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106・来年の初詣は最高と約束された!
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106・来年の初詣は最高と約束された!
それはもうすぐ年末という日の晩ごはん時だった。お父さん、お母さん、お祖母ちゃん、そしてわたしという4人で食事中というとき、ふっとお母さんが言ったんだ。
「まりー、元旦の初詣なんだけど」
「ん、なに?」
「三ツ井さんの家族と合流してみんなで手合わせするから」
「んぐ、ごほごほ」
まったく思いもしない切り出しにびっくりしてむせた。そんなわたしを見てティッシュの箱を差し出すお祖母ちゃんはちょっといやらしい笑みを浮かべて言ったりする。
「青春のむせ返り、若いってすばらしい」
「お祖母ちゃん!」
ティッシュで口を拭きながら、まったくおどろいたと思いつつ、たしかに顔がちょっとニヤッとなりそうな自分がいた。我がお母さんは光のお母さんと親しくなったので、そういう流れで決まったことらしい。そんなこと聞くと家族づきあいって言葉が脳の中でトロトロになっていく。
「で、マリー、せっかくだから元旦は着物にしなさいね」
「もちろん! 言われなくてもそうするから」
来た、元旦の着物! 今まではお正月の空気を飾るために着るって感じだったけれど、今年は光に自分を見せたいって要求を兼ねるから、前年とは一味ちがうぜ! って感じになる。
「やった、いきなりものすごい勢いで元旦がたのしみ!」
夕飯が終わって部屋に戻ったら、室内に貼ってあるカレンダーを見ながらもうすぐそこまで来ている元旦に興奮せずにいられない。
「くっふぅ……家族づきあい最高!」
わたしが光と付き合っていることをお母さんに報告したいとか、光の家族に知られても全然オーケーとか思ったのは、まさにオープンにすることで家族づきあいに発展すると考えていたから。
「光にライン送ろうっと」
喜びが弾むわたしは光にラインを送った。はしゃいでいる自分がバレるのは恥ずかしいかなと少しは思うけれど、幸せは正直な人に訪れるという名言に従うことにする。
「マリーの着物姿がすごくたのしみってかぁ」
くっふぅ! と興奮しながらベッドの上を寝転がる。自分でやっておきながら小学生か! なんて突っ込みたくもなるけれど、いいんだ、これでいいんだ。橘家と三ツ井家に幸せが訪れるためには、喜びを噛みしめるが大事なんだ。
それはもうすぐ年末という日の晩ごはん時だった。お父さん、お母さん、お祖母ちゃん、そしてわたしという4人で食事中というとき、ふっとお母さんが言ったんだ。
「まりー、元旦の初詣なんだけど」
「ん、なに?」
「三ツ井さんの家族と合流してみんなで手合わせするから」
「んぐ、ごほごほ」
まったく思いもしない切り出しにびっくりしてむせた。そんなわたしを見てティッシュの箱を差し出すお祖母ちゃんはちょっといやらしい笑みを浮かべて言ったりする。
「青春のむせ返り、若いってすばらしい」
「お祖母ちゃん!」
ティッシュで口を拭きながら、まったくおどろいたと思いつつ、たしかに顔がちょっとニヤッとなりそうな自分がいた。我がお母さんは光のお母さんと親しくなったので、そういう流れで決まったことらしい。そんなこと聞くと家族づきあいって言葉が脳の中でトロトロになっていく。
「で、マリー、せっかくだから元旦は着物にしなさいね」
「もちろん! 言われなくてもそうするから」
来た、元旦の着物! 今まではお正月の空気を飾るために着るって感じだったけれど、今年は光に自分を見せたいって要求を兼ねるから、前年とは一味ちがうぜ! って感じになる。
「やった、いきなりものすごい勢いで元旦がたのしみ!」
夕飯が終わって部屋に戻ったら、室内に貼ってあるカレンダーを見ながらもうすぐそこまで来ている元旦に興奮せずにいられない。
「くっふぅ……家族づきあい最高!」
わたしが光と付き合っていることをお母さんに報告したいとか、光の家族に知られても全然オーケーとか思ったのは、まさにオープンにすることで家族づきあいに発展すると考えていたから。
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「マリーの着物姿がすごくたのしみってかぁ」
くっふぅ! と興奮しながらベッドの上を寝転がる。自分でやっておきながら小学生か! なんて突っ込みたくもなるけれど、いいんだ、これでいいんだ。橘家と三ツ井家に幸せが訪れるためには、喜びを噛みしめるが大事なんだ。
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