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11・適当でブラを選ぶ話が存在するなんて

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 11・適当でブラを選ぶ話が存在するなんて


「いや、実はさぁ……」

 昼休み時間、友人はわたしを校舎の裏側って人目の少ないところに呼び出してモジモジする。え、まさか告白されるんじゃ……なんて、一瞬そんなことを思わせられる自分がいた。

「わたしってさぁ、マリーから見てどのくらいだと思う?」

「なにが?」

「その……乳が……」

「はぁ? なになに、まさか変な話?」

「ちがう、そうじゃなくて……マリーならわたしに必要なブラのサイズを当ててくれるかなと思って」

「ブラのサイズ?」

「当ててくれると助かるんだけど……」

「なに、どういうこと? これってどういう話なの?」

 友人はあんまり言いたくないけれど仕方ないという顔をわたしに見せてから、ちょっと信じられないねぇって話を切り出した。要約すると、適当に選んで買ったブラのサイズがまちがっているような気がするって事。

「え、適当ってなに?」

「だからランジェリーショップにいって、まぁ、これくらいかなぁってサイズを買った」

「おっぱいのサイズは? 店員さんに測ってもらわなかったの?

「いや、それって恥ずかしいじゃんか」

「うっそ! それってあってはいけない話なんですけど」

「え、そうなの?」

「あのさぁ、ブラなんて最初が肝心なんだよ? 最初ですべてが決まるわけで、最初をおろそかにすると大きさに関係なくブサ乳になる。で、一回ブサ乳になると永遠に戻せない」

「ぶ、ブサ乳……永遠に戻せない……

「で、あんた今のところ……Bカップかな?」

「Bで行けると思った」

「仕方ないな、こういう事をする趣味はないんだけれど……」

 わたしは念のためにと誰かが出てくるかもしれないって方向に背を向け、隣の友人にちょっとだけシャツの上からバストに手を当てた。

「あ、これダメじゃんか」

「やっぱり……ダメ?」

「その言い方はわかっていてやっているの?」

「だってBだとおっぱいが大きめって見た目になれるから」

「だけど、Bってブラにしっかりおっぱいが収まっていない。ハッキリ言えば余ってる。今所有しているブラは全部捨てなさいって話」

「えぇ……」

「えぇ……じゃないよ、お母さんとかに何か言われなかったの?」

「いやその……お母さんが適当でもいいんじゃない? とか言ったんだけど」

「うわぁ……そういう事ってあるのか」

 わたしにとってそれは衝撃であると同時に、ブラとのお付き合いは女子が命懸けでやる事と教えてくれたマイお母さんに深い感謝の念を抱かずにはいられなかった。
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