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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第十八幕 サンライトの実とアース・シャーク
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サンライトの実を捜しに都市ルーセントから南南西に進む。
サンライトの実が生息している場所は徒歩で半日程度の場所だが、千夜たちは2時間で目安に目指す。
途中魔物に襲われる可能性も踏まえて警戒は怠らない。特に今回はウィルが居る事も考えいつも以上に警戒度を上げる。
しかし、高速で移動する千夜たちを襲う魔物は居らず、予定通り目的地に到着する。
「このあたりにあるはずだ」
森の中に開いた空間を太陽の光が草が生い茂る地面を照らす。千夜たちはサンライトの実が生る木を探す。
「お父様、あの淡い黄色い実ですか?」
「そうだウィル。よく見つけたな」
頭を撫でながら褒める。
「いえ、偶然です」
(謙虚だな。貴族には居ないタイプだ)
内心そんな事を思いながらサンライトの実が生る木に近づく。
(っ!)
「全員止まれ」
突如千夜が低い声音で指示をだす。
真剣な面持ちで周りに視線を向ける千夜の姿に緊張が走る。
「ちょっと面倒だな」
「どうしたの旦那様?」
「魔物だ」
「数は?」
「3体だ」
「その程度なら問題ないわ」
「そうでもない。3体のうち2体は東北東と東南東から猛スピードでこちらに向かっている。多分俺たちに気づいたんだろう。強さからBランク程度」
「で、もう1体は?」
「俺たちの足元だ」
「え?」
千夜の言葉に全員の視線が地面に向けられる。
「さっきまで気配すらなかった。きっとサンライトの実を狙って来る奴らを捕食するためだ」
(俺のマップにも表示されなかったからな)
「それで大きさは?」
「推定12メートル」
「12!? 私たちが倒したブラットワームより大きいわ」
「ああ、地面に振動が伝わってこない事を考えると相当深く潜っている」
「12メートルもある魔物がそんなに深く?」
「ああ。多分Sランクの魔物だ」
「どうしてそんな魔物がルーセントの近くに居るなんて」
「ああ、考えたくもないが居るのは確かだ」
「それでどうするの?」
「だれも動くなよ。まだ俺たちを襲ってこないという事が場所が特定出来ていない証拠だ。だが少しでも動けば振動で位置を特定されて直ぐに襲ってくるはずだ」
「でも、このままじゃこっちに向かっている魔物に襲われるわ!」
「大丈夫だ。ちゃんと考えがある。全員俺が出す指示通りの行動をしてくれ」
全員が頷く。
誰もが一言も喋る事もなく、ただただ静寂が支配する空間となる。
数分して二つの方向から地鳴りの音が徐々に大きく近づいてくるのを察知する。
(後少しだ)
千夜はその時をジッと待つ。
それから1分も立たないうちに魔物が森から飛び出した。
「全員、真上に跳べ!」
千夜の指示を聞いたエリーゼたちは全力で真上に跳ぶ。
千夜たちの姿を見失った2体の魔物は動きを止めようとするがすぐさまサンライトの木を目指して走り出す。が、
(面倒だな)
突如地面から大きく裂けた口が飛び出し、2体の魔物を捕食する。
「なんなのじゃあれは!」
「地鮫だ。獰猛で狡猾な魔物だ」
「地鮫。なんなのじゃそれは?」
「土の中に生息する鮫の魔物だ。地上に飛び出すのは獲物を捕らえるときだけだ。今すぐ倒すぞ」
「解ったわ」
「フカヒレスープにしてやります」
「残りの部位は塩漬けにして酒と一緒に食べるのじゃ」
「皮は高く売れそうですね」
自然落下しているにも拘わらず呑気に話すクロエたち。
(お父様そうですが、お母様たちもたいがいです!)
20メートル以上の落下という初体験にウィルは涙目になりながら内心叫ぶ。
「地面の中に生息しているからな鱗は竜なみに硬いぞ。それから奴の尖った歯には注意だ。一度噛み付かれたら引き千切られると思ったほうが良い」
「解ったわ!」
「急ぐぞ。地面の中に潜られる!」
千夜たちは相手の動きを鈍らせる為に上空から魔法攻撃を開始する。
突然頭上から降り注ぐ多種多様の魔法に地鮫は困惑の色を見せる。
「今だ。奴の鰓部分を狙え!」
接近戦が得意なエリーゼとエルザが両側から一斉に斬撃を食らわせる。
味わった事のない激痛に表現する事の出来ない叫び声が森に響き渡る。
「止めだ」
そして最後に鬼椿を片手に持った千夜の一振りによって絶命した。
「なんとかなったわね」
「皮剥ぎはどうしますか」
「今此処で済ませよう。都市に戻っても出来ないからな」
「私はウィル君と一緒にサンライトの実を採ってきますね」
「私も手伝うわ」
「解った。エルザ悪いが手伝ってくれ」
「解りました」
ミレーネ、エリーゼ、ウィルの3人はサンライトの実を採取すべく5メートルはあるサンライトの木の許に向かった。
その間千夜とエルザは地鮫の皮剥ぎし、クロエは周辺警戒を行う。
一時間程度で皮剥ぎも終わりサンライトの実もゲットした千夜たちはアイテムボックスに収納して都市ルーセントに戻る。
サンライトの実が生息している場所は徒歩で半日程度の場所だが、千夜たちは2時間で目安に目指す。
途中魔物に襲われる可能性も踏まえて警戒は怠らない。特に今回はウィルが居る事も考えいつも以上に警戒度を上げる。
しかし、高速で移動する千夜たちを襲う魔物は居らず、予定通り目的地に到着する。
「このあたりにあるはずだ」
森の中に開いた空間を太陽の光が草が生い茂る地面を照らす。千夜たちはサンライトの実が生る木を探す。
「お父様、あの淡い黄色い実ですか?」
「そうだウィル。よく見つけたな」
頭を撫でながら褒める。
「いえ、偶然です」
(謙虚だな。貴族には居ないタイプだ)
内心そんな事を思いながらサンライトの実が生る木に近づく。
(っ!)
