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26・光の勉強に対する意識とか

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 26・光の勉強に対する意識とか


「光さぁ、期末テストは自信ある?」

「ふつう」

 もうすぐしたら期末テストって歌がつくれそうな今、いっしょに下校するならそれも話題のネタになる。幸いなことにわたしも光も勉強は全体的に平均。どっちか片方がめっちゃ優れて、もう片方が絶望的に悪いとか、そういう悲劇のタネは存在しない。

「でも光ってえらいと思うんだ」

「なにが?」

「だってほら、小説家になりたいとか思ってがんばって、さみしいからってわたしみたいな巨乳女子のイラストを描いたりして、それでも勉強はちゃんとやっている」

 わたしはそう言って光の顔を見た。いやぁ、そんなってテレた顔を浮かべるんじゃないかと期待したから。

「別にえらくないよ」

 光は意外と冷静で表情もオーラもあまり変化なし。

「だってさ、じいちゃんに言われた事があるから」

「なんて?」

「好きなことは一生懸命にやること。でもって、その好きでやる事の名誉を守るためにも勉強とかいうのには最低限の努力をしておくこと。そうすれば好きでやっていることの名誉は守られるって」

「おぉ、なんか感動させられちゃうね」

「まぁね、だから好きな事をやるためにも勉強はやっておくかって考えるんだ。それだとそんなにストレス感じないんだ」

「光……」

「な、なんだよ急に変な声を出して」

「光って知れば知るほどなかなかかっこういい所もあるんだねぇ。そういうのって評価するよ、でもって少し嬉しい、胸がキュウンとなる」

「そ、それはどうも」

 わたしはここでやっと少しテレた光を横目にして、かわいいなと思ったり、彼氏が実はかっこういいと知るのはステキな事だなぁとうれしく思ったりした。

「光、手をつながない?」

 いまのこの甘い感じを大事にしたいと思って誘った。すると光はあらぬ方向を見ていてわたしの声が聞こえなかった。

「あぁ、また!」

 わたしは光が何を見ていたかすぐにわかった。向けられている目線の方には、ひとりの外人さん、しかもすっごいふっくら爆乳っておっぱいの持ち主さんがいるって、それが答え。

「あ、いや、ちがう」

「人がせっかくかっこういいとかホメてあげたのに! 中1でEカップって巨乳な彼女が隣にいるのに、なんでそういう裏切りをかますのかなぁ、きみは!」

「ちがうってば」

「何がちがうって言うのよ」

「お、おれが見ていたのは、この世の景色とかきれいな空気とかそういうモノで」

「イヤだぁ、くっそつまんない言い訳。男ってさぁ、小説を書く能力があっても、なんでこういう展開だと無能になるの?」

「もしかしたら純粋だからかな……」

「はぁ? なんだって?」

「な、なんでもないです」

「あ、また別のすごい爆乳さん!」

「え?」

「はいバカ、最低、早く地獄に落ちてちょうだい」

「いまのはひっかけた方が悪いだろう」

「うるさい、光はあっちから帰って」

「あっち?」

「そうグルーっと遠回りして帰って」

「えぇ……」

「それが彼女のピュアを裏切った罪だよ」

「ブッ! ピュアって……」

「あぁ、また罪を重ねたな」

「ご、ごめん」

 わたしは思う。男子ってホメない方がいいのかなぁとか、どうして女ばっかり気苦労を背負うのだろうとか。
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