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79・きみにあげるフォー・ユー
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79・きみにあげるフォー・ユー
「光、ちょっと家まで来て欲しいんだ」
本日の学校帰り、わたしはとなりを歩く光にそう言った。
「え、なんで?」
そう言われたとき、なぜならこうだからと言いたいけれど、それを言っちゃうとサプライズが成立しなくなる。だから言いたいという衝動をグゥっと飲み込む。
「ま、とりあえず入って」
わたしは門を開けて敷地内に光を招いた。そして横の自転車置き場の位置で待ってもらう事にした。
「すぐ、来る。ほんとうにすぐ来るから、ちょっとだけ待っていて、10秒で戻ってくるよ」
言ったわたしは家の中に入ると、ついにこの瞬間が来たとばかり興奮しながら自分の部屋に行き、カバンを置いて代わりに大事な袋をつかんで階段を下りる。
「光」
「お、さすがマリー! ほんとうに10秒ジャスト!」
「えっと、その……えっとさぁ……」
「え、なに? どうしたの?」
「光にあげたいと思うものがあって……」
「あげるって、くれるってこと?」
「そ、そう。この間、おもしろいモノをわたしの誕生日プレゼントにくれたでしょう? そのお礼。で、ちょっと早いんだけれどさ、冬向けだからクリスマスプレゼントも兼ねるってことで」
「クリスマスプレゼント? え、なに、もらえるのはうれしいけれど、お金使って高いモノを買ったとかだったら気が引けるよ……」
「ち、ちがうよ」
わたしはお祖母ちゃんに教えてもらいながら作ったモノを大事に入れたデパートのおしゃれ紙袋を差し出す。
「わたしが……作った……」
「作った? って、これって手袋にマフラー」
「その、初めてだからへたくそだから手袋はミトンになって、マフラーはまったくもってかざりっ毛がないけれど、でも……ちゃんと心を込めて作ったんだよ」
「ほ、ほんとうに? おれのために作ってくれたの?」
「うん……」
「う、うわぁ……つ、作ってもらえるなんて……」
光は袋の中を見ながらとってもカンゲキなつぶやきを落としたのだけれど、わたしにとってうれしかったのはその続きがあったってこと。うれしいと思っているセリフを出してくれたこと。
「マリー、お、おれさぁ……」
「な、なに?」
「女の子から手作りのモノをプレゼントされるとか、そういうのってアニメとか小説の中だけとか思っていて、自分でそういう場面が出る小説を書いた事もあるんだけど、でも……実際に自分がもらうってことが起こったりすると……」
「起こったりすると?」
「夢みたいなキブン……いま人生で一番幸せな瞬間に立ち会っているみたいな、そんな感じ」
「あ、あのさぁ光……」
「なに?」
「この流れだから……せっかくだから、やってみたいことがあるんだけれど」
「な、なに?」
わたしはマフラーを取り出すと、胸をドキドキさせながら一言添えて光にかけてあげたりする。
「はい、どうぞ!」
「ぁ……ありがとう」
光はマフラーに目を向けたら、急に顔を横に向け目にゴミが入ったとか言って横を向き、2回ほど鼻を啜ったりした。
「これ、一生の宝物にするよ。マリーがもう捨ててとか言っても捨てないから」
光が真剣な顔でそう言ってくれた時、わたしはこの瞬間にタイムスタンプを押したくなった。後でしっかりこのキモチを日記に書いて残しておきたいと思った。
「光、ちょっと家まで来て欲しいんだ」
本日の学校帰り、わたしはとなりを歩く光にそう言った。
「え、なんで?」
そう言われたとき、なぜならこうだからと言いたいけれど、それを言っちゃうとサプライズが成立しなくなる。だから言いたいという衝動をグゥっと飲み込む。
「ま、とりあえず入って」
わたしは門を開けて敷地内に光を招いた。そして横の自転車置き場の位置で待ってもらう事にした。
「すぐ、来る。ほんとうにすぐ来るから、ちょっとだけ待っていて、10秒で戻ってくるよ」
言ったわたしは家の中に入ると、ついにこの瞬間が来たとばかり興奮しながら自分の部屋に行き、カバンを置いて代わりに大事な袋をつかんで階段を下りる。
「光」
「お、さすがマリー! ほんとうに10秒ジャスト!」
「えっと、その……えっとさぁ……」
「え、なに? どうしたの?」
「光にあげたいと思うものがあって……」
「あげるって、くれるってこと?」
「そ、そう。この間、おもしろいモノをわたしの誕生日プレゼントにくれたでしょう? そのお礼。で、ちょっと早いんだけれどさ、冬向けだからクリスマスプレゼントも兼ねるってことで」
「クリスマスプレゼント? え、なに、もらえるのはうれしいけれど、お金使って高いモノを買ったとかだったら気が引けるよ……」
「ち、ちがうよ」
わたしはお祖母ちゃんに教えてもらいながら作ったモノを大事に入れたデパートのおしゃれ紙袋を差し出す。
「わたしが……作った……」
「作った? って、これって手袋にマフラー」
「その、初めてだからへたくそだから手袋はミトンになって、マフラーはまったくもってかざりっ毛がないけれど、でも……ちゃんと心を込めて作ったんだよ」
「ほ、ほんとうに? おれのために作ってくれたの?」
「うん……」
「う、うわぁ……つ、作ってもらえるなんて……」
光は袋の中を見ながらとってもカンゲキなつぶやきを落としたのだけれど、わたしにとってうれしかったのはその続きがあったってこと。うれしいと思っているセリフを出してくれたこと。
「マリー、お、おれさぁ……」
「な、なに?」
「女の子から手作りのモノをプレゼントされるとか、そういうのってアニメとか小説の中だけとか思っていて、自分でそういう場面が出る小説を書いた事もあるんだけど、でも……実際に自分がもらうってことが起こったりすると……」
「起こったりすると?」
「夢みたいなキブン……いま人生で一番幸せな瞬間に立ち会っているみたいな、そんな感じ」
「あ、あのさぁ光……」
「なに?」
「この流れだから……せっかくだから、やってみたいことがあるんだけれど」
「な、なに?」
わたしはマフラーを取り出すと、胸をドキドキさせながら一言添えて光にかけてあげたりする。
「はい、どうぞ!」
「ぁ……ありがとう」
光はマフラーに目を向けたら、急に顔を横に向け目にゴミが入ったとか言って横を向き、2回ほど鼻を啜ったりした。
「これ、一生の宝物にするよ。マリーがもう捨ててとか言っても捨てないから」
光が真剣な顔でそう言ってくれた時、わたしはこの瞬間にタイムスタンプを押したくなった。後でしっかりこのキモチを日記に書いて残しておきたいと思った。
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