「全員止まれ」
突如千夜が低い声音で指示をだす。
真剣な面持ちで周りに視線を向ける千夜の姿に緊張が走る。
「ちょっと面倒だな」
「どうしたの旦那様?」
「魔物だ」
「数は?」
「3体だ」
「その程度なら問題ないわ」
「そうでもない。3体のうち2体は東北東と東南東から猛スピードでこちらに向かっている。多分俺たちに気づいたんだろう。強さからBランク程度」
「で、もう1体は?」
「俺たちの足元だ」
「え?」
千夜の言葉に全員の視線が地面に向けられる。
「さっきまで気配すらなかった。きっとサンライトの実を狙って来る奴らを捕食するためだ」
(俺のマップにも表示されなかったからな)
「それで大きさは?」
「推定12メートル」
「12!? 私たちが倒したブラットワームより大きいわ」
「ああ、地面に振動が伝わってこない事を考えると相当深く潜っている」
「12メートルもある魔物がそんなに深く?」
「ああ。多分Sランクの魔物だ」
「どうしてそんな魔物がルーセントの近くに居るなんて」
「ああ、考えたくもないが居るのは確かだ」
「それでどうするの?」
「だれも動くなよ。まだ俺たちを襲ってこないという事が場所が特定出来ていない証拠だ。だが少しでも動けば振動で位置を特定されて直ぐに襲ってくるはずだ」
「でも、このままじゃこっちに向かっている魔物に襲われるわ!」
「大丈夫だ。ちゃんと考えがある。全員俺が出す指示通りの行動をしてくれ」
全員が頷く。
誰もが一言も喋る事もなく、ただただ静寂が支配する空間となる。
数分して二つの方向から地鳴りの音が徐々に大きく近づいてくるのを察知する。
(後少しだ)
千夜はその時をジッと待つ。
それから1分も立たないうちに魔物が森から飛び出した。
「全員、真上に跳べ!」
千夜の指示を聞いたエリーゼたちは全力で真上に跳ぶ。
千夜たちの姿を見失った2体の魔物は動きを止めようとするがすぐさまサンライトの木を目指して走り出す。が、
(面倒だな)
突如地面から大きく裂けた口が飛び出し、2体の魔物を捕食する。
「なんなのじゃあれは!」
「地鮫だ。獰猛で狡猾な魔物だ」
「地鮫。なんなのじゃそれは?」
「土の中に生息する鮫の魔物だ。地上に飛び出すのは獲物を捕らえるときだけだ。今すぐ倒すぞ」
「解ったわ」
「フカヒレスープにしてやります」
「残りの部位は塩漬けにして酒と一緒に食べるのじゃ」
「皮は高く売れそうですね」
自然落下しているにも拘わらず呑気に話すクロエたち。
(お父様そうですが、お母様たちもたいがいです!)
20メートル以上の落下という初体験にウィルは涙目になりながら内心叫ぶ。
「地面の中に生息しているからな鱗は竜なみに硬いぞ。それから奴の尖った歯には注意だ。一度噛み付かれたら引き千切られると思ったほうが良い」
「解ったわ!」
「急ぐぞ。地面の中に潜られる!」
千夜たちは相手の動きを鈍らせる為に上空から魔法攻撃を開始する。
突然頭上から降り注ぐ多種多様の魔法に地鮫は困惑の色を見せる。
「今だ。奴の鰓部分を狙え!」
接近戦が得意なエリーゼとエルザが両側から一斉に斬撃を食らわせる。
味わった事のない激痛に表現する事の出来ない叫び声が森に響き渡る。
「止めだ」
そして最後に鬼椿を片手に持った千夜の一振りによって絶命した。
「なんとかなったわね」
「皮剥ぎはどうしますか」
「今此処で済ませよう。都市に戻っても出来ないからな」
「私はウィル君と一緒にサンライトの実を採ってきますね」
「私も手伝うわ」
「解った。エルザ悪いが手伝ってくれ」
「解りました」
ミレーネ、エリーゼ、ウィルの3人はサンライトの実を採取すべく5メートルはあるサンライトの木の許に向かった。
その間千夜とエルザは地鮫の皮剥ぎし、クロエは周辺警戒を行う。
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