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第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。

第百七幕 非凡と凡人

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「はぁ……はぁはぁ……はぁ……着いた……」
 麓まで到着した千夜たち。しかしシャイネは肩で息をするほど疲労困憊だった。
 その間に千夜はシャイネのステータスを確認する事にした。

───────────────────

シャイネ
ダークエルフ
LV61
HP 2200
MP 1300
STR 880
VIT 650
DEX 510
AGI 560
INT 540
LUC 80

スキル
剣術LV21
弓術LV18
暗殺術LV13
危機察知LV14
隠密LV9

属性
火 闇

───────────────────

(なるほどな)
 一ヶ所に居続ける事ではけして、知ることも、それ以上の成長も出来はしない。
 それが分かるステータスである。
 確かに最初出会った時のクロエに比べて劣るステータス。これが才能なのだと、天才と凡人の違いなのだと、決めつければそれまでだ。
(小さな世界の長になることを望む凡人と、外の世界に興味を持ち飛び出した天才か。差がつくのは当たり前だな)
 未だに肩で息をするシャイネを見詰めてどうしたものかと思う千夜。
(クロエに追い付く方法はある。が、無謀な方法だ)
 千夜の脳内に浮かぶ方法。それはこれまでの比にもならない練習量とやり方。それを今のシャイネにさせるのは危険極まりなかった。

「それで、これからどうするのだ?」
「実戦あるのみだ」
「実戦……」
「ああ。だが、どれだけ実戦をしようとも超えられない壁がある」
「なんだそれは?」
「時間だ」
「時間……」
「ああ。クロエはこの一年で知識と経験も積んだ。その一年を1週間で与えるのは不可能に近い。一睡もせず、休まず、あらゆる魔物戦ったとしても勝てるかは分からない」
「……………」
「それでもやるか?」
「やるとも! 私はどうしても長にならなければならないからな」
「そうか。なら、まずはあいつを倒してみろ」
 そう言って千夜が指差した方向に視線を向ける。そこには10体のリザードマンが殺意を向けて近づいてきていた。

「分かった」
 腰に装着していた短剣2本を構える。

「ただし制限時間を設ける」
「制限時間?」
「ああ。あいつらを5分以内に倒せ」
「なっ! 無茶だ!」
「俺は強くなる時そうしてきた。如何にステータスが上がろうと、経験は数をこなしただけしか強くならない。だがら俺は己自身に制限をつけることで経験を得た。今のお前にステータスと経験同時に手にいれる方法はこれしかない」
「くっ! 分かった」
「なら、始め!」
 千夜の号令で戦闘が開始される。
 特訓期間は今日を入れて8日間。
 その間にクロエを倒す力を手に出来るのか。


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