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206・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)22
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206・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)22
「もしもし、わたしだ。用意は出来たか?」
いま、会場はバトルで盛り上がっている。しかし建物から出て少し離れた所にある裏通りで閻美が電話をしているとは誰も知らない。それは地獄への直通である。
「なに? できない? どうしてだ」
閻美は部下の否定的な返しにいら立った。閻美はいったい何を命令したのかと言うと次の通り。忌々しい大会が開かれている建物と、その中にいるどうでもよい人間のすべてを消し去るため四次元から三次元に打ち込む核兵器を用意せよと命令していたのだった。その核兵器の名前はリトルエンペラーで小型である。
「いくら小型でも会場および中にいる人間のすべてを消すのは憚られます。そもそもなぜ抹消するのですか」
「わたしが気に入らないからだ、文句あるか!」
「い、いや、しかしそんな……」
閻美、大会に出て優勝して世界中が見ている前で息吹と結婚しようかと考えていた。しかし早々に敗退してしまったから怒りはピークに達している。もはやどうでもよい大会も建物も人間も消してしまえばいいと考える。閻魔大王の娘なので身勝手は正義とする。
「では、妥協案はどうでしょうか?」
「妥協案?」
部下いわくリトルエンペラーはよろしくない。そこで核エネルギー非搭載の爆弾で手を打たないかと。建物の破損は緩め、中にいる人間のほとんどがケガは避けられないが命は高確率で助かるという、リトルエンペラーと比べたら人間にやさしすぎるミサイルことリトルマーメイド。
「リトルマーメイドならすぐに用意して発射できますが」
「リトルマーメイド……ぬるいのぉ……」
はぁ……っとためいきを落としたが、何もしないよりはマシだと思う。自分を負かしたリディエは言うに及ばず、団子などという爆乳柔道女子が勝利するとしても耐えられない。
「まぁ、大会が粉々に吹っ飛んでなかったことになれば、結局誰が優勝したかわからないというオチになればいいか。よし、だったらリトルマーメイドを今すぐ発射だ」
「では3分後に」
「2分後だ」
そう言って閻美は電話を切った。2分後が楽しみだなぁと明るい顔でワクワクする。
地獄から四次元経由で三次元に攻撃した場合、攻撃された方は得体のしれない自然現象としかならない。歴史上そんな奇妙な出来事はよく起こっているが、それらはすべて人間を戒めるため地獄からなされた攻撃である。
一方そのころ、リング上ではリディエと団子の激闘が繰り広げられていた。早く勝負を終わらせればよいのに、興奮したせいでとことんバトルをやりたいなんて考えになった団子がいた。
「ふん!」
リディエの左フックが団子の顔面に入る。それもはや空手でもなんでもないが、そういう戦いで燃える事しか眼中にないトランス状態。
「おらぁ!」
団子もリディエの顔面を殴り返す。もはやリング上は鼻血やらなにやらで汚れている。
(実況)「痛々しい試合になりました。2人とも徹底的にやる気ですね」
(解説)「魅力的な爆乳女子の殴り合いは見ていてつらいです、はい」
(実況)「しかしこの大会、引き分けは認められておりません。どっちかが敗北となるまでは続きます。団子がリディエを倒すチャンスはあったような気がします。そこをばっちり攻めていればもう試合は終わっていたような気もします。もしかすると大事なタイミングを外した終わりのないバトルになってしまったというのか」
実況が言うように、団子の柔道と空手を合わせた攻撃はリディエを戸惑わせ続けた。なんとかギリギリで回避したり根性で立ち上がったりをくり返したが、その気になっていればリディエを仕留めるチャンスは確かにあった。つまり、団子が不必要に興奮した事により、とことんやろうぜ! って少年マンガのバトルみたいになった。こうなると夜中までやり続ける気かもしれない。
一方その頃、熱い女のバトルが中で展開されている建物を、かなり離れたところにある歩道橋から閻美とかすみが見つめ笑っていた。
「ふん、さっさと試合を終わりにしていれば、それで勝者をハッキリさせていればよかったモノを、長くダラダラ試合を楽しんだりするからこんな目に遭う。自業自得だ」
「ですよねぇ、みんな爆弾で吹っ飛んじゃえ! って話ですよね。誰が優勝かわからないまま粉々になれば大バンザイっすね」
「子ども巨乳、おまえならてっきり、ひどい事をしないでくださいって怒るような気がしていたのだが」
