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番外編 騎士団に復帰後のアレコレ

情報が濃すぎる! 10倍くらいに薄めてくれぇ!

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 ――急に気が遠くなって、気付いたらどこかの部屋でベッドに寝てた。


 というか、寝かされたんだなこれ。

 むくりと起き上がって周りをよく見ると、ワイルドな荒削りの石壁に、太い丸太で組まれた柱と梁で囲まれた部屋だった。

 岩壁をくり抜いた棚や家具の上、天井なんかにゴツいカンテラがいくつも設置されていて、室内は眩しいくらい明るい。坑道の中に造った秘密基地……って言ったらしっくりくるかな。

 男の子心がムズムズするぞ!

「うーん、大渓谷のホテルかな。ここ……」

 ガイドブックに載ってた絵と似てる。

 今から何十年も前に、渓谷の岩盤を掘って鉱石を採掘するついでに、労働者向けの色んな施設を造ったのが始まりだ。

 初めは渓谷の上に掘っ立て小屋を建てて、そこに寝泊まりしてたんだけど、谷の壁面を下るのがめんどくさくなったんだとかで。

 今現在は、独特の雰囲気を持つ町そのものが観光名所になってる。渓谷に発生する雲海も町から眺めると雲の上に居るみたいで絶景だってことで名物になってるし、鉱石は粗方が採掘済みになっていて、観光の方で生計を立ててる人が多いんだってさ。

 でもって俺、誘拐されたっぽいな。

 部屋がワイルドにカッコよくて、ついワクワクしたけどそれどころじゃなかった! 窓の外がまだ明るいから、気を失ってからそんなに時間は過ぎてない……のか? まさか丸1日眠ってましたとかじゃないよな?

 何が目的で俺を誘拐したんだよ……。カムロさんを脅す目的か? ひょっとして、身代金とか要求されちゃうあれか! 金をゲットする前にカムロさんにお仕置きされるぞ! すごく無謀! それとも、俺がカムロさんと結婚したのが気に入らない人がいるとか、嫌がらせとか?

「うーん。犯人に聞いてみないと分からないよな」

 ベットの脇には靴が綺麗に揃えてあって、上着は備え付けのハンガーにきっちり掛けられてた。ベッドに寝かす前に脱がせてくれたってことかぁ。でもって、古びてるけどピカピカに磨かれた渋いテーブルには、ティーセットと焼き菓子が置かれてる。紅茶のいい匂いがするし、焼き菓子が美味そう!

 強引な連れ去り方をされたのに、細やかな気遣い的なものが感じられるのが逆に不気味だぞ! ちっとも安心できねぇ! ボロい小屋に放り込まれてた方がよっぽどそれっぽい! 居心地悪そうで嫌だけど!

 マジで誰だよもおおお! カムロさんといちゃつきながら釣りして、心行くまで魚のバターソテー食べたかったのに! うがあああ! 

 声に出さずに脳内でプチ切れしたら、少し気分が落ち着いたぞ。と、とりあず、何があっても直ぐ動けるようにしとこう! ってことで靴を履いて上着を羽織っていたら、ガチャリとドアノブが回される音がした。

 だっ、誰か来たあああ!

 扉が開いて登場したのは、金髪で青い目をした長身のイケメンだった! ちょっと目を細めてニコッとして「おや、お目覚めだね。ハス君」って言った。

 ……お、おう。

 すんごい美声。カムロさんよりも低くて渋い声だなぁ。って! だ、誰だ?

「今、起きたところかな?」
「……えっと、はい。ちょっと前に目が醒めました」

 あんまりにも穏やかな口調だったから、普通に返事しちゃったけど……、誘拐犯だよなこの人! 全く悪人ぽくないのがこわあ……! っていうか、なに普通にお目覚めだねとか他人事みたいに言ってくれちゃってんでしょうかね! おかしい人だな!

「おっと。そんな変人を見る目で、見ないでくれないかな。私は、カムロの兄だ」


 ――はい? 


 今、カムロさんのお兄様と申されましたか。空耳じゃないよな?

「あ、兄って、えっ、兄?」
「カムロの兄の、キアムルだ。よろしく」

 誘拐犯がカムロさんのお兄さん? えっ、ちょ、まってまって! なんだそれ! 



 ――情報が濃すぎる! 10倍くらいに薄めてくれぇ!











※あれでこれ過ぎるカムロ氏のお兄様登場。10倍薄めても濃ゆそうですね。
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