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抜けられなくなった巨乳を救出せよ2

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「ん……」

 おれは壁から顔と上半身を出している者に近づくと、相手と上下に見つめ合ってみた。それからおそるおそる言ってみた。

「人間……人間だよな? 女子だよな」

「わたしが人間じゃなかったら何に見えるって言うんですか?」

 そう言われたとき、子犬……って一瞬言いたくなった。なぜならこの女子……よく見ると非常にかわいいから。
 
 しかし最初に大事なのはこの女子がかわいいとかそういう事ではない。かわいいのに残念……という状況である。

「おまえ、何やってんの?」

「あんぅ! よくぞ聞いてくれました、えんぅぐぅ……う」

「あっと、泣くな……おちついて、まずはおちついて語ってくれ」

「んぅぐす……ぅ……」

 女子は前置きみたいに少し泣いてから、この状況とか成り行きを語り始めた。なんでも、今日は目覚めたときからキブンがよかったらしい。

「ほら、今日は夢が叶いそう! とか、今日は何でもできそう! とか、今日はステキな人と出会えそう! とか熱く思っちゃう日とかあるじゃないですか? それだったんです。だからキモチが弾んじゃって、いつもとちがう道を歩こうって思ったんです」

「よりにもよってこんな物騒なコースを歩こうと思ったのか?」

「はい……だって……」

「だって?」

「今日はここを歩いたら運命の人と出会えるような気がして……ほんとうにそう思って、うぐ、ぐくぅんん……」

「あぁ、だから泣くなって、ほら涙を拭いて」

 おれはハンカチで女子の涙を拭ってやったけれど、そのとき……ちょっとドキドキしていた。なんせこの女子……年齢はおれより下だろうけれど、ものすごいおれ好み。

 ショートレイヤーとかいう髪型のちょっと長めってやつなのかな、そして色白ふっくらな輪郭で、甘くいいニオイがたっぷり浮かんでくる。そして、そこに大変重要な絡む、この女子……ふっくら豊かな巨乳の持ち主だと思える。

(うぉ、Tシャツのふくらみ具合からして……こいつかなりの巨乳って可能性大。胸元……中、見えないか、谷間とか、ブラジャーのカップとか……)

「お兄さん!」

「あんぅっと、な、なんだよ」

「さっきからどこを見てるんですか!」

「あ、いや、おっぱいが大きい巨乳かと思って、って、あ、いや、今のはその……」

 おれはいつもこうだ。純情で心がきれいな正直者だからついほんとうの事を言ってしまう。だから人生がつまらないのかなぁって常々思ったりもしている。

「お兄さん……」

「な、なんだ?」

「むぅ……お兄さんは……わたしみたいな巨乳女子が好みなんですか?」

「おまえ、やっぱり巨乳なのか! あ、いや、その……」

 ダメだ、おれはどうしてもこんな風になってしまう。だから話を元に戻すことにした。そもそも小学6年の巨乳女子が何をやっているのか? と。

「小6じゃないです、勝手に決めつけないでください」

「え、でも私服……」

「私服の学校です、●▲中学って知らないんですか?」

「中1か?」

「中2です」

「おっぱ……じゃなくて、なんでこうなった?」

「お兄さん、いま、おっぱいとか言いかけませんでしたか?」

「い、いやぁ、気のせいだろう。とにかく話の続きを」

 女子によるとここを通り抜けようとしたとき、ふつうなら怖くて近寄れないってビルにちょっとだけ興味が沸いたらしい。今日はキブンが無敵だからだいじょうぶ! って、そんな風に思ったらしい。そうしてちょっとだけ中を見たときに穴を発見した。

「で、通り抜けてみようと思ったんです」

「なんでまた……」

「ちゃんとした理由があります!」

「ちゃんとした理由?」

「わたし……早くからおっぱいが大きい巨乳女子なんです」

(やった、やっぱり巨乳だったんだ!)

「でもその……中2になってもまだちょっと、元気いっぱい娘みたいに動きたいって思いがあって、今日はそれをものすごく刺激されちゃったんです。 だから穴を見たとき……ちょっとばっかり、それこそ昔みたい……男の子顔向けに元気な女の子みたいな事をやりたくなって、この穴を抜けてみようと思ったんです。ちょっと低めの位置にあるから抜けて落下してもだいじょうぶとか思って」

「そ、そうか……色々思い悩んだり苦労するんだな、巨乳女子も……」

 かがんでいるおれはちょっとばっかり浮かんだ涙を拭うと、それとなく女子の頬に手を当てた。すると温かくてやわらかい……このやわらかい触り心地っていうのがたまらない。だからおれはこの誘惑めいた感じを突っぱねるために、女子の頬を両手でグリグリつねってやる。

「なにするんですか! せっかく感動的なフンイキだったのに!」

「あ、わりぃ……っていうか……おまえ……朝の何時からこの状態なんだ?」

「多分……朝の8時15分くらいからです……ずっと誰かが通るのを待っていたんです」
 
 なんと、このかわいい巨乳女子がこの状態から抜け出せないまま、2時間以上も過ごしていたらしい。誰も通らなかったら悲惨だ。いや、誰かが通るとしても……おれとちがって心持ちの悪いやつだったらいったいどうなっていたというのやら……だ。おれの頭と感情は久しぶりに思いっきりぶっとんでしまった。
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