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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第八十八幕 闇タイチと狂気の呪い
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「シッ!」
突如千夜の一撃が闇タイチを襲う。
「あの一撃を防ぐか」
相手を殺すつもりで放った一撃は防がれてしまったことに悪態を吐くように呟く。しかし重い一撃は受け止めきれなかったのか後方の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「ヒャッヒャッヒャアアアァァ!!愉シイィ!モットモット殺シ合オウゼエエエェェ!!」
「完全に乗っ取られてるな。クーエ、ルーザ俺がこの女をミーナのところに運ぶまで足止めを頼む」
「御意!」
「分かったのじゃ!」
千夜の力を持ってすればこの距離を移動するなど容易いことだが、負傷したアイーシャにはその移動すら体を負担を掛けてしまう。またゆっくり負担のないスピードで移動すればその間に闇タイチに襲われる危険性があるとした千夜はエルザとクロエに足止めを頼んだのだ。
それはエルザたちにも即座に理解できた。それだけ危険な相手だと。
クロエとエルザが足止めしている間に千夜は負傷して大量出血するアイーシャを抱きかかえてミレーネ許まで移動した。
「治療を頼む!」
「分かりました。ですがこの状態だと助かるかどうか……」
「必要ならこのポーションも使って構わない!」
千夜が渡した二本の超級回復ポーション。それはこの時代ではけして生成が不可能とされる物だが緊急時に躊躇っていられるほど千夜は愚かでも冷徹でもない。
「センさん、傷が塞がりません!」
「なにっ!?」
どれだけヒールを掛けようが傷が塞がらない現状に驚きの表情を浮かべる。
(面倒な!これもあの魔剣の効果か!)
超解析スキルによって表示された効果に舌打ちが漏れる。
─────────────────────
常態異常
効果 回復阻害、麻痺、出血促進
備考 狂気の呪いが発動しています。
─────────────────────
月夜の酒鬼メンバーの中で回復魔法が使えるのはミレーネと千夜だけ。と言っても千夜はゲーム時代でもアタッカーとしてのポジションだったため使える回復魔法には限られている。それに加え魔剣の呪いによりヒールが機能しないという事態と陥ってしまった。
(これほど強力な呪いとなると浄化でも解くのに時間が必要だ。………仕方がないがアレを使うか)
己の正体を知られる恐れがあるが千夜はアイテムを使うことにした。
「ミーナこのアイテムを使え!」
「これは?」
「説明は後だ!」
「は、はい!」
ミレーネは千夜から渡された小瓶の中身を傷口に掛けた。
「よし!魔剣の呪いは解けたな。ミーナ魔力量が心配だろうがハイヒールで傷口を塞げ!」
「分かりました」
(よし、これで戦える)
エルザとクロエが戦う場所へと視線を向けると千夜は駆けた。
「二人ともいつも通りに戦うぞ!」
「「はい!」」
魔剣の力で身体能力、技術が数十倍という驚異的なまでになってしまった闇タイチに三人で立ち向かう。
千夜とエルザが前衛として戦い、クロエが後衛から魔法とナイフでサポートと奇襲攻撃によるコンビネーションが炸裂する。
尋常じゃにスピードと技術は危機的状況でありながらも、見るものを虜にしていた。
それは冒険者と言う職業に就いているものなら尚更だった。
圧倒的な力は他者に恐怖を植えつけるが、時には希望と光を与える。
隙と無駄のない連携技による攻撃は闇タイチに反撃のチャンスを与える事無く、誰もが終わりが近いと判断した。
そして、それはタイチの死を意味していた。
「や、止めて下さい!!」
タイチの仲間のヒーラー担当のキュリアの叫び声が激しい戦闘音を飲み込んだ。
「お願いですから、タイチさんを殺さないで下さい!」
涙を流しながら懇願する少女の姿に誰もが俯き目を逸らす。ミレーネやエリーゼたちもまた悲しげな表情をしていた。
「残念だが、それは無理だ」
殺そうと剣を振るいながら冷酷で冷淡な言葉がキュリアに返された。
「ど、どう――」
「何故無理なんだ!」
キュリアの台詞を奪ったのは彼女の隣に居るレイネだった。
「完全に魔剣に精神を乗っ取られ支配された人間を助ける方法はない」
(本当はあるが)
「一番効率的な方法は相手を殺すことだけだ」
「で、でもそんな事をしたらお前に犯罪履歴がついてしまうぞ!」
「それに関しては大丈夫だ。精神を乗っ取られた人間は魔物として扱うため犯罪に抵触しない。これはどこの国でも、そして冒険者ギルドのルールにも記載されていることだ」
呪いにより精神を乗っ取られた場合、その危険性が途轍もなく大きい。そのため魔物として区別されるため犯罪にはならないのだ。
「そ、そんな……」
千夜の言葉に絶望が彼女たちを襲い視界を闇へと暗くなっていく。
「さて、そろそろ終わりにするか」
淡々とした呟きに同情や哀れみはない。
それを耳にした者は千夜を冷徹にして冷酷だと感じていた。
それでも千夜の眷属たるエルザはその言葉の真意を理解し、闇タイチの攻撃を跳ね返し体勢を崩した。
