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番外編「とある狩人を愛した、横暴領主の話」

27 まだ足りない。もっと欲しい※

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 ラズラウディアは自身の容姿が優れていることも、それが他人にどれほど魅力的に見られているかも知っている。かつては地位を固めるためにそれを利用したこともあるが、肌を許すことなど一度もなかった。

 しかし、シタンに関しては別だ。むしろいくらでも求められたい。どんなことでもして、彼を堕落させるほどに溺れさせたい。

 至福の夜を過ごした日から、ラズラウディアは自分なりにシタンに尽くすようになった。城へ連れていく時には必ず馬で迎えに行き、食事は出来得る限り贅沢な物を与え、寝酒には特上の蜜酒を供する。

 房事に至っては「お前が欲しい」などと甘く囁くことを欠かさず、丁寧に愛撫を施して与えられる快楽の良さをしっかりと体に覚えさせた。時には気も狂わんばかりになるまで焦らして、彼自身から行為を求めるように仕向けたりもした。

 二度、三度、四度……と、回数を重ねていくうちに、ぎこちなかったシタンの態度は少しずつ軟化して怯えの影が薄まり、親愛とまではいかないもののごく普通の口調で接してくれるようになった。
 
 そうして迎えた幾度目かの夜もまた、ラズラウディアは彼の肌を味わっていた。

「あ、あ……んっ、あぁ……、い、い……っ!」
「んっ、いいか。ふふっ……」
「んぁっ、あっ、んんっ!」

 男の味を覚えた後孔は熟れて、今やその窄まりの縁は卑猥な紅色に色付いている。最初こそ、頑なに快楽に流されまいとしていたシタンではあったが、自分から腰を振り孔を貫く一物を絞り上げるようになっていた。

 女など、もう抱けはしない体になっているだろう。

「んっ、んぁ、あぁ……」

 潤んだ蜂蜜色の瞳を見詰めながら、片脚を抱え上げて腰を深く突き入れる。

「ひっ! あ、あうっ! あぁ――!」
「んっ……!」
「んぁ、あ、んっ、そこ、良過ぎるっ! だめ、だめだよぉ……!」

 奥でも感じるように仕込んだ体は、素直に反応を示す。涙を零しながらよがる彼の頬に口付けを落とし、「気をやってしまえばいい。たっぷり良くしてやる」と言いながらゆるゆると腰を揺らし、シタンの一物を抜き上げた。

「ひいっ! やっ、 あ、ああっ!」

 弱い勢いで精が吹き出し、達した体が痙攣する。下腹が締まり、中に収められた一物がきつく食い締められる刺激に、ラズラウディアも達して奥深い場所へと精を放った。

「んっ、はぁっ……はぁ……、ううっ……んっ」

 一物を咥え込んだ孔をひくつかせながら、余韻に甘く喘ぐ彼を抱き締める。この体はもう、ラズラウディアの掌中だ。それだけでも十分な成果だろう。満足だ。

 だが、手に入れたものに満足し、それに慣れてしまった今、また新しい欲が生まれ始めている。

 こうして肌を重ねるだけでは足りない。シタンの全てを手に入れたい。心はまだ落とせないが、それ以外にも手に入れられるものはあるはずだ。

 ――まだ足りない。もっと、欲しい。

 以前よりも僅かにだが、肉付きが良くなり滑らかになったシタンの頬を撫でながら、ラズラウディアはこの先の愉しみを思い描いて、うっそりと微笑んだのだった。
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