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6・2人でラブラブを重ねて行こう

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 6・2人でラブラブを重ねて行こう


「あ、来た!」

 本日、午前8時の〇〇公園にてわたしはテレくさそうな顔をした三ツ井がやってきたのを目にして手を振る。

「おはようダーリン」

「ダーリンは恥ずかしいかな……たのしいって気もするから全否定するのはもったいないと思いつつ」

「そうか、じゃぁなんて呼んだらいい?」

「三ツ井でいいけど」

「そんなわけない。彼氏を名字で呼び捨てって、そんなの色のついていない青春の出がらしじゃんか。じゃぁ、ミッツーとかは?」

「いや、正直イヤかなって」

「じゃぁふつうに光(みつ)と名前で呼ぶよ、いいね?」

「う、うん、わかった」

「じゃぁ、わたしの事はマリーでいいよ」

「ま、マリー」

「じゃぁ、いっしょに学校へ行こうか光!」

 彼氏と彼女、こういう関係ならいっしょに学校へ行くのが当然。それができるのにしないなんて、それこそ青春とか恋愛に対する冒とくみたいなものだよね。

「あ、あのさぁ……マリー」

「どうした、光」

「いっしょに登校したら、周りから目一杯視線もらうんだよなぁと思って、なんかちょっとドキドキしてお腹が痛くなってきた」

「こらこら、仮にも一般からエロまで手掛ける小説家になりたいって男子が、彼女との登校に緊張するとかダメだぞ」

「そ、そうは思うけど……なんかこう、お腹が痛くなってきた……」

 まったく男子ってやつは……と言いかけたけれど、それを言うといい感じが薄まってしまうような気がした。

「わかった、じゃあ手をつなごう」

「えぇ!」

「なに、その激烈なおどろき」

「だ、だって……手をつなぐって」

「つなぎたくない?」

「つ、つないでみたいけれど……いいの?」

「あのさぁ、光……」

「なに?」

「ひとついい事教えてあげる」

「いい事?」

「わたしもあれこれ緊張しているんだよ? きみだけがドキドキしているわけじゃないんだよ。だからさ、2人でいっしょにドキドキしよう。目立つのが恥ずかしいって、そういうのを2人で乗り越えよう」

「う、うわぁ……」

「どうしたの?」

「い、今のマリーのセリフ、ちょっと感動して……」

「よし、じゃぁ手を!」

「う、うん」

 横並びになって手をつなぐと、見慣れた景色の中にジワーっと特殊な感じが広がるように見えた。

「う……」

「どうした光」

「い、いや、なんでもない」

「だーめ、彼女に隠し事なんて立派な犯罪だからね」

「い、言ってもいい?」

「言わないと後で裁判するよ?」

「や、やわらかくて気持ちいいとか思った……」

「あぁ……そうか、そういうことか」

「ご、ごめん」

「謝らなくていいんだって、いいんだよ」

 わたしは手を軽く愛撫して光を安心させてやる。そうすると、2人の間に温かい感じが生まれたように思えた。
 学校まではさほど遠くはないのだけれど、お互いカップル歩きには不慣れだし、あまり会話せず板についていない感じもいっぱいだから少し時間がかかった。

 学校が見えてくるとあっちこっちに同じ学校の生徒が出てくるから、当然のように注目される。たしかに最初はちょっとテレくさい。だけど、ちょっと高い所にいるわたしたちってキモチを味わえた。わたしと光の2人は白い雲の上を歩いているんです! って感じだった。
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