「これで終わりだ」
その好機を千夜は見逃す事無く刀を振るった。
「やめてええええええええええええええええぇぇぇ!」
突如千夜の一撃が闇タイチを襲う。
「あの一撃を防ぐか」
相手を殺すつもりで放った一撃は防がれてしまったことに悪態を吐くように呟く。しかし重い一撃は受け止めきれなかったのか後方の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「ヒャッヒャッヒャアアアァァ!!愉シイィ!モットモット殺シ合オウゼエエエェェ!!」
「完全に乗っ取られてるな。クーエ、ルーザ俺がこの女をミーナのところに運ぶまで足止めを頼む」
「御意!」
「分かったのじゃ!」
千夜の力を持ってすればこの距離を移動するなど容易いことだが、負傷したアイーシャにはその移動すら体を負担を掛けてしまう。またゆっくり負担のないスピードで移動すればその間に闇タイチに襲われる危険性があるとした千夜はエルザとクロエに足止めを頼んだのだ。
それはエルザたちにも即座に理解できた。それだけ危険な相手だと。
クロエとエルザが足止めしている間に千夜は負傷して大量出血するアイーシャを抱きかかえてミレーネ許まで移動した。
「治療を頼む!」
「分かりました。ですがこの状態だと助かるかどうか……」
「必要ならこのポーションも使って構わない!」
千夜が渡した二本の超級回復ポーション。それはこの時代ではけして生成が不可能とされる物だが緊急時に躊躇っていられるほど千夜は愚かでも冷徹でもない。
「センさん、傷が塞がりません!」
「なにっ!?」
どれだけヒールを掛けようが傷が塞がらない現状に驚きの表情を浮かべる。
(面倒な!これもあの魔剣の効果か!)
超解析スキルによって表示された効果に舌打ちが漏れる。
─────────────────────
常態異常
効果 回復阻害、麻痺、出血促進
備考 狂気の呪いが発動しています。
─────────────────────
月夜の酒鬼メンバーの中で回復魔法が使えるのはミレーネと千夜だけ。と言っても千夜はゲーム時代でもアタッカーとしてのポジションだったため使える回復魔法には限られている。それに加え魔剣の呪いによりヒールが機能しないという事態と陥ってしまった。
(これほど強力な呪いとなると浄化でも解くのに時間が必要だ。………仕方がないがアレを使うか)
己の正体を知られる恐れがあるが千夜はアイテムを使うことにした。
「ミーナこのアイテムを使え!」
「これは?」
「説明は後だ!」
「は、はい!」
ミレーネは千夜から渡された小瓶の中身を傷口に掛けた。
「よし!魔剣の呪いは解けたな。ミーナ魔力量が心配だろうがハイヒールで傷口を塞げ!」
「分かりました」
(よし、これで戦える)
エルザとクロエが戦う場所へと視線を向けると千夜は駆けた。
「二人ともいつも通りに戦うぞ!」
「「はい!」」
魔剣の力で身体能力、技術が数十倍という驚異的なまでになってしまった闇タイチに三人で立ち向かう。
千夜とエルザが前衛として戦い、クロエが後衛から魔法とナイフでサポートと奇襲攻撃によるコンビネーションが炸裂する。
尋常じゃにスピードと技術は危機的状況でありながらも、見るものを虜にしていた。
それは冒険者と言う職業に就いているものなら尚更だった。
圧倒的な力は他者に恐怖を植えつけるが、時には希望と光を与える。
隙と無駄のない連携技による攻撃は闇タイチに反撃のチャンスを与える事無く、誰もが終わりが近いと判断した。
そして、それはタイチの死を意味していた。
「や、止めて下さい!!」
タイチの仲間のヒーラー担当のキュリアの叫び声が激しい戦闘音を飲み込んだ。
「お願いですから、タイチさんを殺さないで下さい!」
涙を流しながら懇願する少女の姿に誰もが俯き目を逸らす。ミレーネやエリーゼたちもまた悲しげな表情をしていた。
「残念だが、それは無理だ」
殺そうと剣を振るいながら冷酷で冷淡な言葉がキュリアに返された。
「ど、どう――」
「何故無理なんだ!」
キュリアの台詞を奪ったのは彼女の隣に居るレイネだった。
「完全に魔剣に精神を乗っ取られ支配された人間を助ける方法はない」
(本当はあるが)
「一番効率的な方法は相手を殺すことだけだ」
「で、でもそんな事をしたらお前に犯罪履歴がついてしまうぞ!」
「それに関しては大丈夫だ。精神を乗っ取られた人間は魔物として扱うため犯罪に抵触しない。これはどこの国でも、そして冒険者ギルドのルールにも記載されていることだ」
呪いにより精神を乗っ取られた場合、その危険性が途轍もなく大きい。そのため魔物として区別されるため犯罪にはならないのだ。
「そ、そんな……」
千夜の言葉に絶望が彼女たちを襲い視界を闇へと暗くなっていく。
「さて、そろそろ終わりにするか」
淡々とした呟きに同情や哀れみはない。
それを耳にした者は千夜を冷徹にして冷酷だと感じていた。
それでも千夜の眷属たるエルザはその言葉の真意を理解し、闇タイチの攻撃を跳ね返し体勢を崩した。
「これで終わりだ」
その好機を千夜は見逃す事無く刀を振るった。
「やめてええええええええええええええええぇぇぇ!」
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