「そりゃぁ核兵器を撃ち込むだったら反対しましたけど、人にやさしいミサイル、リトルマーメイドでしたっけ? それならいいかなって。中に息吹くんはいないはずだし、見知らぬ観客なんかどうでもいいし、リディエも団子も死なないのであれ気遣う必要もないし」
「お、そろそろ発射されたかな」
閻美、ククっと笑う。かすみには見えないが、閻美は見取れる。見上げた上空からやってきたるリトルマーメイド。それは四次元を飛んでいるが、ターゲットに直撃した瞬間三次元に移行する。現実にあの建物は崩壊し、会場というモノはブッつぶれ、それぞれにケガをするだろうが、めちゃくちゃ運が悪いという者は死ぬかもしれない。
「結局、この大会は誰が優勝したのか不明となり、誰も息吹と結ばれることはなく、そして戦いの映像だけが残り、それはおっぱい星人の宝物として流通するだけ。お、来た、来たぞリトルマーメイドが」
ギュィイーンっとすさまじいスピードで向かっていく飛翔体。建物を見つめながらごくりと息を飲むかすみ。
「ドーン!」
閻美がほんとうにうれしそうな顔でつぶやいたのとほぼ同時い、建物がドカーン! と大爆発。
「おぉ!」
いきなりに大爆発! という衝撃にかすみは思わずブルった。ドーン! と耳がつぶれるような音がし、ガラスが吹き飛びオレンジ色の怪物こと炎が舞い上がる。そしてきれいだった建物は一瞬で廃墟に近いモノと化す。
「大当たり!」
大騒ぎとなっている現場を遠くから見つめる閻美は色白な両手をパンと叩く。それから横にいるかすみの肩を叩き、たまにはいっしょに夕飯でも食べようか? とか言う。
「えぇ、どうしたんですか、閻美さんがやさしいとか……」
「わたしはいつでもやさしいだろう。それに今はすこぶるキブンがいい。おまえもそうじゃないのか?」
「ま、まぁ……あの建物を見るとちょっと罪悪感っぽいのが沸きますけれど」
「気にするな。たまにはわたしとおまえでパーっとやろう」
「そうですね!」
こうして2人は騒然とする場所に背を向け、女同士で語り合おうとどこかの店をに向かって歩いていくのだった。
ちなみにこの大会には優勝者はいないとなる。主催者たる団子はわたしが勝っていたと言い張るが、世間はそういう事に興味がないので味方してくれなかった。結局、大会で行われたバトルの映像はおっぱい星人を喜ばせるためだけのモノとなり、そこに出場した女はすべて何かしらのケガで入院して終わりとなった。誰も得しない、誰も息吹と結婚することのない、おっぱい星人だけが得しちゃった! という記録で終わったのであった。
「もしもし、わたしだ。用意は出来たか?」
いま、会場はバトルで盛り上がっている。しかし建物から出て少し離れた所にある裏通りで閻美が電話をしているとは誰も知らない。それは地獄への直通である。
「なに? できない? どうしてだ」
閻美は部下の否定的な返しにいら立った。閻美はいったい何を命令したのかと言うと次の通り。忌々しい大会が開かれている建物と、その中にいるどうでもよい人間のすべてを消し去るため四次元から三次元に打ち込む核兵器を用意せよと命令していたのだった。その核兵器の名前はリトルエンペラーで小型である。
「いくら小型でも会場および中にいる人間のすべてを消すのは憚られます。そもそもなぜ抹消するのですか」
「わたしが気に入らないからだ、文句あるか!」
「い、いや、しかしそんな……」
閻美、大会に出て優勝して世界中が見ている前で息吹と結婚しようかと考えていた。しかし早々に敗退してしまったから怒りはピークに達している。もはやどうでもよい大会も建物も人間も消してしまえばいいと考える。閻魔大王の娘なので身勝手は正義とする。
「では、妥協案はどうでしょうか?」
「妥協案?」
部下いわくリトルエンペラーはよろしくない。そこで核エネルギー非搭載の爆弾で手を打たないかと。建物の破損は緩め、中にいる人間のほとんどがケガは避けられないが命は高確率で助かるという、リトルエンペラーと比べたら人間にやさしすぎるミサイルことリトルマーメイド。
「リトルマーメイドならすぐに用意して発射できますが」
「リトルマーメイド……ぬるいのぉ……」
はぁ……っとためいきを落としたが、何もしないよりはマシだと思う。自分を負かしたリディエは言うに及ばず、団子などという爆乳柔道女子が勝利するとしても耐えられない。
「まぁ、大会が粉々に吹っ飛んでなかったことになれば、結局誰が優勝したかわからないというオチになればいいか。よし、だったらリトルマーメイドを今すぐ発射だ」
「では3分後に」
「2分後だ」
そう言って閻美は電話を切った。2分後が楽しみだなぁと明るい顔でワクワクする。
