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209・(Σの輝き)身長40mになった爆乳女子、団子を食い止めろ 3
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209・(Σの輝き)身長40mになった爆乳女子、団子を食い止めろ 3
「だいじょうぶ?」
占い師は表ではとてもやさしく心配してみせる。
「あ、え、えっと……」
今にも泣きだしそうな団子、グッと涙の流出を抑えながらサイフを取り出す。そして占ってもらった料金を差し出すと立ち上がり、急ぎ足で歩き出した。一分一秒でも早く人目のない場所にたどりつき、そこで泣きたいという感情が背中に見える。
「あ~あははははは」
団子の姿が見えなくなってから、占い師は腹を抱えて笑った。ざまーみやがれ! とか言いながら、目に涙まで浮かべて笑うのだった。
「ぅ……」
団子、人目のない場所にたどり着きたいと思いながら歩く。具体的な場所はわからないが、ジッとしていられないという事もあってグイグイ歩く。
「おい、あいつ、すごい爆乳」
「おぉ! ユッサユッサボンバー!」
「ああいう女を食いたい……」
「でもよぉ、あいつブスじゃね?」
「あ、それは言えてる。やっぱり要らないわ、かわいい爆乳がいい!」
「おまえってひどい奴だなぁ」
「おまえこそ、きゃははは」
行き交うとき2人の若い男が団子を見てそんな会話をした。それ、いまのハートブレイクな団子には生々しい攻撃みたいに聞こえてしまう。
「ぅ……」
今にも泣きだしそうな団子、哀しみの沼に沈んで沈んで……どんどん沈んで、もう生きているのがイヤだと思うところまで行く。
しかし今度は次第に腹が立ってきた。風で消えたと思われた火が復活してメラメラ燃えるように怒り温度が上昇していく。
「ふざけんなよ……わたしだって幸せになりたいんだ。ブスで悪かったな、ブス爆乳で悪かったな!」
言って立ち止まったとき、それとなく周囲をグルっと見渡した。そして他人にハッピーを見せつけるようなカップルを見ると、怒りのファイヤーが限界突破で吹き上がってしまう。
「くっそぉ、なんでわたしばっかり、なんでわたしばっかり不幸、そんなのって、そんなのって!」
怒りの声を発するとボッ! っと浮かぶ白いオーラが赤色に変化。もうほんとうに腹が立ったと両手をにぎる団子、青天の空を見上げながら人目を気にする事なく叫んだ。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
最初、周囲を行き交う他人は哀れむって目を団子に向けた。とっても気の毒とか痛い女なのだろうとか、安らかに死ねないだろうなとか思うだけだった。
「んぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
怒りが収まるどころか天井知らずに吹き上がる団子、水色のロングスカートから出る両足が地面に少しめり込んだ。
「んぁああああああああ!!」
団子の体がまぶしい光に包まれた。するとその光が横ではなく縦に、上に、上にと広がっていく。そして光の内側にある団子のフォルムも、その流れに合わせてデカくなっているように見えた。
「うぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
団子、ここでグワっと両腕を振り上げた。そしてブワっと吹いた風に前髪を撫でられた。それから……ゆっくり顔を前に向けながら頭の中が幾何学模様の嵐になった。
「へ?」
おどろいた、心底おどろいた。なぜって眼前に広がる世界がまったく異質。こんな風に世界を見たという前情報が脳みそにまったく刻まれていない。
「こ、これは……」
ごくりとやってから顔を下に向ける団子。すると 普段ではありえない見下ろしによって建物やら道路、さらには群がる小さな生物こと他人を目にした。そして何人かの他人が言っている。
「おぉ! パンツはベージュ!」
