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第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。

第百十七幕 森の楽園とどうして……

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 到着したそこはまるで森の中にある楽園。動物たちの遊び場と言っても過言では内ほどに美しく、和やかな場所だった。

「綺麗……」
 誰かが呟く。その言葉に千夜もまた同意見だった。ましてや千夜は先ほどまで結界の影響があった反面、目の前の光景と陽だまりのような暖かさ、優しく撫でるようなそよ風に心を奪われていた。
(駄目だ。今すぐ横になりたくなる)
 欲求を抑え、千夜はミレーネに視線を向ける。
 少し前に居るミレーネの表情をすべて見ることは出来ないが、懐かしそうに、でも嬉しさが涙となって溢れ出ているのを確かに千夜は確認した。

「……ようやくです」
「そうだな」
 ミレーネの頭に手を乗せる。

「有難うございます。奴隷になって一生辛い人生を送るものだと思ってました。でも千夜さんの……おかげで………こうやってまた……故郷に……戻ってくることが……出来ました!」
「お礼を言われるような事はしていない。こんな事を言ったら怒るかもしれないが、ミレーネが奴隷になってくれたおかげで俺はお前に会えた。でなければ一生会えなかったかもしれない。それにミレーネには沢山助けられた日常でも戦いでもそして精神面でもな。だからお互い様だ」
「はい、お互い様ですね!」
 千夜もまた今日まで自分がしてきたことに不安が無かったわけではない。しかし、涙目で笑みを浮かべながら肯定する華奢な少女に救われたのだ。
 千夜は改めて心の中でお礼を言う。
(ありがとうな)

「さて、お前の家族を紹介してくれ。このままだと後ろに居る妻たちが嫉妬で暴れそうなんでな」
「うふふ、そうですね」
 視線を千夜の後ろに向けると頬を膨らませる三人の妻たちの姿があった。その姿にミレーネは笑みを零す。

「それでは案内しますね」
 ミレーネは気合を入れて向きえを変える。
(千夜さんにはこの村の良さを沢山しって貰いたい。この場所がどれだけ素敵なところなのかを)
 しかし一歩踏み出した瞬間ミレーネの顔から笑顔が消えた。

「え?」
 信じられない光景だと言わんばかりに呆けた表情をするミレーネ。しかしそれも仕方がなかった。なぜなら、

「動くな!」
 友達だと、家族だと、仲間だと思っていた筈のエルフたちが敵意と殺意を持って剣と矢を向けているのだから。
 そんな光景にミレーネの口から本音が零れる。

「どうして………」
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