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143・閻美って爆乳女にある心の隙間とプライド1

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143・閻美って爆乳女にある心の隙間とプライド1

 
 地球時間20XX年〇〇月〇〇日の午前11時、とあるデパートの屋上にて空気が揺らめいた。ふつうの人間はそれを気にする事はできない。まして目には見えないモノが存在すると思うなど、相当に想像力の豊かな者でなければムリだという話。

「ここが地球かぁ」

 ユラユラっと揺らめく空気中から人、まちがいなく女って音色がこぼれ落ちる。

「なんと空気が汚い……ゲホゲホ、美しい星とかいうのは宇宙から見た外面だけか。しかし意外と人間とかいう性別は心が落ち着いているようだ。こうやって屋上から地上を見て感じる限り……心にでっかい穴の開いた女というのはいそうな気がしないなぁ」

 こんなつぶやきが誰もいないところでされていると気付いた人間はいない。だからして午前の繁華街は平和と一見素直って空気に満ちる。

「あぁ、ヒマ……どこぞにセックスしたくなるいい男はいないかなぁ」

 そんな事を言いながら一人歩く爆乳女、それはサキュバスだったりする。最近ちょっとご無沙汰なので、そろそろ熱い営みをかましたいと思い、自分好みの外見をしているならとりあえずオーケー! という考えでパートナーを探し歩いていた。

(今日は不作……ブーな男ばっかり目に入る。世も末って感じ……)

 ボブよりちょい長め、肩ギリギリって長さのミディアムレイヤーヘアって髪型、そしてふっくらな輪郭にビューティフルな色白が官能的な顔、動物に例えるなかわいい子犬混じりみたいなって女は不満タラタラだ。

(あまりにブーな男とやるくらいなら、思い切って番外的に女同士でやってみるのも一興かなぁ。えっと……あの子ども巨乳の名前は……かすみだったかな、あれとやってみるのも面白そう)

 サキュバスはそんな事を考えながら歩く。ちなみに夜ではなく午前の繁華街を歩くのは、午前の方がピュアな性格でセックスに引きずり込むのが愉快って男が多いはずと期待するから。

「うん?」

 ここでサキュバスはフッと足を止めた。いま誰かに呼ばれたと思ったからだ。しかしピンク色のパーカーを上にはおり、下はホワイトタンクトップでHカップのふくらみって女に声をかけたであろう者は見受けられない。

 気のせいか? と思い歩き出すと、また声をかけられた。そこでまっすぐではなく裏通り方面への横道に入って人目をごっそり減らすと、誰かいるのかな? とつぶやいてみた。

「ここにいる」

 突如見えないところか声が発生。さすがに一瞬はドキッとしたが、空気が揺らめているところがミソなのだな? と速攻で理解し飲み込む。そして自分から声をかけてみた。

「もしかして宇宙人とか?」

「ご名答。飲み込みがいいな」

「ま、悪魔ですから」

「そうか、ではいきなりぶしつけな質問をするのだが……さっきからセックスしたいって事ばかり考えていないか?」

「イエス! セックスはいいよぉ、心と体のビタミン剤だもの。男女どっちに生まれようと、やれるならやるべき! というのがわたしの意見」

「うむ、ではおまえ自身はセックスやら愛に飢えてはいないって事だな?」

「っていうかさぁ、あんた先に自分の名前とか事情を言いなよ。声からすると女だろうけど、まずは礼儀だよ、たとえエロい話をするのだとしてもさ」

「たしかにその通りだな。わたしは地球から20光年ほど離れた所にある惑星エローゼからやってきたエローゼ星人、性別は女。実を言うと惑星エローゼは人口が増えすぎてしまった。おかげで現在はセックスに規制がしかれている。正直堅苦しくて飢えてたまらない。だからエローゼ星人とよく似ている地球人とセックスしようと思いやってきた。わたしは地球人でいうところの21歳、正直に言えば男と愛し合いたくてたまらない」

 ここでエローゼ星人は一呼吸置いてから説明を続けた。なぜ自分には実体がないのかというところをサキュバスに語って聞かせる。

「地球は惑星エローゼより重力が重い。だから実体を気体化させることでしか地球にいられない。でもこれではセックスができない。そこで、地球にいる女の体を乗っ取りたい」

「乗っ取る?」

「わたしの意識と乗っ取った体が一致、もしくはわたしが支配権をゲットすればよい。それならセックスに身を焦がせる」

「で、なに、まさかこのサキュバスを乗っ取るとかいうわけ?」

「できるならそれでもいいのだが……おまえは性に対してオープンすぎるからダメだ。むしろ心を解放したいとしつつ解放できないって、飢えた情けない女の方が燃えるしやりやすい」

「じゃぁ、なんでわたしに声をかけた?」

「おまえほどはっちゃける女なら、逆の冴えない女っていうのも知っているはず。つまりただの知識とか知ったかぶりではなく、男だけなく色んな女も見てこの世の深みを知っているのではないかな? と期待した」

「おぉ、エローゼ星人とはなかなか深いねぇ」

 サキュバス、ここでクッと腕組みをした。それは白いタンクトップの豊満でやわらかいHカップってふくらみに当たる。

「話を聞いたらエローゼ星人のキモチがよくわかるわけで応援してやりたいと思う。しかし……心を解放したいと思いつつできないって腐れな女なんて、誰かいたかなぁ……」

 サキュバス、誰かいたような気がするぞ……と思いながら答えにたどり着けない。するとどうだ、まるでエロの神がサキュバスの後押しをするかのように、すばらしいタイミングで答えを提示してくれた。

「あ……」

 いまサキュバスの両目が表通りを横切る者をひとり見た。それは白い着物を着ている女。ふっくら色白で見た目はかっこういい感じのグラマーさん。しかしサキュバスに言わせれば、中身は乙女チックの度合いがつよい女子中学生レベルって爆乳女。

「いた……バッチリ!」

 サキュバス、エローゼ星人に聞こえるようつぶやいた。ひとり最高の女がいるから、わたしについてくるようにと。

「わたしがさぁ、その女の心を揺さぶってやるよ。その爆乳女の「女」って部分が虫歯になってグラっとするように持っていってやるんだ。そうしたらあれでしょう? エローゼ星人はその女に入って乗っ取りがしやすいってオチにつながるでしょう?」

「サキュバスの言うとおりだ、実にすばらしい」

「その女はさぁ、中身はともかく外側は一級品。美人型でIカップって爆乳。その女を乗っ取って男を誘惑すれば、ミリオンセックスもすぐ達成出来るよ」

「おぉ……そういう女になってみたいと思ったりしていた」

「でもそいつプライドがクッソ高いよ?」

「とりあえず中に入り込んで女の核に接することができれば、後はなんとでもできると思っている」

「いいねぇ、じゃぁ行こうか!」

 言ってサキュバスはクククっとこらえきれない笑いを声にする。これであの爆乳も女として年齢相応に一皮剥けるだろうとニヤニヤ。だから意気揚々と通りに出て体の向きを変えると、大きめの声で白い着物って女の名前を呼ぶのだった。
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