「すげぇ爆乳、真下から見ると乳のボリュームで顔が見えないじゃん」
「いや、双眼鏡で見たけど顔はそんなに言うほどかわいくない、ブス! だから爆乳って部分だけ拝んだ方がいいぞ」
これで自分は巨大化したのだと理解した。プラス、やっぱりどいつもこいつもエロい! それはほんの一時停止していた悲しみと怒りって歯車を勢いよく再始動させる。
「おのれ、どいつもこいつも人をブスとか……そんなに美人がいいのか、そんなにかわいい女がいいのか、結局は顔の良し悪しでしか女を判断しないっていうのか!」
団子が吠えた。そしてグッと片手をつよくにぎったら、それを思いっきり水平に振る。
ガーン! 横にあったビルを砕く。今ちょっと手が痛かった……と思ったので、今度はグワーっと足を上げ路上駐車されている無人の車を踏みつぶしてみたりする。そうするとギシギシっと車が苦しそうな音を立ててへこんでしまうのだった。
「ブスで悪かったなぁ!」
団子が街を破壊し始める。こんな事をしていいの? という良心と、どうせなら世界をさら地にしてやれ! って悪の心がぶつかり合う。だから破壊はするが少し控えめでもある。
「おぉ、すげぇ……40mくらいあるよな? あのサイズで爆乳とかいったいどれだけ夢を詰め込めるって話だよな」
あるビルの屋上でサラリーマンの男性が暴れる巨人を、正確には暴れている最中にフルフルっと揺れるふくらみ具合ばかりをデレデレ顔で見つめる。
「いや、あれって確かに乳のボリュームはSだけど、顔がちょっとなぁ……顔はB+ってレベルじゃね? ま、ブスだよな、ブス爆乳だよな」
男たちがそんな会話をやったら、今の過敏状態である団子の耳はそれをしっかりとキャッチ。建物を破壊せんと振り上げた腕の動きが止まり、2人のサラリーマンがいるビルに向き直る。
「誰がブスだって、顔がB+とか……人の事ばっかり好き勝ってに言いやがって!」
声が天空に大地を揺るがすほど響く。そして団子がビルに向かって歩き出すと、ドシンドシンとあり得ない音やら揺れが生じる。
「あ、やべ……ブスがこっちに来る、逃げろ!」
「あの乳だけは拝んでいたいんだけどなぁ……でも今は逃げた方がよさそう」
男たちは屋上から退避! とばかり逃げていく。その姿を目にした団子、両手を組み合わせてから大きく真上に振り上げる。
「おらぁぁぁ!!!」
ダーン! 叫び声と同時に振り下ろされた団子の両手がビル屋上の一部分を砕く。
しかし次の瞬間、突然に団子が両目を丸くして固まった。急に呼吸が苦しくなったらしく、片手を谷間の辺りに当て青ざめる。
「あぅ……う……」
団子が苦しそうに口をやや大きめに開くと、スーッと白い煙みたいなモノを外へ出ていく。そしてそれは人のカタチとなり、すぐさま団子と同じカタチになっていく。それは団子の中から出た悪の部分。怒りが強すぎて善より勝ってしまったということ。
「よし、後はわたしに任せておけ」
悪の団子、苦しそうな顔でぜーぜーやる善の団子に近づく。そうして左人差し指をピッと伸ばしたら、相手の額中央に向ける。
「はぅ……な、なにを……」
「何をって、今より悪が主導権をにぎる。善はわたしの中でおとなしくウジウジしていればいいんだよ。おまえ、ほんとうは腹が立つから男を踏みつぶしたいとか思っているだろう? あるいは幸せそうなカップルを見るとムカつくから、特に女の方をグリグリ踏みにじって殺してやりたいとか思っているだろう? それをわたしがやろう、世間に復讐してやる」
「ば、人殺しとかそういうのはダメ」
「いいからいいから、おまえはわたしの中で溶けていけばいいんだよ」
悪の団子がニンマリやると善の団子は相手の指先に引っ張られる感覚に陥る。それは錯覚とかカン違いではなく、たましいが相手の内側に押し込められるという恐怖な展開そのもの。
「い、イヤだ……イヤだぁぁぁぁぁぁ」
善が叫ぶ。しかしここでは悪が勝利する。すぃーっと指先に吸収されてしまったら、もう善の団子って姿はどこにもない。
「おぉ、善より悪が勝るというのはキブンがいいなぁ。正直な人生そのものって感じだぁ。さぁ、思いっきり暴れてやるかぁ」