地獄から四次元経由で三次元に攻撃した場合、攻撃された方は得体のしれない自然現象としかならない。歴史上そんな奇妙な出来事はよく起こっているが、それらはすべて人間を戒めるため地獄からなされた攻撃である。
一方そのころ、リング上ではリディエと団子の激闘が繰り広げられていた。早く勝負を終わらせればよいのに、興奮したせいでとことんバトルをやりたいなんて考えになった団子がいた。
「ふん!」
リディエの左フックが団子の顔面に入る。それもはや空手でもなんでもないが、そういう戦いで燃える事しか眼中にないトランス状態。
「おらぁ!」
団子もリディエの顔面を殴り返す。もはやリング上は鼻血やらなにやらで汚れている。
(実況)「痛々しい試合になりました。2人とも徹底的にやる気ですね」
(解説)「魅力的な爆乳女子の殴り合いは見ていてつらいです、はい」
(実況)「しかしこの大会、引き分けは認められておりません。どっちかが敗北となるまでは続きます。団子がリディエを倒すチャンスはあったような気がします。そこをばっちり攻めていればもう試合は終わっていたような気もします。もしかすると大事なタイミングを外した終わりのないバトルになってしまったというのか」
実況が言うように、団子の柔道と空手を合わせた攻撃はリディエを戸惑わせ続けた。なんとかギリギリで回避したり根性で立ち上がったりをくり返したが、その気になっていればリディエを仕留めるチャンスは確かにあった。つまり、団子が不必要に興奮した事により、とことんやろうぜ! って少年マンガのバトルみたいになった。こうなると夜中までやり続ける気かもしれない。
一方その頃、熱い女のバトルが中で展開されている建物を、かなり離れたところにある歩道橋から閻美とかすみが見つめ笑っていた。
「ふん、さっさと試合を終わりにしていれば、それで勝者をハッキリさせていればよかったモノを、長くダラダラ試合を楽しんだりするからこんな目に遭う。自業自得だ」
「ですよねぇ、みんな爆弾で吹っ飛んじゃえ! って話ですよね。誰が優勝かわからないまま粉々になれば大バンザイっすね」
「子ども巨乳、おまえならてっきり、ひどい事をしないでくださいって怒るような気がしていたのだが」
「そりゃぁ核兵器を撃ち込むだったら反対しましたけど、人にやさしいミサイル、リトルマーメイドでしたっけ? それならいいかなって。中に息吹くんはいないはずだし、見知らぬ観客なんかどうでもいいし、リディエも団子も死なないのであれ気遣う必要もないし」
「お、そろそろ発射されたかな」
閻美、ククっと笑う。かすみには見えないが、閻美は見取れる。見上げた上空からやってきたるリトルマーメイド。それは四次元を飛んでいるが、ターゲットに直撃した瞬間三次元に移行する。現実にあの建物は崩壊し、会場というモノはブッつぶれ、それぞれにケガをするだろうが、めちゃくちゃ運が悪いという者は死ぬかもしれない。
「結局、この大会は誰が優勝したのか不明となり、誰も息吹と結ばれることはなく、そして戦いの映像だけが残り、それはおっぱい星人の宝物として流通するだけ。お、来た、来たぞリトルマーメイドが」
ギュィイーンっとすさまじいスピードで向かっていく飛翔体。建物を見つめながらごくりと息を飲むかすみ。
「ドーン!」
閻美がほんとうにうれしそうな顔でつぶやいたのとほぼ同時い、建物がドカーン! と大爆発。
「おぉ!」
いきなりに大爆発! という衝撃にかすみは思わずブルった。ドーン! と耳がつぶれるような音がし、ガラスが吹き飛びオレンジ色の怪物こと炎が舞い上がる。そしてきれいだった建物は一瞬で廃墟に近いモノと化す。
「大当たり!」
大騒ぎとなっている現場を遠くから見つめる閻美は色白な両手をパンと叩く。それから横にいるかすみの肩を叩き、たまにはいっしょに夕飯でも食べようか? とか言う。
「えぇ、どうしたんですか、閻美さんがやさしいとか……」
「わたしはいつでもやさしいだろう。それに今はすこぶるキブンがいい。おまえもそうじゃないのか?」
「ま、まぁ……あの建物を見るとちょっと罪悪感っぽいのが沸きますけれど」
「気にするな。たまにはわたしとおまえでパーっとやろう」
「そうですね!」
こうして2人は騒然とする場所に背を向け、女同士で語り合おうとどこかの店をに向かって歩いていくのだった。
ちなみにこの大会には優勝者はいないとなる。主催者たる団子はわたしが勝っていたと言い張るが、世間はそういう事に興味がないので味方してくれなかった。結局、大会で行われたバトルの映像はおっぱい星人を喜ばせるためだけのモノとなり、そこに出場した女はすべて何かしらのケガで入院して終わりとなった。誰も得しない、誰も息吹と結婚することのない、おっぱい星人だけが得しちゃった! という記録で終わったのであった。
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