
「行きましたよ。一次会からきちんと」
神無月のドスの聞いた声がビールを飲もうとする手を止めた。
「誰からの電話ですか」
聞かれた会長は分からないと首をふった。
「くそっ、嵌められた」
外に出ようとする神無月に中から声がかかる。
「やみくもに探しても見つからないだろ」
「手分けしよう」
紫苑は人気者だ。
「やみくも?犯人なんて一人でしょう」
「誰?」
「白城ですよ」
神無月は今度こそ扉を出て運転席に乗り込んだ。
扉を閉める手が勢い良く伸びてきた手に塞がれ苛立ちを隠せない神無月は大きい声で威嚇する。
「邪魔をする気か、どけ」
「あの豪邸なら黙って入ったら警察沙汰だ。見つかるものも見つからなくなる。証拠隠滅されてもいいのか!落ち着けっていってんだろ。この単細胞!」
「ならどうしろってんだよ」
ハンドルに頭をつけて突っ伏した。
「なあ、車止めろ、情報を整理しよう」
仲間にそう言われ、ただ黙って頷いた。
野生の勘がこんなにも幸せボケするのかと、神無月は唇を嚙んだ。
電話が鳴った。
もう店は閉め二次会場所の連絡がないことをおかしいなと思い始めた矢先のことだった。
「涼風君電話……ってもう帰ったんだった」
独り言ちて受話器を取った。
「チャオチャオバンビーノですが」
「あー良かった、シェフまだいたんだね。二次会場所が変更になって○○に移動しますから早く来てくださいね。チャオチャオさんがいないと話が盛り上がらないんだよ。きれーなリースの作り方も聞きたいしね」
じゃぁ!早くね。言うなりガチャンと電話は切られツーツーツーと遮断音だけが耳元でなっていた。
――リースの作り方なんて美月に聞けばいいのに。
――って言うか、さっき会長さんなんて言った?
『チャオチャオさんがいないと……』って言ったか。チャオチャオさんはいる、だって美月がいたんだから。
背中に走る嫌な汗がとてつもなく気持ち悪くて壁に背中を擦り付けた。
すぐに折り返した電話は電源が切られているのか留守番電話になり、神無月は舌打ちをして慌てて店を飛び出した。
愛車のエンジンをかける。一般道のため早々スピードも上げられず、近いからと走っていくことも考えていたが、最悪のケースがどうにも神無月の頭の中から消えてくれ無かった。
まさか美月はいないのか……。何度も頭を振り嫌な予感を振り払おうと必死になった。
角を曲がれば指定先の会場だ。
目の前に車を付けると路駐であることすら気に留めず、店の扉を開けた。
「あぁ神無月さんやっと来た。こっちこっち」
奥の方からこちらを見て手招きする声がある。すでに出来上がっている連中の中から紫苑の姿を探した。
やはりいない?
「美月は、どこですか」
低く唸るような声に会場の空気が瞬間的に凍り付いた。
「ちょっと待ってってばよ、今日は代わりの人が手配できなくて二次会から一緒に来るんじゃないのかい」
固まっている会長の代わりにおでん屋のマスターが答えた。
「行きましたよ。一次会からきちんと」
神無月のドスの聞いた声がビールを飲もうとする手を止めた。
「誰からの電話ですか」
聞かれた会長は分からないと首をふった。
「くそっ、嵌められた」
外に出ようとする神無月に中から声がかかる。
「やみくもに探しても見つからないだろ」
「手分けしよう」
紫苑は人気者だ。
「やみくも?犯人なんて一人でしょう」
「誰?」
「白城ですよ」
神無月は今度こそ扉を出て運転席に乗り込んだ。
扉を閉める手が勢い良く伸びてきた手に塞がれ苛立ちを隠せない神無月は大きい声で威嚇する。
「邪魔をする気か、どけ」
「あの豪邸なら黙って入ったら警察沙汰だ。見つかるものも見つからなくなる。証拠隠滅されてもいいのか!落ち着けっていってんだろ。この単細胞!」
「ならどうしろってんだよ」
ハンドルに頭をつけて突っ伏した。
「なあ、車止めろ、情報を整理しよう」
仲間にそう言われ、ただ黙って頷いた。
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