悪い団子がもう一度ニンマリ。そして色白な両手を合わせると、クキクキって音を鳴らすのだった。
「だいじょうぶ?」
占い師は表ではとてもやさしく心配してみせる。
「あ、え、えっと……」
今にも泣きだしそうな団子、グッと涙の流出を抑えながらサイフを取り出す。そして占ってもらった料金を差し出すと立ち上がり、急ぎ足で歩き出した。一分一秒でも早く人目のない場所にたどりつき、そこで泣きたいという感情が背中に見える。
「あ~あははははは」
団子の姿が見えなくなってから、占い師は腹を抱えて笑った。ざまーみやがれ! とか言いながら、目に涙まで浮かべて笑うのだった。
「ぅ……」
団子、人目のない場所にたどり着きたいと思いながら歩く。具体的な場所はわからないが、ジッとしていられないという事もあってグイグイ歩く。
「おい、あいつ、すごい爆乳」
「おぉ! ユッサユッサボンバー!」
「ああいう女を食いたい……」
「でもよぉ、あいつブスじゃね?」
「あ、それは言えてる。やっぱり要らないわ、かわいい爆乳がいい!」
「おまえってひどい奴だなぁ」
「おまえこそ、きゃははは」
行き交うとき2人の若い男が団子を見てそんな会話をした。それ、いまのハートブレイクな団子には生々しい攻撃みたいに聞こえてしまう。
「ぅ……」
今にも泣きだしそうな団子、哀しみの沼に沈んで沈んで……どんどん沈んで、もう生きているのがイヤだと思うところまで行く。
しかし今度は次第に腹が立ってきた。風で消えたと思われた火が復活してメラメラ燃えるように怒り温度が上昇していく。
「ふざけんなよ……わたしだって幸せになりたいんだ。ブスで悪かったな、ブス爆乳で悪かったな!」
言って立ち止まったとき、それとなく周囲をグルっと見渡した。そして他人にハッピーを見せつけるようなカップルを見ると、怒りのファイヤーが限界突破で吹き上がってしまう。
「くっそぉ、なんでわたしばっかり、なんでわたしばっかり不幸、そんなのって、そんなのって!」
怒りの声を発するとボッ! っと浮かぶ白いオーラが赤色に変化。もうほんとうに腹が立ったと両手をにぎる団子、青天の空を見上げながら人目を気にする事なく叫んだ。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
最初、周囲を行き交う他人は哀れむって目を団子に向けた。とっても気の毒とか痛い女なのだろうとか、安らかに死ねないだろうなとか思うだけだった。
「んぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
怒りが収まるどころか天井知らずに吹き上がる団子、水色のロングスカートから出る両足が地面に少しめり込んだ。
「んぁああああああああ!!」
団子の体がまぶしい光に包まれた。するとその光が横ではなく縦に、上に、上にと広がっていく。そして光の内側にある団子のフォルムも、その流れに合わせてデカくなっているように見えた。
「うぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
団子、ここでグワっと両腕を振り上げた。そしてブワっと吹いた風に前髪を撫でられた。それから……ゆっくり顔を前に向けながら頭の中が幾何学模様の嵐になった。
「へ?」
おどろいた、心底おどろいた。なぜって眼前に広がる世界がまったく異質。こんな風に世界を見たという前情報が脳みそにまったく刻まれていない。
「こ、これは……」
ごくりとやってから顔を下に向ける団子。すると 普段ではありえない見下ろしによって建物やら道路、さらには群がる小さな生物こと他人を目にした。そして何人かの他人が言っている。
「おぉ! パンツはベージュ!」
「すげぇ爆乳、真下から見ると乳のボリュームで顔が見えないじゃん」
「いや、双眼鏡で見たけど顔はそんなに言うほどかわいくない、ブス! だから爆乳って部分だけ拝んだ方がいいぞ」
