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18宝塚大劇場へ続く花の道 それぞれの覚悟
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「着いたー」
宝塚南口に私達は着いた。タカラジェンヌを目指す私達にとってこの花の道をあるくと言うことは、ある意味特別な意味を持つ。
「ここ歩いたからって受かるわけじゃないよねぇー」
「もう摩利ちゃん辛辣すぎませーん?」
「雨情先生ってさ名前に雨と情って字が入ってるのに、何故か情に流されないと言うか……」
「なによ――名前負けは、していないつもりだけどー?」
「優しくないじゃん、うそばっか」
「情なんか雨ですっかり流されてきえてんだよ……必要ねぇからなぁ」
雨情先生にからかわれてる生徒達をすっと横切って向日葵は走りよってきた。
「【花の道】っていうんだ」
「何、向日葵始めてー?関西出身じゃん」
「うん、奈良の天理ってとこに住んでた。京都までなら近鉄で1時間だけど、宝塚となるともっと遠いんだよ。しかも夢は四季だから、京都の四季劇場には足しげくかよったよ。宝塚みる余裕はないよ」
「実際くるとどう?」
宝塚大橋の手前まで続いている遊歩道。
一方通行の一般車道が両サイドにあり、そこにも歩道はあったけれど……でも緑や四季の花を愛でながら花のみちをゆったり歩く……最高に贅沢なひと時だよ。
宝塚大劇場までの5分ほどの短い時間、その5分より遥か先の楽屋まで、ここから先に進む権利を私達はゲットする為に今は懸命に走るだけ。
1914年4月に始まり、男女どちらの役も女性が演じる事で華やかで不思議な魅力をもつ舞台が出来上がる。
【宝塚大劇場】
「行こう!楽しもうね」
「チーズドッグかおうよ」
「私プロマイドー」
皆が盛り上がっていると、やばい匂いを放つ獣みたいな空気がただよった。
2オクターブ下がるレディ雨情のメンズ版
「お前らに、宿題だ」
「宿間?」
「感想を原稿用紙20枚に纏めて明日までに提出だ」
…………………………
「えー摩利ちゃん、おうぼー、遊べないじゃん」
サツキがさくらに肘で合図した。
「さくら……」
「うん、私達、今年落ちるとこだった」
「うん、雨情先生に感謝だな」
サツキは最近低い声を心がけ、決してきゃぴきゃぴしなくなった。
私は身長が伸びはじめたのをきっかけにスカートをやめた。
自分を追い込むことにしたからだ。
「あー、今楽しみー。原稿用紙20枚?無理無理ーなんて思ったやつ、見なくていい!遊園地で遊んで帰れ。遠足終わったら自主退学の用紙を提出してこい。喜んで受理してやる!」
宝塚南口に私達は着いた。タカラジェンヌを目指す私達にとってこの花の道をあるくと言うことは、ある意味特別な意味を持つ。
「ここ歩いたからって受かるわけじゃないよねぇー」
「もう摩利ちゃん辛辣すぎませーん?」
「雨情先生ってさ名前に雨と情って字が入ってるのに、何故か情に流されないと言うか……」
「なによ――名前負けは、していないつもりだけどー?」
「優しくないじゃん、うそばっか」
「情なんか雨ですっかり流されてきえてんだよ……必要ねぇからなぁ」
雨情先生にからかわれてる生徒達をすっと横切って向日葵は走りよってきた。
「【花の道】っていうんだ」
「何、向日葵始めてー?関西出身じゃん」
「うん、奈良の天理ってとこに住んでた。京都までなら近鉄で1時間だけど、宝塚となるともっと遠いんだよ。しかも夢は四季だから、京都の四季劇場には足しげくかよったよ。宝塚みる余裕はないよ」
「実際くるとどう?」
宝塚大橋の手前まで続いている遊歩道。
一方通行の一般車道が両サイドにあり、そこにも歩道はあったけれど……でも緑や四季の花を愛でながら花のみちをゆったり歩く……最高に贅沢なひと時だよ。
宝塚大劇場までの5分ほどの短い時間、その5分より遥か先の楽屋まで、ここから先に進む権利を私達はゲットする為に今は懸命に走るだけ。
1914年4月に始まり、男女どちらの役も女性が演じる事で華やかで不思議な魅力をもつ舞台が出来上がる。
【宝塚大劇場】
「行こう!楽しもうね」
「チーズドッグかおうよ」
「私プロマイドー」
皆が盛り上がっていると、やばい匂いを放つ獣みたいな空気がただよった。
2オクターブ下がるレディ雨情のメンズ版
「お前らに、宿題だ」
「宿間?」
「感想を原稿用紙20枚に纏めて明日までに提出だ」
…………………………
「えー摩利ちゃん、おうぼー、遊べないじゃん」
サツキがさくらに肘で合図した。
「さくら……」
「うん、私達、今年落ちるとこだった」
「うん、雨情先生に感謝だな」
サツキは最近低い声を心がけ、決してきゃぴきゃぴしなくなった。
私は身長が伸びはじめたのをきっかけにスカートをやめた。
自分を追い込むことにしたからだ。
「あー、今楽しみー。原稿用紙20枚?無理無理ーなんて思ったやつ、見なくていい!遊園地で遊んで帰れ。遠足終わったら自主退学の用紙を提出してこい。喜んで受理してやる!」
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