これで自分は巨大化したのだと理解した。プラス、やっぱりどいつもこいつもエロい! それはほんの一時停止していた悲しみと怒りって歯車を勢いよく再始動させる。
「おのれ、どいつもこいつも人をブスとか……そんなに美人がいいのか、そんなにかわいい女がいいのか、結局は顔の良し悪しでしか女を判断しないっていうのか!」
団子が吠えた。そしてグッと片手をつよくにぎったら、それを思いっきり水平に振る。
ガーン! 横にあったビルを砕く。今ちょっと手が痛かった……と思ったので、今度はグワーっと足を上げ路上駐車されている無人の車を踏みつぶしてみたりする。そうするとギシギシっと車が苦しそうな音を立ててへこんでしまうのだった。
「ブスで悪かったなぁ!」
団子が街を破壊し始める。こんな事をしていいの? という良心と、どうせなら世界をさら地にしてやれ! って悪の心がぶつかり合う。だから破壊はするが少し控えめでもある。
「おぉ、すげぇ……40mくらいあるよな? あのサイズで爆乳とかいったいどれだけ夢を詰め込めるって話だよな」
あるビルの屋上でサラリーマンの男性が暴れる巨人を、正確には暴れている最中にフルフルっと揺れるふくらみ具合ばかりをデレデレ顔で見つめる。
「いや、あれって確かに乳のボリュームはSだけど、顔がちょっとなぁ……顔はB+ってレベルじゃね? ま、ブスだよな、ブス爆乳だよな」
男たちがそんな会話をやったら、今の過敏状態である団子の耳はそれをしっかりとキャッチ。建物を破壊せんと振り上げた腕の動きが止まり、2人のサラリーマンがいるビルに向き直る。
「誰がブスだって、顔がB+とか……人の事ばっかり好き勝ってに言いやがって!」
声が天空に大地を揺るがすほど響く。そして団子がビルに向かって歩き出すと、ドシンドシンとあり得ない音やら揺れが生じる。
「あ、やべ……ブスがこっちに来る、逃げろ!」
「あの乳だけは拝んでいたいんだけどなぁ……でも今は逃げた方がよさそう」
男たちは屋上から退避! とばかり逃げていく。その姿を目にした団子、両手を組み合わせてから大きく真上に振り上げる。
「おらぁぁぁ!!!」
ダーン! 叫び声と同時に振り下ろされた団子の両手がビル屋上の一部分を砕く。
しかし次の瞬間、突然に団子が両目を丸くして固まった。急に呼吸が苦しくなったらしく、片手を谷間の辺りに当て青ざめる。
「あぅ……う……」
団子が苦しそうに口をやや大きめに開くと、スーッと白い煙みたいなモノを外へ出ていく。そしてそれは人のカタチとなり、すぐさま団子と同じカタチになっていく。それは団子の中から出た悪の部分。怒りが強すぎて善より勝ってしまったということ。
「よし、後はわたしに任せておけ」
悪の団子、苦しそうな顔でぜーぜーやる善の団子に近づく。そうして左人差し指をピッと伸ばしたら、相手の額中央に向ける。
「はぅ……な、なにを……」
「何をって、今より悪が主導権をにぎる。善はわたしの中でおとなしくウジウジしていればいいんだよ。おまえ、ほんとうは腹が立つから男を踏みつぶしたいとか思っているだろう? あるいは幸せそうなカップルを見るとムカつくから、特に女の方をグリグリ踏みにじって殺してやりたいとか思っているだろう? それをわたしがやろう、世間に復讐してやる」
「ば、人殺しとかそういうのはダメ」
「いいからいいから、おまえはわたしの中で溶けていけばいいんだよ」
悪の団子がニンマリやると善の団子は相手の指先に引っ張られる感覚に陥る。それは錯覚とかカン違いではなく、たましいが相手の内側に押し込められるという恐怖な展開そのもの。
「い、イヤだ……イヤだぁぁぁぁぁぁ」
善が叫ぶ。しかしここでは悪が勝利する。すぃーっと指先に吸収されてしまったら、もう善の団子って姿はどこにもない。
「おぉ、善より悪が勝るというのはキブンがいいなぁ。正直な人生そのものって感じだぁ。さぁ、思いっきり暴れてやるかぁ」
悪い団子がもう一度ニンマリ。そして色白な両手を合わせると、クキクキって音を鳴らすのだった。
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